山と自転車

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【レビュー】モンベルのSPDシューズ、クロスバイカーは自転車旅の最強ビンディングシューズかもしれない

先日購入したモンベルのSPDビンディングシューズ、クロスバイカーが非常に良い買い物だったのでツイートしたら、モンベルにSPDシューズなんてあったんだ、という声を頂戴したので記事にしました。

SPEEDPLAYでも結局歩きにくい

ここ数年、日帰りサイクリングでも輪行の遠征でもSPEEDPLAY ZEROペダルとシマノRC7というゴリゴリのビンディングシューズを履いていますが、クリートの特性からSPD-SLに比べれば歩きやすいとはいえ、結局駅構内でツルッと滑ったりソールのダメージが気になったりして、輪行する度に悩みを感じていました。

先日注文したTyrell FSXはロードよりカジュアルに乗るというコンセプトの下に購入を決めたので、手持ちのSPDペダルを使うことにしてシューズ探しをしました。ワイズロードでいくつか、スニーカーライクな見た目のSPDシューズを見つつもイマイチピンと来ず、最終的に出会ったのが我らがモンベルでした。

モンベル クロスバイカー

見た目がシンプルでイイ!

早速ですがこちらがモンベル、クロスバイカーです。どうでしょうか、このデザイン。まるでローカットの登山靴って感じじゃないですか。珍しくつま先のロゴ以外にはモンベルを思わせる特有の色使いなどの主張がなく、シンプルな仕上がりです。

webshop.montbell.jp

カラー展開はこの1色のみで、2024年6月現在で定価17380円です。SPDシューズとしてはちょっと高め…ではありますが、1万円くらいで探すと選択肢が極端に限られてくるので結局ほかメーカーでも1万円後半くらいにはなります。

どこからどう見てもただのモンベルのトレッキングシューズです。おしゃれになれるかはさておき、デニムなど普段着の足元に履いていても特段違和感はないと思います。あとこれは完全に好みなんですが、かかとにモンベルのひし形マークあるのすごく好きなんですよね。

Vibramソールがイイ!

ひっくり返して初めて自転車の靴と分かるレベルだと思います。先日の軽井沢出張と渋峠はこの靴で臨みましたが、同僚にも実は自転車用の靴なんだと見せたら驚いていました。「普通の靴のソールの一部をくり抜いてクリートが付けられる」という構造なので、歩きやすいというかもはや普通の靴です。違いはクリートが地面に当たるガリガリ感があるかどうか、ただそれだけ。

そしてソールは安心と信頼のVibramソール。個人的には登山靴でモンベルのトレールグリッパーに絶大な信頼を寄せているのでそちらを採用してもらっても良かったくらいですが、いずれにせよ歩行の質に拘っていることが伺えます。

先日の渋峠ヒルクライムのあとに豪雨の中、駐車場と宿の間を全力で走ったりしましたがSPDシューズなことを忘れるくらい普通に走れました。

自転車×登山も行ける?

購入時にはクリート装着部には写真のようなプレートがネジ止めされています。クリート付きの状態でもほぼ普通の靴として歩けますが、サイクリング先でハイキングなどをする場合にはこのプレートに付け替えれば完全に普通のトレッキングシューズとして使えそうです。

以前もう少しロード寄りの一般的なSPDシューズで乗鞍畳平から乗鞍岳まで登った時ですらそれほど苦戦しなかったので、これならもう少し本格的な登山道も行けそうな気がします。あとは輪行ツーリングで宿泊地を散策する時に付け替える、なんて運用も良さそう。

ソールの硬さがイイ

これは完全に主観ですが、この見た目から想像するよりは硬いソールだと思います。一般にロード寄りのデザインから離れるにつれて、歩行性能を求めれば求めるほどソールは柔らかくなっていきビンディングシューズとしての性能が落ちていくトレードオフですが、私程度のレベルからするとヒルクライムでも力の逃げをさほど感じなかったので十分だと思いました。

結構軽いのがイイ

重量は391g(25.5cm)で、もちろんスニーカーと比べれば重いですがトレッキングシューズと考えるとむしろ軽め。シマノの同様のデザインのシューズがだいたい360-380gくらいでほぼ同等です。手に持ち実際に履いても重量感を感じることはまずないと思います。ちなみにサイズは1cm刻みです。

紐靴なのはネガである

今のところ非常に気に入っているクロスバイカーですが、唯一ネガを挙げるとすれば紐靴であることでしょうか。用途的に着脱の機会が多い上、ビンディングの効果を発揮させるにはライド中はしっかり締め付ける必要があるので、手間が増える紐靴は確実にネガ。せめて上部だけでもBOAダイヤルのハイブリッドならなお良し。

