山と自転車

登山や自転車をはじめとした多趣味ブログ

【XTR PD-M9200】SPEEDPLAYを3年使ってみた感想と2周くらい回ってロードバイクにSPDペダルを採用した話。

SPEEDPLAYを3年使ってみて

現在のメインバイク、クロモリロードバイクのtada車416号機は組んだ時からずっとSPEEDPLAYペダルを使用してきた。

SPEEDPLAYはSLと同じくレース機材として主に使用されるゴリゴリのロードバイク用ペダルだ。SPDに比べ接地面積が大きく「点でなく面で」力を伝えることができるのと、シマノと異なり「ペダルがシューズにハマる」構造(クリート側が凹、ペダル側が凸となる)で両面キャッチ、かつSLに比して歩きやすいというのが大きな特徴だった。クリート取り付け位置もかなり細かく調整できるので自分好みのポジションに合わせられる。(あとは使っている人がそれほど多くないのでちょっと玄人感を味わえる)

SPDには劣るものの歩行に関してはSLのようにペンギン歩きをする必要もないし、滑りやすい床や山道などでなければ概ね普通に歩くことができたので、現地での観光や立ち寄る場所が多い自転車旅も特に替えのシューズは持たずにこなしてきた。

走行に関してはかなりがっちりペダルが保持されて面で接地しているので、高速巡航で負荷をかけてもしっかり反応してくれて登りでも引き脚がよく効くようになった。ヘロヘロになって回していても最小限のロスでクランクを回せていた。

走行性能と歩行性能の良いところ取り、それがSPEEDPLAY。

SPEEDPLAYで気になったこと

そんな最大公約数的なSPEEDPLAYだけれど、自転車旅の度にクリートカバーが外れやすいことと耐久性が低いことが気になっていた。

Wahoo公式HP SPEEDPLAY NANO商品ページより引用(https://jp.wahoofitness.com/devices/pedals/speedplay/speedplay-nano-buy

SPEEDPLAYの歩きやすさはクリートカバー(写真のゴルフボールのような表面の部分)に依存していて、これがないといくらSPD-SLと構造上の違いがあるとはいえ金属製のクリートがむき出しになるので結局歩きづらくなる。問題はこのクリートカバーが外れやすく、耐久性もそれほど高くはないことだった。

歩行性能を重視して作られたとはいえ所詮はゴム製なのでアスファルトを歩いていれば摩耗する。装着もクリートに被せるようにしてはめ込むだけなので気づいたら外れているなんてことがよくあった。厳密に測ってはないけれどトータル10kmも歩いたら駄目になると思う。旅先で気づいたら片方だけなくなっていて苦労したことが何度かあった。

純正クリートは6000円もするし、Amazonとかで1000円くらいで売っている謎メーカーのクリートカバー単体は耐久性が低すぎて使い物にならなかったのでコスト的な問題もある。

走行性能と歩行性能の良いところ取り、というのは「新品状態のクリートカバーでかつ不幸にも気づいたら外れていたという事故がない」状態であればその通り。しかしその状態が長く続くわけではないので、結局のところは歩行性能を大幅に犠牲にして走行性能に振っているわけで私の中ではSPD-SLより少しはマシ、というレベルに落ち着いた。

Tyrellで久々のSPD

AACR2024で試乗してから衝動的に購入に至ったTyrell FSXにSPDペダルを採用したことがSPDを見直すきっかけになった。

www.mount-road.com

Tyrellは「折り畳めるロードバイク」というコンセプトで輪行旅用に購入したので歩行性能を重視して迷わずSPDペダルを選択した。ジャージを着て乗るつもりもなく、旅先を観光で歩き回るとかサイクリングがてら遠方のお店に行くとか、なんなら出先で軽いハイキングコースくらい歩くことも想定していた。

クロスバイカーとの出会い

そんな中、モンベルのカタログを眺めていた時にクロスバイカーというSPDシューズを発見した。

www.mount-road.com

歩きやすいSPDシューズというよりハイキングシューズにクリートを着けられるようにした、というのが正しい見た目と歩行性能。ストイックな走りをそもそもしない私はこれがたいそう気に入ってしまった。

