山手線を一周しよう
東京都内で最も有名な電車の一つである山手線は、23区内を環状に走る一周約35kmの路線です。高層ビルや高級マンションの中央区や港区、歓楽街を代表する新宿区や渋谷区、そして下町情緒あふれる台東区など、同じ東京都内でも様々な表情を楽しめるエリアを周回するように走っています。そんな東京を満喫するのに最適な山手線沿線をブロンプトンで走ってきました。
都内に最も適した移動手段は自転車
これは高校生の頃から私の持論です。理由は簡単で都内は距離の割に電車移動に時間がかかるからです。都会は基本的に平坦な地形ですし、都会になればなるほど1駅ごとの間隔は短くなるので2,3駅なら歩くのも苦ではないくらいですが、複数のエリアを巡るとなると話は変わってきます。
山手線やら京葉線やら東京メトロやら、複雑な乗り換えを経てようやく辿り着ける場所は直線距離的には目と鼻の先で自転車なら10分とかからない、なんてことも珍しくありません。しかし都内は交通量、信号の多さからどうしてもストップ・アンド・ゴーが増えるのでロードバイクはややストレスフルなので今回の相棒はブロンプトンです。
走行データ
JR東京駅 八重洲口
スタート地点は東京駅、八重洲口。都内一周サイクリングなので何となく東京駅がスタート&ゴールにふさわしい気がしました。輪行でやってきましたがGW初日なので中央線は満員電車で肩身の狭さを感じました。申し訳ねえ。
今回は最後に上野周辺を見て回りたかったので時計回りに周回することにしました。
内回りと外回り
ちなみに山手線を始めとした環状路線には「内回り」と「外回り」があって、電車を車と同じ左側通行と考えた時に内側が反時計回り、外側が時計回りになるので内回り=反時計回り、外回り=時計回りになります。これは他の環状路線でも共通です。
東京駅のある都内の東側はエリアとしては千代田区、中央区、港区の辺りで、ビジネス街、タワマンのイメージです。港区女子を探しながら進みます。
有楽町
まずは国道15号に沿って進み、スタート間もなく有楽町です。銀座も近くハイソなエリアです。
高層ビルに複数の路線が隙間を縫うように走る、東京らしい光景が続きます。
サラリーマンの街、新橋
ビジネスマン・OLの街、新橋。テレビの街頭インタビューでおなじみの街です。
新橋駅西口、通称SL広場。
正直言って都内は走りづらいです。交通量も歩行者も多い上に明らかに自転車が車道を走ることなんて想定していない狭い道路が多々あるからです。しかし今回のサイクリング全体を通して、道幅こそ狭くとも自転車レーンがかなり増えていることに気づきました。コロナ禍による自転車需要の増加、スポーツサイクルの普及、シェアサイクルやウーバーイーツが良い方向に作用しているようです。
浜松町駅。
品川駅
品川駅。常に全国人気ナンバーランキングのベスト5に入る品川です。そして新幹線が停まることもあり東京駅や新宿駅のような巨大で豪華な駅を想像しますが、実物を見るといつも拍子抜けする、ぱっと見た目は小ぢんまりした駅です。ちなみに品川といえば「やがて君になる」聖地、「マクセルアクアパーク品川」があることで一部の界隈から有名です。
15号を南下し、青看板に従って307号、山手通りに入って大崎へ向かいます。この辺りが山手線の南端に相当します。
目黒川
大崎を超えて西側を北上する途中、突然緑の密度が増えたので吸い寄せられるように進路変更しました。やっと少しは綺麗な空気が吸えるぜ。
木のトンネルの間から高層ビルが見えるのが東京23区らしい景色です。ここは目黒川沿いの道。
桜で有名な目黒川。無機質極まりないですね。
目黒川沿いに新緑サイクリングをすると間もなく五反田駅。
後付け過ぎて非常に走りづらそうですが一応、しっかりと自転車レーンが敷かれています。
目黒を走っているととんでもない行列が目に入り、先頭を追ってみるとそこにはラーメン二郎がありました。全国的にブームになり「ジロリアン」という言葉が報じられるようになったのは確か2010年台初頭だったと記憶していますが、今でもその人気は健在です。
道玄坂
目黒を過ぎて北上すると道玄坂の文字。
建物の屋上という珍しい立地の空中公園こと宮下公園です。
表参道 HERZ 本店
渋谷センター街を超えてからちょっと山手線を外れて表参道方面に1kmほど寄り道をしました。
全国の革好きの憧れの「HERZ本店」です。学生の頃は憧れながらも手が出せず眺めるだけでしたが…
先月に細君と結婚3周年「革婚式」を迎え、おそろいの鞄を注文し遂に手にしました!(HERZケルントート)この出来栄えがあまりにも気に入ったので、ポタリング用の手頃なサイズの鞄を買おうと思っていてその下見です。
店内は革の匂い包まれる幸せ空間で、多くの製品を実際に見て触って試すことが出来ます。情報は少ないですがブロンプトンのフロントキャリアを装着するようなセミオーダーも可能です。
明治通り
がっつり1時間ほどHERZで革と戯れたあとはまたサイクリングに戻ります。渋谷から原宿に繋がるこの明治通りは個人的にとても好きな道です。
渋谷自体はあまり馴染みがありませんが、表参道〜原宿エリアは高級ブランド店からアウトドアブランド店、雑貨やサブカル御用達な店まで何でもある感じがあって、高校生の頃もアラサーになった今も変わらず楽しい街です。
