山と自転車

登山や自転車をはじめとした多趣味ブログ

【物欲】X100Fが壊れたので普段用・旅行用カメラの検討と考察

はじめに

※この記事はダラダラと長い駄文かつ備忘録・メモ的記事です。

私のカメラの主な使用用途は登山・自転車旅が中心で、OLYMPUS OM-D EM1markⅡというマイクロフォーサーズ機(現OM SYSTEM/OM-1)を使用しています。

メイン機 OM-D EM1mark2+M.ZUIKO 12-100mmf4.0

それらのアウトドア以外の場面、例えば都内にちょっと出かけるとか1泊くらいの小旅行、近場のサイクリングなんかでは主にFUJIFILMのX100Fという単焦点レンズのコンパクトカメラを主に使っています。

FUJIFILM X100F

特にX100Fは35mmという画角の難しさはありますが、撮って出しの色味の素晴らしさに加えカメラを扱っていること自体が楽しくなるカメラでとても重宝しています。

X100F フィルムシミュレーションclassic chrome

X100Fの後継機を考える

そんな普段・旅行用のメインカメラのX100Fですが、昨年2024年9月に九州の阿蘇・黒川温泉の自転車旅の時に落としてしまい非常に調子がおかしくなってしまいました。具体的にはEVFがほぼマトモに映らなくなってしまったのとピント合焦音やシャッター音を含むあらゆる音が出なくなりました。

OVF(=レンジファインダー)もしくは背面モニターでの撮影であれば現時点では問題ありませんが、私はファインダーを覗いての撮影が好きなのでかなり深刻な状態です。(レンジファインダーは使わない)またシャッター音はX100Fユーザーの多くがそうであるように非常に気に入らないのでなくても構わないのですが、ピント合焦音だけは個人的には欲しい。

修理に出そうと思いきやもう3世代前の機種なのでついに2024年4月頃に公式の修理サポートが終了してしまったので直すことができず、後継機を考えなければならなくなりました。加えて正月にカメラ愛好家の義父とカメラ談義で盛り上がってボルテージが上がってしまったのもあり備忘録的に今回の記事を書きました。

あ、「カメラってそんな何台も必要なの?」とか「普段用も全部EM1じゃだめなの?」とか思っちゃう人は速やかにブラウザを閉じてください。

趣味としてのカメラとはそういう世界ではないのですから。

普段用カメラに求めること

コンパクトであること

ポケットサイズとまではいかなくともメイン機との棲み分けもあり、できるだけコンパクトであること。レンズの飛び出しがなるべく短くてフラットな形状が望ましいです。X100Fは冬用の上着ならポケットに入りますし、大抵のボディバッグにも余裕を持って収まるので、そこから極端に大きくなるのは避けたいところ。

とはいえ1kg未満でフルサイズミラーレス+パンケーキレンズくらいまでなら許容します。

選択肢が少ないこと
撮って出しの描写が好きであること

多機能とは便利なようで不便だなと私は考えます。考える・選ぶ・決める、というのは好きなことの世界であっても非常にストレスとなるのでできるだけシンプルにしたい。よって出来るだけ現地で撮っておしまい=RAW現像をせずに済むように撮って出しが好きになれるかというのは非常に重要なポイント。

また構図を考える上でもシームレスに色々な画角で撮れるズームレンズは便利ですが、その分いちいちベストな構図を考えることになるので普段には単焦点レンズをむしろ好みます。単焦点レンズの方が難しい部分もありますが「これで撮れるものを撮る」という割り切りや「必要なものだけを写す」という切り捨てをせざるを得ないので、その意味ではズームレンズよりもシンプルで楽です。山では汎用性がむしろ欲しいんですけど、この辺は適材適所ですね。

候補① FUJIFILM X100Ⅵ

まず最初の候補は文字通りX100Fの後継機である最新型のX100Ⅵです。

fujifilm-x.com

クラシックな外観や仕様、画角等の基本的なコンセプトは変わっておらず、高画素化やフィルムシミュレーションの追加など正当な進化を遂げたモデル。5世代目のX100Vから新設計のレンズに変わっており、X100Fまでと比べてかなりシャープな写りになっています。

