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【レビュー】キャラダイスの新型サドルバッグ、ワールドアドベンチャーサドルバッグを導入したら輪行旅がめちゃくちゃ快適になった話

こんにちは、2024年覇権アニメのガールズバンドクライのバンド「トゲナシトゲアリ」4thライブの抽選を遂に引き当てた天に愛されし男こと上社です。今回は久々に新調した自転車バッグのレビュー記事です。いつも通り前置きが長いので目次から飛んで活用してください。

バイクパッキング、めんどう

自転車旅のスタイルがキャリアにどデカいパニアバッグからバイクパッキングに移ろい、さらにグラベルバイクの台頭によりさらにその勢いが加速し、この時代はバイクパッキングが天下統一したと言っても過言ではない今日このごろ。

私自身もミニマルでスタイリッシュなバイクパッキングスタイルは重宝していて、社会人になってからの旅はすべてこのスタイルで、道具の記事まで書いたりしていました。

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しかしあえて言います。バイクパッキングってめんどうじゃないですか?と。

バイクパッキングは頭を使うから

理由は単純。頭を使うからです。荷物を最低限に絞るところから始まり主に体積を基準に何をどこに配置するか思考を巡らせるその過程。それが楽しいという人もいると思いますが、自転車旅でも登山でも準備が一番キライな私なので、正直に言ってバイクパッキング、ちょっと最近億劫なんですよね。一番困るのが輪行の時。ただでさえ自転車で片手が塞がるところに自転車から外したバッグ類のケア…。

極私的自転車旅装備アンサー

旅に必要な荷物を一箇所に纏められるのが私の考える一番理想的なスタイル。その意味で去年やった登山用ザックをブロンプトンに括り付けるスタイルは、大容量かつ移動時に片手が空けられて、自転車から離れる際にはザック1つ取り外せば装備品に関するケアが不要な、ほぼ完璧な旅装備でした。(着脱が手間、極端に登れなくなるなどのデメリットはあり)

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ただしザックを装着するのはブロンプトンだからできたことで、ロードバイクやTyrell FSXにおいては別の手段を考えなければなりませんでした。

キャラダイスのサドルバッグ

そこで導入したのがキャラダイスのサドルバッグ。キャラダイスのサドルバッグはつむりさんのブログで知りましたが、脱着が容易で大容量という点でかなり気になっていました。15Lというサイズは自分のバイクパッキングスタイルの総容量と同じくらいなので遜色なく旅ができそうです。

ネットの検索でヒットするレビューはほとんどがネルソン、もしくはバーレイというサドルバッグです。クラシカルな素材とデザインゆえ重量があるものの長く使える、という評価ですが開閉がレザーのベルト式なので手間がかかり、改造する人もちらほら。とりあえず大きい方のネルソンを買おうと思っていた時、最近あたらしいモデルが出たというニュースを見たのを思い出しました。

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今年2024年よりTyrellの取り扱いを開始して話題になったミズタニ自転車とキャラダイスのコラボで生まれたモデルで、ネルソンやバーレイとデザイン・容量はほぼ同等ですがメインフラップの開閉がバックル式、サイドポケットはボタン式に変わっているのが劇的な違いです。これが購入の決め手でした。

ワールドアドベンチャーサドルバッグ15L レビュー

ピントが甘いですがこれがキャラダイスのクソデカサドルバッグことワールドアドベンチャーサドルバッグ15L、大きい方です。オルトリーブの4.1Lで日帰り〜夏季の1泊はできるので大きすぎるかとも思いましたが、結果的にはほとんどの人にとって大きい方で良いのではと思います。後述しますがこのバッグは大は小を兼ねます。

メインフラップはパッと見はレザーベルトのクラシカルなスタイルですが、バックル式になっています。ベルト穴の位置は調整可能で、最大まで伸ばすとはみ出た荷物も押さえつけて締められます。ちなみにフラップ中央の丸いのはメーカーロゴの反射材です。

