新年一発目の雪山は関東からアクセス良好、かつスキー場のリフトを使って手軽に登れる上州武尊山(ほたかやま)に登ってきました!下記の通り往復3時間半、獲得標高もわずかながら、積雪量が多かったのでとんでもない運動量でした。今年は暖冬だから雪山はしょぼいとか言ってたのだぁれ?
上州武尊山 アクセス
上州武尊山は群馬県北部に位置している日本百名山の一座です。南に赤城山、北には尾瀬、西に谷川岳、東に日光白根山と百名山揃いの激アツエリアです。
武尊山は夏季はロングコースですが冬季には麓の川場スキー場からリフトを乗り継いで稜線上からスタートすることが可能なのでお手軽になります。
東京神奈川方面からアクセスする場合、関越道で新潟方面に進みつつ沼田ICで降り、そこから山道含め1時間弱ほどで到着します。私の住む西東京からは130kmほどでしたが、ほぼずっと高速に乗るので2時間強、思いの外すぐでした。
ソロ遠征の秘密兵器
過去記事を読んでくれている方はご存知の通り私は運転が嫌いです。最近は登りたい山というより運転せずに登れる山を探し始めたくらいです。ソロだと交通費が割高な上、電車やバスならその時間寝るなり本読むなりできるのに運転はずっと集中していなきゃならないので無駄な時間に感じます。同じような人多いんじゃないでしょうか。
そんな私が最近よくやっているのがiPad miniを車載し観たかったアニメや映画の一気観時間に当てるというワザです。これをすることで一気に車での移動時間が輝き始めました。サブ回線に契約しているPOVOの24時間使い放題オプション330円のおかげです。今回は往復で「薬屋のひとりごと」を13話まで一気に観ました。ミステリー要素がメインながらテンポ感が良く、キャラも世界観もしっかりして素晴らしい作品です。
山行記録
川場スキー場
川場スキー場の始発リフトは8:00なので7:30頃には着いていられるよう動きました。山道がまさかの大渋滞…と思ったらだいぶ手前が料金所になっていてこれによる渋滞だったようです。
駐車料金はゲレンデに一番近い立体駐車場が1500円、その手前の屋外駐車場は500円です。
結論から言うと屋外駐車場で全然良いです。むしろ立体駐車場はほとんど車停まってませんでした。料金所にて「駐車1台1500円です(圧)」「あれっ、屋外はもう埋まってる感じですか?」「ああ、屋外で良いなら500円ですよ」というやり取り。1500円の選択肢しかない風に案内するの止めてもらっていいですかね??
奥の車の群れが一番上に位置する屋外駐車場で、この写真は立体駐車場の入り口から撮っています。たったこれだけの距離を歩かなくて済むことに1000円の価値を感じられる人のみが立体駐車場に停める資格があります。
立体駐車場には男女トイレがあり、その奥にエレベータがあるので最上階の7階に上がります。
川場スキー場。なんて良い景色。ちなみに今日は午前晴れたのち午後曇りの予報なので、午前中のうちにアタックを決めるつもりですが既に山頂方面は雲の中。結構怪しい感じです。
武尊山 入山方法について
冬季の武尊山に入山するにはココヘリの携帯と登山届の提出が義務付けられています。
①ココヘリの携帯
持っていなければリフト券購入所の横で1日1100円でレンタルする必要があります。自前のものを持っている場合には当然レンタルは不要です。
②登山届の提出
これが要注意です。登山届はYAMAPやヤマレコで作成、提出したものは認められません。
私はココヘリを契約しているので、登山届はヤマレコで作成した山行計画をココヘリの登山計画ページから登録するようにしているのですが、何故かこれがダメだと言われました。
ココヘリ的には登山届は①コンパスで提出②ヤマレコ・ヤマップで提出③ココヘリ登山計画と案内しているのでそのいずれかに倣っていれば良いじゃないかと思いますがダメだそうです。結局ここで登山届を手書きさせられました。
ちなみに登山者用のリフト料金は2400円で、ICカードタイプになっているのでその保証料500円、計2900円を支払います。PayPayなど各種キャッシュレス決済に対応していました。登山者に対する先の事情などもあり、ここの券売所のテンポは非常に悪かったので事前購入しておくことをおすすめします。
川場スキー場ゲレンデからリフトへ
登山口となるゲレンデトップに行くには2本のリフトを乗り継ぎます。BとDのリフトです。
うっすら青空が透けているこの空模様。
