2023年山納め
今年も例によって山と自転車で遊び尽くした年でした!インスタ・Facebookで繋がっている友人からは仕事する暇あるのかそもそも本当に働いているのかなどと暴言を吐かれるのも恒例行事ですが、ちゃんと働いて時間をうまいことやりくりして遊んでいます。
八ヶ岳縞枯山での山初めからスノーモンスター、夏は燕岳に登ったり利尻・礼文島に行って利尻山に登って、概ね2ヶ月に一回はがっつり登っている計算になりました。近所の低山も含めると月1回+αくらいのペースでしょうか。
そんな2023年最後の登山は福島の名峰、安達太良山(あだたらやま)に登ってきました!12月29日の仕事納め後に郡山市に前泊したのでかなり時間的に余裕があり、良い山納めになりました!
安達太良山登山 ルート
あだたら高原スキー場からアクセスし、反時計回りに周回するベーシックなルートです。歩行距離11km、獲得標高1000m未満、コースタイムは5時間ほどなので暗いうちに出る必要もなくお手軽。ゆったりできて年の瀬にふさわしい登山です。遠征になるとどうしても帰りの移動がチラついて早く下山したくなりますが、このくらいだと東京までの帰路を考慮しても余裕で日付が変わる前に帰れるので、普段と比べて心の余裕が段違いです。
ちなみに紅葉シーズンまでは安達太良山ロープウェイが運行しているので、それを利用するとコースタイムがさらに1時間ほど短縮できてハイキング感覚で登ることができます。
前泊編
東京から安達太良山までのアクセスは車で4時間ちょっとです。上記の通りコースタイムが短めなので早朝に出れば完全な日帰りもギリギリ可能ですが、辛いので仕事納めのあと、17時過ぎに自宅を出て前泊することにしました。前泊地は磐梯山に登った東北遠征①の時と同じく、福島県郡山市です。メンバーは東京、千葉、静岡と散っているので途中で合流して乗り合わせるいつものプランです。
道の駅 庄和
東京郊外の自宅から車で1時間半、埼玉の道の駅庄和にて仲間と合流します。メンバーは師匠とHG氏、KW氏の4名です。過去の東北遠征や大キレット縦走をともに歩いてきた精鋭メンバーです。
19時過ぎに道の駅庄和に到着しました。ここはクレヨンしんちゃんでおなじみの埼玉県春日部市です。今回はスノータイヤを装備しているのが私だけだったので、師匠の鶴の一声によりまさかのジムニーシエラに雪山道具を持った男4乗という狂った計画が爆誕しました。ジムニーシエラの限界への挑戦です。
宿泊地は郡山市の「エコホテルフリード」です。道の駅庄和から1時間半ほど、安達太良山の登山口までは1時間弱の立地です。
エコホテルフリード
師匠が探してくれた「エコホテルフリード」はユースホステルに近いスタイルの合宿場のような宿で、1部屋に詰めれば4-5人は寝られそうなキャパがあり1人4000円ほどで泊まれる、まさに寝るだけ前泊にぴったりの宿でした。立地・スタイル的に安達太良山、磐梯山や西吾妻山などの前泊におすすめです。
高校の陸上部時代の合宿場を思い出します。街明かりがほとんどない住宅街に突然現れるような場所ですが、徒歩圏内にセブンイレブンやドラッグストアがありました。セブンイレブンで翌朝の食事と軽い晩酌のお酒とつまみを買います。22時半頃に到着したので遠征登山前日とは思えないくらいゆっくり過ごせました。ちなみに大浴場はありませんが風呂トイレ別で足をのばして入れる浴槽が付いているのでしっかり身体を休めることができます。
安達太良山登山
静岡から参戦のKW氏は時間の都合で当日合流になったので、まずは郡山駅でピックアップします。エコホテルフリードからは20分くらいです。
ジムニーシエラに4乗
…ホントに乗れるんか?
