こんにちは、つい先日人生初の全身麻酔手術を経験し人間力が上がった上社です。良性疾患なので2泊3日の入院ですぐ退院したのですが、入院中一番つらかったことは病室でじっとしていることでした。そんな鬱憤を溜めていたので退院翌日に気付いたら山に登っていました。
辛いけど気付いたら好きになっていた丹沢
神奈川県西部に位置する丹沢山塊は私に「山は数字で語ってはいけない」という教訓を与えてくれた山でした。丹沢は最高峰でも1500m程度の低山ですが、ルートによっては登山としての難易度は3000m級の北アルプスにも劣りません。もっとシンプルに言うと標高が低い割にキツいのがここ丹沢です。
初めて登ったのはヤビツ峠からの塔ノ岳ピストンでしたが、行きも帰りもアップダウンが多くて距離も長くて死ぬほど辛く景色の印象が残っていないくらいでした。しかし登山にハマって景色を見る余裕ができるくらいの体力を身につけて訪れると、稜線からは海、街、そして深い山々と様々な景色が楽しめてとても良いエリアでした。
大倉尾根から塔ノ岳ピストン
今回はそんな丹沢の中でもメジャーなルートである大倉尾根、通称バカ尾根を起点とするピストンで塔ノ岳に登ってきました。2024年2月初旬、東京都内にも8cmの積雪をもたらした降雪により丹沢も見事な雪化粧を纏っているとSNSで評判だったので、雪の丹沢を見てみたいというのが目的です。ちなみにこの日は降雪から4日後でしたが山頂付近はかなり雪が残っていて、思っていたよりガッツリ雪山登山の様相でした。
登山データ
RTA的な気持ちで登った往路は休憩込み2時間40分でした。3年前は2時間20分で登っていましたが雪の影響の+20分と考えれば概ね体力は維持できていそうで安心しました。
登山口 大倉
東名高速の秦野丹沢スマートICを降りて10分ほどの位置に県営の大倉駐車場があります。
大倉駐車場の利用開始は朝8時からなので要注意です。
すっかり忘れて今回朝7時頃に現地に着いたのですが、せっかく早起きしたのに1時間待機するわけにもいきません。細い道なのでとりあえずそのまま進むと近隣住民が経営している駐車場がいくつかあり、大倉駐車場から最初に出てくるお宅に駐車しました。1日500円と良心的です。諏訪湖の花火大会の時に数時間で5000円取ろうとする近隣住民はもう少し謙虚に鳴ってほしいものです。
先にも数件個人駐車場があったので、7時台に来るくらいのガチ勢はすべて収容できそうでした。
冬は7時位でも日の出が味わえてお得ですね。
大倉尾根スタート
10分ほど舗装路を歩きやってきました大倉尾根。
とにかく長くて辛いと有名な大倉尾根ですが、上高地から横尾までのあの区間とか槍沢とか南アルプスを歩いたことがある人ならばあまり身構える必要はないです。
大倉尾根は3年前に初めて歩きましたが個人的には整地された登山道ながら景観のバリエーションがあって結構好きな道です。
序盤は全く雪はなく林道を淡々と歩きます。
途中、大観望という眺望スポットを経由する道と二手に分かれますが、どちらに行っても同じ場所に合流します。
こちらが合流地点。
大倉尾根は位置を示すこのような標識がこまめに登場します。全部で50個近いのでまだまだ序盤です。
見晴茶屋
大倉尾根の最初の眺望スポットです。
東に湘南〜三浦半島方面、西は小田原から伊豆半島までが見渡せます。
湘南方面ズーム。湾に浮かぶ江の島がよく見えました。
道が歩きやすくて純粋な体力勝負を突きつけてくる、言い訳を許さない感じの大倉尾根、やはり嫌いじゃありません。
残り4kmを切ったことを示す標識が出てきたあたりから、ようやく登山道に雪が見え始めました。
