こんにちは、先日軽井沢に出張があったのでついでに草津温泉旅行をしつつ渋峠ヒルクライムをしてきました。スーツを着て革靴を履いてジムニーを運転するのは何度やっても世界観が狂いますな。
先に言っておきます、さすがにゆるポタは言い過ぎました。サムネ詐欺しました。20kmで1000mアップのヒルクライムなので普通に登ります。
渋峠とは
日本国内最高地点を有する、群馬県と長野県の県境に当たる渋峠。自転車乗りにはもちろん、オートバイのツーリングルートとしても人気を博しています。毎年GW直前くらいから開通し「雪の回廊」が名物で毎年ニュースやSNSでたくさんその写真を目にします。
アクセスルート・コースデータ
渋峠に至る道は国道292号線、志賀草津高原ルートと呼ばれる一本道です。アクセスは①群馬側(草津から)と②長野側からの2つ。ちなみに草津温泉に公共交通機関で行けるという発想がこれまでなかったため、公共交通機関を使ったアクセス方法を初めて知りました。改めて草津は遠く秘境じみていると思いました。
いずれもローカル線を利用することになりますが、各々のスタート地点へのアクセスが大変なので通り抜ける場合には丸一日がかりになり、ピストンする方が手軽です。
①群馬(草津)側からのアクセス
関東圏からまだアクセスがしやすいのが群馬側からのルートで、吾妻線の長野原草津口駅、もしくは草津温泉をスタートにするパターンです。
赤字が長野原草津口駅から渋峠ホテル、青字が長野原草津口駅から草津温泉までの数値になります。この数値はガーミンコネクトでルートを引いて表示された数値なので概ね正しいと思います。
長野原草津口駅から草津温泉までは鉄道がなくバスを利用することになりますが、原則バス輪行はできないので自走するしかありません。長野原草津口駅からはずっと登り通しで、挑戦者たちの声を聞くに斜度的にはむしろ長野原草津口駅から草津温泉までの方が辛いそうです。
②長野側からのアクセス
長野線の最終駅の湯田中駅をスタートとするルートです。実際の斜度などは分かりませんが、数値的には①と大きな開きはなさそうです。
エリア的にいずれも温泉には事欠かないと思うので、乗鞍の帰りに温泉に入って帰ってくるイメージのプランが組めそうです。一応スタート地点まで電車でアクセスできるという点では乗鞍よりも都市部の人向けと言えるでしょうか。まあ、乗鞍もスタート地点を松本駅に設定すれば同じことが言えますが…笑
日帰りで通り抜けられるのか?
完全に興味本位で、例として私の最寄り駅の立川駅を出発して日帰りで帰ってこられるか調べてみました。
【長野原草津口駅から長野側に抜ける日帰りプラン】
往路:
05:26 立川駅(始発、新幹線利用)
08:49 長野原草津口駅
復路:
17:51 湯田中駅
21:12 立川駅
復路(終電):
20:40 湯田中駅
00:26 立川駅
ライドに使える時間は約9時間、終電なら10時間半くらいあるので温泉などの時間を加味しても余裕がありそうです。
【長野側から草津に抜ける日帰りプラン】
往路:
05:14 立川駅
09:09 湯田中駅
復路:
17:52 長野原草津口駅
22:19 立川駅
復路(終電):
20:33 長野原草津口駅(終電)
00:14 立川駅
こちらもライドに使える時間は概ね同じくらいです。
どうでしょうか?私は思ったより全然行けると思いましたが、この感覚がもう普通の人と共有できないらしいことは既に実証済み。少なくとも物理的に、という意味では全く問題ないですね。むしろ丸一日あれば通り抜けて帰ってこられるって十分優しいと思います。
特に長野側から草津に抜けて、帰りに草津温泉に浸かってダウンヒルで帰ってくるとかサイコーな気がします。イケイケだったら高崎くらいまでそのまま自走しちゃってもいいし。
しかしいずれのパターンも移動時間だけで7時間以上になるので深部静脈血栓症になりそうです。
渋峠ヒルクライム