このくらいなら晴れるかな…
1本目のBリフトを降りたところ。正面のリフトが2本目のDリフトです。アア、山頂が白いぞ…
というわけで本日一番良かった景色がこれです。
全く自信がありませんがおそらく四阿山です。
こちらは…立地と雪の量的に谷川岳でしょうか…自信がありませんが…
ゲレンデトップ 登山開始
はい、やはり雲の中のスタートです本当にありがとうございました。さっきまでうっすら見えていた青空は完全に見えなくなりました。
太陽の方角は分かるのでまあワンチャン…いや無理だなここから晴れたパターンを私は知りません。とりあえず今日は雪と戯れることが目的なので腐らずいきましょう。武尊山は最初から急登と聞いていたので周りの登山者に倣い、最初からアイゼンを装着しました。
第一歩目からこの上りです。雪質はふっかふかで早くもズボズボ踏み抜きます。ストックやスノーシューを使っている人が多いのも納得。だいたい20分ほど登ると一旦平らになってきます。
絵本に出てくるような雪深い森の中。今シーズンは暖冬で、SNSで見る限り武尊山は年明け直後時点で残雪期くらいの雪しかありませんでしたが、1月の3週目の大寒波は強烈だったようです。
この積雪量。普通に腰まで踏み抜くレベルです。
そしていつもの首から下げている気温計を見ると-20度の表記。序盤からラッセルで寒さは感じませんでしたがとんでもない気温です。
この時点でもう晴れを望むことはやめました。せっかくここまで来たのに…と腐っても仕方がないので考え方を変えましょう。冒頭で述べた通り非常に積雪量が多く平地でも平気で膝上まで踏み抜く状況だったので、ラッセルのトレーニングに徹することにしました。あとは帰りに群馬ならではのご飯でも食べて帰れば十分、良い休日です。
うっすら見える山肌は荘厳です。まさしく岳の世界。
この日は9時ぴったりに登山開始しましたが、5組ほどのパーティが先行しており前半はトレース泥棒状態でした。トレースを外れると恐ろしく沈むためなかなか追い越すのも難しいのでしばらくは歩調を合わせました。八ヶ岳あたりに比べるとワカンよりもスノーシューを履いている人が多い印象でした。
本来ならばバチクソに良い景色と予想される稜線です。
本来ならば略
最初のピーク、剣ヶ峰山です。ここから先の下りがやや難所。
剣ヶ峰山の山頂標識を過ぎるとすぐ斜度のきつい下りが出てきます。足場が固まっていないのでわずかに露出している岩肌を頼りにライン取りをしなければなりません。スノーシューを装着した6,7名のパーティが先行しており、ここでかなりの時間を取られていました。
スノーシューを買うべきか否かは雪山シーズンになると常に頭の片隅に置かれる問題ですが、趣味には惜しみなく散財する私がまだ購入していないのは他の人を見ている限り利点が感じづらいのが理由です。特にこの場面のような急斜面の下りでは見ていて非常に危なっかしく、実際3人ほどが滑り落ちていました。
斜度が緩いところや平地に関しては効果が大きいのでしょうが、逆に危険な場面もあるので頻繁な脱着が求められる…とするとアイゼンの脱着すら億劫な私とその仲間たちには親和性が低そうです。
先のパーティが下った後は先に行かせてもらい、この日先頭を歩いていた3人パーティの後ろに付きました。後にこのパーティの最年長と見られる御仁と頂上直下の鬼ラッセルで手を組むことになります。
この写真のちょうど真ん中の方向が山頂ですがこの通り、全く分かりません。我々が先頭なので当然トレースもなく、ヤマレコのマップでこまめに方角を確認しながら少しずつ進みます。
頂上直下は幅の広い斜面で左右が切れ落ちているようなことはないため、基本的には斜面を登る方向に進めばよほど方角がずれない限りは谷底に落ちるようなことはありませんがとにかくどこもかしこも腰より上まで沈むので要注意です。
頂上直下の鬼ラッセル
武尊山の一番きつかったところは間違いなくこの頂上直下の急登でした。
高低差自体は200mもないので夏山であれば全然大したことはありませんが、ガチラッセルが必要な状況では地獄と化します。
先行パーティの御仁のトレースをたどり、途中で先頭を交代します。ピッケルを根本まで差し込んでアンカーにして、膝を振り上げ体重をかけて目の前の斜面の雪を押し硬め足場を作ります。
ラッセル中。分かりづらいですが渾身のドロップニーをキメているところです。1歩進むのに50m走1本分くらいの体力を使います。
武尊山山頂
