世界で一番登られている山、高尾山
標高599m、都心からのアクセスが非常に良好で山頂から富士山を望むことができる山。というより一大観光地。
地元の小学生の遠足から登山入門者、本格的な登山を退いた高齢者まで老若男女に愛されていて、タイトルの通り世界一登山者数が多い山でもある。「日本で」じゃなくて「世界で」である。
私は高尾山には子供の頃から何度も登ったことがあるけれど、実は1号路しか登ったことがない。そこで今回は高尾山の中では本格派のルートである、「稲荷山コース」で登り、帰りは自然豊かな「6号路」で下山することにした。
土産店や飲食店が途切れることなく現れ続ける1号路と異なり、稲荷山コースも6号路も非常に自然豊かな登山道で、これまでの高尾山=観光地のイメージを改める山行になった。
登山口 高尾山口駅
高尾山の登山口は京王線、高尾山口。
JR中央線の高尾駅で乗り換え。似た名前の駅だが高尾山の登山口は高尾山口駅。もし陣馬山から高尾山までの奥高尾縦走をするならば高尾駅からバスで陣馬高原下までアクセスする。
人口密度が凄まじい
まずは駅から順路に沿って進む。人気っぷりがよく分かる人口密度だと思う。
今回の山行はいつものミラーレス一眼OM-D EM1mark2ではなく、富士フイルムのコンデジX100Fのクラシッククロームで撮影している。
ケーブルカー駅
お土産街を抜けると1号路とケーブルカー駅の分岐点に到達する。
高尾山山頂までの登山道は1号路から6号路までの6ルート+稲荷山コースがある。
といっても全て独立した登山道ではなくて、3,4号路は1号路の途中から分岐した道で、2号路は中腹を1周するループ、5号路は山頂を1周するループになっている。
4号路には吊橋、6号路には沢があったりと各ルートはそれぞれ異なった特色がある。
高尾山ケーブルカーはいつも大行列。稲荷山、6号路の場合はここが山頂までの最終トイレになる。
高尾山 稲荷山コース
今回のスタートの稲荷山コースはケーブルカー駅の左側の道を進んでいく。
稲荷山コースは山頂まで道が非常に整地されていて、多くは階段になっている。スニーカーを履いていれば十分で、実際に本格的な登山の服装、登山靴を装備している人は半分もいなかったと思う。
今回のパートナーは2年ぶりの登山となる細君。最後まで階段が続くので運動不足には堪えたようだ。
稲荷山コースは最近さらに整備が進められたようで、途中から真新しい木の階段が続いた。すれ違った人が「いつか高尾山は山じゃなくなってるかもね」と話していたのが聞こえたが、確かに登山道というよりは遊歩道に近い。
スタートからゆっくり目に登って45分頃、ちょうど中間地点辺りに稲荷山展望台という眺望スポットがある。
稲荷山展望台
稲荷山展望台。写真でははっきり写っていないけれど、都心のビル群とスカイツリーが見えていた。空気が澄んだ日には筑波山も見えるらしい。
展望台はちょっとした広場になっていて、多くの人が腰を据えて休憩をとっていた。
せっかくのF2.0なのでボケを生かした写真を撮ってみる。何という花かは知らないけれど、春らしくて良かった(語彙力)。
登りは終始穏やかで、時折平坦区間が挟まれていて、人と話しながら登るくらいがちょうど良かった。絶え間なく人が登ってくるので、一度足を止めると10人くらいは先行してもらうことになる。
ある程度登り始めたあたりから、妻が腕がかゆいと言っていたので見てみるとじんま疹が出現していた。高尾山にはウルシが生えているそうで、もしかすると登山道で接触したのかも知れない。肌荒れやアレルギー体質の人は注意。
山頂まであと一息、といったところで山頂方面と6号路との分岐点が現れた。6号路は完全独立のルートだと思っていたけれど、ここで合流するらしい。
いよいよ山頂まであと0.1kmの表示。ラスト100mはこのコースでは一番斜度がきつい階段になる。
きついといってもこのコース内での話。日常生活できついと思う階段を想像していれば問題ない。
山頂への花のゲートをくぐり
