山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

ロードバイクの冬対策の話。イズミのウインドブレークジャケットで冬のロードバイクは克服できるのか?

こんにちは、上社iあらため上社アイと表記を変えました。最近ようやく推しの子原作を読み始めた影響です。気が変わったら戻します。今回はロードバイク最大の敵、冬との付き合い方の話です。

ロードバイクと冬。一生夏なら良いのに。

私は冬が嫌いです。一生夏ならどんなに素晴らしい世界かといつの時も思っています。冬の良いところは雪山登山ができることだけだと思っているので今年みたいな暖冬はもう存在価値がありません。南半球との2拠点生活をすれば一生夏が叶うんじゃないかと気づいた時は自分の知能に感銘を受けました。

まあ海外に1mmの興味もない私なので現実問題冬と向き合わなければなりません。かつては冬もロードバイクに乗るために冬季用ウェア、防寒具を集めたのですが最近はいっそ冬はシーズンオフということで乗らなくていいんじゃね?という思考に至りました。ロードバイクにおいてなぜ冬が嫌いかというと下記の3点。

①走り出すまでの準備に時間がかかる

②考えなきゃ行けないことが増える

③荷物が増える

夏ならばレーパンとジャージ1枚着てボトルを用意していざ出陣。思い立ってから自宅を出るまで3分もあれば十分です。何より身体が常に温まっているので気持ち的にも動き出すまでが早いです。

しかし冬となるとそうはいきません。日中の最高気温5度の日と10度の日で適切な装備は変わってきますし、基本的に登山ほど頻回に脱ぎ着して調整することが難しい(必要以上に止まりたくない、予備の衣類を持っていくのが邪魔になる)です。後述するように冬用のジャージと優れたインナーを数種類持っておくことでだいぶ守備範囲は広くなりますが、そういうことを考えなきゃいけないことがそもそも嫌です。

できるだけシンプルに、思い立ったらすぐ走りに行きたい私にとっては冬はとにかくめんどうなのです。風が強いから、とか午後の天気が微妙だから、とか行かない理由を探し始めちゃうくらいめんどうです。

ロードバイクの冬対策

ロードバイクの究極の防寒対策

CBNブログのなどかずさんがなるほどなと思う記事を書かれていました。

blog.cbnanashi.net

いっそ室内で乗る環境を整えて外で乗らなきゃいいんじゃね?というこの逆転の発想。記事中にある冬用ウェアの致命的な弱点「冬しか使えないため高い割に活躍の機会が少ない」というのも非常に共感できます。その金額をぶち込むならもう少し手を伸ばせばスマートローラーが買えるかもしれない。海外の自転車乗り達も「Zwiftという最高の自転車体験があるのになぜわざわざ冬に外で乗るんだい?」なんて言う始末です。

3本ローラーの環境づくり

さすがにレースもやらない上にかつて固定ローラーを挫折した人間としてスマートローラーを買う気になれないので、iPad miniをステムに固定するアームを購入し、アニメの力を借りることで3本ローラーを克服しようと試みました。

ちょうどアニメ1話、OPとEDまでちゃんと見ると23~25分くらいのことが多いので、私の場合だいたい10km相当漕ぐことができます。室内ならば肌着と半パンくらいで乗れるので準備も2分くらいです。

ローラー台のセッティング
タブレットスタンド:zenCTタブレットスタンド

元々はiPad miniを車載するために購入したアームでしたがステムを挟んで固定するのにちょうど良く、角度を3箇所で微調整できるのでローラーに乗りながら快適にアニメが観られるようになりました。

ローラー:Elite アリオンマグ

ミノウラのモッズローラーとよく比較される3本ローラーです。モッズローラーと異なり3段階の負荷装置が付いているので走力がついてからも使えると思いこちらを選びました。折り畳めるので保管や運ぶのにそれほど困りません。ちなみに1段階目でしか乗ったことがありません( ゚∀゚)アハハハハハ

マット:アルインコ エクササイズマットEXP150

これは必須ではありませんが騒音を気にせず乗るために購入しました。アリオンマグについて調べていく中でユーザーが多く評価が高かったマットです。アリオンマグにちょうど良い長さがこの150cmです。

扇風機:Airbition リビング扇風機

ローラー用というよりは自分の部屋用、普段使い用に購入しました。ローラーは冬でも滝のように汗が出るのでタオルと扇風機は必須です。通常の扇風機をローラーのために移動させるのは億劫過ぎるのでちょうど良い機会と思い購入しました。この手の扇風機は溢れかえっているので選ぶのが難しいですが、バッテリー式、首振り機能付き、伸縮・折りたたみ可能でコンパクト、そして手頃な値段の中でちゃんとしてそうなこちらをチョイスしました。Amazonあるあるの訳わからない系ですが、しっかり使えています。

