
やってしまった。「T-LINE?重さなんて筋肉でカバーすればいいんだろ軟弱者」「G-LINE?ブロンプトンをデカくゴツく重くしてどうすんのよ(笑)」「俺もうブロンプトン持ってるし関係ねえや」と、興味を持っていなかった(持たないように自己暗示していたという説も)ブロンプトンT-LINE、そして最近予約が開始されたG-LINE。奴らについうっかり試乗してしまった。そう、全ての元凶はスーパーフリーダム試乗スタイルのGREEN CYCLE STATIONなのだ。
GREEN CYCLE STATIONにて
私の一族が合計でブロンプトン3台+Tyrell FSXの4台を購入したお店が横浜みなとみらいエリアにあるミニベロ専門店GREEN CYCLE STATIONである。とても親切丁寧でこの世のどこよりも圧倒的フリーダムにありとあらゆるミニベロを試乗させてくれる魔性の店。
さらに最近私の親父がブロンプトンの重量に屈してDAHON K-3を追加購入し、我が一族がGREEN CYCLE STATIONから召喚したミニベロは遂に5台目となった。私が用途に合わせて自転車を複数台所有しているのを鼻で笑っていたハズの親父であったが順調に自転車乗りとして成長しているようで何よりである。
そんな背景ですっかり馴染みのお店になったGREEN CYCLE STATIONだが、これは先日ふとみなとみらいまでサイクリングした時に久々に立ち寄った際に起こった事件である。
相変わらずの好きに乗っていいですよ
店内に入ると「あっ、上社さん、先日はお父様がまた買ってくれて」「そうみたいですね、ブロンプトンは重いとか抜かしてて…」「いつもありがとうございます。気になるなら乗ってきてもらっていいですよ」「っ!…乗ります…!」なんてやり取りから始まった。そう、つい陳列されていたT-LINEに目が向いていたのを捕捉されてしまったのだ。
先日の四国登山&島巡り旅で数え切れないくらいブロンプトンを運搬した結果さすがに筋肉でカバーするにも限度があらぁということでちょっとだけ、ほんのちょっとだけ軽いブロンプトンがどんなもんか体験する気になった。空港で預ける時に知っちゃった、ぼくのブロンプトンは14.6kgもあることを。
ブロンプトンT-LINE

まず折りたたんだ状態で持ってみた瞬間、頭がおかしくなったのかと思った。乗らせてもらったのは4速モデル、7.95kgという私史上ではロードバイクも含めて体験したことのない夢の7kg台の自転車。誇張抜きで、メインチューブに中指一本引っ掛けるだけでひょいと持ち上がった。んん!?なんだこれ???モックなの?1/1プラモなの??

と、平田さんがおっしゃる通りで私のブロンプトンとは完全に別の自転車だった。同じなのは乗車姿勢くらい。私の好きな「踏んだ瞬間前に飛び出す」反応のクイックさを感じられて、スピードが乗ってからの速度維持が非常にラク。「ブロンプトン」と思って乗ると自分の感覚よりグングン前に進むのでちょっと理解が追いつかない。

あとはシンプルに軽さは正義。ここはちょっと歩道橋を使おうか、とか自転車乗り入れ禁止ゾーンで押し歩きするだとか、全く持ってストレスフリーである。軽いのが面白くて無駄に持ち上げたりしちゃう。あとサドル部分を肩に置いて担ぐとマジで重量を感じなくなるレベルで軽い。これは本当に歴史に残る革命だと思う。

見た目も素材を活かしたシンプルなカラーリングで質感も非常に高級感がある。金額的に盗難が怖すぎるのはもちろんだけれど、このレベルの軽さならどこか寄り道したいときには店内に持ち込んで四六時中そばに置いておくのも十分に現実的。
ただし実用面で一つ気になっていたところがリアキャリアがないという点。私がこれまでやってきた旅ではリアキャリアは必須なのでこれはまあトレードオフかと納得していたのだけれど。
ということで実際にそのT-LINE用のキャリアを単体で持たせてもらったのだが、うん、これは物理の問題の空気抵抗。無視できるもの。え、つまりキャリアを着けてもこの革命的軽量が維持できるってコト!?
「もしたった1台の自転車しか持てないとしたら」自転車乗りが一度は考えるこの命題。T-LINEの存在により私の中の答えは決まった。ブロンプトンT-LINEこそ人生でたった1台所有する自転車に相応しい。
ブロンプトンG-LINE
こいつT-LINEを買う大いなる流れに飲まれたなフラグをビンビンに立てた私だけれど、実はいま一番欲しいと思った自転車はG-LINEの方だった。こちらは興味を持たないように自己暗示をかけていたわけではなく、試乗するその瞬間までは本当に全く関心がなかったのだが…


