人生の大半を都内、というか多摩地区で過ごしてきたロードバイク乗りのくせに一度も行ったことがなかったど定番スポット、都民の森をついに登ってきたのでそのまとめです。
道は交通量が多いものの非常に走りやすく、斜度もヒルクライムとしては全体的に穏やかなので楽しいという感情を残して登れる、初心者&ヒルクライム嫌いな人間にとっても楽しい場所でありました。
都民の森とは
今更私なんぞが説明する場所ではありませんが、都民の森は東京都西部の檜原村の山中に位置し、都民が自然に親しみ、かつ森林や林業に対する理解を深めることができる施設です。ロードバイク乗りにはヒルクライムの入門地として、また都内では貴重な距離の長いヒルクライムが味わえるので富士ヒルなどのヒルクライムレースの練習場所としても人気の場所で、五日市線終着駅の武蔵五日市駅をスタートとする片道30kmのコースが定番です。
自転車乗りだけでなくオートバイ乗りや三頭山へ登山する人も訪れる、文化入り交える場所でもあります。
今回のコース
今回走ったのはベーシックに武蔵五日市駅を起点に都民の森ヒルクライムを経て奥多摩湖から周回して戻ってくるルートです。後述しますが奥多摩湖以降の道は幅が狭い上トンネルが多数ありあまりオススメとは言えません。そして走りづらいエリアを超えてあとは武蔵五日市駅に戻るだけ、残り数キロという地点で梅ケ谷峠というまさかの激坂にぶち当たります。
スタート地点 武蔵五日市駅
風情あふれる駅、武蔵五日市駅。自走しても良かったのですが朝だけ仕事があった&せっかく周回ルートを作った&帰りにスーパー銭湯の湯楽の里に行きたかったのでトランポです。
都民の森と言えば”東京とは思えない”自然が味わえるとよく言われますが、武蔵五日市駅の周辺の時点で既にだいぶ田舎です。気まぐれに国道を外れると一面の畑が広がったりします。ちなみに多摩地区で育った人間にとっては東京は23区よりも自然と都市が共存しているイメージが強いのでこのくらいでは「本当に東京かよ」なんて思ったりしません。
最初の20kmほどは平坦路と非常に緩やかな登りだけ
武蔵五日市駅から5kmも走ると山道に入りますが、最初はほぼ平坦路が続きます。
山道に入っても意外と平坦続きで案外下りもあったりして、ガチのロードバイク初心者とかでなければただただ気持ちよく走れると思います。私はヒルクライム嫌いで苦手なヒル嫌イマーですが、仮にも乗鞍とかビーナスラインを走っているので全然余裕です。
最初の橋です。奥多摩エリアっぽくなってきます。
疾走感溢れるダウンヒルの写真。
檜原街道を進む
道なりに進むと上野原・数馬方面と藤原・大沢方面の分岐を示す青看板が現れます。上野原・数馬方面、檜原街道を進みます。
このあたりから都民の森までの距離を示す看板が出てきます。あと21km。
信号待ちでふと横を見るとこの通り、多摩川の源流です。
都民の森まで21km地点を過ぎてから斜度を感じ始めます。森の中で渓流沿いですがクソ暑いです。
川遊びライドということにしてもう帰ろうかな。でもそれにしては登り過ぎてしまった。川が遠い。
今回は武蔵五日市駅を出たのが11時すぎだったので結構遅めの出発ですが、それでもたくさんのヒルクライマー達がいました。
仕事は朝だけだとしても休日出勤で自由になるのが10時だと登山はほぼ不可能ですが、自転車ならばそれでもこんなメジャーな場所に走りに来ることができるのでやっぱり自転車は良いです。おかげで朝早起きしんどいから山じゃなくていっか、と自転車ばっかになってる最近。
後半戦、本格的にヒルクライム開始
都民の森まで残すところ16km、武蔵五日市駅からするとあと半分といったところで突然ガーミンがクライムプロを発動しました。後半斜度激増してない?
