山と自転車

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【撮影機材】ロードバイク用のカメラはRX100 M3が最適解だと思う

例によって主題に行き着くまでが長いので目次を活用してください。

ロードバイク用のカメラは何が良いのか問題

ロードバイクに乗る際にカメラを持つべし、といった趣旨の記事を書いたので、じゃあどんなカメラが良いんだというのを考えてみました。

www.mount-road.com

結論を先に書きますと、ロードバイクでフルサイズ一眼レフ、ミラーレス一眼、コンパクトカメラ、GoProで済ませる等々やってきましたが、ロードバイク用のカメラとしてはSONY RX100シリーズが最適解ではないかと考えています。

SONY公式HPより https://www.sony.jp/cyber-shot/rx/rx100series/

ロードバイク用のカメラに求めること

現在はメイン機としてOLYMPUS OM-D EM1markⅡを使用しています。自転車旅にはM.ZUIKO 12-100mmF4.0 PROを合わせてたすき掛けで走っています。自転車✕写真の素晴らしさは先の記事で散々述べてきましたが、それでも上記の装備は100kmを超えるライドでは疲れて写真を撮るのが億劫になる本末転倒なこともしばしばです。

ということでここで言うロードバイク用のカメラとは100kmを超えるような走ることがメインになるライドで一眼の代わりになるカメラ、逆に50km程度の短いライドの時にも一応持っていくのが苦にならないようなカメラを探します。

求める条件

①軽量であること

②ジャージのポケットに入ること

→どんなライドの時にも携行できることが必須条件です。一眼の運用との棲み分けの意味合いもあるので、たすき掛けではなくジャージのポケットあるいはフロントバッグやトップチューブバッグにも入るくらいのカメラとします。

③欲しい画が撮れるスペック

→ライド中に欲しいのはある程度の広角(換算24mmくらい)と圧縮効果が使える望遠域(換算70~100mmくらい)とF2.8以上のできるだけ明るいレンズ、あとはファインダーです。夜の撮影はあまりしませんが、森の中や峠道は昼間でもかなり暗くなることがあるので手持ちで撮れる明るいレンズが必要です。ファインダーは逆に日中の明るい時間帯で背面モニターが見えづらくても撮影できるようにというのと写真を撮るという気分を上げるためにも必要です。あとは願わくば手ぶれ補正があると良いです。

ロードバイク用のカメラの候補

①RICOH GRシリーズ

まず考えたのは最強のスナップシューターとして名高いGRシリーズです。何世代も作られている人気シリーズでありながら、初代から外見がほとんど変わっていないので一度は見たことがあると思います。換算28mmの広角単焦点レンズは写真界隈では難しい画角と言われることもありますが、iPhoneのカメラの画角が概ね28mm相当なのでスマホ世代には使い慣れた画角とも言えます。手のひらサイズなだけでなく非常に軽量で起動が早いことが自転車向きで、ジャージのポケットにも余裕で収まります。多分1ポケットに4台くらい入ります。しかもセンサーサイズがAPS-Cなのでトリミング耐性があり、現地で追い込んだ撮影ができなくともRAW現像でいじる余地が十分にあります。

www.ricoh-imaging.co.jp

最新機種はGRⅢと換算40mmのレンズに変更されたGRⅢXです。基本的には最初から完成度の高いモデルなので初代GRが新品5万円ほどで買えるのは非常に魅力的です。自転車抜きでも気になっているカメラの一つです。

見送った理由

既に所有している後述するX100Fと立ち位置が被っていることが一つと、光学ズームがないことです。ロードバイクに限定すれば道路の脇や路上で立ち止まっての撮影が多く、脚を使うことができないため単焦点レンズは使い勝手が悪いです。APS-Cセンサーのトリミング耐性を活かしてデジタルテレコンを駆使するのも考えましたが、ライド中によく使う画角が50~70mmなのでデジタルテレコンがメインになるのも如何なものだろうかと考えてしまいました。

②FUJIFILM X100F

先の記事でも紹介した、社会人になって初めて購入したカメラです。

このカメラもGRと同じくAPS-Cセンサーの単焦点、高級コンデジに分類されるカメラです。GRと異なるのは換算35mmの標準域であることで、往年のフィルムカメラライクな外観にFUJIFILM得意のフィルムシミュレーション、EVFとOVFの切り替えができるハイブリッドビューファインダーなど嗜好性の高いカメラです。シルバーとブラックの2色展開です。