人でごった返す新宿
車道も歩道も自転車の居場所がないくらい人の海の新宿です。写真を撮るべく一瞬立ち止まることも許してくれません。せっかくの連休なのに忙しない街です。
そんな新宿で初めて見つけた歩行者天国です。何故か自転車を置くだけでもちょっと人目が集まりましたが、誰も私のことなど興味もないし見てもいないのは分かっているので気にしません。ちなみに新宿周辺は人が多すぎて今回一番走りづらかったです。
高田馬場駅を過ぎた辺りで現れるのは神田川。あなたはもう忘れたかしら〜♪
目白駅〜上野駅 今回最も良かった町並み
神田川を超えいよいよ残り半周を超えてきました。今回走っていて一番気持ちが良かったのは、この目白駅〜上野駅あたりまでの時計でいうと10時から14時の辺りでした。ごちゃごちゃしているのは相変わらずでしたが、情緒を感じる町並みと程良い都会の雑踏とが混在していたエリアです。
目白駅の森。新宿御苑を思わせるここはあの学習院大学。
大塚駅
新宿の次に走りづらかった池袋を抜け、山手線の北端付近の大塚駅。個人的に池袋、大塚、鶯谷辺りは風俗のイメージが強くガラの悪い街という認識をしていましたが、大塚駅はこの通り綺麗で「ちゃんとした」駅という感じでした。
バラが植えられベンチで食事をする人々がいるくらいの駅前広場があったり
路面電車が走っていたりと良い感じの街やんけ!今まで邪悪なイメージを持っていたのが申し訳ない。
巣鴨駅
続いて巣鴨駅。巣鴨といえば「おばあちゃんの原宿」として知られています。あとは頭の良い巣鴨高校があります。
駅前の道は結構きれいで自転車も走りやすそうな雰囲気です。あと建物の高さが程良い感じなので落ち着きます。
こまごめピペット駒込駅
駒込駅。駒込といば理科の実験で誰もがお世話になった「こまごめピペット」。
都立駒込病院の院長先生が考案したことで駒込の地名が付いたそうです。かつてはピペットで検体を採取する時には端を口で吸っていたため危険を伴う業務でしたが、あの乳首のようなゴム頭をつまむだけで安全かつ簡単に採取できるようになり、当時画期的な発明だったそうです。
田端駅〜日暮里駅
田端駅周辺を上から見下ろす図。この辺りは路地が入り組んでいるが、線路を見ながらそれに沿って進めるため方向が分かりやすかった。
線路を眼下に収めながら高台になっている住宅街を縫うように進んでいきます。どことなく多摩ニュータウンの道路が下、住居が上、の作りに似ている気がします。
西日暮里駅。駅の入口すぐ横に激坂を発見し何故か嬉しくなってしまいました。
日暮里駅(にっぽりえき)。東京人しか読めないと有名な地名の一つ。まあ普通に読んだら「ひぐれさと」ですよね。
上野駅
今回敢えて最後になるようにした上野駅。上野浅草、秋葉原辺りは町田に住んでいた中学生の頃からしょっちゅう遊びに来ていたエリアで「こち亀」好きだったこともあって非常に馴染み深いエリアです。国立科学博物館は何度来ても面白いし、アメ横は買うものがなくても人混みが嫌でもつい足を踏み入れてしまう魅力があります。
ワイズロード上野アサゾー店
とはいえ今回はGWなのでアメ横はスルー。目的はここ「ワイズロード上野アサゾー店」です。ここはワイズロードの中でも異端な、完成車はほぼ置いておらずパーツ類が中心の機材オタク向けのニッチなお店です。
たまにとんでもなく安いホイールがあったりします。今回は店先に(カッコいいけど色んな意味で使える気がしない)オールレッドのレーゼロが9万円くらいで売られていたのと、「SRAM etap AXS RED 2X HRD」フルセットが1セット限定で置いてあって胸が高鳴りました。特にetap AXSフルセットが店頭に置かれているのは初めて見ました。お値段60万円…。
秋葉原
続いて秋葉原です。町田に住んでいた中高時代はスポーツサイクルを手にしてからは「自転車ならタダでアキバに行ける」と毎週のように訪れていた時期がありました。交通費をケチって自転車でアキバに通うのは実は弱虫ペダルより私の方が先です。しかし最近のアキバは従来のオタクからするとオープンになり過ぎてちょっと魅力減ですね(めんどくさいオタク)。
万世橋。ここまで来るともう東京駅まではあとわずかです。この写真で直進すると神田、右方向に進むと御茶ノ水です。この神田〜御茶ノ水は楽器屋が立ち並ぶバンドマン御用達の街で、周囲に明治大学や東京医科歯科大学、順天堂大学があることで学生街という側面もあって、また独特の雰囲気を持っています。
神田から東京駅方面は赤レンガのガード下に飲み屋が連なる魅惑の道です。
神田を過ぎると無機質な高層ビル群が視界を埋め尽くすようになり…
スタートから50km弱、東京駅へゴール!
東京駅といえばこれ。人は多いですが広場があって新宿ほどゴミゴミしていないので綺麗です。
かなりゆっくり走ったので10時半頃スタートして戻ってきたのが16時頃でした。一貫して道はフラットな舗装路で、快走路とはいかないものの全体的にはそこまで走りづらくもない…という感じです。うん、まあ走りやすくはないです。しかし輪行を組み合わせればどこからでも始められてどこへでも帰れるという利点があります。
東京の様々な表情が楽しめて地理にも詳しくなれる、半日としてはかなり情報量の多いとても楽しいサイクリングでした。