山と自転車

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尾瀬にテント泊して燧ヶ岳に登ってきた② 燧ヶ岳登山編【見晴新道はぬかるみ地獄】

尾瀬テント泊登山2日目。

初日は鳩待峠から入山し尾瀬ヶ原を抜けて見晴キャンプ場にてテント泊しました。

↓初日編

www.mount-road.com

燧ヶ岳登山の行程

4:17 見晴キャンプ場

6:08 燧ヶ岳山頂(柴安嵓)

7:37 見晴キャンプ場

10:00 見晴キャンプ場発

12:37 鳩待峠

燧ヶ岳登山

5.28 前日の見晴キャンプ場での宴で十分優勝してしまったし、なるべく早く帰れる方が良いし燧ヶ岳は無理に登らなくていいかな、なんて思って明日は9時に出ようなんて話をして就寝したのですが…

私の身体は山ヤとして高度に訓練されているので

登っても予定通り帰れる時間に起きてしまった

4:17 見晴キャンプ場スタート

というわけで、酔い潰れているメンバー2人を起こさないよう、そろりそろりとアタックザックにレインウェアとナルゲンを詰めていざ出発します。

見晴キャンプ場から燧ヶ岳山頂までは「見晴新道」という片道3.5km、約1000mアップの登山道を登っていきます。燧ヶ岳は2つのピークを有していて、最高点は見晴新道側から最初に到達する柴安嵓(しばやすぐら)2356mで、その先に第2峰、俎嵓(まないたぐら)2346mがあります。ちなみに前夜の尾瀬レクチャーによると標高の覚え方は「にいさんごろごろ」。

地獄の見晴新道

序盤はしばらく木道が続くので「舗装路で距離が稼げるぜラッキー!」なんて思ったのが今は懐かしい(遠い目)。燧ヶ岳は素晴らしい眺望の山でしたがこの見晴新道は二度と歩きたくないと思ったとんでもない登山道です。

せり出す木々にぬかるみ地獄の酷道

後に知ることになりますが見晴新道はgoogle先生で「見晴新道 ぬかるみ」「見晴新道 ひどい」なんて予測が出てくるくらいの酷道です。木道が終わるとまずこのくらいのぬかるみ&道にせり出す木々のジャブからスタートします。

たった3kmからあと3kmもあるのかと心境が大きく変化しました。

だんだんぬかるみがデフォルトになり、その上で斜度が出てきて進む方向も分かりづらくなります。幸い比較的密にピンクテープが張ってありますが、テープごと木が倒れていたり吹っ飛んでいたりするので過酷です。何度かコースアウトしました。

5合目くらいから雪渓出現

遠目には雪がなかったから完全に油断しましたが5合目を過ぎてからちょくちょく雪が出現し始めます。雪は早朝でもシャーベット状になっていて、足跡も踏み固められて残っていたくらいなので滑りづらかったのが幸いしてなんとかなりました。本当にかろうじてなんとかなった感じですが、かといってアイゼンが必要かと言うと、雪と泥と露出した木々のミックス帯なのでかえって危険だった気がします。

6-7合目になってくると展望が開け始めます。真正面に至仏山、下界は尾瀬ヶ原。

極上キャンプの翌朝、早起きして一人で何してんだろうと心が折れかけたのがここです。

8合目、ぬかるみが終わる

8合目まで来ると、地獄のぬかるみ登山はひとまず終了して、山頂へのラストアタックになります。

8-9合目間はほぼ水平移動で斜面のトラバースです。全体を通して雪があるものの、雪上を避けても進めます。

水平移動を終え、9合目に至る直前のプチ大雪渓。斜度はきつくなく、登りは特に危うい場面もなく登れます。ただし下山時はさすがに転ぶ気しかしなかったので、落ちていた太い枯れ木をストック代わりにして降りました。

9合目 眺望が開ける

精神力勝負の長い道のりを終え、頂上直下の9合目。あの登山道を抜けてきた事実に涙が出そうになります。

9合目を過ぎるとまもなく森林限界を超え、ようやく完全に眺望が開けます。至仏山と尾瀬ヶ原を望む。全体の所要時間は一般的な日帰り登山のそれなのですが、頂上直下まで眺望がない我慢の時間というのは南アルプスに似ている感じです。

