利尻山登山→利尻島一周サイクリング→礼文島巡りに続く北の果て旅の終焉、稚内編です。
↓前日譚
プラン
day1 稚内上陸→稚内森林公園キャンプ場→稚内駅前で夕食&ヤムワッカナイ港の湯を利用→キャンプ場へ戻る
day2 稚内→宗谷岬→白い道→稚内空港(稚内〜宗谷岬は状況によりバスを利用)
これが元々計画していた稚内上陸後のプランです。実際には稚内上陸後、食事を済ませてから稚内森林公園キャンプ場に移動しました。詳しくは後述しますがこのキャンプ場は一度設営してから駅前に繰り出せるような場所ではなかったのがその理由です。2日目は結果としてはバスは利用しませんでしたが、途中でバスを使う前提でプランニングしていたので徒歩や自転車で訪れた人には参考になると思います。
1日目 礼文島からフェリーで稚内へ
礼文島の民宿スコトン岬で朝を迎え、澄海岬や礼文空港に立ち寄りながら自走し礼文島香深港14:20発のフェリーに乗って16:15、稚内に降り立ちました。今日までは何だかんだ拠点に重い荷物をデポして移動していましたが、これ以降はいよいよフル装備で移動しなくてはなりません。
日本最果ての駅 JR稚内駅
しばらく離島に居たので稚内駅前は一気に現代に帰ってきた感じがします。
稚内からの運賃表。しれっと終点が新千歳空港になっていますがえげつない距離と時間がかかります。以前離島および稚内へのアクセスについてまとめましたが、飛行機と電車で金額がほぼ変わりません。
最北端のアウトドアショップ ノーザンノース
稚内駅前の商店街に佇むノーザンノースは最北端のアウトドアショップです。オロロンラインをデザインしたオリジナルTシャツを手に入れるべく立ち寄りましたが今シーズンはSサイズ以外売り切れてしまったとのことでした。利尻島で購入したもののほぼ使用しなかったOD缶を好意で引き取っていただきました。
日本最北端のドーミーイン稚内
私はドーミーイン愛好家なので「日本最北端のドーミーイン」には非常に惹かれたのですが素泊まり19000円だったことと、今回の旅の最後は札幌のドーミーインに泊まる予定だったので次回の楽しみに残しておくことにしました。
ラーメン 悦ちゃん
キャンプ予定ならまず設営を済ませてから食事、というのがセオリーですが食事を済ませてから移動することにしました。その理由はこの後の稚内森林公園キャンプ場のくだりを読んでもらえれば分かります。稚内駅周辺はラーメン屋や居酒屋が多数存在しているので適当に評判の良さそうなお店を調べます。稚内名物というチャーメンを食べてみたかったのですが、あいにく定休日だったり営業時間外のお店が多かったのでこちらのラーメン屋にしました。
利尻島のラーメンも稚内のラーメンも塩ラーメンが基本のようです。身体への罪悪感が少ない淡麗な味わい。美味しい、美味しいんだけどそろそろドロドロギットギトの町田商店硬め濃いめ多めが恋しい。
地獄のヒルクライム 稚内森林公園キャンプ場へ
この日は稚内駅から4kmほどの場所にある稚内森林公園キャンプ場で最後のキャンプをする予定です。この稚内森林公園キャンプ場は高台にありトイレはもちろんゴミの回収場所、BBQテーブルも備え付けられていて、焚き火台があれば焚き火も可能、そしてなんと無料という素晴らしいキャンプ場です。芝生サイト&どこもほぼ平坦なのでしっかりくつろぐキャンプができて非常に気に入ったキャンプ場です。そこに至る道のりを除けば。
地図上でこれだけ駅前近くだと一度設営してから駅前に飲みに行ったりしようと思うでしょう。これまでで再三言ったようにそれは無理です。
この入り口まではただの市街地
地獄の始まり 稚内公園入口
公園入口から地獄が始まるぜ…思い出すだけでキーボードを打つ手が震えてきます。
嗚呼
道路に◯が出てきたYO
見てくださいこの斜度。ざっくと合わせて車体は30kg近い重量です。秘伝の押し歩きでも脚が止まるレベル。というかこれ帰りのダウンヒルで死なない?ブロンプトンのブレーキで制御できるとは思えないんですが。
ぜぇ…ゼェ…さ、さすがに高台だけあって景色はまずまずです(キャンプ場は森の中なので眺望はありません、これは地獄の道中です)。海の方に伸びるトンネルのようなところはかつてのライダー御用達の野宿スポットの稚内港北防波堤ドームです。
実はフェリーの中で稚内森林公園キャンプ場がヤバい立地であることを知ってこんな登るくらいなら路上で寝ようと「稚内 野宿」「稚内 気温 9月」等々ググっていたら出てきたのがここです。雨風しのげてテントも張れる、設営後に駅前に繰り出せると喜んだのもつかの間。元々も野宿が黙認されていた状態だったのが現在はちゃんと禁止されているので撃沈しました本当にありがとうございました。
何の苦労もなく過ぎ去っていく車やオートバイに呪詛を吐いていると鹿が現れ彼らを足止めしました。獣使い?