坂らしい坂の始まりはこの上川乗という交差点だったような気がします。
坂。とはいえ斜度はまだ6%くらいなので乗鞍なら序盤のまだロー側2,3枚残しているあたりです。決して辛くなったから脚を止めたついでに写真を撮ったのではなく、写真を撮るため仕方なく脚を止めています。
乗鞍は登り一辺倒なのが嫌いなところですがここは登ったら少し下る、のを繰り返すので限界を感じる前に乳酸を解放できます。
難読地名 人里
人里(ひとざと)ってそのまんま過ぎる地名で草wwかと思ったら人里(へんぼり)でした。読めるかよ。
そしてへんぼりを過ぎると道の感じがなんか変わってきました。都民の森を走った人は口を揃えて後半がめっちゃキツいと言いますがそのゾーンが始まってしまった感じです。
不吉な予感の通り、これまでのちょっと登らせたら脚を休ませてくれたファンライドコースから一変、登り通しの鬼畜コースになりました。
斜度は7,8%が基本な感じになってきて気分も脚の感覚も乗鞍の位ヶ原山荘を過ぎたあたりの様相を呈してきました。救いはしょっちゅう自販機が現れることで、ドリンク補給のためと大義名分を持って仕方なく脚を止めることができます。こんな山中で熱中症なんて目も当てられませんからね。
ゲェ、遂に出やがったな斜度二桁標識
都民の森まで残り3kmくらいですが、このあたりが一番斜度がきついところでした。最大斜度はたしか11%だったと思います。きついけど終盤のわずかな区間なので確かに初心者でもなんとか登りきれるくらいの絶妙な難易度です。
ハァ…ハァ…
この写真はバイクの後方から先の道を広く写すテクニックを使っています。こうすることで静止画でありながら、これからさあ行くぞ!という動的な印象を与えることができます。
無慈悲な登りが続きます。前方の山をよく見ると道路が見えてまだあんなところまで行くんか…と絶望しがちなゾーンですが距離的には残りわずかです。このラスト1,2kmの雰囲気はビーナスラインの美ヶ原側の終盤によく似ていました。
看板の文字が潰れていますが残り1kmです。
来た道も市街地も見えないので高度感は味わえないのが残念。眺望の良いスポットは都民の森より先にあります。
都民の森
そんなこんなでスタートから1時間半ほどで都民の森に到達しました。駐車場は満車でしたがここからさらに先の方に1kmほど進んだところにある第2駐車場はガラガラでした。
自転車に乗った鳥?のモニュメント。
自転車ラックも当然完備。この手の場所は機材博覧会になるので楽しいです。
この日の素晴らしいバイクはラブライブ虹ヶ咲仕様の痛バイク。ラブライブジャージを着た紳士2人組が乗っておられました。自転車ってフレームが細いから痛仕様にするのが難しいと思っていたけどこれはなるほどなアイディア。私もいつかひなた号を組みたい。
売店にトイレに自販機に休憩用の東屋に、おおよそ必要なものが全て備わっています。ここの売店のみとうだんご(400円)はここでしか食べられない名物として有名ですが、
それよりも店内に売っていた「もう一度食べたくなるカレーパン(200円)」の方が気になったのでこちらをチョイス。揚げたてでちゃんとしたパン屋さんのカレーパンの味がしました。
ここは車やバスで訪れて登山に向かう人も居れば私のようなロード乗り、オートバイ乗りのごっついおっさん等々様々な人種が入り混じって面白いです。
都民の森から奥多摩湖方面へ
眺望スポット 浅間尾根駐車場
都民の森までがあまりにも辛かったらピストンしようと思っていましたが、ここ1ヶ月ほどで3本ローラーを習慣化することに成功した成果があってか、まだ脚は余裕を残していたので先に進みます。多くの人はここで引き返すのか、ここから先に登る人はグッと減ります。
まず最初に現れるのが眺望スポットの浅間尾根駐車場です。写真ではほぼ見えませんが、山々の向こうに市街地が見えるのでようやくああ、あんなところから来たんだ…としみじみするヒルクライムの醍醐味が味わえます。
都民の森で登り終わりだと思っていましたがまだ甘い。この先の都内道路最高地点まではもう少し登りが続きます。
都内で一番高い道路へ
さらにもう少し進みますと都内の道路の最高地点があります。
登りきったところに閑散とした風張峠駐車場が現れ