SPEEDPLAYに比べるとやはりペダルを点で引き上げている感覚であり接地面積や固定性の違いは感じられたものの、私にとっては自転車旅や日常のサイクリングで支障を感じるほどのものではなかった。

SPDでも困らなかった&歩くのが楽すぎた

Tyrell FSXとSPDシューズの組み合わせで本当に様々な場所へ旅をした。飛行機輪行を伴う遠征から瀬戸内めぐり、高負荷な場所では乗鞍ヒルクライムまでこのSPDペダル&クロスバイカーで走り回って歩き回った。

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

もちろんSPEEDPLAYのロードバイクに比べれば多少は力の伝達のロスだとか引き脚が弱くなるような感じはあるけれど、目に見えて巡航速度が落ちるかといえばそうではないし、坂を登れなくなるわけでもない。

そのわずかな差(私にとっては)よりも圧倒的な歩きやすさのメリットがはるかに大きかった。クロスバイカーはビンディングシューズとしてはソールが柔らかい、紐靴であるなど気になる点もあるものの、歩行性能に関しては「ビンディングシューズとしては歩きやすい」どころか普通のスニーカーと比較してもかなり歩きやすい。

出先で歩いたりお店に入ったりすることが増えると必然的にジャージをあまり着なくなる。あと最近は自転車×釣り、とか自転車×デイキャンプ、みたいに自転車と他の遊びを組み合わせることが多くなってきたのでますますSPDの良さが光るようになってきた。もはや登りだとか高速巡航時に踏み外しさえしなければなんでもいいと思っている。

www.mount-road.com

ロードバイクにSPDを

という経緯でTyrell FSX&SPDペダルを好んで使うようになった結果「走るだけ」「100kmを超えるような長距離」のときにはロードバイク、それ以外はTyrell FSXという棲み分けになった。そこで問題が起きた。ロードバイクの出番が激減するという問題が。

ある程度距離はあるけど寄る場所も多いとか単純に気分的にロードバイクがいいという時、逆説的だが「SPEEDPLAYだから乗りづらい」というシーンが増えた。ジャージを着て距離や時間を決めて乗るんじゃなくて、30km先のアウトレットモールに行きたい時にはクロスバイカーを履きたい。Tyrell FSXではなくロードがいい。そんな時はSPEEDPLAYであることが障壁となった。

そうして、1年くらいぼんやりと考えた結果ロードバイクにもSPDペダルを導入することにした。数分で換装できるので単純に頻度の問題でSPDの方をメインに据えたほうが良いだろうと判断した。

XTR PD-M9200を購入

SPDペダルは主にMTB用、あるいはビンディング初心者向けと位置づけられがちなのでロードペダルと比べると重く、見た目も踏み面が大きすぎてロードバイクに合わないものも多い。さすがにTyrell FSXと異なりフラペで乗ることはしないので出来れば両面キャッチ。その条件で調べた結果ブルベ界隈でも支持を得ているXTRというMTB用のペダルに行き着いた。

XTRはMTB用ペダルの最上位モデル。なかなかの値段だけれど「迷ったら高い方を買え」という私のボスの教えに従った。高いものには高い理由があるし、良いものは長く使えて満足度も高い。購入時に悩んだ差額はあとから払っても高い方に変わることはないので最初の差額は出しておくべき派。

XTR-M9200は軸長55mmのスタンダードモデルと52mmのショートモデルの2種展開で、ショートモデルの方はロードバイクペダルと同様の軸長となるので違和感なく流用できるという。迷わずショートモデルをチョイス。

非常にメカメカしい見た目、カラーリングや質感も非常に高級感がある。足蹴にするのがもったいなく思えてくる。

SPEEDPLAYペダルとの比較。

SPEEDPLAYのシンプルイズベストで愛らしい見た目とはだいぶ趣が異なるがこれはこれであり。大きさ的にはさほど変わらない。

tada車に組み込んだ全体像。変にペダルが主張してくることもなく存在感は控えめで、SPEEDPLAYからの移行にはさほど違和感はない。

SRAM etap AXIS REDのクランク・チェーンリングと趣向が近くむしろ親和性が高く見えるまである。一番懸念していた見た目のアンマッチ。これは私の感性では想定以上の成績でクリアした。