それでも外で乗りたいときもある

上記のローラー台システムにより、週1-2回程度のローラーは苦にならな…いわけではありませんが、なんとか続けられるようになりました。アニメの続きが気になるから、というのは強力な動機づけです。

しかしそうは言ってもローラー自体は全然楽しくありません。そしてシンプルに辛い。外で2時間乗るのと室内で30分漕ぐのとでは前者の方が圧倒的に楽です。トレーニング効果というストイックな要素を除き全てにおいて外で乗る方が勝っています。ということで以前揃えた冬用ウェアに加え厳冬期登山で培ったノウハウを活かし、再度厳冬期ライドに挑むことにしました。

ロードバイクの冬装備

私が一番大事だと思うのはとにかく手足、顔(耳)を冷やさないことです。面積の大きな体幹よりも末梢を守ることがとにかく大事です。

アウター:パールイズミ ウインドブレークジャケット・タイツ

前述のCBNブログにもあるように、0度対応とかマイナス気温にも対応するようなウェアを有名所のメーカーで揃えると平気で10万円単位の費用がかかります。なので私は①比較的安価な5度対応のウェア②品質はしっかりしているものという観点からパールイズミのウインドブレークジャケット・タイツを選びました。

私は形から入るタイプなのでウェアのような目立つ部分・所有という意識が生じるものはある程度好きなメーカーのものを選びます。パールイズミは長野県飯田市発祥の日本のメーカーで、日本の気候や日本人体型を意識した製品づくりをされており個人的には「自転車版モンベル」というイメージです。(といっても奇抜なカラーリングやデザインはありませんが…)

ウインドブレークジャケット・タイツは肉厚で触るとカサカサしたような独特な風合いで、防風性・透湿性・保湿性に優れた素材でできています。着た瞬間から暖かさを感じる裏起毛になっていて、守られている感がしっかり感じられます。上下で約3万円ほどと決して安くはありませんが、メジャーメーカーの冬用ウェア上下としては比較的安価な方です。

インナー:モンベル ジオライン/ ミレー ドライナミックメッシュ

このブログでは何度も登場するスーパーインナー、ジオラインと変態あみあみドライナミックメッシュです。これらは厳冬期雪山登山の鉄板インナーウェアで、他のインナーに目移りすることがない超おすすめ品です。ロードバイクも登山と同じく速乾性と保温性が非常に大事で、汗冷えしないため身体が濡れている時間を可能な限り短くする必要があります。ドライナミックメッシュは吸水性が高く保水しないという独特の性質のウェアで、肌の汗を吸い上げ上のレイヤーに移すという役割を持っています。

ジオラインはL.W, M.W, Exp.と3種類持っていますが、これで秋口〜厳冬期雪山まで対応可能です。Expはかなり分厚く暖かいので、ロードバイクの場合は気温が5度以下になる日のみ着ています。アウターは5度対応でもインナーにより調節可能です。

足回り:パールイズミ ウインドブレーク ロードシューズカバー

シューズカバーは昨シーズンに初めて購入し、バラクラバと合わせ最も効果が高かったアイテムです。めっちゃ大事。アウターと同じくウインドブレークシリーズで、0度対応のサーモシューズカバーもラインナップされていますが個人的には5度対応のロードシューズカバーで十分です。

このようにシューズごと足首上までを覆います。脱着は靴底はマジックテープ、かかとがジッパーになっているので靴下を履くようなイメージではなく、包み込んで止める、登山のゲイターに似た感じです。

かかとのジッパーを噛み込ませるのが時々手間取りそうだなと思っていましたが、シューズカバーは伸縮性のある素材なので実際は割とスムースに装着できます。

初めの頃は着脱めんどくさそうだし靴の中ってそんな冷えるか?と思っていましたが、もう全然違います。実験的にライド途中で外してみると寒いこと寒いこと…。

顔周り:モンベル ジオライン/スーパーメリノウールバラクラバ

バラクラバとは目を除く顔全体を覆うもので、ボンバーマンみたいになるやつです。多くのモデルは鼻と口が出せるようになっていたり、首に巻いてネックウォーマー的に使ったり、状況に応じ使い分けられるようにできていて、雪山登山では必須アイテムです。これがロードバイクにとても相性が良く、アイウェアをつけることで完全防備になります。