サイドポケット。こちらもボタン式に変更されています。

後ろから。中央にあるのがサドルバッグマウントであるバッグマンとの連結部です。バッグ両サイドにはDカンが付いており、ショルダーバッグとして使えます。ストラップは付属しないので、私は手元にあったパーゴワークスFOCUS Lのショルダーストラップを付属の予備ベルトで留めています。

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フラップを開けた、メイン気室。シンプルな1気室で巾着のように絞れるようになっています。

バッグ内にはこの木の芯棒が備わっており、前述のバッグマンアダプターを取り付ける場合はバッグ裏面の隙間から結束バンドを通してこの芯棒を使って固定します。結束バンドはやや太めのものが付属していますが、専用品ではないので切れたら市販のもので代用できます。この機構、シンプル過ぎて逆に他に例がない気がします。

またイギリス製品やミステリーランチでありがちな作った人のサインが書かれたタグも搭載されています。

「ワールドアドベンチャー」という名前だけあり各フラップの裏側には冒険心をくすぐる世界地図が縫い付けられています。地図のどの部分かはランダムですが、偶然にも日本周辺のちずでした。

容量についてレビュー

キャラダイスのサドルバッグを買うにあたって一番困ったのがサイズ感が分からないことでした。というのも実物を置いている店舗があまりないためイメージが掴めませんでした(都内のブロンプトンジャンクションなどにはあるようです)。なのでできるだけ具体的に伝わるようたくさん撮りました。

まずは昨今のアウトドアマンなら1つは持っているであろうヘリノックスのチェアワンを入れてみた状態です。横幅には350ml缶が縦に2本くらいは入るくらいの余裕があります。深さとしてもバッグを最大容量にしたときの1/3〜1/2弱といったところなので、この上にあと1つは確実、おそらく2つ乗せても蓋ができると思います。

続いては自転車キャンプ装備。昨年の利尻礼文稚内ブロンプトン旅の時の装備で、左から順にモンベルアルパインフォールディングポール、ファイントラックツエルト2ロング、モンベルアルパインパッド120、モンベルダウンハガー#3です。

シュラフを横にしてツエルトを縦にして入れると横幅がほぼぴったりです。ツエルトのサイズ感は一般的な輪行袋と同じくらい、もしくは500ml缶の背を少し低くしたくらいです。さらに一番上にマットを横にして入れます、というか置きます。

この状態で問題なく蓋が閉まりました。

横から見るとアルパインパッドは入れているというより挟んでいるだけですが、フラップのベルトはまだ穴2つ分長くできるのでこれでもポテンシャルの最大値ではありません。脱いだ衣類を適当に挟むのもわけなさそうです。

続いては500mlペットボトルを敷き詰めてみました。きり良く10本入れましたが、もう1本入ります。左側を見てもらうと分かるように、深さ的にもまだ余裕があります。

続いて日本酒の一升瓶を横にして入れてみました。まだ隙間にねじ込む余地はありますが横幅はほぼぴったりです。互い違いにすれば容量的には三升は行けると思います。

続いてサイドポケット。左右とも容量は同じです。写真はiPhone15とサイコン(Garmin edge explore2+RAVEMAN FR160フロントライト)です。