草津湯畑から1kmほど離れた場所の宿からスタートです。湯畑方向に進むと正面にそびえ立つホテル櫻井を、青看板に従って曲がった後はひたすら道に沿って進みます。
国道292号線を志賀高原・白根山方面に進みます。ここを曲がるとあとはほぼ登りっぱなしになります。
天狗山
草津温泉中心地から進行方向に進んですぐに現れる天狗山。山というよりは丘くらいの場所で、ロープウェイで山頂に登るとカフェスペースがあります。麓ではマレットゴルフなどのスポーツが楽しめる場所になっています。
ちなみにマレットゴルフって御存知でしょうか。木槌とどデカいボールというか球を使ったゴルフで、ボールを宙に飛ばすのではなく地面を転がして進めていきます。8年くらい前にここでマレットゴルフをしたことがあるんですが、これがえらく楽しかったのを覚えています。ボールに当たらないこともまずないし、極端な技術の差が付きにくくて和気あいあいと遊べて最高なのでぜひ。
天狗山を過ぎると森の中、ヒルクライムスタートです。斜度は4-5%程度なのでインナーローにすれば快適に登れます。私はレース志向もないのでラクに登ることしか考えておりませぬ。
雰囲気は乗鞍の序盤に良く似ています。
しばらく登ると先程の天狗山ロープウェイの山頂駅。ブロンプトンならここまでロープウェイで稼ぐのもありかも。
乗鞍と異なり割と早々に視界が開けて白根山方面が見えてきます。
つい最近行った磐梯吾妻スカイラインと乗鞍、両方の雰囲気を感じます。こちらも火山帯だし。
殺生河原
硫黄の匂いがしてきたと思ったらやはりありました、駐停車禁止の看板です。よく見るとそこらじゅうでガスが発生しています。
火山ガス帯を抜けると斜度も緩んで(5%くらい)気持ちの良いハイウェイが始まります。
ここ渋峠は乗鞍や磐梯吾妻スカイラインに比べ序盤から視界が開けるので進む先の道が見えている区間が長いです。
こういう景色を見に来た!
避難シェルター
一度平坦になり登りきった感が出てくるところに突如現れるシェルター。火山帯に来た実感が湧きますね。
さてこのシェルターを過ぎると一度下ってからの登り返しになります。もう終わったと思ったあなた、残念でした。
この最後の登りは距離にして3km、150mほどのアップ。こういう数字と実際の感覚をリンクさせておくと所要時間やキツさ具合がより具体的にイメージできるようになっていくので、私は事前にコースデータを頭に入れて走りたい派です。
登り始めが13時、そして夕方にかけて天気が悪くなっていく予報の土曜日ということで車は想像よりは少なく、結構独り占め気分で走れました。
遠くに自分が進むであろう道が見えすぎているといつもは絶望しますが、不思議と今回はあまり辛く感じませんでした。記憶の限りでは斜度2桁が出てこなかったし、平均すると7%前後くらいだったので乗鞍のつもりで臨めば格段にラク。
ここもガードレールがなければなかなかに日本離れしているのでは?
自転車乗り、ズームレンズでこの構図撮りがち。
中央分水嶺
道中、中央分水嶺の標識を見つけました。分水嶺とは文字通り雨水が日本海側と太平洋側に流れる境界のこと。下記の「分水嶺の謎」という本があるんですが、分水嶺を地図上で辿っていくと何が分かるのか、ということを地形の成り立ちから年月が経るにつれて河川の走行が変わる理由などの地質学的な考察を交えて解説してくれる内容で、やや分量が多く専門的な内容もありますが地理好きの方にはとてもおすすめの本です。
個人的には序章の河川の奪い合いという話が非常に興味深かったです。
斜度がきつすぎない分景色を見る余裕がありまくり。それほど良い天気ではなかったもののとても気持ちの良い道でした。
日本国道最高地点
ゴールの渋峠間近、SNSでよく見た例の石碑を見つけました。
文字通り国道としては日本の最高地点です。ややこしいですが自転車で辿り着ける日本国内最高地点は乗鞍畳平で、こちらは国道部門の1位です。
渋峠ホテル
例の石碑を過ぎると間もなくゴールです。
ホテルのど真ん中を県境が貫いている渋峠ホテルです!
