
2026年雪山シーズンに入ったことで雪山初心者向けに書いた雪山装備に関する記事のアクセスが増えてきたので大幅リライトしました。私の持っている装備の紹介と選び方のポイントをまとめてみました。
- 雪山装備の選び方
- 私の雪山レベル
- 足回り編
- ウェア編
- 頭頚部
- レイヤリングまとめ
- 小物編
- 装備の総額
雪山装備の選び方
最初に伝えたいこと
雪山装備はケチってはいけないということです。基本的に夏山に比べて装備の性能が命に直結しやすいので妥協はすべきでありません。また靴やアイゼンを代表とする雪山装備はそうそう買い替えるものでもないので、最初から一番良いものを選んでおくべきと考えます。
そうすれば経験値を積んでからより高難易度の場所も行けるようになるし、初心者向けの場所であっても安全マージンをより確保できるので悪いことはありません。(そもそも雪山登山自体が初心者向けではないという意見もありますが)
場所とコンディションによってはレインウェアと軽アイゼンでも十分安全に楽しめる山はあるので、経験者に連れて行ってもらう最初の一歩の雪山体験としてはその限りではありませんが、本格的に始めようと思うなら妥協してはいけません。死ぬか凍傷で身体の一部を失います。雪山山行で私はまったく濡れず冷えずの時でも他のメンバーの足元は浸水していてガクガク震えていることもしばしばあります。
自己責任の世界だからこそ
何事も準備不足が原因で失敗したり怪我をした時には自業自得の目で見られてしまいます。初心者向けの山を選んでも非積雪期に比べて天候の急変や行動困難になるなどのリスクが大きいのが雪山登山なので、十分な装備を持たずに挑むのは富士山登山に半袖半ズボンとスニーカーで挑む人と同じように見られかねません。やるだけのことはやっているぞと示すためにもキチンとした装備を揃えるべきなのかなと思います。
個人的にはいかにコストを掛けず工夫して楽しむか、を考えるのはそれ自体が非常に楽しいことなのでバランスが難しいですが、やはり多くの登山者が「夏山装備はなんでもいいけど雪山だけは」と言いますし、私自身もそうだと思っています。
もちろんコンディションの良い日に初心者向けの雪山に経験者に案内してもらいながら、とりあえずレインウェアと軽アイゼンで登ってみる、くらいのことは全然問題ないと思います。まずは楽しさを知るのが大事なので。

私の雪山レベル
夏山ではテント泊縦走もガッツリやりますが、厳冬期登山は日帰り登山しかしないことにしています。基本的には中級レベルとされる八ヶ岳赤岳くらいの難易度を上限と設定※し、夏山以上に「登頂を目的としない」登山を心がけています。せっかく来たのにはNG、安全第一主義です。頻度として一番多いのは獲得標高600-800mくらいでトータル6時間以内の山行です。
※これまで一番難易度が高かった厳冬期山行は黒戸尾根の日帰りですが、これはリアルタイムの情報を集めコンディションが非常に良かったので叶った例外的な山行でした。
足回り編
シューズ:モンベル アルパインクルーザー3000
「雪山装備は高い」の代表格である厳冬期登山靴です。絶対に絶対にケチってはいけない最重要装備の一つです。防水性と保温性が夏山登山靴と全く異なるのでお試しの低山雪山でもない限りは専用品を用意しておくべきです。
選ぶポイント
前後コバの有無によって適合するアイゼンが変わってきます。