最新モデルは5世代目のX100Vで、遂にレンズが変更されてシャープで現代的な描写になったと賛否ありますが、手ぶれ補正が搭載されたりチルト液晶、タッチパネルになったりと仕様もかなり現代化しました。2023年夏現在では供給不足が続いており、とんでもない価格で取引されているプレミアカメラだったりします。

実際ライドがメインで一眼を持ち出すほどでもないかな、という時にX100Fを持ち出しています。基本的には一眼と同じくストラップでたすき掛けスタイルです。実際に使ってみて良いところはフィルムシミュレーションにより表現の幅が広がること、デジタルテレコンがちゃんと使える画質であること、F2.0と明るいレンズなので夕方や峠の暗いところでも撮影しやすいところです。

見送った理由

一番はカメラの大きさです。GRに比べてふたまわりほど大きく厚みもあるので、ジャージのポケットには入らないことはないですがスムースに出し入れはできません。またフロントバッグやトップチューブバッグに入れるのも厳しいです。結局軽いとは言っても一眼と同じ運用スタイルになります。以上から誤解を恐れずに言うと、ロードバイクに限定すればGRの完全下位互換になってしまいます。

③オリンパス TG-6

オリンパスの防水防塵耐天候性能に優れたアウトドア用のコンデジです。先に挙げた2機種とはかなり毛色が異なりますが、4倍(換算25〜100mm)の光学ズームを備えマクロ撮影から水中撮影までできるというカメラで、山岳写真家や昆虫撮影家がサブ機として持っているイメージがあります。登山や川遊びスポットでよく首から下げている人を見かけます。センサーサイズが小さいことが欠点ですが、F2.0の明るいレンズで画質に関してはある程度はカバーされていると考えて良さそうです。

見送った理由

画質が一番の理由です。特別悪いわけではありませんが、やはりセンサーサイズが小さいため暗所や暗所とまで行かなくとも日中の峠などの作例を見るとかなり画質は気になります。ファインダーがないことを除けば求める条件を全て満たしており、かつ防水性能が高いのでライド中の汗や天気の急変時にケアする必要がないというのは大きいですが、ここまで画質面を妥協するならスマホでいいのではと思ってしまったのも事実です。

選ばれたのはRX100M3

スペック

・手のひらサイズの圧倒的コンパクトさ

・1型センサーの高画質

・解放F値1.8のレンズでボケ表現から暗所撮影も対応

・フルサイズ換算24-70mmという万能な画角

・ファインダー搭載

・手ぶれ補正あり

防水性能こそないものの、求めている条件をすべて満たしているRX100M3を購入しました。以前の記事で紹介しましたが、私が写真を趣味にするようになったきっかけのカメラが初代RX100だったので買い直した形になりました。

www.mount-road.com

RX100シリーズの最新は第7世代目なので、M3はだいぶ価格がこなれていて私は状態の良さそうな中古品を4万円ほどで入手しました。世代を経るごとに動画撮影性能や望遠性能が向上していきます(最新のM7では脅威の24-200mm!)が、価格も跳ね上がります。画質は初代RX100から十分良かったですが手ぶれ補正やファインダーはないので、それら「趣味の写真撮影として」必要な基本性能を完備したM3が最もコスパに優れていると思います。

外観レビュー

ボディカラーは精悍なブラックで沈胴式レンズ・飛び出しの少ないフラットなボディです。

購入時点からアタッチメントグリップAG-R2が装着されていました。どんなレビュー記事を読んでも落下防止&保持力向上のため必須と紹介されています。アタッチメントは1000円程度ですし、RX100M3はフラットかつサラサラしたボディでうっかり落としやすいのでこれは同梱しておくべきと思うレベルで必須です。純正のレザーケースが付けられなくなるのがデメリットですが、ロードバイク用なら裸+アタッチメントがサイズ的にベストだと思います。

片手で操作できるiPhone 12 miniと比較しても非常にコンパクトです。RX100M3はバッテリー含め290gあるのでずっしりした感じです。

こちらが収納式のファインダーです。写真はボケていて見えづらいですが、ボディのサイドのスイッチをスライドさせるとポップアップし、さらに手前に引き出す2段階になっています。

電源オフ状態でファインダーを組み立てると電源が入り、小さい割には見やすい液晶なのでちゃんと使えます。ただし途中から背面モニターで撮影したくなってもファインダーを収納してしまうと電源が強制オフになるので注意が必要です。これはよく批判されているところですが、強制オフにするかどうかは選択できるようにすべきだと思いました。

