意外とちょうど良い難易度の昇仙峡
学生時代を長らく過ごし社会人生活の数年も過ごした、私にとって第2のふるさとと言うべき山梨県。久々に自転車を持って山梨を訪れたので昇仙峡をロードバイクで走ってきました。
昇仙峡は甲府駅北部にある有名な景勝地で、特に紅葉のシーズンになると全道路が渋滞しつづkるような場所です。甲府中心部から昇仙峡への道は和田峠というつづら折りのヒルクライムを経て千代田湖、さらに昇仙峡グリーンラインと続いています。今回は午前中でサクッと走るプランでしたので昇仙峡を経て金櫻神社を地図上の折返し地点とし、甲斐市敷島方面から下って甲府中心部に戻る周回ルートを走りました。折返し以降は甲府市街地に出るまでずっとダウンヒルになります。
和田峠といえば八王子の陣馬山に至る激坂の方が有名ですが、甲府の和田峠も短いながらなかなかのものです。甲府盆地と富士山が一望できる展望台もあり、景観という意味ではこちらの方が圧倒的に優れています。
自転車に乗らない方からは昇仙峡を自転車で走ったと言うと驚かれますが、今回のルートは30km程度で800mほどの獲得標高で、斜度は7-12%くらい、ゆっくり走っても3時間、さらに景観が良いのでトレーニングも良し観光がてらまったり走るのにも良し、とローディ的には本当にちょうど良いコースです。
今回のコースとは関係ありませんが、上図の青丸で囲んだ太良峠は武田神社から北上し続けると現れる、知る人ぞ知る地獄のヒルクライムスポットで、20%に達する斜度で初めて前輪が浮く体験をした場所です。一部酷道だったりもするので慣れていないと危ない気もしますが、坂好きの方や未知の体験をしたい方にはぜひ訪れてみて欲しい場所です。
何度見ても素晴らしい甲府盆地の景観
まずは甲府駅を目指します。この日はよく晴れていて甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山が非常によく見えていました。都内に引っ越してからは3000m近い山を日常的に見ることはなくなったので新鮮に感じます。山好きは山梨に住むと本当に幸せになれると思います。
北を見るとその辺の低山とは少々様相の異なる山肌が見えています。あれが昇仙峡です。
甲府駅前に出る必要はないのでアルプス通りこと111号線を北上し道なりに進みます。
コーススタート
国立甲府病院近く、北新駐在所前という交差点あたりが今回の実質的なスタート地点になります。
この交差点から山に向かって北上していきます。最初は緩い登りです。
左手にファミリーマートがある北新小北交差点に昇仙峡・千代田湖方面を示す看板があります。看板に沿って左折しあとは道なりに進みます。
和田峠ヒルクライム
住宅街を縫うように進むと割といきなりヒルクライムが始まります。
最初から7-9%くらいの登りです。ペース早いな!
しかしすでにそこそこ高度があり、盆地と富士山のてっぺんが遠くに見えています。この先っちょしか見えない富士山を見ると山梨に来たという感じがします。
ここから昇仙峡までは8km、登りっぱなしかというとそうでもなく、千代田湖まで到達するとしばらくは下りになるので脚が休められます。千代田湖までのヒルクライムでも400m近く登り、甲府中心部からアクセスが良いのでこっちに住んでいた頃は終業後に登ったりしていました。
体感的には乗鞍エコーラインの序盤という感じ。違いは自転車乗りがほぼいないというところ。山梨県民は都会感覚で歩いてすぐのコンビニにも車で行ったりするくらいなので、ロードバイクで和田峠を登るような酔狂な人間が少ないのです。最近はトレック甲府の功績で甲府盆地内にも自転車乗りが増えてきた印象ですが、こういうところを走りに来る人はまだまだ少数派。まあ人が少ないのは良いことでもありますが、自転車に関しては仲間が居るといいなと思います。
みはらし広場
そして2/3ほど登ったところにはみはらし広場があります。
甲府盆地、そして甲府盆地と富士五湖方面を隔てる山脈とてっぺんが突き出る富士山がドーンと見えます。ここは夕方に来ると西日が街を照らし出す様子が見えて大変に美しいです。
みはらし広場の目の前はこんな感じ。車は2台くらいしか停められない広さのためスルーしていく人も多いようで、自転車乗りかオートバイ乗りの特権な場所です。
千代田湖
みはらし広場からは残り2,3カーブほど登ると千代田湖に出てきます。ここは釣りをしたり湖畔でピクニックをしたりと玄人な釣り人からファミリーまで様々な人々に愛される場所です。私も学生時代はよくブラックバス釣りに来ました。道なりに進むと千代田湖を左手に見ながら進む形ですが、15分くらいで一周できるので初めてならオススメです。
千代田湖を過ぎるとしばらくダウンヒルが続きます。