コバというのはつま先と踵にあるアイゼンを引っ掛けるための土台のことです。登山靴は①前後コバ付き②後ろコバのみ③前後ともコバなしに分けられますが、基本的に厳冬期用の靴であれば①か②のどちらかです。
後述しますが①か②かはワンタッチアイゼンを使いたいかどうかで選びます。コバはシューズの重量に関わってくるので、こだわりがなければ少しでも軽い後ろコバのみのシューズ+セミワンタッチアイゼンが良いと思います。(アルパインクルーザー3000は片足で約900gあるので最初は履いて歩くだけで疲れます)
かつてはスカルパのモンブランに憧れていましたが足に合わずモンベルの靴にしました。もう6年目に突入するのでソールは張り替えたほうが良い時期なのでしょうが今のところどこも一切ヘタっている感じがありません。
webshop.montbell.jphttps://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1129719
最近は足首までを覆ってくれるゲイター付きのアルパインクルーザーが出ました(しかもお値段変わらず)。私はゲイターは膝までの長いものを別で使うので今でも通常版の方を選びますが、こちらのモデルであれば行く山の状況によってはゲイターが割愛できる可能性があります。
アイゼン:モンベル・カジタックス LFX-12

モンベルのワンタッチアイゼンです。アルパインクルーザーもそうですが同クラスで比較するとやはりモンベルが金額面で一歩勝っている印象です。カジタックスは元々は独立したメーカーでしたが創始者の高齢化により現在はモンベルが継承しています。ちゃんとカジタックスの名前を残しているのが素敵です。靴とアイゼンは微妙に相性の善し悪しがあるそうなので素直にモンベル同士で揃えました。
選ぶポイント
前爪ありの12本爪が雪山装備のスタンダードです。装着の仕方でワンタッチかセミワンタッチかバンド式かの選択肢があります。

写真はワンタッチアイゼンを装着している状態です。前後のコバに金属のフレームを使って固定するのがワンタッチアイゼンです。現代は後ろコバのみで装着可能な、ワンタッチとバンド式が合わさったセミワンタッチが主流です。
ワンタッチかセミワンタッチか
ワンタッチというからにはさぞかし着脱が楽なのだろう…と期待するも、結局バンドによる固定も必要なので着脱の手間は非ワンタッチタイプとさほど変わりません。しかし緩みにくさにおいてはワンタッチに利があると感じます。
前述のように少しでも軽量化を考えるなら後ろコバのみの靴+セミワンタッチアイゼン、ワンタッチアイゼンへの憧れがあるとか惚れた靴が前後コバ付きならワンタッチ、でいかがでしょう。
夏靴と兼用できるようにすべきか
3シーズンの登山靴にも後ろコバ付きの靴があるので、12本のセミワンタッチアイゼンを夏と冬で兼用できるようにするというやり方もあります。コストが最小で済む戦略ですが、個人的には夏靴に厳冬期レベルの12本爪を装着できる必要は無いかなと思います。夏の大雪渓とかにここまでのスペックは要りませんし、保険で持っておくには重いので軽アイゼンは軽アイゼンであった方が良いです。アイゼンにおいては大は小を兼ねないと考えます。
ゲイター:Outdoor Research クロックゲイター
ゲイターは隙間から雪が入るのを防ぐ+防寒+アイゼンの刃からパンツを保護するという役割があります。完全にトレースが付いていて雪に沈むことがない場所でもなければ必須装備です。いくら防寒性能の高い厳冬期靴でも雪が入って濡れたら無力です。四肢末梢の凍傷は指を失うリスクが高いのでここは絶対に対策をしましょう。

選ぶポイント
雪山においては丈は長ければ長いほど良いです。膝まであると安心です。基本は下山まで付けっぱなしになると思いますがソックスのように履くタイプよりも開いた状態で脚に巻き付けるようにしてマジックテープやジッパーで装着するタイプの方が着脱が容易です。あと初心者のうちはアイゼンを脚の内側に引っ掛けてウェアを破きがちなので丈夫な生地のものが良いでしょう。
クロックゲイターは若干高価なものの、膝下くらいまでしっかり覆ってくれる長さなのと、下1/3くらいが強靭な生地に切り替わっていてちょっと引っ掛けたくらいなら破れないこと、開いてマジックテープで装着するタイプで着脱が容易なことが決め手でした。
スノーシュー:モンベル アルパインスノーシュー56
スノーシューは長いこと必要性について検討を重ね雪山登山を始めて数年経ってから導入したアイテムです。使うかどうかは場所によりけりで、なくても大丈夫なこともありますがスノーシューがあることで行ける山の選択肢が広がります。
選ぶポイント
スノーシューの必要性や選ぶポイントについては上記の記事をぜひ参考にしていただければと思います。よく日本の山岳シーンにはマッチしないとか平らな雪原歩きでしか使えないという意見を目にしますがそんなことはありませんでした。トレース以外を好きに歩けたり、足が沈んで取られてしまう登りが楽になったり、思っているより活躍の場は広いです。
高価なスノーシューですがモンベルがまたやってくれました。発売年にはすぐ売り切れてしまったのでその翌シーズンに手に入れました。この価格では他に競合がいません。
ただし山行スタイルによっては必要ないのでまずは↑の記事を参考にレンタルで試してみることを勧めます。
ウェア編
ハードシェル:THE NORTH FACE マウンテンライトジャケット
防風防水担当のシェル。元々は軽いアウトドア〜街着として細君に買ってもらったものですが、スペック的には十分雪山で通用するので現在は雪山登山とスキー専用ウェアにしています。