レンズが変わったことに対しては賛否ありますが、レンズとしての性能は確実に向上しており、旧レンズの問題であった(味と評価する人も多いですが)開放F値でのソフトフィルターをかけたような甘い描写もなくなり開放でもしっかり使えるようになったようです。作例を見る限り個人的には好意的に考えています。さらに6世代目になってついに手ぶれ補正が搭載されたのが非常に大きな進化。

問題点は高いことと手に入らないこと

X100Fを普段用・旅行用カメラとして7年間使ってきたので、私にとってX100Ⅵは間違いなく・問題なく幸せになれるカメラだと思います。何よりフィルムシミュレーションのお陰でむしろ撮って出しの方が良い写真になります。暗所でのOM-Dに慣れた私にとって手ぶれ補正なしはもはや恐怖なのでこれもありがたいところ。

問題点は定価約30万円という価格とそれを厭わなくとも手に入らないこと。良さを分かっているとは言えさすがにX100シリーズで30万円は趣味に狂った私でも冷静になるレベルです。X100Fを10万円で買っているのも大きいですね。始めから30万円クラスのカメラだと思っていればまた違うのでしょうが。

30万円の価値はないだろうとは思いませんが、30万円出すなら他に取れる選択肢がたくさんあるのでX100Ⅵ一択にはなれません。

あとは正規ルートで買えないことですね。年末年始でどこぞのヨドバシに新品入荷したのがTwitter(現X)で話題になっていましたが、どこのサイトを見ても2025年1月現在でも受注停止のままですし再開の目処も立っていない始末。(数万円上乗せでフリマサイトやヤフオクで売ってはいるので入手不可能とまではいきませんが…)

候補② RICHO GRⅢ

続いてはX100シリーズとよく比較されるGR。

www.ricoh-imaging.co.jp

X100シリーズより一回り小さいながらAPS-Cセンサー、超軽量コンパクトの最強のスナップシューターです。ジーンズのポケットに入れて街を歩き、目に止まったものを瞬時に切り取っていく、そんな使い方ができる唯一無二のアイデンティティを持つカメラ。

28mmという画角はやや広いもののスマホ世代的には見慣れており案外使いやすそう。いつでも持ち歩けるサイズ感というのは普段用にピッタリ。GRⅢでは手ぶれ補正も追加されている。

ファインダーが欲しいんだ

今まで何度も欲しいと思っては買わずに来たカメラで、スペックを見る度になぜ今まで買っていないのか不思議なくらい私の用途に合っていそうなんですが、それでも買うまでに至らないのはやはりファインダーがないからでしょう。(28mmでモニター撮影。それってiPhoneでは??

あとはお店で実機を触っていて気分が上がらない。もう少し重厚感というか機械を扱っている感が欲しいと言うか…ここは官能的な部分ですね。我ながらオタクってめんどくさい人種だなって、つくづくそう思います。

候補③ Nikon Zf+40mm単焦点レンズ

これはX100Ⅵについて義父と話していた時に提示された新たな選択肢。

news.mapcamera.com

ニコンのフィルムカメラの名機FM2そのものの外観に最新のスペックをぶち込んだ温故知新なフルサイズミラーレス一眼と40mm単焦点レンズの組み合わせ。

かつてニコンのフルサイズ一眼レフを使っていたので馴染みがありますし、スペックも外観もコンセプトもX100Fの後継機として迎えるのにこれ以上ないくらいのカメラ。レンズキットとしてなんとX100Ⅵよりも安く買えてしまうというこのカメラ。

Nikonが満を持して出してきたカメラ

ところでデジタル一眼レフ時代、ニコンのフルサイズ一眼レフにDfという同じくフィルムカメラを再現したカメラがありました。一定の人気を博していたものの、元々同時期のモデルに比べ控えめのスペックだったことと世代のアップデートがなされなかったため発売から数年すると「価格の割に性能が数世代前のカメラ」という残念な評価がされていた部分もありました。

www.nikon-image.com

フィルムカメラやクラシカルなカメラを望む層は少なからず居るも、彼らの需要を満たせる現代的スペックのカメラがFUJIFILMしかない。それでもフルサイズは妥協しなければならない。

長らくそんな時代だったところにフルサイズミラーレスで乗り遅れたニコンが満を持して世に放ったのがAPS-CのZfcでした。発表当時かなり話題になり実際に受注も多かったと記憶していますが、さらに時を経て遂に現れたのがフルサイズの本機Zfです。Dfユーザーは泣いて喜んだんじゃないでしょうか。他のZシリーズに比べれば連写性能こそやや控えめなものの、ほぼ最新スペックの中身と言えるでしょう。

結局フルサイズ?