実走レビュー

デビュー戦は乗鞍エコーラインヒルクライムだった。平地での使用感を試す間もなくいきなりのガチヒルクライム。畳平に着いたら乗鞍岳登山もするつもりだったので当然靴はクロスバイカーで服装もレーパンすら履かず、タイツとハーフパンツという登山と同じスタイルで臨んだ。

結果としてはSPEEDPLAYの性能が恋しくなることもなく非常に快適に登れてしまった。想像していたよりも固定性が高くて引き脚が使いやすくて走行性能を犠牲にしているという印象はなかった。ペダルの表現として正しいか分からないけれど、剛性感があった。

同じSPDでもTyrell FSXで使っているKCNCの片面キャッチのSPDペダルと比べるとかなりガッチリペダルを保持している感触で、やはり最上位モデルだけあってSPDペダルの中でもかなり走行性能は良いんじゃないかと思う。

先日の気が向いたら釣りができるセットでのサイクリングにて。こういう町中を歩いたり他のアクティビティをする前提のライドではレーパン&SPD-SL/SPEEDPLAYよりも普段着&SPDスタイルが非常にマッチする。

ロードバイクのペダル論争に対する私見

ロードバイクは機材スポーツではあるけれど、あくまで道具は手段に過ぎない。自分のやりたいことという目的に合わせて適切な道具を選ぶ。その意味では私のような自転車乗りにはほとんどの場面でSPD-SLやSPEEDPLAYよりもSPDペダルの方が適切だった。

まずは形から入る性分なのでジャージを着てSPEEDPLAYペダルで、という”正装”にこだわった時期もあるけれど、ちょっとその価値観にがんじがらめにさせられていたなと今では思う。AACRだとか200kmライドだとか走ることに重きを置いて、最低限トイレやコンビニに行ければ十分、という場面であればそういった装備が最適だとは思うけれど、”楽しい移動手段”という感覚で自転車に乗る場合には適当ではない。ピチピチのジャージ姿で商業施設を練り歩くのはTPO的にいかがなものかと思うし、電車に乗るのも周囲の人の不快感を考慮すれば基本的には控えたほうが良いだろう。

実際にロードバイク×SPDペダル(×クロスバイカー)で得られる自由度はまた自転車の可能性や楽しさを広げてくれる。気楽に乗れるというのも案外無視できない利点だと思う。用途が合えばという前提だけれど、ロードバイクにSPDというのは非常にアリなチョイスだと思う。ロードバイクの走りはペダル以外の構成要素の方が圧倒的に大きな割合を占めているから、多くの人にとって走りに関しては頭で考えているほど劇的な差はないように思う。

他人の好きに口出すな

「ロードバイクにSPDペダル」Xで定期的に論争を呼んでいる。誰でも気軽に情報を発信できるようになった時代の明らかな負の側面には、他人のやることなすことに安易にケチを付けやすくなったことがある。とにかく自分と違う価値観の相手を批判することに命を懸けているような人や、他人が好きでやっていることにアドバイスを装い自分の意見を押し付け服従させたがる人間がこんなにも居るのかと呆れさせられる。

ロードバイクにSPDペダルなんて初心者だと見下すジジイ。まるで学術的定義を作った人間かのようにロードバイクはこうあるべきと恥を知ることもなく他人に意気揚々を私見を押し付ける自称プロやハイアマチュア様。

勝つための最適解が決まっているシビアなレースの世界の事情は知らないけれど、趣味なんて本人が楽しく幸せになれればそれでいいはず。他人に迷惑をかけないこと、十分に安全を担保することができていれば、ロードバイクにSPEEDPLAYで乗ろうがSPDで乗ろうがフラペで乗ろうが何だっていい。好きなものを好きなように使って良い。所詮趣味は趣味、たかが趣味なのだからこうあるべきなんてことはない。用途が合うと思ったら外野は気にせずロードバイクにSPDペダルを付けて良いのだ。