高尾山 山頂
高尾山山頂599mに到達!登り始めて1時間半。妻に合わせてゆっくり登ってきたけれど、看板で見たコースタイム通りだった。
富士山がしっかり見えました。
山頂は広く、食事処に公衆トイレ、多数のベンチがあるけれどそれも分からないくらい人で埋め尽くされていた。本当に日曜日の原宿くらい人が居たと思う。
こちらは陣馬山への縦走路の入り口。
普段の登山では自分だけなら山飯は効率重視にしてしまうが、今回は時間も体力も有り余っているので昼食をちょっと頑張ることにした。
メニューは唐揚げ卵とじ丼とカップスープに食後のコーヒー。
メスティンに1合分の無洗米と水を入れて、エスビットのストーブと固形燃料で炊飯する。
その間に事前に作って持ってきた唐揚げをフライパンに投入し、卵とめんつゆで閉じる。
上の写真は唐揚げ卵とじが先にできてしまい、メスティンの上で保温しているところ。
山飯は全て山の上で行おうとすると煩雑になるし道具も増えるので、山頂で温める/炒める+αくらいで出来るように仕込んでおくと程良いバランスで楽しめると思う。
食後のコーヒーはフレンチプレス式のコーヒーメーカーで淹れる。
いつも思うんだけど山でコーヒーを飲む場合皆どうしているんだろう。
クッカーは食事で汚れるから、湯沸かし用にもう一つクッカーを用意するか保温ボトルでお湯を持っていく必要があると思うんだけれど、コーヒー1杯のためだけにその労力を払うのか。
良い方法を知っている人が居たら教えて下さい。
高尾山山頂からは丹沢〜富士山周辺の山が見える。上の写真で真ん中やや左にある三角形の山は丹沢大山で、そこから右に連なるのが塔ノ岳〜蛭ヶ岳の稜線。
この写真の左端のピークが大山。そこから右に稜線を辿り、一番右側の雲の真下にあるピークが丹沢最高峰の蛭ヶ岳。
下山は自然豊かな6号路で
山頂でゆったりした後は今回楽しみにしていた6号路へ。
なぜ楽しみにしていたのか。6号路は「ヤマノススメ」であおいとひなたとここなちゃんが初めて出会う、特別な登山道だからである。
鬱蒼とした森の中…
と思いきやすぐに開けたところに出てしまった。
見ると各コースの分岐点にいるらしい。
6号路下山の最初は木の階段。
暫く進むと沢に出た。
沢と言っても深さはほとんどなく、水が流れているだけなので危険はない。
沢と出会ったあとは沢に沿って進んでいく。道が細いため人と人の間隔が詰まりやすく、子供も多いために追い越しはちょっと難しい。強引に追い越してきた人も居たけれど。
基本的に観光地なので、健脚だろうが何だろうが関係なく、自分のペースで好き勝手歩きたい人が来るべき山ではない。
ある程度降りてくると小さな川くらいには水量が増え、登山道とは分かれ始める。この細々した水流が多摩川に繋がっていくのでいわば源流歩きである。
登山道の終了間際、少し外れて「琵琶滝」。
修行僧が訪れるという、小さいながら荘厳な雰囲気の場所だった。
山頂から歩くこと1時間ほどで下山終了。残念ながらリアルムササビには出会えなかったけれど、ケーブルカー駅をよく見たらこの子が居た。
飛んでいる姿まで。銅像が造られるくらいにはちゃんと生息しているようだ。
この日は朝8時頃に自宅を出て、家に帰ったのが16時前。
「登山」としては物足りないけれど、「時間的にも体力的にも次の日に響かない程度に身体を動かしたい」くらいならば十分、良い運動になる。
がっつり運動したければ陣馬山までの縦走をすれば良い。低山の縦走とはいえ獲得標高は1300m、歩行距離も20km近いので北アルプス縦走のトレーニングにもなる、実は本格的な縦走路。
↓陣馬山までの縦走の記録
高尾山の何より素晴らしい点は首都圏に住んでいれば思い立ったらすぐ来られる気軽さ。
山を舐めてはいけないけれど、それでも運動に適した服と水分くらいあれば準備に時間をかけずサクッと楽しめる。
「高尾山なんて初心者向けの低山でしょ?」と片付けてしまってはもったいない。いろんな山の楽しみ方があるんだと教えてくれた高尾山でした。