私が愛してやまないアメリカのブランドであるMYSTERY RANCH。
今回はその中でもさらに使うほどに便利で手放せなくなった、大型登山用ザックのテラフレーム50を紹介します。
MYSTERY RANCH テラフレーム50とは
MYSTERY RANCHはミリタリーからアウトドアまで、過酷な環境での使用に耐えうる堅牢かつ機能性に満ちた製品開発を手掛けるアメリカのブランド。
アメリカ国防総省が軍用品に対して定めるMIL規格をクリアした、実際に軍隊で使用されるバックパックから登山用ザック、シティユースを想定したバックパックまで幅広く展開しています。今回紹介するテラフレーム50はMYSTERY RANCH独自の「OVERLOADフィーチャー」という拡張性の高い機能を搭載していることで、状況に応じてありえない量の荷物を運搬することができる唯一無二のザックです。
MYSTERY RANCH テラフレーム50 カラー:ローデン
テラフレーム50を選んだ決め手
大きくても60L以内のザックにしたかった
→以前70Lの大容量ザックを使っていた頃の経験と、取捨選択を経た現在のテント泊装備内容、そして大容量ザックの重量やサイズによる取り回しづらさから、私はテント泊でも50〜60Lあれば十分と考えています。何なら30Lザック(多い方に容量詐欺な疑惑はあるけれど)でもテント泊可能なので、なるべくコンパクトなザックを探していました。
↓過去記事
MYSTERY RANCHであるということ
→通勤カバンやボディバッグもMYSTERY RANCHを愛用しているのでさらにガチ用途の登山ザックでもぜひMYSTERY RANCHを使ってみたい気持ちがありました。
ちなみに普段の外出で使っているヒップモンキーは普段着でちょうど良いサイズ・見た目のボディバッグながら一眼レフと財布等々が入る上、最大で2Lペットボトルも入れられて汎用性がヤバいボディバッグです。
実用性の高いMYSTERY RANCHのY字の3ジップ
→MYSTERY RANCHの象徴の1つとも言えるのがザック前面のY字の3ジップです。これがあることで底の方の荷物を取り出したり、パッキング後でも底の方の隙間に荷物を押し込んだりとアクセス性が爆上がりします。通勤に「2day Assault」を使って3ジップに感激して以来、登山ザックにこそ欲しい機構だと常々思っていました。そして私の知る限りMYSTERY RANCHのザックで3ジップを採用する最大級のモデルはこのテラフレーム50でした。
3ジップ 上蓋を開けずとも縦に開くことができます。
OVERLOADフィーチャーによる容量の拡張性
→このザックの真骨頂の機能。このザックは背面にフレームが装着されていて、ザックとフレームが分離可能になっています。そしてザックとフレームの間に荷物を挟んで運搬することができます。どういうことかというと
一見すると普通のザックですがよく見ると背面パネルとザックの間にフレームがあって
このようにザック本体と分離します。分離と言っても完全に外れるわけではなくて、底面以外の部分が分離されます。底面の大きさはバックルで調整可能になっていて、荷物を挟み込んだら左右とトップそれぞれ2ヶ所ずつ、計6ヶ所のベルトを締め込んで固定します。
尾瀬テント泊にて。ザックとフレームの間にテントやヘリノックスチェア、ゴミ類を挟み込んだ状態です。酒やらヘリノックスチェアやら余計なものをたくさん持っていった回で、加えて友人に貸すテントも持参したのでOVERLOADが大活躍しました。
さらに登山ではない一般のキャンプ時にも、薪を挟んで運んだり、大量のギアをいっぺんに運べるし、ザックの外なので他の荷物を汚す心配が少ないのが良いところ。
テント泊で一番役立つのが、朝露に濡れたテントを収納するとき、とりあえずOVERLOADで挟んでおくという技。収納の手間が省けるし、ザック外なので歩いているうちにある程度乾いてくれるし、昼休憩などでちょっと広げて干しておくのが簡単にできます。
MYSTERY RANCH公式サイトにて様々なOVERLOADの実例を見ることができます。
個人的に気に入っているのはミュージシャンがギターのハードケースを挟んで背負って旅をしている記事です。このザックの使い方は自由です。
ロードバイクも運搬できちゃう
私個人として最大の活用は西日本に長期滞在旅行をしたときに、輪行状態にしたロードバイクを運搬したことです。
京都駅から宿まで歩くには遠いけれどもう一度組み立てるには近い、けど肩に背負うのはもう疲れた、ということでダメ元でやってみたら破損なく運搬できたの図です。
テラフレームは65kgまで耐重量があるためロードバイク10kgもないロードバイクを追加するくらいじゃものともしません。
あとはブロンプトンを畳んで挟んだこともありますがこちらも当然、難なく背負えて究極の輪行スタイルでした。
極厚のウエストベルト
→見てくださいこの見るからに頼りがいのあるイカついウエストベルトを。
50Lザックに採用されるものとしては規格外に強く、なんと耐重量65kgというとんでもないスペックを誇ります。
50Lザックなんてパンパンに詰めてもせいぜい20kgくらい…つまりOVERLOADであと45kg背負えるね!