バラクラバ+アイウェア 完全防備の図

ウインドブレークのような素材でできたカチっとしたバラクラバも多く存在しますが、個人的にはこの一見ペラペラなジオラインバラクラバもしくはメリノウールバラクラバをおすすめします。顔周りはちょうど良い保温と暑すぎるの境界が近いので通気性があった方が良いと思っていて「ちょっと寒いけどこのくらいなら大丈夫」という耳が冷え切らないくらいを目指すのがかえってちょうど良いです。あとペラペラゆえに丸めて背中のポケットに入れられるので調節がしやすいこともメリット。あと比較的安価です。ジオラインで寒い場合は厳冬期登山でも大丈夫なメリノウールバラクラバにすれば完璧です。

バラクラバの唯一の欠点は鼻の気密性が完璧でないためアイウェアが曇りやすいところ。アイウェア曇る問題に関してはワイズロードで以前紹介されていたMuc-off PREMIUM ANTI-FOG TREATMENTがおすすめです。強力な曇り止め効果があり雪山登山用のゴーグルでも使っています。吹きかけてティッシュで拭うだけなので使い方も簡単です。

グローブ:テムレス02 winter

またまた登山道具からテムレスです。テムレスは元々ワークマンとかホームセンターに売っていた防寒テムレスという青い防寒手袋で、3~4千円程度と非常に安価ながら雪山登山でも使えるレベルの防水・保温・透湿性を持っていると数年前にSNSで有名になりました。

現在はテムレス側もウィンタースポーツや雪山登山使用を意識したモデルを展開するようになり、黒に英語表記で非常にスタイリッシュになりました。なかでも02winterは口を絞れるようになっていてさらに性能が向上しています。多少値上がりしましたがそれでも5000円以下で手に入りコストパフォマンスが非常に優れています。

雪山では-5度くらいまでの暖かい環境なら問題なし、それ以上となるとさすがにこれ1枚で完璧というわけには行きませんがそれでも金額を考えると破格の性能です。ロードバイク用としては全然問題なし、むしろ暑くなってくるくらいです。自転車用ではないのでクッションはありませんが、私はインナーにもう一枚薄い手袋を付ける想定で大きめのサイズにしているので、ロングライドの時は中に自転車用グローブを付けることもあります。

実際に走ってみて

以前住んでいた山梨と現在の東京都内では冬の寒さの破壊力が段違いなので比較は公正じゃありませんが、5-10度の気温であれば上記の装備で非常に快適に走ることができます。寒さで身体がこわばっていくこともないし、外に出た瞬間の寒さに心が折れることもありません。ウインドブレークジャケットの功績はもちろん大きいですが、やはりバラクラバとシューズカバーで末梢を守っていることが大きいと思います。

過去の経験的には0-5度の環境でもインナーとバラクラバを強化することで走ることはできます。しかしそのくらいの寒さになると気持ち的に楽しさ<<<<<寒い帰りたい嫌だという感じなので、私の冬のライドは最高気温5度以上の平野部に限定しようと思います。山間部になると道の凍結リスクもあるので多摩サイや尾根幹を中心にエクササイズ的なライドが続けられれば良しとします。

そんな本日のライドの目的地はこちら、町田商店本店です。走ること自体を目的にできない非ストイックローディはコースに困ったらラーメンを目指せという以前紹介したライフハックです。私が高校生の頃から通っている家系ラーメンの頂点です。この向かいで駿台模試を受けて壊滅して自分の未来に絶望しながら啜った思い出の味です。

ラーメンライドの良いところはライドの消費で罪悪感なしでラーメンが食べられることです。麺大盛りにネギチャー丼を付けても往復の消費でトントンくらいでしょう。この日はトータル70km, 600mアップのライドでした。あとは師匠から聞いた家系ラーメンハック「家系ラーメンのスープに酢を入れるととんでもなく美味いスープが生まれる」というのを実践したかったからここに来ました。麺を啜り終えてから酢をふた回しほど投入すると…

…なんだ、このクリーミーな極上スープは???

酢のむせこむ要素とスープのちょっと塩辛い要素が相殺され、謎にクリーミーで身体にスルスル入ってくる魔法の飲み物に変化しました。例えるなら蕎麦湯。蕎麦湯のカンストver.という感じです。さすがのラーメンライド中でも拭いきれない、スープを飲む度に感じる「さすがに身体にやばそう」が一切なくなってしまうほどスルスルと体内に染みてくる魔のスープがそこにはあった。あやうくフツーに完まくするところでした。あぶなすぎる。

なんの話でしたっけ。家系ラーメンのスープに酢を入れると極上スープが生まれる話でしたっけ。騙されたと思って試してみてください。飛ぶぞ。