両上肢に両下肢に、フルに全身を使って雪の中を漕ぐようにして登り切ると三つ峠みたいなものが見えてきました。
全方面から吹き付ける雪により丸ごとエビフライ状態になった山頂標識とともに。この日の最初の山頂をいただきました。先の3名パーティも無事に登頂し、4人で握手をしました。聞くとこの日結成した即席パーティだったそうです。
このままだとどこに登ったのか不明なので交代で写真を撮った後に雪を剥がしました。雪に包まった山頂標識を見たのは我々4人だけです。
改めて、武尊山山頂。
下山開始
時間は余裕があったので晴れそうなら身体が許す限り待機するつもりでしたが、ここまで雲の中の雪山かつ経時的に曇りになる予報では一瞬たりとも晴れ間を見せることはなさそうです。滞在5分ほどで速やかに撤退開始します。晴れろ晴れろと雲の中で震えながら耐えた利尻山山頂の記憶がまだ薄れていませんでした。
武尊山はアップダウンが繰り返されるので帰りも登り返しがいくつもありますが、全体的には帰路の方が下りメインです。
高度を落としていくと少しだけ雲が晴れました。
少し遠くの稜線が見えたり
外界方面の景色が一瞬見えたりしました。
こういう雪山でしか見られない景色が見られただけでも来た甲斐があるってもんです。そうとでも思えなければ登山という趣味はやってられません。
しかし驚いたのが帰り道のトレースが殆どなかったこと。それなりの登山者が居た上に風もそこまで強くなかった(体感的にはmax8m/sくらい)にも関わらず、最初の方の道はトレースが見えなくなっていました。
やはり雪山はトレース頼りで登ってはいけないな…と気を引き締め直す所存です。
行きに撮ったカッコいい山肌は帰りはもう少し鮮明に見られました。
帰りはリフトで優雅にいきます。そういえばスキー場のリフトで下るのは初めての経験です。しかし雪質・コースともに非常に良さそうだったのでスキー板とシューズをデポしておいて滑って降りても良かったかな〜と思います。
下山後は「地蔵温泉ゆにーいく」へ
私は多いときで週3回サウナに行っていたサウナーなので、登山後は地元の趣のある温泉よりもサウナ付きのスーパー銭湯を好みます。川場スキー場までの山道にもいくつか温泉施設がありましたが、ここは例によってサウナ重視でチョイス。
川場スキー場から30分ほど、JR沼田駅・沼田IC近くの「地蔵温泉 ゆにーいく」です。比較的新しい施設のようで、屋内サウナ(収容人数10名ほど)に水風呂あり、しかも露天に塩サウナまで付いている現代的なスーパー銭湯型の温泉です。アクセスが良いのでサウナーにはおすすめします。休憩スペースに鳥かごみたいな浮く椅子(語彙力)がありました。
うまい焼肉♪あおぞら
あおぞらという焼肉店をご存知でしょうか。ケンミンショーでも紹介された群馬のローカルチェーン焼肉で、カルビラーメンや上州定食が名物な素敵な焼肉店です。私は群馬に来たら可能な限りあおぞらに行くようにしているくらい気に入っているお店です。
あおぞら沼田点は先の温泉および川場スキー場、沼田ICいずれも近く武尊山の帰りに寄ってくれ!と言わんばかりの好立地。とんかつ街道と呼ばれる国道401号線沿いにあります。
焼肉以外にもつまみにお酒にメニューが豊富で、がっつり食べるも良し飲みに来るも良し。
メニュー表には富士山が!なぜだ!群馬ちゃうやろ!外人さんが来たらフジヤマはグンマにあるって勘違いするやろ!
汗冷えで屋内でも寒気がしている状況でもつい頼んでしまった日本一の冷麺。
そしてこちらが名物の上州定食です!付け合せ3品にスープも付いて、東京のスカした焼肉屋じゃ平気で4人前として出してきそうな量の肉、これで1700円というスーパープライス。
やっぱ焼肉には白米ですよね〜
まとめ
残念ながら天候には恵まれませんでしたが今年最初の雪山慣らしとしては良い山行になりました。短いなーと思っていましたが、想像より雪深かったのでこのくらいでむしろ良かったです。今回のつぼ足ラッセルの苦戦を経てワカンを検討しようかなと思いました。
・川場スキー場の立体駐車場への誘いに惑わされるべからず。
・登山届は現地で書くかコンパスで提出しましょう。
・リフト券は事前購入が◯(券売所のテンポが悪い)
・武尊山は序盤から急登
・雪深いので地図の数字以上に体力勝負
・頂上直下のラッセルは死ねる
・ストックよりもピッケルが役立つ
・アップダウンが多いのでスノーシューよりはワカンが良さそう
・帰りはあおぞらへGO
・群馬はめっちゃくちゃ寒い