これでいくらでもかつげるだろう?と制作者の声が聞こえてくる…
ちなみに腰ベルトはデフォルトではポケットが付いておらず、代わりにモールシステムが採用されているので任意のバッグを付けることができます。いまは左右とも同じくMYSTERY RANCHのフォーリッジャーポケットLを付けていますが、以前はナルゲン(大)がそのまま入るバッグを付けていました。
モールシステムによる拡張性
コヨーテカラーのポーチを装着した図。
JETEDCというメーカーのモールシステム対応のポーチで、サバゲーマーがよく使っているらしいミリタリーアイテムの1つですが、Amazonで買えて他にも様々なポーチがあって、しかも1つ1000円前後なので色々試しやすいのでおすすめです。
テラフレーム50 欠点
他メーカーのザックに比べて重い
テラフレーム50の重量は2.3kg。堅牢な代わりに軽量性はあまり考えられていないMYSTERY RANCHですが、それでも山岳モデルではやや薄い生地を採用したり軽量化の努力が施されています。そのため同メーカーとしては軽量な部類になりますが、それでも一般的な登山用ザックで2.3kgといえば多くの60~70Lザックの重量に匹敵するため、50Lザックとしてはかなり重いと言わざるを得ません。ただしOVERLOADを考慮すれば70L以上の積載性があるので、大容量ザックの重量相場に収まっているという考え方もできます。
少なくともテラフレーム50は「軽くするため50Lザックに抑えておくか」という目的にはそぐわないので注意が必要です。
OVERLOAD使用時は重心の工夫が必要
これは見た目で想像がつく通りで、OVERLOADを使うと自分の身体から遠ざかる方向に「ザックが伸びていく」形になるので、後ろに傾きやすくなります。そのためなるべく重量物を挟み込み、ザック内には軽いものを入れるといった配置やパッキングの工夫が必要になってきます。この工夫を怠らなければ見た目から想像するほどにバランスを崩すことはありませんが、パッキングが苦手な人や極端に面倒くさがりな人にとっては大きな欠点になります。
中身が少ないと見た目が良くない
これはテラフレームに限らないことですが、ザックは中身が少ないと頭がくしゃっとしてしまうので形が悪くなります。自分には見えないだろうと言われればそれまでですが、髪型や服装と同じで気持ちに関わってくるので個人的には気になります。ただし形のために荷物を増やすのは本末転倒過ぎるので、荷物が少ない時には衣類をあえてまとめずに突っ込んだりして形を作っています。
使用例
南アルプス鳳凰三山、青木鉱泉ルートにて
奥穂高岳山頂にて
尾瀬ヶ原にて
デザイン性と機能性を兼ね備えていて、モールシステムによるカスタマイズも可能で登山時にはかゆいところに手が届き、非常時には容量を拡張できるという万能ザック。
さらに登山以外でも長期旅行やキャンプなど活躍の場は広く、見た目を綺麗にすることを無視すれば旅先で増えたものをビニールにまとめればOVERLOADでほぼ無限に積載できるので、あれこれ考えなくて良くなるのがアウトドアシーンにおいては大きいです。
一家に1つ、というレベルでオススメの逸品です。MYSTERY RANCH テラフレーム50の紹介でした。