山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【電車とバスでアクセス】雲取山日帰りRTA登山で夏山シーズンの足慣らしをしてきた。鴨沢バス停スタート。2024.06.16

私「しばらく山に行っていないと、じわじわと理性が侵され淀んだ”気”のようなモノが溜まっていくのを感じます。山に「行けない」のではなく「行かない」のだとしてもそうなのです。氾濫した河川が水害を起こすように、ある時決壊して発狂します。そして山の稜線や視界の全てに広がる山頂からの景色に思いを馳せながら声にならない叫びを上げてのたうち回ります。」     

今年は月1回以上のペースで山に行っているのに、山よりも自転車を取っている日もあるくらいなのに、それでも何故か発狂しかけたので急遽治療として山に行きました。こうなるとちょっとした低山ハイキングくらいでは太刀打ちできないので、それなりにガッツリした山行を選ぶ必要があります。

そして選ばれたのが雲取山でした。立川に住んでいるうちに落としたいと思っていた山の1つです。距離や獲得標高は結構ありますが、急登や岩場がなく数字の割には穏やかな印象でした。

雲取山へのアクセス・コースタイム

雲取山は標高2017m、東京都西部の奥多摩に位置する日本百名山の1つで、東京都最高峰の頂です。雲取山は東京都、埼玉県、山梨県の三県にまたがる秩父山地の中でも中心に位置しているためどの登山口からアプローチしてもかなりのロングコースになります。基本的には1泊2日の泊まりがけが標準ですが、体力があれば日帰りも可能です。

①鴨沢ルート(公共交通機関)

今回使った、奥多摩駅からバスで30分の鴨沢バス停を登山口とするベーシックなルート。山奥の割にはバスが多めで、土日は最速で6:39に辿り着くことが可能。さらに最終便も18時台と遅いので日帰り挑戦しやすいです。

往復CT12時間15分、距離22km、標高差1774m、獲得標高2100m(ヤマレコ標準)。

①鴨沢ルート(マイカー)

鴨沢バス停から登山開始して30分程で辿り着く、丹波山村営駐車場をスタート地点とするルートです。SNSを見ていると朝5,6時には満車になっていることが多いらしいです。今回(6月の日曜日)も私が通過した朝8時では既に満車で、空車待ちをしている車がありました。

②三峯神社ルート

西武秩父線、西武秩父駅もしくは三峰口駅からバスで約1時間の三峯神社を登山口とするルート。こちらはバスの始発が8時台以降と遅く、帰りの最終便が16時台と早いため日帰りするにはギリギリ、まさにRTAなルートです。

往復CT10時間、距離20km、標高差900m、獲得標高1800m。

③三条の湯ルート

鴨沢の先、お祭バス停を登山口とし三条の湯を経由するルート。最も長く、宿泊前提?漫画「山を渡る」では①鴨沢ルートから入山しテント泊→三条の湯ルートで下山する山行が描かれていました。

往復CT11時間30分、距離26km、標高差約1500m、獲得標高約1700m。

雲取山登山

最寄り駅の立川駅からかもさわ登山口までは約2時間の道のりです。4:47の始発に乗れば6:39に着きますがさすがに朝早過ぎなので2本目の5:35→7:34便にしました。

前日夜時点での予報に反し小雨が降っていましたが、午前中のうちには上がる予報かつ冒頭の通り私は発狂寸前で治療のための登山なので予定通り決行です。

かもさわ登山口

同じバスで出発するのは私含めて3パーティほど。ありがたいことにトイレや茶屋、自販機があります。

17時台はどうした??


今日の最大の持ち時間は帰りのバス最終便18:35までの11時間です。が、早く帰るに越したことはないのでできれば16:35を目指したいと思います。14、16時台の便が近い割になぜか15、17時台の設定がないので下手をすると時間単位で待ちぼうけになります。

まずは舗装路から民家の脇を進みます。

この看板から一旦登山道に入ります。

本日の行程の8割ほどはこんな景色です。

丹波山村営駐車場

ここがひとまずの最終トイレ地点です。この時点で8時くらいでしたがやはり満車で、待機している車が数台ありました。

駐車場から道路沿いに10分ほど歩き

小袖登山口です。ここから先は全て登山道になります。

スタート直後。はい、ついさっきも同じ景色を見ましたね。

かなりのロングコースではありますが、前半はこのくらいの緩やかな斜度でした。

平将門迷走ルート

ここ雲取山鴨沢ルートは平将門が朝廷から追われ逃げ込んだ道とされ、平将門一行の壮絶な逃避行を伝える看板が建っています。

こちらは風呂を沸かして休息をとったのち、その痕跡を隠すために打ち壊したという風呂岩。

そう言われて見ると露天風呂の跡のようにも見えてきます。

中間地点 堂所

一行が鎧を脱いで休んだとされる堂所。スタートから1時間半での到着でした。鴨沢バス停スタートの場合、距離的にはコース全体の中間地点に相当します。ここを過ぎると全体に斜度が増してくるので、堂所から七ツ石山までが1つのボス戦です。

下界は晴れ始めたのか、木々の切れ間からわずかに遠くの山肌が見えてきます。

キツいと言った堂所から七ツ石山は、決して急登というほどではない…ものの、脚を止めたくなる時が増えてきました。堂所まででも、一般的な日帰り登山の往路に相当するくらいの距離・標高ではあるので、疲労の蓄積がじわじわ効き始める頃です。

七ツ石小屋

山小屋利用者でなくとも一息つける休憩スペースを有する七ツ石小屋。気温が下がってきたことで標高が上がってきたのを実感します。

迷走ルートの看板に、七ツ石山の名前の由来が書かれていました。平将門の影武者七人衆の藁人形を置き、敵勢力がそのうちの一体を矢で射抜くと途端に七つの石に変化してしまった、ということです。