選ぶポイント
重視すべきポイントは防風性・防水性・透湿性ですが、雪山登山向けを謳うものであれば大差ないので基本は好きなブランドやデザインで選んで良いと思います(遭難時を想定しアースカラーやホワイト系は控え目立つ色)。
機能面では着脱やポケットの使用をグローブ装着下で行うことが多いので店頭で試せると良いです。腋窩のベンチレーションは個人的にはなくて困ったことはありませんが、より細かな体温調整ができる可能性があるので出来ればあるものが良いと思います。
ノースフェイスで最初から雪山登山用として選ぶなら上位モデルのマウンテンジャケットの方をおすすめします。腋窩のベンチレーションやヘルメット対応のフード、首元のスノーカフなどの登山用の機能が複数備わっています。両者の違いはヨドバシの記事が分かりやすかったです。
よくある勘違い
ハードシェルは街着のダウンジャケットのようにこれ単体で温かくなるウェアではありません。雪山では機能の異なるウェアを重ね着(レイヤリング)することで体温調整を行うので、ハードシェルはシェル(殻)の名の通り雨風をシャットダウンするのがメインの役割です。
そのためウィンタースポーツ用などの中綿入りのアウターでは代用が効きません。一度濡れるとそれで終了してしまうからです。
ミドルレイヤー:パタゴニア R1プルオーバー
ずっと憧れていたパタゴニアR1をついに手に入れました!フリースとしてはかなり効果ですがここ数年で一番満足度の高いアイテムです!以前はモンベルのトレールアクションパーカを使用していましたが、現在は雪山登山ではR1一択です。