いけるよ
タイヤの上のスペースが優秀だから
基本2乗のジムニーシエラとはいえ3人までなら余裕がありますが、いよいよ未知の4乗です。しかも日帰りとはいえ雪山装備の4乗なので隙間という隙間をフル活用する必要があります。後部座席とバックドアの間にザック2つを押し込み、あとは後部座席の両サイドに残る2名分のザックを置いてもらいます。後部タイヤ上に相当するこのスペースは師匠の言う通り優秀です。
4乗した後部座席の様子です。多少縮こまってもらう必要はありますが「物理的に」という観点で見れば全然可能です。もともとネカフェ前泊やテント泊にも慣れている精鋭メンバーなのでこのくらいなら問題なし。膝上に抱えるという手が残っているので実際はまだ多少の余裕があります(物理的には)。
これは帰路の写真ですが、人を除いた状態はこんな感じです。ここに2人は無理だろ、と思ったあなたはまだまだストイックさが足りません。
登山口 あだたら高原スキー場
今回の登山口であるあだたら高原スキー場です。郡山駅からは45分程度の道のりです。ゲレンデの脇から登山道が伸びているのでリフトは使いません。我々は9時半過ぎに到着したので登山としてはかなりゆっくりのスタートでしたが、15時には下山することができました。
記録的な暖冬の影響でゲレンデにはまだまだ雪が少ないです。雪を求めて福島まで来たというのに…果たして大丈夫なのでしょうか…
登山開始時点の気温はなんと5度。暑くてとてもシェルは着ていられませんでした。稜線に出るまではドライナミックメッシュ+ジオラインExp+パタゴニアR1の3枚で十分でした。
ゲレンデとしてはちょっとさみしいくらいの積雪量ですが、雪山シーズン初戦としては良いコンディション。
登山道序盤にプチ氷爆。今季は初見です。
ああ好き。日本昔ばなしみたいなこの景色。
登山道は全体的に非常に緩やかで、くろがね小屋まではアイゼンなしで歩けました。ところどころ旧道との分岐が現れますが、どちらを進んでも大きくは変わりません。旧道はコーナーを直進するようになっているので距離は短くなります。
くろがね小屋までは全体的にこんな感じです。
1時間も歩くと視界がひらけてきました。この日は午後になるにつれて晴れる予報だったので…
外界方面はこの通り!しかし本当に東北とは思えないくらい雪がありません。
くろがね小屋を通らずに登るルートもありますが、今回は周回ルートで進みます。
朝から安達太良山方面は雲に包まれていて、まだ山頂方面は雲に隠れて見えません。
くろがね小屋
くろがね小屋が見えてきます。午後から晴れる予報であれば序盤に時間を稼いだ方が良いのでくろがね小屋で休憩にします。小屋は冬季休業ですが、複数のパーティが小屋の前で食事をとっていました。
この日の師匠飯はポトフです。家で調理は済ませてくれていて、現地では温めるだけの合理的ヤマメシです。師匠は「山で食べれば何でも美味い」に甘んじることなくちゃんと美味しい料理を提供してくれます。しかし雪山で飲む熱々のスープはマジで命の元です。
雪山では本当にジェットボイルが最強です。沸騰までが速すぎる。師匠と私の2台体制なので、男4人分の温めも一瞬です。ジェットボイルといえば湯沸かし専用機と思われがちですが、このジェットボイルミニモはサーモレギュレータが搭載されとろ火調理、雪山使用が可能かつ鍋型で非常に使い勝手が良いモデルです。
くろがね小屋まではほぼ無風でしたが、稜線・山頂付近はそれなりに風が吹いているようで、少しずつ雲が晴れてきました。
くろがね小屋より先は低い木々の間を抜けるように進みます。2月頃の積雪量になるとこのあたり一帯は全て雪に埋もれて雪の斜面だけになるそうです。
なので雪山シーズンの安達太良山としてはまだまだ雪が少ない状況ですが、これはこれで霧氷が楽しめて綺麗です。
青と白の世界
むひょ〜
これですこれ、雪山といえばの青と白だけの世界。これが見たくて雪山に来ています。今日もオリンパスブルーの発色が絶好調です。
樹木は雪を纏って丸みを帯びています。鹿のツノのようです。
素晴らしき青と白の世界。遠目に見えている市街地をズームしてみると…
東北No.2の繁華街、郡山駅周辺の様子です。規模感が甲府盆地と甲府駅周辺の雰囲気に似ています。ちなみに1位は言わずもがな、仙台駅です。
先程の低木帯を抜けるといよいよ山頂直下です。まだ山頂は姿を見せませんがだいぶ雲が薄くなり、優勝の予感がしています。
まるでカールのような山肌。
頂上直下
いよいよ山頂まで残り20分ほど、頂上直下です。
まだ雲の中ですが稜線がうっすら見えてきました。
ここだけ切り取ると遭難中のようですが…
天気予報通り、どんどん晴れてきました!!
写真てっぺんに見えているのが安達太良山山頂です。左側から回り込むようにして登るのが本来のルートですが、我々は漢のラッセル直登ルートを進みます。1歩進む労力がここまでの10歩分に相当します。辛い!心臓が口から出てきそう!!タノシー!!!