OD缶の一番小さいサイズ110を入れた状態。この向きで2つ入っていて、パツパツですがボタンはなんとか留まります。

110のOD缶1つを入れた状態。

こちらはキャンパーの必需品、メスティン。パツパツなのでハンドルは外にする必要がありますが、いわゆるシンデレラフィット。蓋が閉まらなくとも問題ないでしょう。

これはミラーレス一眼OM-D EM1 mark2の超広角レンズM.ZUIKO 7-14mm f2.8 PROです。

かなりの余裕を持って収まります。

コンデジのFUJIFILM X100Fも

縦向きで割と余裕を持って収まります。

これはバイクパッキングで使用するオルトリーブのサドルバッグ4.1Lの方です。口は2回巻きで留めた状態。右側に十分なスペースが残ります。

このスペースに同じくオルトリーブのサドルバッグ1.6Lの方を入れました。

この状態で蓋をするとちょうど綺麗な形になります。

次はロードバイク用のヘルメットと登山用のヘルメットを入れた状態。

流石にパツパツでいびつな形にはなりますが、やはりベルトを伸ばすことなく収まります。

自転車に装着した状態

Tyrell FSX

まずはTyrell FSXにて。先日の乗鞍スカイラインヒルクライムの写真。

ミニベロはホイールとサドルの距離があるので大きいサドルバッグもクリアランス的に無理がありません。横型のサドルバッグなので真横から見るとコンパクトに見えます。

後ろから見るとこんな感じです。ハンドルよりも横幅が出るので存在感は強いものの、当然ペダリングに差し支えることはありません。

ちなみにこの時のバッグの中身はこんな感じです。ビニールには長袖アンダーウェア+Tシャツ、ロングレーパン、タオル、下着類。あとお風呂セット、ウインドブレイカー。そしてモバイルバッテリーなどの小物類とカメラ(OM-D EM1 mark2+M.ZUIKO 12-100mm f4.0 PRO)、さらにお土産の日本酒一升瓶です。

これだけのものが1つに収まるので輪行時はショルダーバッグとして背負いながら自転車を担ぐだけで極めてシンプル。

こちらは小豆島一周マメイチ2泊3日の時の写真です。ライド中はミラーレス一眼をたすき掛けするほか、身につけるバッグ類はありません。

中身は着替え(モンベルのロングレーパン、ジオラインL.W.、速乾半袖Tシャツ、靴下)+お風呂セット(下着、化粧水、あかすりタオル、歯ブラシ)+お土産(生そうめん2食、乾麺、日本酒四合瓶)+モンベルノマドパーカ+モバイルバッテリー+RX100M3+Kindle Paperwhiteが入っています。

最終的にはここにオリーブオイルの小瓶×2本、そしてたすき掛けしていたミラーレス一眼を無理やり挟み込み、このバッグ1つで飛行機に乗りました。さすがにベルトの穴を1つ分伸ばしましたが、挟み込み作戦ならばまだ余力があります。

ロードバイク(tada車)

ちょっと背景がうるさい写真ですが、tada車に装着した状態です。

私のtada車はクロモリロードでクラシカルなホリゾンタルフレームなので、圧倒的見た目のかっこ良さと引き換えにサドルと後輪が近くなりクリアランスは結構ギリギリ。基本は大丈夫そうですが、中央部が1cm下がると後輪と接触するので、荷物の種類や偏り方によっては上手く行かない可能性があります。

まあ、そもそもカーボンレールにバッグマンを装着していいのか問題もありますし、tada車で使用するのは余り想定していないので使えはしそうという結果で十分。

ブロンプトン

続いてはBROMPTONです。

さすがに同じイギリス製ということで雰囲気はバッチリ合っています。つむりさんのブログにもあったように、ここに大容量フロントバッグが来ればキャンプツーリングも余裕そうです。実際今使っているブロンプトン用メッセンジャーバッグと合わせると40Lとなり、これはテント泊登山も可能な容量になります。

使用感とまとめ

まだ導入して間もないですが、非常に気に入りました。バイクパッキングの大型サドルバッグに疲れた人やズボラな人にも自信を持ってオススメします。良い点悪い点に分けて使用感をまとめて締めたいと思います。

良いところ

荷造りに頭を使わなくて済む

導入の理由となった最大の理由です。荷物の配置や体積を減らすことに頭を使わなくても適当に突っ込むだけで旅が成り立ちます。旅行用カバンで15Lは決して大きくはありませんが、自転車旅で装備を最低限にすることに慣れている人にとっては十分余力のある容量です。

大容量 旅先でお土産が買えるようになる

やはり大容量は正義。フラップで挟み込むところまで含めれば相当な荷物を飲み込んでくれます。個人的には着替え類まで含めた装備に加えて日本酒一升瓶が持って帰れるのはあまりにも大きなメリット。

ワンタッチ着脱が最高に便利

自転車との着脱は5秒とかからないので、ちょっと自転車を置いて散策したり施設に立ち寄ったりするハードルがぐっと下がります。バイクパッキングでは自転車に残しておくものと持ち歩くべき貴重品とが時にバラバラになるのでいちいちめんどくさく感じます。マウントアダプターのバッグマンなしでも装着可能ですが、バッグマンがないとワンタッチ着脱ができずこのバッグのメリットが激減するのでバッグマンは必須です。