通気性と保温性と軽量性に動きやすさといった雪山登山で求められる性能を高次元で実現している高性能フリースがR1です。そんなに厚手でもないのに風がない日は単体でもかなり温かい不思議なウェアです。私は雪山登山ではほぼR1を着て行動しています。
選ぶポイント
ベースレイヤーと合わせて保温の中核を担うウェアなので良いものを、具体的にはパタゴニアR1を買いましょう。後悔することはないはずです。雪山登山では常に着用していることになるのでサイズ感はよく確かめて購入すべき。あと個人的にはフード無しのものが使いやすいと思います。
以前はフード付きのフリースを使用していましたが、ハードシェルのフードやバラクラバと干渉して煩わしかったです。ハードシェルを着ている時はハードシェルのフードを被れば良いし、フリースで行動している時なら寒ければバラクラバか帽子を被れば良い(そもそも暑くてバラクラバも外していることが多い)ので、私はフードなしのフリースにしてとても快適になりました。
パタゴニアのフリースのバリエーション
パタゴニアのフリースではR1の中にもより薄手で通気性が良いR1エア、耐摩耗性を向上させたR1テックフェイス、保温性を向上させたR1サーマルといったバリエーションがあります。さらに保温力が高いR2というモデルもあり、現在は廃盤ですがかつてはR3, R4まで存在していました。加えてそれぞれのモデルにフード付きのフーディ、前が全部ジッパーになっているフルジップ、胸から首までジッパーで被るタイプのプルオーバーといった形のバリエーションがあります。
よく分からなかったら無印R1で問題ありません。寒がりでも行動中の発熱・発汗を加味するとR1がちょうど良く、携行にも嵩張りません。R2はR1に比べるとかなり嵩張る上に行動着としては暑いと思います。
ベースレイヤー:ミレー ドライナミックメッシュ&モンベル ジオラインExp.
雪山装備の要となる最内層のベースレイヤーは2種類、変態アミアミことドライナミックメッシュにジオラインで最も厚いExp.です。
選ぶポイント
暖かさはもちろん重要ですがそれ以上に速乾性や動きやすさの方が重要です。雪山登山は非積雪期の登山に比べて運動量が非常に多いため発汗量も夏山と同等になります。汗冷えが致命的となるのでヒートテックなんかでは絶対に代用してはいけません。過酷な状況になった場合に低体温症まっしぐらになります。後述の理由でメリノウールよりもジオラインをおすすめします。
ドライナミックメッシュの効能
見た目は強烈なドライナミックメッシュですが
・肌の汗を即吸い上げて上のレイヤーに移す=肌が濡れている時間を極力短くする
・生地の厚みによる空気の保温層を作り出す
という効果があり、この説明に感心したので試しに買ってみたところあまりに劇的な効果だったので気付けばノースリーブタイプと長袖タイプの2種を買っていました。ノースリーブを仕込んで稜線で風を受けた時、胴体と四肢の冷え方が明らかに異なるくらい、肌をドライにしてくれているのを強く実感した次第です。
ベースレイヤーを何にするにしても、その下にはドライナミックメッシュを併用することをおすすめします。

メリノウールは暑すぎる
その上のベースレイヤーは紆余曲折を経てジオラインExp.を愛用しています。ベースレイヤーとして定番のメリノウールはとても暖かい一方で下記の欠点があり、現在は登山では使用していません。
・ジオラインに比べると乾きづらい
・発熱してくれる分行動着としては暑すぎる
・停滞時にアウターをちゃんと脱がないといい感じに換気されない
メリノウールは真冬の星景撮影とかご来光待ちとか、極寒の中であまり動かない時にはジオラインよりも適したウェアだと思います。特に乾きづらさはジオラインと比べると顕著に感じます。
ベースレイヤー侮るなかれ
「1着4000円以上するアンダーウェアなんて」と思っていた時期が私にもありました。断言しますがお金をかける価値は大いにあります。気付けばジオラインM.W. , ジオラインL.W.サイクルアンダーシャツ、ジオラインExp. ,スーパーメリノウールM.W. ,ドライナミックメッシュノースリーブ&長袖、とめちゃくちゃに増殖していました。これらはより薄着で汗冷え対策が重要なロードバイクでも良い仕事をしてくれるので用途2つで実質半額です。
アルパインパンツ:THE NORTH FACE オールマウンテンパンツ
そろそろ下も本格的な雪山ウェアを買おうと思った時にヨドバシオンラインでセールになっていたのがオールマウンテンパンツでした。メーカーのこだわりはあまりない私ですがノースフェイスは大好きなブランドなので上下で揃えました。

選ぶポイント
アルパインパンツはハードシェルと同様の役割と考えて良いです。通常のパンツと異なり登山靴を履いた状態で着脱できるようサイドがジッパーで開閉できるようになっており、ベンチレーションとして一部だけ開くような使い方もできます。
パンツのサイドが完全に開けるタイプの方がより着脱はしやすいと思いますが、上記のモデルでも履く時は股のところだけ足を通せば良いので特に困りません。ここは予算との兼ね合いで良いかと思います。
ノースフェイス オールマウンテンパンツについて
THE NORTH FACEはブランド名的にも本来はゴリゴリの登山スペックのウェアも多いのですが、アパレル展開が広すぎてファッションアイテムとして扱われがちです。登山家目線での評判については情報が少ないのが実情で、このオールマウンテンパンツも例外ではなく雪山装備に相応しいのか調べただけではよく分かりませんでした。
半ば人柱的に実際に試着してさらにめちゃくちゃスクワットしたりラッセルの動きをしたりしてみて選びましたが、使用感や性能で特に問題を感じることなく活躍しています。アルパインパンツとしては比較的安価な方なのでこれはおすすめできます。