レンズは電源のオンオフで自動で伸び縮みし、レンズは広角端で一番長くなります。

ロードバイク用カメラとして使用して:良いところ

片手で出し入れできて撮影が億劫にならない

今年夏のつくば霞ヶ浦りんりんロードと都民の森ヒルクライムはRX100M3のみでライドしました。ジャージの背面ポケットにかなり余裕をもって収まるので出し入れがスムースで、やはり何も肩に掛けず走れるのは非常に快適でした。

RX100M3 つくば霞ヶ浦りんりんロード

ここまでコンパクトなカメラだとふとした瞬間に背面ポケットから取り出して撮影するのが全く億劫になりません。しかもその一連の動作が片手で済んでしまうのでライドしながらの撮影も可能だと思います。

24-70mmの標準ズーム域が使いやすい

24-70mmという画角はフルサイズ一眼のいわゆる大三元レンズの標準ズームに相当する、最もポピュラーな画角です。広角端24mmはパースの癖が出ずかつスマホよりも広く写せて汎用性が高く、テレ端70mmは印象的な場面を切り取るには十分ですし、ある程度の圧縮効果を狙った写真も撮れるので表現の幅がかなり広いです。

RX100M3 広角24mm

RX100M3 テレ端70mm

RX100M3 テレ端70mm

基本手持ち撮影でいける

テレ端ではF2.8になりますが広角端でF1.8と非常に明るいレンズなので、峠や夕刻の道中はもちろん屋内の撮影時にも基本的に手持ち撮影できるのが強みです。1型センサーは高感度耐性もあるので日中〜夜のライドくらいなら困る場面は少ないと思います。

イマイチなところ

撮って出しの色味

撮って出し(JPEG)の色味にはメーカーごとの思想や強みが現れます。例えば私のメイン機のオリンパスブルー、Canonの人肌の色、ペンタックスの緑色、FUJIFILMのフィルムシミュレーション、なんかが有名どころです。私はSONY機はRX100シリーズしか使ったことがないのでSONYの色なのかRX100シリーズの色なのかは分かりませんが、RX100M3の撮って出しはのっぺりした印象を受けます。良く言えば記録色、悪く言えば地味・つまらない、でしょうか。(SONYは昔から撮って出しの色味はつまらないと言われがちですね)

RX100M3 クリエイティブスタイル スタンダート

クリエイティブスタイルである程度は好みに合わせて調整できますが、大好きなオリンパスブルーの色味に慣れていることもあり、地味な印象を受けてしまいます。個人的には少なくとも構図を追い込んで作品のつもりで撮る写真にはRAW現像が必須かなと思います。

オリンパスブルーを目指して現像

UIの使い勝手が悪い

これもSONYのカメラの欠点としてよく言われているところです。メニュー画面の大カテゴリの中に非常に複数のページが階層化されているのでどこに何があるか把握するのに一苦労です。

もちろん露出やホワイトバランス、ISOなど撮影中に頻繁に使用する項目はボタン1発+αで呼び出せるようになっていますが、このUIは初代RX100を使用していた頃から好きになれません。

汗で故障しないかが気がかり

RX100シリーズには防水、防滴、防塵等の性能はありません。カメラは精密機器なのでオリンパスのようにシャワーを浴びても平然としている方がおかしい(褒め)のですが、アウトドアユースでは注意する必要があります。基本的にジャージの背面ポケットに入れての運用を想定しているので、今のところは滝汗をかいても意外と濡れないし不調もありませんが汗濡れは常に気になるところです。

行動食を入れる場所や振動が許容できるならばライド中のアクセス1等地のトップチューブバッグに入れるのが安心かもしれません。

まとめ 

上記のように細かい点で欠点はいくつかありますが、基本的な撮影性能に関しては不満がありません。このコンパクトな筐体によくぞ大三元レンズに匹敵する標準ズームとファインダーを搭載してくれた!というのが率直な感想です。

これより画質・性能が落ちても嫌だしこれより大きいとちょっと携行方法を考えなければならない、という絶妙なバランス感がロードバイクに最適解と考える所以です。最も快適なスタイルでライドできるのに写真も妥協しなくて良くなるのは写真好きローディからすると革命です。RAW現像まですれば思ったよりちゃんと欲しい画の表現ができるので、ライド中に一眼カメラをたすき掛けする今までのスタイルに戻れるか心配になってきました。

ロードバイク抜きでも、1型センサーはその大きさからは想像できない高性能なので一眼カメラユーザーもぜひ体験してみて欲しいと思いますし、スマホでしか写真を撮らない人もスマホより小さいながら圧倒的に色んな写真が簡単に撮れるようになるので強くおすすめします。