山と自転車

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【登山】白馬岳1泊2日テント泊 猿倉〜大雪渓〜栂池ルート 〜一生に一度はテント泊登山を〜2020.8

一生に一度はテント泊登山を

これは非アウトドア派の登山初心者である細君に、一生に一度だけでもテント泊登山の素晴らしさを伝えるべく計画した一泊二日の白馬岳テント泊登山の記録です。山男と結婚したからには宿命だと思って諦めてもらい連れていきました。

一生に一度くらいは山でテント泊してみるべき

仕方あるまい

ルート・山行データ

初日に猿倉登山口から入り、山頂近くの頂上宿舎にテント泊、2日目に稜線歩きをして栂池に下るメジャールートです。色々あって初心者向けとは思えないかなり登りごたえのある山行になりました。

day1 八方尾根駐車場→猿倉登山口→→白馬岳頂上宿舎テン場(所要時間 07:28)

day2 白馬岳頂上宿舎→白馬岳→白馬大池→栂池自然園ビジターセンター(07:26)

白馬岳テント泊登山 day1

八方尾根駐車場

時は夏山シーズン真っ盛りの8月の週末ということでタイミングをずらし、日月曜日で決行しました。土曜日の仕事終わりに湘南の自宅を出て、八方尾根駐車場にて車中泊。日曜朝にタクシーにて猿倉登山口まで移動し06:18行動開始しました。

駐車場から見たモルゲンロート。

猿倉からスタート

装備は私が70Lザックでテントほか全ての食料を背負い20kgほど。細君は運動部経験もなければ非アウトドア派で、体力は一般的な成人女性レベルなので30Lザックに飲料、ダウンシュラフ、マットなど最低限の装備だけ背負ってもらいました。重量はザック抜きで5kgくらいだと思います。

白馬尻小屋

しばらくは森の中を進み、80分ほどで白馬尻小屋、大雪渓入り口に到達します。細君はすでにバテまくっていたので長めの休憩を取り、シュラフなどこちらのザックに積めるものは移植しました。

特に迷うようなところはなく、ひたすら大雪渓を登るだけというシンプルなルートです。難所もなく序盤からこの景色なのが人気の理由です。

大雪渓

白馬尻小屋を過ぎるといよいよ大雪渓に突入します。軽アイゼンは必須となるのではじめから装着しておきます。3シーズン靴にモンベルの10本爪アイゼンを装着して望みます。

登山者が多く賑わいますが、ルートを少し外れるとクレバスになっていたり、下を流れる雪解け水の影響で雪庇のように不安定な状態になっている場所があるので歩行ルートは慎重になる必要があります。

天然のクーラーと称されるだけあり、半袖では肌寒く感じるくらいの冷気のもと登り続けます。夏山の上昇気流が冷気を運んでいて常に風が吹いています。

最初に正面に見えてくるこちらは杓子岳。白馬三山の一つ。

大雪渓が終わると間もなく山頂、と思いきやまだまだあります。初心者向けと称されるのが信じられないくらい斜度がキツいです。細君の荷物も背負って25kg超えの装備のせいかもしれませんが、また来ようという気になれないくらいには辛い登りでした。自分のペースでないのも影響していそうです。しかし装備の影響もあるけど6kmで1500アップって結構過酷じゃない??

お花畑

白馬岳といえばお花畑です。高山植物はチングルマくらいしか知りませんが高山の花というのも良いもんです。

大雪渓を抜けてからはさらに斜度がキツくなります。やめてくれ。道幅も狭くなり、譲り合いで頻繁に立ち止まることになるのがまたペースを乱されてしんどいです。装備が重すぎる説もありますがとにかくキツかったです。

day1ゴール 頂上宿舎

終わらぬ登りはない、ということでday1ゴールの頂上宿舎に辛くも到達しました。白馬山荘、白馬岳はここから少し登ったところにありますが、登山としての標高アップはここでほぼ終了です。

受付を済ませテントを設営します。今回は新テント、ニーモのアトム2P。横幅130cmなので2人までいけるはず。

白馬山荘

荷物を置いて白馬山荘へ。収容人数800人を誇る、日本最大級の山荘です。レストランスペースだけでもこの広さで下界のホテルに引けを取らない豪華さです。

おみやげコーナーにはモンベルの白馬山荘オリジナルTシャツや、雷鳥がモチーフのキャラクターTシャツなどが取り揃えられています。OD缶も置いてあり、手ぶらで来てもなんとかなるんじゃないかと思える充実っぷりを誇ります。

白馬岳テント泊登山 day2

残念ながら初日夜は雨が降り、迎えたday2もこの立ち上がりです。白馬岳山頂は何も見えずに通過することになってしまいました。

アルプスのアイドル雷鳥。個人的には雷鳥の遭遇率が高いので感動は少ないものの、アルプスに来たという実感がしてきます。

稜線

今回は初心者にテント泊、山の良さを知ってもらうというコンセプトなので本当に祈る気持ちで稜線を歩きました。私でも晴れなければほぼ楽しくないのでこのままだったらどうしようと。

願いが通じて完全に晴れることはなかったものの、要所要所で晴れ間が出てくれました。北アルプスの稜線は周囲に山しか見えず、街と切り離されているのでやはり特別です。

山ヤはこの稜線を見れば辛かった道のりが全てチャラになり後には楽しかった記憶しか残らないようにできていますが、細君は疲労が上回っていたようでした。

ほら見てごらんこの稜せn

そんなゼェゼェ

余裕はゼェゼェ

ねえゼェゼェ

白馬岳から栂池に抜けて下山する場合、白馬大池まではどこを見ても山しかない、ずっとご褒美タイムの極上の稜線が続きます。多少のアップダウンはありますが重装備でも体力度的にはあまり気にならない程度の穏やかな稜線です。

白馬大池

稜線歩きのゴールは白馬大池。ここから先は我慢の時間になります。

標高を落とす前に再び雪渓が出てきます。距離が短かったので横着してアイゼンなしで渡りましたが下が岩場なので滑落すると危険です。自信がなければ履きましょう。

樹林帯に入る直前、目指す栂池方面が見えました。長いし落差も大きいし樹林帯だし、我慢の時間です。

最後は湿原のような遊歩道歩きを経て栂池自然園に至ります。栂池から八方尾根駐車場まではバスが出ているものの、本数は多くないのでタクシーの方が良いです。同じタイミングで下山する人が大勢いたのでどちらともなく相乗りになりました。

まとめ

北アルプス入門といえば誰に聞いても3番手くらいには入ってきそうな白馬岳。確かに真夏なのに雪が残っていたり、高山植物のお花畑があったり豪華な山荘があったり山に引きずり込む魅惑の稜線歩きがあったりして、危険箇所も少ないということで北アルプス入門には向いていそうです。しかし決して登山初心者向けではありません。運動強度的には本当の初心者ではギブアップしかねないので、ある程度登山には慣れておく必要があります。

また、山荘があれだけ立派なのでテント泊よりも山荘泊の方が快適で幸せな思い出になるかもしれません。今回はテント泊というコンセプトだったので仕方ありませんが。

北アルプスデビューを目論む人や登山初心者を連れて登る予定の人は、まずは前哨戦として、お手軽に見せかけて1000mアップの丹沢大山や、精神面も鍛えられる大倉尾根1200mアップなどで体力の評価をした方が良いと思います。

かくして細君にテント泊を味わってもらう企画は無事終了しました。結果として想定より過酷な2日間になってしまったので彼女が今後一緒に山でテント泊してくれることはないと思いますが、一度付き合ってくれただけでも感謝しなくてはなりません。なむなむ。