ちなみに私はスキーも雪山登山の格好で滑ります(インナーは変えますが)。さすがにスキーブーツを想定したパンツではないのでブーツを覆うことはできないのですが、ウィンタースポーツでも使えます。
パンツ:THE NORTH FACE アルパインライトパンツ
登山用としての評判も多くあるノースフェイスのアルパインライトパンツです。伸縮性が非常に良いのと立体裁断による動きやすさでハードな山行でもストレスにならないのに細身できれいなシルエットになるので登山用としてもアウトドアファッションとしても非常に高評価を集めている逸品です。
私の知るある登山家はずっとこれを履いていて3着目になるとか。あと多少の防水性もあります。夏山ではタイツとこれ、冬山ではその上にシェルに当たるパンツを履くので登山の時には必ず履いています。気づけばもう3年以上、時に普段着としても使っていますがへたる気配はまだまだありません。ダメになったら間違いなく同じものを買うと思います。

剣岳登山にて。抜群の動きやすさで難所カニのタテバイもなんのその。
アンダータイツ:モンベル トレールタイツ/ワークマン メリノウールタイツ
高校時代、陸上をやっていた時にタイツを履いていた方が気持ち良く走ることができた経験から、登山も必ずタイツを履くようにしています。効果があるのかは正直わかりませんが、タイツを履くことが山に行くぞと気を引き締める一種の儀式のようなものにもなっていて、冬山でも同様にしています。
私は下半身は寒さを感じづらく厳冬期でもただのタイツ、アルパインライトパンツ、シェル、の3枚で大体どこへでも行けてしまうのですが、雪山のグループ山行で止まる時間が長くなるとさすがに寒さを感じることがあったので、行く場所によってメリノウールタイツを併用しています。
ソックス:モンベル メリノウール エクスペディションソックス
極厚生地の厳冬期用ソックス。下半身が寒さに強いといっても末端の冷えは一度起こるとリカバリー不能で凍傷のリスクがあるのでグローブと同じくケチってはいけません。アルパインクルーザーの保温材との合わせ技一本で、山頂で留まっていよいよ寒さの限界を感じるくらいになっても浸水していなければ足先だけは無事でいられます。
頭頚部
帽子:モンベル ケーブルニットワッチキャップ#1
ウール混紡糸で編まれたニット帽。何でも良いと思いますが生地がしっかりしているものがおすすめ。
バラクラバ:モンベル スーパーメリノウールバラクラバ
嵩張らない厚みの割に非常に温かいバラクラバです。天候や気温に応じて目出し帽状態にしたり鼻と耳まで覆う状態にしたりネックウォーマーにしたり、防寒の度合いを調整することができます。
選ぶポイント
もっとカチっとした生地のものやダウンのバラクラバもありますが、個人的には外したらポケットにすぐしまえる嵩張らないものをおすすめします。雪山は気温が低くとも運動量が多いため帽子、バラクラバ、グローブは頻繁に着脱しますが、これらをいちいちザックに戻さなきゃいけないのは効率が悪いのでザックの腰ポケット、ハードシェルのポケットにしまっています。この3点の着脱は足を止めずにできるようにというのが一つのこだわりです。
ゴーグル:モンベル L.W.アルパインゴーグルHD
これも雪山用のものであれば何でも良いと思います。スキーやスノーボード用は登山には重く嵩張るので雪山登山用のものがおすすめです。晴れていて風もないような状況ではサングラスでも良いですが吹雪いてきたりしたらゴーグルが必須です。