ただ、もっと人がたくさんいてワイワイしているのかと思いきや。それこそ乗鞍畳平の感じを想像していたのですが、休業しているのかと思うくらい閑散としていました。
帰路
ということで草津温泉に向かって引き返します。帰路の方がより景色の良いところで谷側を走れるので写真が捗ります。
やはり高いところから進んできた道を一望するのが至高です。
ところどころヘアピンカーブがありますが、斜度が緩いので極端に攻めなければ飛んだり曲がりきれないことはないと思います。乗鞍のダウンヒルはまじで死ねるので…。
途中の展望台から、赤城山や日光白根山をはじめ結構な名峰たちが見えるようです。
だいたい登り2時間、下り1時間弱くらいで終了して非常にコンパクトでした。この日は旅館でひとっ風呂浴びた後から豪雨となったのであと数時間後ろにずれていたらこのブログが未来永劫更新されなくなるところでした。
感想
渋峠は意外とアクセスが良くないので今回の出張ついで、特に草津温泉を拠点としてアタックできたのが非常に幸運でした。長野原草津口から草津温泉までが辛すぎるという話をよく聞くので、これを回避できたことで生まれた余裕でした。今回は走り終えたあとに細君を長野原草津口まで車で迎えに行ったのですが、距離こそ13kmくらいでしたが確かになかなかの斜度で道も狭くて自転車で登るには辛いだけな道だと思いました。
逆に言えば草津温泉をスタート地点にすることでその一番過酷な区間をすっ飛ばせるので、短時間で美味しいところだけを味わうライドができます。ストイックなヒルクライマーでもなければぜひとも草津温泉スタートのプランを強くおすすめします。ただし草津温泉自体アクセスが悪く基本的には自家用車が必須で、関東から日帰りするにはちょっと勿体ない場所でもあるので、家族旅行で草津温泉を訪れ、奥さんに頭を下げて3時間だけ貰う……というのが現実的でしょうか。
おまけ
ヒルクライム後は草津温泉に一泊して翌日帰ったのですが、せっかく群馬を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみて欲しいスポットがあります。
こんにゃくパーク
草津温泉から関東に帰る場合にはほぼ帰路上にある、こんにゃくパークです。草津温泉からは1時間半くらいです。
小型のショッピングモールくらいの規模感で、屋外で足湯に浸かりながらアイスを食べたり地元の食材が買えたり工場見学ができたりと、大人だけでも子供連れでも楽しめる場所です。そして一番の名物はこんにゃくを使った種々の料理のバイキング。
人気No.1のこんにゃく唐揚げに、新作のこんにゃくアヒージョが追加されていました。この他にもこんにゃくラーメンやレバ刺し風こんにゃくなどの面白系、刺身こんにゃくや味噌田楽など王道系まで謎に幅広いレパートリー。
左上から、こんにゃく焼きうどん、こんにゃく唐揚げ、こんにゃく、刺身こんにゃく、味噌田楽、BBQ風こんにゃく、こんにゃく天ぷら、こんにゃくラーメン。
驚愕なことに入場からバイキング、工場見学まで全て無料です。バイキングのあとは広大なお土産売り場があり、バイキングの料理はもちろん、普通のこんにゃくや群馬のお菓子に日本酒にと何でも揃っています。
ファミリー層が中心ですが、いつ来てもソロのこんにゃくガチ勢が数人見られるのでコアなファンも多いと推測されます。
群馬ローカルチェーン:イタリアンレストラン Shango
続いては今回初めて来た、ローカルチェーンのシャンゴです。ケンミンショーなんかでよく紹介される、群馬を代表するパスタのお店です。
もはやチェーン店に見えない高級感のある外観。
店内もドレスコードと言われたら従うくらいにはなかなかに本格的。実際はフツーに気軽に入れます。初めてのお店は王道を頼むと決めているので、特性ミートソースにカツが乗った「シャンゴ風」のサラダセットを注文しました。
サラダセットのサラダ。居酒屋で1500円くらい取ってきそうなサイズ感(私の親指から中指まで目一杯広げると20cmです)。
そしてこちらがシャンゴ風。これは一番小さいSサイズ(150g)です。
このミートソースが独特の味で、一口目からすっかりファンになってしまいました。目一杯食べたくなったのでシャンゴまで自走する遊びを思いつきました。
2024年は磐梯吾妻スカイラインと渋峠を走るぞと目標を立てていたのですが前半戦で達成してしまい、早くも新しい目標を考えねばなりません。最近海を見ていないので次の遠征はTyrell納車後に瀬戸内海にでも行こうと思います。
草津温泉から渋峠のおすすめ記事でした。