山と自転車

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【上越】平標山 厳冬期日帰り山行2026.01.04

新年明けましておめでとうございます。昨年はおかげさまで当ブログも累計50万アクセスを超えるに至り、バンドなら目指せ武道館が現実味を帯びてきたくらいの段階でございます。

今年はライフステージ的に大きな変化があったり仕事がまた大きく変わりそうで早くも慌ただしく激動の年になりそうですが、そんなの意に介さず家族巻き込んで遊び続ける人生でありたいと改めて決意表明いたします。

そんな2026年1発目の登山は近年SNSで人気が高まっている上越の平標山(たいらっぴょうやま)を登ってきました!

厳冬期平標山日帰り山行

メンバーは私と師匠、そして前職場の後輩SW君の3人。彼らは車で途中で乗り合わせ、私は越後湯沢駅で拾ってもらいました。

平標山 ルート&アクセス

平標山登山口をスタートして松手山を経由し山頂に至るピストンルート。冬季ルートとして最も一般的なルートです。

平標山登山口は越後湯沢駅から車で30分ほど。今回は仲間に越後湯沢駅で拾ってもらいましたが、駅からバスも出ているため公共交通機関で日帰り登山も可能です。東京駅から越後湯沢駅まで70分なので都内からのアクセスも非常に良く、GALA湯沢や上越国際スキー場、苗場スキー場など名だたるゲレンデが多く存在します。

ルートは獲得標高1000mを超え、雪山としてはかなり高強度と考えます。トレースはありましたがかなり雪が多いのでラッセルになると並の体力では登頂できないと思われます。序盤が急登ではありますが、コンディション的にはアイゼンよりスノーシューが望ましいです。

山行記録

トレースの具合とか最新の情報が不足していたのでアイゼンもスノーシューも両方持っていきました。帰りの着替えは犠牲になりましたがさすがテント泊もこなせるリッジ30。容量を過少申告していることは間違いありません。

www.mount-road.com

8:30に越後湯沢駅に到着し仲間に拾ってもらって現地に着いたのは10時近くなってからでした。登山口駐車場を目的地にしていましたがどう見ても雪で埋まっていて入れなくなっており、先人たちに倣い路肩に停めました。

平標山登山口

ものすごく目立つ旗が立っている見たことないタイプの登山口です。

いきなり見上げるほどの急登が始まります。トレースは十分でそれなりに締まっていましたがところどころ膝上まで沈むので雪自体は相当積もっています。クリスマスくらいまでは雪が少ないという情報でしたが、年末年始の寒波でだいぶチャージされたようです。

伝わるでしょうかこの斜度。ジグザグに行くとはいえ年始一発目にはなかなかだぞ!

急登な分どんどん高度が上がり、真後ろの視界が晴れてきます。新潟というか日本海側といえばとにかく晴れないことで名高いので今日はツイてます。

しかし序盤はとにかく斜度が緩むことなく道が続いていきます。大した斜度に見えないのは写真の技術のせいであり、私が誇張しているわけではありません。

森林限界が近い!鉄塔

途中にあるこの鉄塔を過ぎると森林限界突破まで後少しです。

樹林帯の守りが薄くなったことを示すように風上には雪庇が張り出しています。

その名の通り平らな山頂が見え始めるといよいよ森林限界を超えてきます。

山頂に向かう道が一望できるようになる、山頂を踏むことの次に気持ちが良い瞬間です。

振り返るとこの景色。苗場スキー場方面です。

松手山

山頂までのちょうど中間地点に当たる松手山。この標識、2月くらいになったら雪に埋まってそう。

そして松手山からもう少し進むと完全に森林限界を超えた稜線に出るんですが、その直前が木々の間を縫うようにトレースが付いていてザックが引っかかり顔に枝が刺さりとにかく歩きづらい。

せっかくの雪山なんだから自由に歩けばいいのにと思ったそこのあなた。トレースを外れたらスノーシュでもツボ足状態だったので無理でした。

やっと本当の森林限界上へ…

七合目・八合目

七合目を迎えると道に”いよいよ感”が出てきます。(伝われ)

八合目になると木の階段が現れます。ほとんど雪に埋まっていますが、頂上直下な感じがしてきます。

木階段ゾーンを抜けても地味に長い。写真の一番右側が平標山山頂です。

しかしここまで来ると名前の通り平らで穏やかな山容になってきます。

仙ノ倉山方面の美しさが際立ちます。厳冬期北アルプスのような装い。惚れ惚れしますね。

九合目

ここまで来てもまだ先は長い!ように見えてさすがにあと少し。

200mmまでズームしてようやく山頂標識を捉えました!