選ぶポイント
ゴーグルはレンズによって特性が異なっていて、太陽光の反射を抑えるだけでなく路面状況をよりクリアにする効果、つまり肉眼よりも地形の凹凸が見えやすくなるという利点があるので、これは自分が良く行く場所とか考え方で変わってきます。
モンベルなら晴天時により効果を発揮するPL、曇天時向けのHD、紫外線量に応じてレンズの濃淡が変化するBCなどのレンズオプションがあります。あとはレンズが外せるアルパインゴーグル、フレームレスで軽量特化のL.W.アルパインゴーグル、眼鏡の上から付けられるグラスインアルパインゴーグルです。
個人的には天候が悪くなった時の視界をより重要視していて、実物を触った感触で最も軽量コンパクトであった本製品を選択しました。アンチフォグシステムはあるものの曇りやすい印象はあるので後述の曇り止め対策がおすすめです。
※雪の反射による紫外線量について
雪山では夏場以上に多量の紫外線を浴びるということをご存知でしょうか。一般に冬の紫外線量は夏の70%と言われていますが、雪面の太陽光の反射率が80%と非常に高いためこのようなことが起こります。例えば夏場の紫外線量を1とした時、夏のアスファルト(反射率10%以下)では1+1✕0.1=1.1となりますが、雪山で同様に計算すると0.7+0.7✕0.8=1.26となり夏の路上以上の紫外線量を浴びることになります。
そのため日焼け対策は夏以上に気をつける必要があるのはもちろんですが、目に多量の紫外線を浴びると電気性眼炎(いわゆる雪眼)になり眼痛や羞明に苦しむことになるので目を保護するためにもアイウェアは必須です。
曇り止め:Muc-off ANTI-FOG TREATMENT
これは元々はロードバイクに乗る際のアイウェア用に購入したものです。使い方は簡単でレンズ内側に吹きかけてティッシュで全体に伸ばすようにして拭き取るだけ。これにより表面にコーティングが施され曇りにくくなるというもの。
一見するとちょっと高価に思えますが、最長5日間効果が持続するという点となかなか減らないのでコスパはかなり高いと思います。私の場合雪山登山とスキー合わせて1シーズンに5,6回程度、ロードバイクは曇りやすい時期のみの使用で4年経ちますがまだ半分は残っています。
レイヤリングまとめ
ウェアのレイヤリングは内側から上下とも4枚です。
【上半身】
①ドライナミックメッシュ
②ジオラインExp.
③R1プルオーバー
④アルパインライトジャケット
【下半身】
①トレールタイツ
②メリノウールタイツ(時により)
③アルパインライトパンツ
④オールマウンテンパンツ
これで行動中〜ちょっとした停滞時まではジッパーを下ろすくらいのベンチレーションで対応できて、長時間の停滞時には上か中にパッカブルのダウンジャケットやフリースを着て対応します。
小物編
グローブ①:ブラックダイヤモンド ソロイスト
雪山グローブとして定番のソロイストをメインに、状況によって調整することと予備として上記3点を携行します。

ソロイストはモコモコのインナーと防風防水のアウターの二重構造。手首のところでマジックテープで固定されているため着脱は容易で、乾かすときにも便利です。
選ぶポイント
雪山登山のグローブもウェアと同じくレイヤリングの考え方で、保温用のインナーと防風防水のアウターの2層構造のものが良いです。主に操作性に優れる5本指タイプと保温性に優れるミトンタイプがありますが、このクラスのグローブの厚みでは結局操作性もなにもないと思っているので保温性を取った方がいいと思います。(とはいえこの5本指でも十分に暖かく、マイナス15℃の中で爆風を浴びた2月の木曽駒ヶ岳でも指先が冷えることはありませんでした。)
最近出て話題になったのが両者のハイブリッドタイプであるモンベルのアルパイントリガーフィンガーミトン。ソロイストに何の不満もありませんが、今ならこれを買うと思います。
雪山では素手になってはいけない
というのが山歴の長い、特に山岳部や山岳会で鍛えられてきた山ヤの常識です。冷えたピッケルを素手で触ることで凍傷になることもあるのでグローブを装着した状態でアイゼンの着脱や火器使用ができるよう練習しておくのが望ましいです。
グローブ②:防寒テムレス 02winter
そして最後は一時期Twitterで話題になった防寒テムレスのウィンターシーズン用02winterです。通常モデルよりちょっと高い(それでも4000円くらい)モデルで、雪山登山を想定したモデルなので手首が絞れるようになっています。