距離はそれほど離れていないはずなのに、至仏山には明らかに雪が多く残っているのが不思議。

燧ヶ岳山頂(柴安嵓)

燧ヶ岳山頂(柴安嵓)2356mに到着。

厳冬期黒戸尾根を日帰りしたので健脚には自信がある私です。見晴キャンプ場から2時間かからずで登頂しました。意地のスピードハイク。実は奥の俎嵓が最高峰だと勘違いしていて、意図せず先に最高峰を踏めたのでここをゴールとしました。この時点で6時8分で、下山に1時間ちょっととしても9時出発には十分間に合うので山頂の景色を満喫できました。

俎嵓方面の景色

まずは第2峰、俎嵓と鞍部。

尾瀬沼方面の景色

続いて尾瀬沼。大清水から入山するとあの沼の向こう側から向かってくることになります。

至仏山、尾瀬ヶ原方面の景色

至仏山と尾瀬ヶ原方面。

山頂の様子。広々していて食事を摂るのに困らない感じです。この日は途中で1組抜いて、9合目を過ぎて写真の1人を抜いたので、この日はおそらく私が最初に山頂を踏んだ男です。いかなる時でも男は最初の男になりたがります。

尾瀬ヶ原アップ。樹林との境目の建物の一帯がベースキャンプ地の見晴。上から見ると尾瀬ヶ原のど真ん中を貫く木道がよく分かります。

この日は時間とともに晴れてきたので、下山直前になるとずいぶんと雲がなくなっていました。

9合目直下の例のプチ大雪渓。最悪滑ってもすぐ止まれる地形なので頼りない枯れ木のストックで、足裏全体接地を意識して下りました。下山時には数多くのパーティとすれ違い、ぬかるみに四苦八苦している様子を見て先輩ヅラしながら雪の情報などを伝えて下山します。

下山し再びのCHILL OUT

そして7時半過ぎ、想定より大幅に早く下山して飲兵衛2人と合流しモーニングCHILL OUT

なんかごそごそしてた気はしたけど

ホントに登ったんか(笑)

おつかれちゃん(笑)

なんか登らなかった奴らに見下されてない?(怒)

二日酔いで食事に対するモチベーションが低めな2人をよそに食欲爆発の私です。怒涛のソーセージ7本焼きです。

今回ツエルト泊をしてみて撤収が早いというメリットに気づきました。。ペグを抜く→ツエルトをたたむ→しまう、以上。本来なら30Lザックでもテント泊ができるはずのツエルト泊なのになぜかザックはパンパンで

ミステリーランチの特異的機能、オーバーロードをフル活用しています。MR氏に貸したテントを背負っているのもありますが、ツエルト泊とは思えないほど荷物が多いです。

撤収後の見晴キャンプ場

朝10時の見晴キャンプ場。9割がた撤収していて、完全平地なエリアが多いことが分かります。。

同じくアルプス縦走でもしそうな重装備のTK。チェアツーの存在感がありすぎる。

9時出発予定で10時出発。我々としてはかなり優秀でほぼスケジュール通り。

DAY1に比べると青空が目立ち、さらに非日常な空間に感じられる尾瀬ヶ原。

振り返ると朝イチで踏破した燧ヶ岳。遠目には雪がないんだけどな…。

水芭蕉

よく考えたら飲んだけどちゃんと撮っていなかった水芭蕉。綺麗だけどだめだ、水芭蕉と聞いたら日本酒しか浮かばない我々です。

花の名前になる日本酒ってすごいよな

順序が逆ゥ!

山ノ鼻、至仏山荘にて花豆ソフトクリーム。対して美味しくないご当地ソフトクリームも散見される中、これは今まで味わったことのない類の味でちゃんと美味しかったです。

遠い、複雑、というイメージでハードル高く感じていた尾瀬でしたが、週末2日間が使えればある程度余裕を持った山行計画が立てられることを知りました。関東圏に住んでいるならめちゃくちゃにオススメです。見晴キャンプ場は過ごしやすく最高すぎたので山に登らないとしてもぜひここにテントを張って夜を過ごして欲しいと思います。

人生で一度は尾瀬に泊まるという至高体験を。尾瀬山行記録でした。