以前メイン機のEM1に関する記事の中でフルサイズを捨てて良かったということを書きました。

www.mount-road.com

山や風景がメインの被写体となったことでフルサイズの強力なボケを必要とする場面が激減し、むしろ被写界深度が深くなり高機動力のコンパクトシステムが組めるマイクロフォーサーズが最適解になったという話でした。

今でもその考えは変わりませんしセンサーサイズへのこだわりはありませんが、最近は山と自転車以外の撮影機会が増えてきました。記録写真というよりは作品の意識で撮るスナップ的なものだったり、旅行先で細君の写真を撮ったり。

人を撮るのであれば「逆にフルサイズでないことにこだわる必要もない」ので敢えてフルサイズを避ける必要もありません。特に撮って出し前提ならばPCのスペックも別に必要ないので。あくまで山や自転車で持っていくにはマイクロフォーサーズが最適ということなので決して掌返しではありません。

なのでさすがに30万でX100Ⅵ買うならZfの方がいいなと思ってしまいます。

候補④ Leica Q3 

正直に言って本命です。いや、さすがに、と思い頭から追い払い続けてきたのにずっと頭の中に居座っているこいつ。カメラ愛好家の義父が囁いて煽ってくるこのカメラ。

leica-camera.com

leica-camera.com

2024年9月には43mm新設計レンズが搭載された派生モデルのQ3 43が出ました。

同期にして悪友の後藤という男がLeica Q3で撮った写真をしょっちゅう送ってくるんですが、その写真たちがまーーーーー良いんですよね。

何が?と言語化するのが難しいんですけど、色合いだったり陰影の描写だったり階調性だったり、空気感がもうひと目で違うなって感じでした。そんなに追い込んで撮った写真でもなさそうな構図で、旅行先で適当に撮った感じの写真も多いんですがそれでもああ、良いなあとただただそう思う描写。

Leicaが至上という意味ではありませんが、Leicaじゃないと出ない画は確実にあるんだなと思いました。めちゃくちゃ高いので怪しげなブランド商法だとずっと訝しんでいましたが作例を見せられると納得せざるを得ない。

スペック

そんなLeica Q3はあのLeicaの単焦点レンズ一体型フルサイズミラーレス一眼です。オートフォーカスはもちろん、手ブレ補正にチルト式・タッチパネル背面モニターと実用性の高い機能を備えているのに加え、6000万画素の高画素である程度まではクロップしても十分実用的でありレンズ5本分なんて言われています。(クロップすると1段ずつ暗くなっていくので個人的にはそうは言えないのではと思いますが)

無印Q3のレンズはライカ ズミルックス f1.7/28mm ASPH.上記のQ3 43はライカ アポ・ズミクロンf2/43mm ASPH.が採用されています。特にアポ・ズミクロン50mmF2.0ASPHは世界最高峰のレンズと称されるレンズで、生産数の少なさとその価格から容易には入手できないレンズです。

Q3かQ3 43か

汎用性で言えば28mmの無印Q3ですが、X100Fに慣れているのもあり単焦点として考えた時に28mmは少々広く感じます。24mmや28mmは意図しないものまで写るので難しいです。単純な記録写真や風景メインならば良いのですが。また先に述べたような割り切りと切り捨てによる撮影の単純化を考えれば私には35mmないし40mmくらいが良い気がします。

40mmがアツい?

