先のNikkor Z 26mm f2.8に続いてNikon ZfのキットレンズであるNikkor Z 40mm f/2(SE)を改めてレビューしつつ作例をまとめました。
先の記事はこちら↓
Nikkor Z 40mm f/2(SE)
このレンズはNikon Zfの外観に合わせた外観のSpecial Editionで、焦点距離35mmと50mmの中間に相当する40mmの単焦点レンズです。ちょっとマイナーな画角な気がしますが、使ってみると50mmで感じる狭さと35mmで感じるちょっと広いんだよなぁという不満の最大公約数的な使いやすい画角です。
一説によるとフルサイズセンサーの対角線が43mmであることから40mmや43mmという画角は最も歪みが少ない描写になるそうです。
外観
ZレンズはFマウント時代のデザインから大きく変わり、全体的にマットでシンプルな外観でスタイリッシュな印象のレンズが多いですが、Special Editionはむしろオールドニッコールのような外観です。
母艦であるZfとの組み合わせはあまりに完成しすぎていますね。私は機材オタクながらカメラに関しては例外的に写真を撮る「道具」と認識していますが、それでもただの道具を超えた、美術品や工芸品のような官能性を覚えます。
スペック
詳細なスペックは割愛しますが、重量170g、マウント面から先端まで45.5mm、最短撮影距離0.29mと十分軽量コンパクトである程度寄れる実用性の高いスペックです。
作例
夕暮れ時の横浜駅。さすがのフルサイズでシャドー部のディティールが生きています。西日の当たるビルはコントラストが強い被写体ですが、f4.0にして非常に解像感のある描写です。空の微妙なグラデーションの表現も美しいです。
続いては日没間際の空を写した1枚。ややハイライトが白飛び気味ですが夕焼けの色も雲の立体感も上手く描写されています。
f4.0でも十分解像度の高い描写でしたがf8.0まで絞り込むとさらにシャープな写りになります。情報量の多い風景ですが、木々の枝、桜の細かな表現はお見事です。
開放f2.0は深夜のスナップにも心強いです。Zレンズだけあって開放でも地面のピント面は非常に解像感があります。それでいて遠くの光源はやわらかくとろけるようにボケていて、自然と主題に目がいきます。
淡水水族館、カワスイにて。ただでさえ光源不足な屋内なのにさらに暗いというカメラ泣かせのシチュエーションですが、手持ちでこの写りなら大満足です。
ここからは先日の沖縄旅行の写真です。50mmだとテーブルフォトで苦しむ場面が多かったですが、この10mmの差は大きかったです。すごく寄れるレンズではありませんが、「テーブルフォトはきついんでしょ?」って期待せずに行くと結構使える、そんな塩梅です。
私が40mmという画角が好きな理由はこの感じです。この構図感。何度も言っている気がしますが、これが50mmだともう少し主題が絞られた構図になるし、35mmだともう少し散漫な印象になってしまう(もちろん、私の腕の問題ですが)、その良いとこ取りというのが私にとっての40mmという画角です。
上記3枚は「アニメのワンシーンのように」のAkine Coco氏監修のエモい写真が撮れるレンズフィルター、NOSTALTONE blueを装着して撮影しました。全体に青が乗るソフトフィルターで、どこか懐かしい幻想的な写りになって夏の景色や海と非常に相性が良いです。
ちなみに私の旅行用の標準装備となる本レンズNikkor Z 40mm f/2とNikkor Z 26mm f2.8、いずれもフィルター径52mmなので一つ買えば共通して使えてお得感があります。
那覇のヒルトンホテルにて。駐車場から建物全体を写すのは多くの場合難しいですが、意外と見切れていてもそれはそれで良かったりします。山岳写真での「山頂を敢えて写さないことで迫力が増す」というテクニックの応用です。
国際通りの超人気店ゆうなんぎいにて。f2.0だとまずどこでも手持ちで撮れるのが良いです。
宮古島のシーウッドホテル。これはこれで悪くないですがやはりホテルの部屋全体を撮ろうとするとさすがに狭いので、ホテルに着いたら26mmに交換します。
宮古島の青。
感想
まず40mmという画角について。散々言ってきた通りで常用レンズとして慣れると非常に使いやすいです。屋内や景色などの意識的に広く撮りたい場面を除けば単焦点レンズとしてはかなり万能なレンズと言えると思います。
描写についてはフルサイズらしくぼかすも良し、絞ってシャープに写すも良し。いずれも特に文句の付けようのない素晴らしい描写だと思います。
単品でも3万円程度と安価ながらこの性能と実用性であればズームレンズ派でもとりあえず1本持っておいて損はない気がします。