三ノ塔、ヤビツ峠方面。下界は概ね晴れているようですが稜線周りには雲が多いようです。
ザ・低山の尾根なこの道めっちゃ好きです。早く来たこともあり静かな山歩きで癒やされます。入院のストレスが溶けてゆく…
日当たりの影響なのか、必ずしも標高とは関係なく突然雪が多いエリアがあったりします。大倉尾根は基本登り一辺倒なので帰りはちょっと苦労しそうです。
花立山荘
今回の登山の大きな転換点となったのが山頂までの最後の休憩ヶ所となる花立山荘です。このちょっかもまずまずの雪がありましたが、いよいよここでアイゼンを装着しました。
ものすごく久々に使ったモンベルのスノースパイク10です。いまはモデルチェンジでカジタックスアイゼンに近いオレンジ色になっています。しかし私は1万円でお釣りが来るくらいで買ったと思いますが結構値上がりしたようです。軽アイゼンながら前爪があるおかげで結構な雪山でも使えてしまうので初めてのアイゼンにおすすめです。
山肌アップ。今年は暖冬だったので2023年末の安達太良山から見た近隣の山はこんなもんでした。丹沢で雪を見るのは新鮮です。
残り0.8km、いよいよ頂上直下です。しかし予報に反してこの雲よ。
あの看板から先は道幅が狭くなるので、雪がある状況では案外スリリングです。
これなんかちょっと黒戸尾根みがあります。滑落が起こりそうです。
金冷シ
鍋割山方面の道との分岐点、塔ノ岳山頂までほんのわずかのポイントがこの金冷シです。名前の由来はまあもしかしなくてもタマキンのことです。タマキンが冷えるほど怖い場所という意味合いです。とはいえ鎖場でもなければそんな怖い場所ではありません。
ここで青空が広がっていたらどんなに良かったか。まもなく山頂です。
塔ノ岳山頂
本当なら背景には深い丹沢の山々とフジヤマドーンのはずが。先月の武尊山から悪い流れが続いています。いやーーーー登山指数Aに天気予報も1日中晴れマークだったんですけどねーーーー
尊仏山荘
ちょっとあまりにも寒かったので山頂の尊仏山荘に駆け込みました。400円のコーヒーで晴れるまで待機する籠城戦です。山小屋の石油ストーブっていいですよねほんとに。
山頂がガスっている時どのくらい待つか問題。個人的には長くても30分くらいで見切りを付けて、眺望が得られなかった回は早く下山して美味しいものを食べて帰るなり温泉に行くなり違うところを充実させようとする派です。
若干の天候回復はありましたが山頂で青空を拝むのは難しそうなので早々に下山開始しました。結果的には標高を下げた方がまだ眺望が得られました。
花立山荘(下山時)
下山時の花立山荘からの景色がこの日一番でした。なんとか青空と湘南の町並みを拝むことができました。
小田原方面、飛び出した部分は真鶴半島です。
雲海と見分けが付きづらいですが上半分は太平洋です。
登山者と秦野の町並み。
右側は三ノ塔、左側は大山です。真ん中がヤビツ峠。
下界はこの通りまずまず晴れてきましたが、山頂方面はだめそうです。しばらく堪能して帰路につきます。
下山後、だいぶ晴れて大山の山頂周囲がはっきり見えるようになりましたが塔ノ岳以降の稜線はずっと雲の中でした。
湯花楽厚木店
下山後はいつものようにサウナのあるスーパー銭湯に駆け込みます。湯花楽厚木店は大倉からはだいぶ離れますが、直ぐ目の前にWILD-1厚木店があり入浴後に歩いて宝探しができる一度で二度美味しい立地なのでおすすめです。
久々の丹沢。山頂の眺望は残念でしたが大倉尾根はやはり楽しい登山道でした。ネットで健脚自慢の声を見ると2時間切りが一つの目標とされているようです。体力自慢としていつか2時間のRTAに挑戦したいと思います。