特に40mmは不遇の標準レンズなんて呼ばれている画角ですが、最近は何故か注目度が上がっていて密かな人気が出ています。実際X100Fで35mmでも時に広いと感じることがあったので案外ちょうど良いのかもしれません。35mmだと広いし50mmだと狭い、その中間の最適解という。

dc.watch.impress.co.jp

ということで現時点でより上位にいるのはQ3 43の方です。43mmという画角は使ったことがないので何とも言えませんが、上記の理屈からすると使いやすそうに思えます。43mmという根拠はフルサイズセンサーの対角線の長さであり、パースも圧縮効果もほぼ付かない自然な描写になるそうです。

加えてあのアポ・ズミクロンレンズという付加価値。◯◯◯万円のアポ・ズミクロンにボディが付いて◯◯◯万円よりも安いとなればお得がすぎるという理屈。義父に言わせると「買わない理由がない」。

唯一のネックはやはり価格

こうして書き出してみると頭の中が整理されました。躊躇っている理由は値段だけということに。そして気づいてしまいました。めちゃくちゃこのカメラが欲しいということに。

しかし!趣味に関する最高峰は愛車であるtada車で終わるだろうと思っていましたが余裕でオーバーキルしてくるその価格!

一応人並みに貯蓄はあるのでもし私の趣味がカメラだけなら全く躊躇わずに行っちまうと思います。趣味で◯◯◯万円くらいはまあ普通でしょう。それでもこんな駄文を書いてお茶を濁しているのは、私の場合複数の趣味があり特に自転車と山にはそれぞれそれなりにお金をかけてきているので、すべて積分したらとんでもないことになるから。◯◯◯万円くらいでは収まる気がしません。

そういえば今日職場にて「えー高すぎるよ〜」と頭を冷やしてくれるのを期待して上司に軽く話してみたら「自分に好きに使えるのは今が最後だから買えるなら買っちゃいなよ」とご自身の若かりし頃の話とともにまさかの援護射撃を受けました。

カメラ沼が終わる

レンズが生えたりボディが生まれたりするカメラという世界ですが、Leica Q3は天井で終わらせる力があります。山など過酷な環境に特化したOM-D、それ以外のQ3。あとは飛び道具的な釣りや水中用のTG-7に自転車用のRX100M3。これでもう何も望むものがなくなります。そう、Q3は沼を終わらせるために必要なもの。

その他の候補

SONY RX100M3

自転車用に購入した1型センサーのコンデジ。私をカメラ沼に引きずり込んだ犯人でもあり、初代RX100を手放して数年後またM3を買いました。

www.mount-road.com

サイズや汎用性の高さから普段使い用にも流用は効きそうです。が、最近使用頻度が激減しておりもしかしたらまた手放すかもしれません。何故か?それは…

「撮って出しがどうしても好きになれないから」です。欠点らしい欠点はこれだけなんですが、できるだけ現像せず撮って出しで終わりたい人間にとっては致命的。もちろんスマホで済ませるよりはマシなので日帰りライドの時には良いんですけど、自転車旅にこれ一つ、という気にはなりません。同じ理由で旅行にこれ一つ、というのも無理ですね。

OM SYSTEM TG-7

釣りやアクティビティ用に最近買ったカメラで、以前↑の記事でロードバイク用カメラを検討した際にも候補に挙げたカメラ。顕微鏡撮影や水中撮影そして耐衝撃防塵防水に特化した飛び道具的なカメラですが、思っていたより画質が良いです。

OM SYSTEM TG-7

センサーサイズが小さいので暗所は難しいと思いますが、少なくとも日中に関してはA4サイズくらいまでは全然問題ない印象です。OLYMPUS譲りのブルー、そして全体的な発色の味付け具合も非常に好み。

ただまあ、ファインダーもないし私が普段用に欲しいカメラのコンセプトに全く合わないのでこれは基本的に釣り用ですね。

まとめ 実質2択か

頭の中のごちゃごちゃを吐き出した結果としてやはりLeica Q3が最も魅力的に思えますね。Q3かQ3 43かは置いておいて(現時点Q3 43>Q3)、やはりあの描写を見てしまうと悪魔的に抗えない魅力を感じます。"上がり"になるのであればあの金額もまあ…。

そして唯一対立候補となりうるのはNikon Zfですね。作例もだいぶ好みの描写ですし元々Nikon使いだったので撮って出しの味付けも好きです。機械を扱いたいという描写以外の官能的な部分もかなり満たしてくれます。ただし、単焦点レンズ1本での運用を想定しますが仮にもフルサイズセンサーのレンズ交換式カメラなので、どうせ星景用に明るい超広角レンズとか欲しくなるに決まっているのが懸念事項。

あれ、そうするとQ3 43かQ3かの2択になってしまうのか?どうしたらいいんだ?らいか…かゆい…うま…(ここで日記は途切れている)