分かりづらいですが先の看板から少し進んで振り返ると、なるほど確かに大きな岩が並んでいました。

七ツ石山

スタートから3時間弱、七ツ石小屋から30分ほどで七ツ石山に到達しました。

ここから先はご褒美タイムの稜線歩きで、雲取山方面に伸びる稜線が見えてきました。登山道は山火事が広がらないよう木々が間引かれた防火線に沿っているため、広々とした快適な道が続きます。

七ツ石山からは一旦下降して登り返しますが、この下降が笑っちゃうくらいのスラロームでした。もはやスキーのモーグルくらいのジグザグっぷり。斜度もそこそこあるので勢いがつきやすいのにすぐ曲がらないといけないので注意が必要です。

山のセミ

ところで登山中には常に耳慣れないセミの鳴き声が聴こえていました。私は昆虫の中ではセミが一番好きなので調べてみることにしました。下記は山中で録音したものです。

この声の正体は「エゾハルゼミ」というセミで、日本全国に分布していますが冷涼な地域かつ森林に生息するセミなので下界では滅多に耳にしない鳴き声です。目を凝らして歩いていましたが、どうやらかなり高いところに止まるセミのようで姿が確認できずにいました。そんな中、七ツ石山を過ぎた稜線から少し逸れて森の中に入っていくと…

比較的低めのところに止まっていたエゾハルゼミの姿を観測することができました!透明度の高い、オレンジ調の腹部が特徴的です。

この写真でははっきりしませんが、顔の部分はミンミンゼミのような迷彩もしくはスイカのような模様です。換算200mm相当のレンズでクロップしてようやくこのくらいの大きさです。昆虫撮影をするなら300mm以上の望遠レンズは必須ですね。

下り切ると一旦平地になります。奥高尾縦走路に似た雰囲気です。

平将門迷走ルートのフィナーレ、九十九人の妃達が一斉に自決し川を赤く染めたという壮絶なエピソードと、「我が事、成るならこの梅栄よ、我が事成らぬならこの梅かれよ」と言い残したことから青梅という地名になったというエピローグで締めくくられています。彼の無念の思いによりいつまでも青いままの梅、という知ってしまうと物寂しい地名です。

時々陽が差してきて天候の回復を感じさせる一方、上空の雲の厚みは取れぬまま。おそらく下界的には晴れているけれど山の上には雲がかかっている状態で、これは晴れ予報=景色が見られるわけではない代表例です。

稜線上にはヘリポートと、老朽化により解体中という奥多摩小屋がありました。

そして雲取山頂上直下、これまでの疲労の蓄積抜きでもそこそこタフな登りです。

しかし岩場でもなく路面状況は良いので必要なのは体力だけ…!

雲取山山頂

山頂の避難小屋です。その向かって左手に

地味めな山頂標識。山梨百名山の標識なのでこれは山梨側が設置したものでしょうか。

よく見ると小屋と山頂は離れているようで、もう1分ほど歩きます。

そしてこちらが真の(?)山頂。スタートから4時間、11:30に登頂です。おかしいな、なんで曇っているんだ。

「なんで曇ってるんですか?晴れるって言ったじゃないですか!」

今日の山飯はオイルサーディン丼です。米を炊くのは大掛かりなイメージがありますが、重量に対する満足度、カロリーのバランスが良く、メスティンがあれば米1合が20分で炊けるので案外山向きです。

一瞬の晴れ間

米を炊きながらKindleで本を読んでいると周りの登山者が盛り上がりはじめ…

一瞬の晴れ間(体感1分間ほど)を拝むことができました。帰路は来た道そのまんまのピストンで、いつものように半分トレランみたいにして駆け下りました。

山行データ

感想

今回は夏に計画している北鎌尾根アタックへのトレーニングも兼ねての登山だったのでタイムアタック的な日帰りピストンにしましたが、時間があるならば泊まりで来たい山だったなと思います。秩父の最深部、東京都最高峰の地でどんな夜空が見られるのか非常に興味がありますし、「山を渡る」で南部ちゃんが涙した、ここから見る御来光もぜひ拝んでみたいです。七ツ石山までが長い割に景色が代わり映えしないので、1日で2回も通過するのは精神的かなりしんどいのと、こんな山深いところまで来たのに観光地を消費するように一瞬で立ち去ってしまうのは勿体ない気がしました。

ただしトレーニング・アルプスへの足慣らしという観点で見ると雲取山日帰り登山は非常に良いと思いました。危険箇所はないけれど距離も獲得標高もそれなりにタフで純粋な体力測定が可能、朝早く夜遅くなっても公共交通機関で完結できるので睡眠時間がある程度確保できること、がその理由です。

完全に晴れた状態での眺望を見るべくまた訪れてみたい、とは思いますが日帰りリベンジは個人的にはナシです。次来るならテント泊にしたいと思います。

最後に:日帰りは決して誰にでも可能ではない

今回は上述のような理由で日帰りにしていますが、本来は日帰り登山が推奨される山ではありません。勿体ない、とかでなく純粋に体力的に厳しいからです。ヤマレコやYAMAP、SNS等で雲取山日帰り登山の記録がたくさん出てきますが、彼らはエクストリーム系の人間だと思ったほうが良いと思います。こんな記事を書きましたが、私も登山に関してはそっち側に片足突っ込んでる身なので日帰りを推奨するわけではありません。

ジオグラフィカ開発者の松本圭司さんが書かれた記事に、日帰りに挑戦できる目安などが詳しく書かれていました。日帰り登山を考えている方はご参照ください。

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