そうそう、さっきの木階段の辺りから急に爆風に吹かれるようになりました。木々のエビの尻尾がその激しさを物語ります。ちなみに以前の私含め多くの人が風下に向かって伸びると誤解していますが、風上に向かって伸びていきます。

序盤は心臓出そうなくらいの急登なのでどこが平らやねんって感じですがここまで来てようやくこれが平標山か…って理解ります。

後続の仲間達。風景写真は人が居ない状態で撮りたいことが多いですが、山岳写真は人が居ることでスケール感が伝わるのでかえって良い場合があります。

平標山山頂

午後1時半頃、アタック開始から4時間弱ほどでようやっと辿り着きました!

360度パノラマビューで遮るものが何もありません。すんげえ景色。

山座同定タイム。まずはガトーショコラでおなじみ浅間山。

そしてその奥。一番奥でうっすら見えている山塊は浅間山との位置関係的に八ヶ岳を第一に考えます。

続いて南の方角に先っちょだけ飛び出している富士山。ということはその手前の山脈は丹沢でしょうか。にしては大山の三角形が見えないので秩父山地かもしれません。

もう少し近いレイヤーに特徴的な形態の山が見えます。これは間違いなく妙義山でしょう。

しかし実際はこんなのほほんと景色を眺めていられる環境ではありませんでした。強風に加えてシンプルに気温が低すぎます。グローブを外すといつもと次元が異なる寒さだと理解します。10秒もするとマトモに動かなくなるんですよね、これは正月に浅間山外輪の黒斑山に登ったとき以来の極寒環境です。

それを物語るように、よく見たらいつのまにか地面が氷になっていました。雪だと思ったら氷の上に雪が張り付いています。

しかし富士山頂で揚げ物をするこの男には関係なし。命をかけて果敢に料理を始めますがさすがのジェットボイルも燃料がうまく気化せずついには火が絶えてしまいました。

ということで悪あがき。宙に浮かせつつガス缶を手持ちすることで極力ガス缶の温度低下を防ぎます。全開にも関わらずいつもの最小のとろ火状態ですがこうすることで何とか火は耐えず、通常の3倍くらいの時間をかけてついに沸騰しました。

ジェットボイルすらこの有り様ならこの環境(経験と体感から推定するにマイナス15度風速10m/s以上)では調理は不可能ということになります。新年早々学びを得ました。そういえばマイナス10度までは動作保証され、実際はマイナス15度くらいまでは何だかんだ耐えているOM-D EM1mk2のバッテリーも落ちたのでこれはよっぽどであります。

凍傷の危機により慌てて下山へ

私と師匠がジェットボイルを浮かせてさすがジェットボイル様じゃーと信仰を深めている傍ら、後輩SW君の様子がおかしくなっていました。末梢のシバリングと明らかに血色不良な顔面、指先の感覚が薄いということで明確に凍傷の初期症状なので先に下山してもらい、後を追いました。

結果的には問題なく済んだのですが、現在日本で凍傷の治療ができる医療機関は限られ、また凍傷の専門家も日本には私が知る限り1人しかいないので本当に気を付けなければなりません。

下山後は彼におすすめ雪山装備URLと長文を送りつけ、また1人山ヤがここに誕生することになったのでした。

平標山は全然平らじゃないけど良いぞ!

平標山が平らなのは9合目を過ぎてからなのでスノーハイク気分で来ると心臓飛び出します。しかし湘南エリアからでも片道3時間ほどで登山口にアクセスでき、八ヶ岳辺りとは次元が違う雪の量と極寒を味わえて、あらゆる生命を拒絶するような白銀の谷川連峰を眺める極上の稜線は一見の価値があります。

滑落でサドンデスな危険ポイントは少ないものの、獲得標高や天候の不安定さという地域特性を考えるとある程度経験を積んだ、十分な体力と適切に撤退する判断ができるメンバーで臨むべきと考えます。