山と自転車

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【頂上直下無念の撤退】豪雪の伊吹山ラッセル山行 2025.02.09

2025年2月の第2週末に大寒波が到来しました。大雪が予想れる一部地域では不要不急の外出を控えるようにアナウンスされるほどでしたが、我々山ヤは嬉々として山に繰り出すのでした。

滋賀県の名峰 伊吹山

今回登ってきたのは滋賀県、琵琶湖の東側にある日本百名山の一座の伊吹山です。夏季にはドライブウェイで9合目までアクセス可能、片道40分程で登れてしまう超お手軽百名山なので、その道が閉鎖され人が減る冬を狙っていました。

山行データ

通常時ならば厳冬期でも往復6-7時間以内で登れる伊吹山ですが、今回は大寒波による降雪直後かつ先行者ゼロのコンディションだったので過去一番キツい登山になりました。

そして天候の急変と設定時刻オーバーにより頂上直下77m地点で撤退する未登頂登山になりました。

装備

いつもの装備に加えて降雪直後であることが予想されたのでスノーシュー、頂上直下が急登らしいのでストックでなくピッケルを選択しました。スノーシューは念の為でしたが、結果としてはこれがなければ登山にならないコンディションでした。

今回は現地まで新幹線だったので登山靴を履いてフル装備で市街地を移動して回りました。

day0 名古屋前泊

前泊地は各メンバーの中間地点にして伊吹山登山口まで1時間ほどの岐阜県海津市というところでした。名古屋やこの辺りの土地と滋賀は近いイメージがありませんでしたが車で1時間ほどの距離なので前泊地として便利。現地ではレンタカーにて移動しました。

名古屋グルメ味噌カツ @二代目かつみや

名古屋グルメ手羽先 @風来坊

前泊地 海津温泉 宙船の湯

17時頃に名古屋で集合したので随分と時間的余裕があったため、ご当地グルメを楽しみつつ一杯やりました。

手違いでレンタカーがノーマルタイヤだったので前日のうちにアップガレージに行ってチェーンを現地調達しました。2000円で買った初のラバーチェーンでしたが非常に優秀。そして帰りにまたアップガレージで手放してきました。

伊吹山山行記録

朝、東の空は晴れていたものの…

登山口に着くとこの有り様。吹雪です吹雪。

ということでスタートからスノーシューを装着しました。念の為のつもりがまさかの終始履きっぱなしという結果に。

林道と登山道の分かれ道。入山禁止は夏の話なので雪山としては右の登山道に進みます。

駐車場に車がなかったことから予感しましたがトレースなし。つまり自分で道を切り開かなければなりません。

先行する師匠と私はスノーシューあり、後続のHG氏はスノーシューがなかったので我々のトレースに付いてきてもらう形にしました。ツボ足では序盤から膝まで沈む深さ。

スノーシューを履いていてもスネの中ほどまで沈みます。

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旧ゲレンデに出てきたところで晴れ始めました。

おお!

まさか晴れるなんて

勝確

スタート時の吹雪から誰が想像できたでしょうこの青空を。本当に雪山は来てみないとわからないことが多すぎて運ゲーですね。

少し分かりづらいですがゲレンデを登っていくあたりからは琵琶湖が見えてきます。琵琶湖の東側です。

そして遂に山容が見えてきました。高さだけを見ればあと少しな印象ですが、想定以上にラッセルがキツく時間もかかっていたので、ここで初めて登頂できないかもしれないという考えが頭に浮かびました。

師匠に離される私。同じくらい後ろにHG氏がおり、これまでの山行で最も三者が離れ離れになりました。

5合目を超えたところ。この時点ではまだギリギリ登頂が目指せる時刻とコンディションでした。

稜線下に見える避難小屋が6合目です。その辺りから一気に斜度が増す「頂上直下の急登」です。

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6合目付近は岩稜帯なのかいっとき雪が浅くなったので希望を持ったものの、この急登にアタックし始めた辺りからこれまでのどこよりも雪が深くなりました。

1歩進むと2歩目を踏み出すときに足元が沈んで2歩分戻されるような状況で、胸元まで沈む「泳ぐラッセル」状態に。おまけに急にガスってきたと思えばあっという間にホワイトアウトしました。

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あと77mだけど、引き返そうか

残念だけど、さすがに撤退した方が良いと思う

ということで設定時刻オーバーとホワイトアウトにより撤退を決意しました。残念ながら伊吹山は未登頂ということになりました。

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髪が凍ってた

5合目の安全地帯まで下ってから食事、師匠作の「肉すい」です。初めて食べましたが主に関西で有名な料理だそうで、雪山補正抜きにもあまりにも美味でした。業務スーパーの冷凍牛バラ肉を使うのがポイントだそう。

今回学んだこと

名古屋と伊吹山は近い

前述の通り高速を使えば名古屋周辺から1時間程度で登山口に行くことができます。名古屋を前泊地にできるとなるとアプローチが一気に楽になります。

スノーシューがないと成立しない山がある

今まで降雪直後の雪山に登ったのは2回だけで、ほとんどの山は先行者が居てトレースが付いていたのでアイゼンさえあれば難なく登れるところばかりでした。

しかし今回のようにまとまった積雪量で先行者なしのコンディションではスノーシューがないと全く登れません。スノーシューは日本の雪山の登りには向かない、なんて言っている本やHPがたくさんありますがスノーシューは登るために必要な道具です。

www.mount-road.com

ラッセルこそガチの雪山

雪山ってこんなにキツかったんだね…

これが本当の雪山か…

今までの雪山はおままごとだったんや…

トレースがあって雪が締まっている、そんな雪山ばかりだった我々は強烈な洗礼を受けた形になりました。天候の急変も含め、雪山の過酷さ・恐ろしさを改めて再認識しました。

 

那須岳に続き2回目の登頂断念登山となりましたが、得られたものはたくさんありました。またこれだけアクセスの良い日本百名山で、誰も居ない中トレースを付ける体験なんて今後まず出来る気がしません。

登頂できなかったことは残念でしたが、頂上直下で撤退するということは「頂上直下でも撤退という判断ができる」証拠でもあるので悪いことばかりではありません。山は逃げない。登頂ありきで臨むのではなく山で遊ばせてもらえただけでも楽しかった、特に雪山はそのくらいの気持ちでいるのが安全で良いのかもしれません。