内側は黄色のフリース様の起毛素材で、値段と見た目からは不思議に思うほど手を入れるとすぐに温かいです。そして謎に優れた透湿性があるので蒸れてもビショビショにまではなりません。そして防風性もかなり優れているというコスパに優れた手袋です。
さすがに厳冬期登山のメイングローブとしては厳しく、先の木曽駒ヶ岳のような環境では完全に力不足です。以前1月の天狗岳にテムレス単独で登った時も後悔しました。ただしその際はあと一歩という感じだったのでベースレイヤーを組み合わせれば使えたと思います。基本的には積雪期の低山ハイクとか、いわゆるスノーハイクとか、初冬や残雪期くらいにちょうど良いと思います。厳冬期登山では保険として忍ばせています。
ちなみに余談ですが冬のロードバイクのアウターグローブとしてはかなり優秀です。
グローブ③モンベル メリノウールグローブタッチ
正直私はグローブは外してしまいますが…それでもなるべく素手にはならないように暑い時は薄手の手袋(メリノウールグローブタッチ)を装着しています。

「ウールで薄手で気軽な値段の手袋」は意外と少なくて、やはりモンベルの出番です。薄手の生地なので外して腰ポケットにしまうのも容易なのに、生地の厚みから想像するより遥かに暖かくて程良い通気性があります。指先がやや穴が空きやすい気がします。
ピッケル:GRIVEL NEPAL S.A.
これは完全に見た目で選びました。厳冬期谷川岳で遭難後生還歴のある仲間に言わせると「ピッケルとは侍の刀である」そうです。
選ぶポイント
一番の役割は滑落防止で、短く曲がりの強いものは氷壁登攀に用いられます。かつてはストックとしても使える長いものが一般的でしたが、現代ではストックを多用するので短めのピッケルが主流です。長さは①手を下げて持った時にくるぶしの高さ②(身長-110)cm③腕の長さ④身長の35%、などの目安があります。一般的な成人男性の170cm前後の身長であれば55cm前後が良いです。長いほど急登での取り回しが悪くなります。

身長173cmの私のは長めの66cm。急登で雪面に突き刺してアンカーとして使う際にちょっと長いと感じるので58cmにしておけば良かったと思います。
温度計:エンペックス サーモマックス

雪山の山行中はいつも首からかけている温度計です。山行中の気温を把握しておくと天気予報で数字を見た時にある程度コンディションの予想ができるようになり、レイヤリングの調整の精度が増すのでおすすめです。実際の気温を体感で学ぶのにも役立ちます。服の中に入れておくと当然気温が狂うので、シェルの外、外界にむき出しでかけるようにしています。
装備の総額
レインウェアと軽アイゼンで唐松岳に登った、今思えば恐ろしいことをしていた雪山デビュー当初からもう7年も経っていて随分と装備が進化しました。一気に揃えず実際に山の中で必要になってから買ったり逆に手放したりしたものもあって、自分なりにはだいぶブラッシュアップされたと思います。壊れない限りは手持ちの装備でどこへでも行ける状態です。
ということで最後にこれまであまり考えてこなかった(考えないようにしていた)、装備品一覧表を作って総額を出してみました。

これはリライト前に作った表で現在は値上がりしているのとスノーシューが加わったりしているので上記と同じものを揃えるとざっくり30万円弱くらいになると思います。
一度に全て揃える必要はありませんが冷静になると中々の金額です。しかしいずれの装備品も5年は使っていますが傷んで買い替えたものはまだないので一度揃えれば長く使えます。未知なる世界への切符と思えばそう高くはないと考えます。そして山に限らず多くのアウトドアにおいて「いつかお金が貯まったら」は悪手です。年齢を重ねるほど体力や集中力が低下しリスクも増してくるので多少無理してでも早く揃えて経験を積みましょう。
ということで雪山装備のまとめでした。