このあたりは特に景観が良くも悪くもない普通の山道です。
驚くべきことにこんな山の上、山の中なのに小学校があります。そういえばよく見るとこの近くには民家が散在しています。旅する度に思いますが、こういうところに住んでいる人はどうやって生活しているのか検討がつきません。
昇仙峡グリーンラインへ
しばらく進むと昇仙峡グリーンラインと敷島方面の分岐点が現れます。和田峠で満足/疲れ果てた場合はここを左に進むとダウンヒルで市街地に戻れます。昇仙峡に行くなら直進です。
ここまでで10km/300mアップ。登り自体はここから先の方が多いものの、個人的には坂のしんどさは和田峠の方が上な気がします。
冒頭で市街地から見えていた、周りの低山とは様相の異なる山肌です。ちょうど裏側に来たような感じです。
路肩の道幅は決して広いとは言えないものの、交通量的にはそれほど怖い思いをせずに走れます。ただし渋滞時には路肩を走るのも一苦労なので紅葉の時期の週末の昇仙峡には近づかないことを勧めます。紅葉ライドしたい場合は早朝か平日休みを狙いましょう。
昇仙峡グリーンラインのトンネルを見るたびに何かに似た色だとずっと思っていたのですが、護送車に間違えられがちなあの車輌の色でした。スッキリ。
昇仙峡へ
いくつかのトンネルを抜けるといよいよ核心部に入ります。
左側の景観のスケール感が大きくてめちゃくちゃ爽快です。
山の切れ目からは甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山が見えます。南アルプスって本当にずっと見ていられるなあ。もうすぐ冬になりますが、甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山は真っ白のっぺりではなく山肌がまだらに見えるくらいの雪化粧をするので、美しいというよりカッコいいという表現がしっくりきます。
昇仙峡は県営の無料駐車場があるのが素晴らしいところ。この先のお土産街の駐車場も何かしら買えば無料にしてくれるので有名な観光地の割には非常に良心的な場所だと思います。
余談ですが都内の大学生が新歓パーティをする一方、山梨県の大学生は新歓で昇仙峡ドライブしたりしています。あと清里に行ったりフルーツ狩りをしたり。
英国の2階建てバスみたいな観光バスが走っていました。この辺りは7,8%の斜度で何とか楽しさが勝るギリギリのラインです。
と思ったら12%くらいになってきました。例によって撮影のため仕方なく脚を止めます。
昇仙峡グリーンラインのトンネルは距離が短いのであまり怖くなく、こんな感じの気持ち良すぎな道が続きます。
この岩肌は初めて見た時はえらく感動しました。何度も来た場所ですがやはり色褪せることはありません。
昇仙峡のインパクト溢れる景観を過ぎ、小川を渡る日本の里山集落的な場所まで来ると今回のライドはほとんど終わったようなものです。
ここを道なりに右折していきますが、左折するとお土産屋街があり昇仙峡に降りていける場所があります。
登り足りない人はこの先の分岐を右折し黒平方面に進むとさらに激しいヒルクライムが味わえるそうです。そうです、というのは私自身は車でしか行ったことがないからです。イニシャルDよろしくな無数のドリフト痕が付いたつづら折りの先に荒川ダムがあります。
また道なりに進むと日本百名山の金峰山を御神体とする金櫻(かなざくら)神社が現れます。毎年11月頃になると地元の中高生の吹奏楽部が演奏会を行っている場所です。
金櫻神社の先は最後のつづら登りがあります。イニDに出てきそう過ぎる。
つづら折りを登り切るとあとはびっくりするくらい永遠に下ります。見通しは良いですが車には本当に気をつけてください。というのもこの辺りでウインカーやハザードランプを一切使わず突然曲がったり停まったりする車に複数回遭遇しているからです。やばい集落なのかもしれません。今回もノーウインカー左折を食らいました。過去の経験から来るぞ来るぞと思っていたので対応できましたが、所見だったらクラッシュしてました。
オススメスポット
この橋は長いダウンヒルを経て街に出る直前にあり、個人的に気に入っている場所です。グーグルマップ上で名称がない、名もなきスポットですが…
右の脇道を登ると橋の上まで行くことができます。
写真だとフェンス越しでイマイチですが実際に立つとなかなかの景色です。
まとめ
秘境感あふれる昇仙峡ですが意外と市街地から近く、甲府駅から今回のルートで周回すると30kmくらいなので挑戦しやすくてオススメです。和田峠で力尽きてもその先で昇仙峡をパスして敷島方面に下るエスケープルートもありますし、観光地ゆえ補給にも困りません。ヒル嫌イマーでもなんとか楽しいが勝るくらいの絶妙な難易度です。