その向かいに都内最高地点を示す標識があります。見ての通り都民の森側から登ってくると反対車線に位置する上に地味なのでその存在を意識していないと普通に見逃します。
都内最高地点は1146mだそうです。
ニホンザルに見守られながら快適なダウンヒル
最高地点を過ぎるとあとは奥多摩湖までダウンヒルです。
斜度はこれまでと同様6-8%程度で、見通しが良いこととヘアピンカーブやきついコーナーがないこと、時間帯によるかもしれませんが都民の森までと比べ交通量が激減することから非常に走りやすいです。
カーブがきついところでもこのくらい。乗鞍の死と隣り合わせなダウンヒルとは雲泥の差です。ちなみにダウンヒルのコーナーを上手く曲がるコツは下ハンと視線です。
今自分がこの地点にいると仮定します。初心者の方や下りに慣れていない人は恐怖心から近いところを見てしまいがちなので視線が✗の辺りに来ることが多いと思いますが、カーブの先の○の辺りに視線を向けるだけで非常に曲がりやすくなります。スキーのターンと同じで、視線を向けることで無意識に重心移動や身体全体のバランスの変化が起こるので、見る場所を変えただけなのにびっくりするくらいスムースに曲がれるようになります。あとはよく言われることですがスピードの制御がしやすくなるようブラケットではなく下ハンを握るとだいぶ良い感じになると思います。
ここはよほど猛スピードで突っ込まない限り曲がりきれなくなることはないくらいのRなので、ダウンヒルの練習にも良いと思いました。
そして東京都の最深部なだけあって、道中にニホンザルがいました。車の数より多いくらいにはめちゃくちゃいました。
ある程度近寄って写真を撮っても逃げることも興奮して襲ってくることもなく、車が去るのを待ってから道を渡ったりしてちゃんと共存しています。
奥多摩湖 道が狭いのでおすすめしません
下りきると露骨に気温が上昇し奥多摩湖に出ます。奥多摩湖周囲もロード乗り、オートバイ乗りのメッカですが、全然オススメしません。
というのも道幅が狭い上に交通量が多く、自転車が走っていると後続車は追い越しができない場面が多いのでプレッシャーを感じて怖いからです。
そして短いトンネルがいくつもあって、鳩の巣駅くらいまで行かないと落ち着いて走れません。またなぜかどのトンネル内も路面が濡れていてグラベルライド後のようにどろどろになりました。
おまけ 梅ケ谷峠
青梅街道沿いに山から市街地を目指し、ある程度下界の様相を呈してきたところで、武蔵五日市駅に戻るには山を越えるか遠回りして平地を走るかを選ばなければなりません。
上記②のルートはおそらく平地を走れるルートですがそれなりに距離が伸びる上信号の多い市街地なので時間的なロスが大きいです。そのため特に何も考えずにほぼ最短距離を結ぶ①のルートを選びました。梅ケ谷峠の存在を知らずに。
80km以上走った終盤の終盤にまさかの本日最大斜度の14%の激坂です。ああ、知っていたら絶対に遠回りしたのに、今からでも戻ろうか、いやローラーの成果は追い込まれた時に発揮するんだ、等々。色々な邪念が渦巻く中、西東京の地形に呪詛を吐きながらペダルを踏み込みます。インナーローで小野田坂道ばりのハイケイデンスクライムのイメージで実際にはケイデンス70くらいでノロノロと進みます。ああ、魔改造して秘伝の66Tを組み込んでおくべきだった。この峠のたちの悪いところは半端に先の見通しが良いので地獄が続くことを効果的に知らしめてくるところです。なんでこんなどうでもいい場面で一番の激坂が。ボス戦で消耗した直後に強めの雑魚に止めを刺されるようなものです。
都民の森ヒルクライムまとめ
・武蔵五日市駅周囲は駐車場豊富
・駐車料金も500-600円程度なのでトランポに◎
・道路は混むので輪行がベストかも
・武蔵五日市駅から30kmのうちヒルクライムらしいのは後半14kmくらい
・ラスト数kmはなかなか激しい
・道中に自販機や補給場所は豊富
・都民の森のカレーパンはたしかに美味かった
・都内で一番高い道路の標識は余裕で見逃し得る
・ヘアピンカーブやきついコーナーがないのでダウンヒルの練習にも良さそう
・奥多摩湖の周回は道が狭くトンネルが多いのでオススメできない
・周回する場合は梅ケ谷峠の存在に注意すべし
おしまい。