確かにまたがった瞬間にこれはブロンプトンではないと理解った。剛性感の塊で、走行時のどっしり感、安定感が尋常ではない。ハンドル幅もめちゃくちゃ広くて、完全にハードテイルMTBの乗り心地。極太のブロックタイヤがアスファルトを転がるときの摩擦音と手に伝わる微振動が妙に懐かしくて心地良い。
本当に久しぶりに「走りが楽しい」と感じた。TyrellとかT-LINEとかはすごい!速い!どんどん進む!という性能に対しての感心だったのに対して、G-LINEのそれはとにかく楽しい、それに尽きた。大げさに言えば初めてスポーツ自転車に乗ったときの楽しさとか、23c8.3barのロードバイクで初めて30km/hを超える高速巡航をした時の楽しさとか、そういった未知の体験をした時の楽しさだった。

通常ブロンプトンと比べると大きさが一回りくらい大きいので親子というサイズ感。このカラーリングもすんごく好みで、乗ってはいけない観賞用としてでも全然構わないくらいかっこいい。あとはやたらブレーキがキレッキレだなと思ったらそういえば油圧ディスクブレーキだったことを思い出す。ブロンプトンにディスクブレーキが必要かはさておき、かっこよければそれでいいのだ。とはいえ実際に乗ってみて、慣れていればそれなりにガチなオフロードのダウンヒルくらいはこなせそうな剛性は間違いなくあると思った。

ディスクブレーキ車の良いところの一つはディスクのおかげでクランクの反対側から見てもカッコよくなること。

見てくれこのメカメカしさにごっついタイヤ。最高かよ。
と平田さん。これは私も非常に同意。自転車の油圧ディスクブレーキは正しくセッティングされていれば閉鎖回路なので理屈上は逆さにしようが振り回そうが問題はないのだけれど、実際にはプロがブリーディングしたとしても極微量の気泡が回路内のどこかにトラップされている場合はあり得て、輪行などで通常と異なる向きにして振動を受けたりした時にそのエアーが回路内に入ってきてエア噛みを起こす、というのは全然起こり得る。その程度のエアーであれば何度かブレーキレバーを握ってるうちにもとに戻ることが多いけれど、可能性の話をすれば必ずしもそうなるとは言えない。
余談だが私はその経験をしたことがあって、その時は結果的には帰宅してブリーディングし直すまで改善しなかったため、ちょっと今でもロード輪行はほんの若干のトラウマがある。振り返るとブレーキパッド交換時にエアーを混入させてしまっていただけなのだけれど、それでも輪行前にテストライドをして問題なくブレーキが動作することを確認していたので、現地に行って輪行解除して初めて発覚するケースは100%防ぐことは難しいと思う。
とはいえ油圧ディスクブレーキが一般化した時代なので大抵の自転車屋でブリーディングは対応できるはずだし、確率論から言えばそれほど心配するリスクではない気もする。

そういうわずかな懸念事項はあれど、とってもカッコよくて走りが超楽しいスーパー折りたたみ自転車。それがG-LINEである。これは本当に久々去年のTyrellの例があるから久々ぶるのも無理があるに欲しい気持ちに支配される自転車だった。
これは取ってつけたわけではないのだが、本当に最近うっすらとハードテイルMTBないしグラベルロード、オフロード要員をやはり1台は持っておきたいと思っていたのだ。ここ2年くらい。躊躇っている理由はお金ではなく(お金があるという意味ではないが、早く買って長く使うことで事実上0に収束させることができるから考える必要はない)、保管場所問題である。ただでさえオフロード系の自転車は体積が大きくなりがちなので、さすがにこれ以上室内管理すると居住空間に少々支障が出てしまう。
あれ、保管場所が問題?ブロンプトンとしてはデカいけどオフロードバイクとしては異次元のコンパクトさ………買わない理由、もはやある?
T-LINE&G-LINE。いずれもそれなりに覚悟を求められる金額というのは事実であるから、興味を持たないでいるのが一番幸せなのかもしれない罪深いブロンプトン達。一度乗ってしまえばそれを知る前のあなたには決して戻ることができない。ここがPOINT OF NO RETURN。覚悟を決めるか思考を止めたらGREEN CYCLE STATIONに行くんだ。きっと彼らが耳元でこう囁く。Welcome to Underground.