あのてっぺんまで直登するつもりが途中から正規登山道に合流し稜線に出ました。安達太良山の山頂標識が立っていますが真の山頂はあの上です。しかし、何度も言いますがこの青と白の世界は最高だぜ!!
サイコー以外の言葉が出ません。山に登ると人間はシンプルになる。
遠目には太平洋の海岸線です。山の上から海を見ると世界を統べた気になります。
後ろには郡山市街地。山しか見えないアルプスも良いけれどこういう街と繋がっている山も良いもんです。
頂上直下のさらに直下 鎖場
あと一息、山頂を目指します。ここだけ鎖場になっていますが、さすがに大半が雪に埋まっています。赤岳頂上直下のように見えますがさらに距離は短く、特別な技術は要りません。
そして…
安達太良山山頂
登山開始から3時間半ほど、安達太良山山頂1700mに到達しました!!!
山頂は3,4組くらいなら食事がとれるくらいの広さがありました。
さらに一段高くなり視界が開けます。
スマホカメラの進化が目覚ましいとはいえこの光条は撮れまい(ニチャア
最初はくろがね小屋で見た山肌が最後の景色になるかもしれないなんて話していましたが逆転勝利、完全優勝です!
こういう写真を撮るために、レンズ交換のリスクを厭わずわざわざ超広角レンズを持っていきます。持ってって良かったー。
宇宙に続くグラデーション。本当にオリンパスブルーの空は綺麗です。
下山開始
山頂周辺はさすがに無風とはいかず気温もマイナス3度くらいまで下がっていたので40分ほど滞在して帰路につきます。
周回ルートなのであだたら山ロープウェイ方面を目指します。道中にはスノーモンスターになりきれなかった樹氷たち。
薬師岳展望台
下山途中にあったピークの一つ、薬師岳は展望スポットになっています。
謎の鐘。
おっぱい山
そういえばここ安達太良山は別名おっぱい山、乳首山なんて呼ばれています。
結局おっぱいとは何だったのか
寒さで頭がやられた人の幻覚だったんだな
おい、あれは…
おっp
おっぱいだ!!!!!
ひんぬーだ
可愛らしい
俺の大胸筋の方があるな
薬師岳展望台から見た外界方面です。スタート地点のゲレンデが見えていますが思ったよりはまだ距離がありそうです。
そしてここから先は藪こぎが始まります。
雪が少ない分路面状況も悪く、いつぞやのぬかるみ地獄の見晴新道を思い出しました。
降りきるまでは結構つらい道でした。気温が高い分アイスバーン状態ではなかったのが幸いでしたが、みんな1,2回は足を取られていました。このくらいの積雪量ならこちらを登りにする時計回りの周回をおすすめします。
正規登山道がリフトの真下というシュールリアリズムを経て下山しました。
岳温泉 あだたら山 奥岳の湯
下山後はゲレンデの眼の前にある奥岳の湯に立ち寄ります。露天風呂がインフィニティプールならぬインフィニティ温泉のようになっていたのが印象的でした。700円と良心的で非常に快適でした。
帰路は宇都宮餃子へ
15時に下山したので温泉を出てもまだ16時過ぎ。夕食にはちょっと早いので帰りがてら宇都宮を目指すことにしました。お目当てはいつもの「来らっせ」です。この一箇所で宇都宮の名店が一度に味わえ、フードコート形式で回転も早いので登山後に使いやすく、我々は何だかんだ年に1回は訪れています。
帰りの車内はこの通り。
写真で地獄感が伝えづらいのが残念ですが、一度ジムニーの車内を見てみてください。男4人と雪山ザック×4をここに収めました。
宇都宮餃子 来らっせ本店
餃子ドーン!!
この日は思考停止で9店舗分を全て注文し、4人で45個、ごはんセットをつけて一人あたり1200円でした。人数の暴力って素敵。
帰りは後部座席に業を煮やした師匠により、ずっと運転席と助手席にいた私とHG氏が後部座席に押し込まれました。肩と肩が常に触れ合うこの距離感。しかし座れる上に前には空間があるので満員電車よりは全然マシ。むしろ屋根があるところで座れる!幸せ!というマインドです。幸せとは「なる」ものではなく「感じる」ものなので基準を下げることが大事。
安達太良山まとめ
今年の暖冬を差っ引いても12月末はまだ雪の量的にはやや少ない時期のようですが、十分雪山の楽しさは味わえました。東京からすると遠いものの登山工程が長くないため、1泊2日あれば余裕を持って楽しめます。雪山レベル的にも晴れていれば初心者向けと言えそうです。
2023年山納めの安達太良山でした!