ただしデザイン・ソール的に明らかにトレッキングくらいまで想定されているので、耐久性の観点から敢えての紐靴なのかもしれません。まあ普通の靴に擬態するのであれば紐靴の方がベターですしここはコンセプトの問題でしょうか。

おまけ:SPDシューズの種類

SPDシューズ探しをして、SPDシューズのデザインには大きく2つの方向性があると思いました。1つはジャージでロードバイクに乗っても違和感のない、SPD-SLと似たデザインのSPDシューズです。

デザイン的にはロード用シューズを基本として、ソールにブロック状のグリップが付いていて歩きやすくなっているというタイプ。後者に比べれば硬いソールが多く、SPD-SLの走行性能とSPDの歩きやすさをいいとこ取りしたようなシューズです。あくまで私見ですが、ソールがすり減るのが早そうな気がするのとここまで自転車シューズのデザインにするならSLで良いのではと思ってしまいます。

もう一つは街乗りやオフロードを想定した、スニーカーやトレッキングシューズに近い「普通の靴」なデザインのもの。

最近はグラベルロードが流行っていることもあり、このタイプのシューズがよく売れているらしいです。特にGIROやCHROMEではまんまスニーカーなSPDシューズがあったりします。

かなり柔らかいソールのシューズも多く、伝導効率云々というよりは単にペダルと靴が離れないようにするだけと割り切る感じでしょうか。

使用感

初導入はロードにSPDペダルを装着しての、草津温泉から渋峠ヒルクライムでした。前日に現地近くで仕事があったので、仕事中は革靴、それ以降は全てクロスバイカーで過ごしました。

www.mount-road.com

デザインと歩きやすさ

まず歩きやすさや普段着への馴染み具合は上で述べたとおりです。個人的にはこの靴があるなら自転車旅はSPDメインでもいいかもと思うくらいです。シマノなどのこの手のコンセプトのシューズはどうしても「自転車用シューズ」っぽさが拭えないんですよね。ロードシューズを普通の靴に寄せたという痕跡が隠しきれないというか。その点クロスバイカーはロードシューズに寄せる気などゼロ、モンベルのトレッキングシューズにSPDクリートが付けられるようにしました、という出で立ちで個人的には最高です。

ビンディングシューズとしての性能

ビンディングシューズとしての性能についてですが、当然RC7を履いてのSPEEDPLAYと比べると貧弱ではあります。ソールの硬さもですがやはり点で固定するSPDと面で固定するSPEEDPLAYとでは特に引き足で如実な差を感じます。

ただ、その差が歩行性能を犠牲にしてまで必要なのかというと、自分の場合はそうでない時が多いなと思いました。少なくとも普段通りのペースで走る分には平地の平均速度が落ちることもなく、ヒルクライムでもダンシングや2桁%を超える斜度で回すのでなければ正直あまり劣る感じがしませんでした。

一周回ってSPD、良いかも

ほぼ自転車から下りないようなストイックなライドならともかく、自分の場合は出先で散策したり歩きたい場面が多いので、ここのストレスをゼロにできるSPDのメリットの方がはるかに大きいと思いました。

SPDとSPD-SL(SPEEDPLAYも)、どうしても後者の方が本格的・上位モデルというイメージが付いてきてしまい、一度そちらを使うとSPDは初心者向け、下位グレードと思い使わなくなってしまう。これは割とあるあるだと思うんですが、どちらも使ってようやく「用途で使い分けるものだ」と思えるようになりました。ロードとはこう乗るべきみたいな凝り固まった思考が取れて、もはや踏み外しさえしなければいいからペダルと固定されればいい、くらいの境地になりました。改めてSPDも結構良いなと。まあ自分はそういうストイックさとは無縁のローディなので自分に合うスタイルに収束したのかもしれません。

ただSPEEDPLAYで自分の力が全て推進力になる感覚はSPDにはないものなので、日帰りでライドメインならSPEEDPLAY、輪行遠征、自転車旅ではSPDシューズと普通の運動着くらいの服装で、と使い分けていこうと思います。

まとめ:モンベルのクロスバイカーを買え!

最後少し脱線しましたが、総合的にみて非常に優れたSPDシューズだと思います。特に移動先を散策したり逆に歩き回るような目的地まで自転車で行く人や自転車×登山を考えている人にとっては最適解の1つではないかと思います。ディスコンにならないよう、みんなも買ってくれ!

webshop.montbell.jp