バックル式のフラップ

これは良いところというより、個人的にはこれしかあり得ないと思います。メインフラップ、サイドポケットの開閉は何度も行う動作なので、これがベルトを外してまた戻して...になるのは想像もしたくありません。強いこだわりがない限りはネルソンよりもこちらを強くオススメします。

高いデザイン性

シンプルでアンティークのようなクラシカルなデザイン。非常に好みです。特にクロモリロードやブロンプトンによく似合います。逆に最近のエアロロードやカーボンフレームのロードバイクには似合わないと思いますが、それらに乗る人が許容できる重量ではないのである程度使い手を選ぶ部分はありそうです。

大は小を兼ねる

さらに後述しますが、中身ありきの縦型大型サドルバッグなどと異なり、このバッグは中身がスカスカでもほぼ形状を崩すことなく取り付け・走行することが可能です。大容量で中身がなくとも使用可能なこと、これが真骨頂です。

悪いところ

高価

バッグ本体が約22000円ほど、バッグマンが15000円ほど、合わせて4万円弱というコストが最大のネックだと思います。いずれも構造的に壊れにくいことが予想される=長く使えるので長い目で見れば、使用期間を伸ばし分母を大きくすることで最終的には無料に近似できるものの、それなりに気合が必要な金額ではあります。特にバッグマンは自作できそうな簡素な見た目なので1万円以上出すのはかなりの勇気が必要です。

ただし特に海外製品は値上がり傾向が続いているご時世なので早く買った方が良いです。大事なことは時にあまり考えずに決めた方が良いこともあります。

重い

このシステムを導入するだけでバッグマン400g+バッグ本体865g=約1300gが加算されます。ここに荷物が入ればバイクを含めた総重量がママチャリ並みになるでしょう。優れたクライマーでもヒルクライムの目標が脚を付かないというところまで急降下するかもしれません。

拡張性は低い

メイン気室と両サイドのポケットのほかに収納はなく、バッグの外にもストラップ用のDカン以外には何かを取り付けられるような場所がありません。わがままを言うのであれば同じサイズでモールシステムを備えて欲しいところ。

サイドポケットのボタンは弱いかも

サイドポケットのボタンはフラップのバックルに比べ外れやすいので、輪行の移動中に勝手に開いていることがありました。ただし、パンパンにし過ぎず普通にボタンが閉まる状態にしておく限りでは一番懸念していた走行中に中身が飛び出してしまう悲劇は一度も起こりませんでした。

完全防水ではない

とはいえ土砂降りの中乗鞍ダウンヒルをしても中身の着替えが濡れなかったので素材の割には防水性能が優れていると感じます。しかしレインカバーを用意するか防水スタッフバッグやジップロックで対応すれば良いだけなので私はあまり気になりません。

余談:大は小を兼ねるのか兼ねないのか論争

登山・自転車においては「容量いっぱいに中身を詰めることが前提となっている」バッグが多数存在します。代表的なのはバイクパッキングを象徴する縦型大型サドルバッグやフレームレスのUL系ザック。これらは中身があることでバッグの形状を維持し本来の性能を発揮します。つまり荷物がフレームの役割も兼ねているので、極端に中身が少ない場合安定しなかったり非常に使いづらいバッグに変貌します。

私もバイクパッキングを始めた2018年頃にブラックバーンのサドルバッグを買って大変苦労したのを覚えています。中身が少ないと取り付けてもあの形状が保てず全く安定しないため、余分に衣類を詰めて膨らませていました。ばるさんが↓の記事で写真付きで詳しく解説されているので紹介します。

cannonball24.com

その点このバッグは中身がなくともこの形のまま取り付け可能ですし、バッグマンによって非常に安定するのでどんなシチュエーションでも使えます。そもそも横型サドルバッグなので構造上揺れにくいです。

旅の時にバッグを背負いたくない、かつストイックに軽量化を求めなければ非常におすすめです。