この公園内は鹿が普通に居ます。そこらへんの草を食べ悠々と過ごしています。鹿が居る草原が出てくると平坦になり登りきった感が出てきました。汗と涙を撒き散らした地獄が終わった…。
と思ったら見てくださいこれがキャンプ場方面へ続く道です。一度下ってまた登らなければなりません。いい加減にしろ。
そんなこんなで満身創痍になりながらようやくキャンプ場に辿り着きました。駅前から1時間近くかかったかもしません。
設営完了。今回は利尻島でツエルトの背が低くてあぐらがかけない問題を踏まえて、四隅を固定する前にポールを立てて高さを確保しましたがこれが非常に上手く行きました。ツエルト泊に関してはまた別で記事を書きたいと思います。
先述したようにこのキャンプ場はトイレ(しかも洋式)にゴミ捨て場、写真のようなテーブルや椅子まで揃っていて、かつ静かで非常に素晴らしいキャンプ場でした。ちなみに稚内は最北の地ですが日本最北端のキャンプ場は礼文島の久種湖畔キャンプ場なのでここに最北端の称号はありません。
2日目 稚内から宗谷岬へ
知らない天井だ。しかしツエルト泊もようやくテントと遜色なく過ごせるようになりました。21時に寝たので例によって5時頃、早朝に目が覚めます。今日はここには戻らないので再度パッキングして出発します。恐怖していた帰りのダウンヒルですが、ブレーキを握りっぱなしで案外普通に制動できました。
稚内駅周辺には駅構内も含め多数のセイコーマートが存在しています。これはセイコーマートと言えば、な激安パスタです。おにぎりより安いんですが何事。普通に美味いし。
利尻島で発覚したサイドカットタイヤ。空気圧を下げても積載重量により圧がかかりいつバーストしてもおかしくない佇まいに。
稚内から宗谷岬 約40kmの平坦道
稚内駅前から宗谷岬までは海に沿ってひたすら進むだけです。しかもほぼ平坦なので最北端の地を目指し無心で漕ぐだけ。
その名も秀逸な道。
路線バス 天北宗谷岬線
稚内-宗谷岬間は本数は少ないものの路線バス「天北宗谷岬線」が走っています。一般観光客の多くは路線バスではなく観光バスを利用して宗谷岬を訪れていましたが、路線バスでも宗谷岬に行くことができます。また、バスで稚内空港に直接行く方法はありません(稚内空港から乗ることはできても稚内空港で下車できるバスはない)が、この路線バスの自動車学校というバス停が稚内空港から約2kmほどの位置にあるので、これは自転車はもちろん徒歩ユーザーでも非常に有用です。
とりあえず宗谷岬までは自走して帰路はバスで自動車学校までショートカットして悠々と空港に着く予定でした。予定ではね。
バス停 自動車学校
先程の稚内空港最寄りのバス停、自動車学校です。レッドバロンの看板と稚内空港方面を示す青看板が目印です。稚内駅からは9kmほどの場所です。
宗谷丘陵の風車が見えてきます。
白い道ゴール地点
宗谷岬の近くには白い道という、貝殻が敷き詰められその名の通り真っ白な道があります。
稚内から宗谷岬まで進むと道中に白い道のゴール地点が出てきます。白い道は宗谷岬から宗谷丘陵を経てここに至る道の最後の3kmなので、このゴール地点から行けばすぐ白い道になるのですが、稚内市は宗谷岬の方から入るよう呼びかけています。道が狭く車輌のすれ違いが困難であることがその理由です。一方通行の法的な規制区間ではないようですが、実際車のすれ違いは不可能な道幅ですし、白い道は人が居ない状態で写真を撮るべくなんとなく順番待ちや譲り合いをする雰囲気があるので、逆走して視界に入るのはギルティだと思います。ちゃんとルールを守り宗谷岬側から行くようにしましょう。
宗谷岬 日本最北端の地
稚内駅前から3時間弱、ようやく辿り着きました宗谷岬です。日本最北端の地を自転車で踏むというのは自転車乗りにとっては特別なことです。いつか行きたいと思ってようやく叶いました。ロードバイクではなくブロンプトンになるとは思いませんでしたが、ジーンとくるものがあります。
車でも徒歩でもバイクでも自転車でも、日本最北端の地を踏む心は同じ。写真を撮ってもらったり撮りましょうかと声をかけたり人の写真に写らないよう避けたり、人の数は多かったですが配慮し合う空気があって温かい場所でした。
宗谷岬には飲食店やお土産屋がいくつかあります。日本最北端の食堂そして最北端の民宿もこの近くにあります。
日本最北端の自販機。Coke ON対応がありがたい。
宗谷丘陵 白い道スタート地点
宗谷岬の向かい側には白い道の入口、宗谷丘陵に続く道があります。
相変わらず鹿。
絵画のような水平線と草原です。
アップダウンが続く宗谷丘陵の道
宗谷丘陵を貫くように走るこの道は、先程登場した白い道ゴール地点まで続くトータル10-15kmほどの道です。
ラスト3kmの白い道を除き全て舗装路なので自転車でも特に問題なく進むことができます。
遠くの草原に何やら黒い点が…と思ったらそれは黒毛和牛です。
なだらかなアップダウンが繰り返されます。
この日は曇り〜時折霧雨が舞うあいにくの天候でしたがそれでも視界は十分広く、広大な北海道らしい景色を堪能することができました。
この気象観測所のような施設の手前を登り切ると風車の道、白い道はもう目の前です。
風車の道
宗谷丘陵には夥しい数の風車が密集しています。以前訪れた茨城の波崎ウインドファームのようなディストピア感はありませんが、数が多くて異世界じみています。
無機質にそびえる風車の麓には黒毛和牛立ち。意味不明な景色。
白い道
風車の道を過ぎるといよいよ白い道が始まります。
その名の通り真っ白です。これが3kmほどひたすら続きます。舗装路でこそありませんが荒れているわけでもないのでブロンプトンで普通に進めます。ロードバイクでも特に問題はないと思います。
う…
うh
うひょ〜超景色ですサイコー!
ちなみにレンタカーで何の苦労もなく訪れた若者や親子連れがこの道の先の方で延々と写真を取り続けていたので人間はLuminarAIの力で消し去りました。
日本最北端のコンビニ セイコーマートとみいそ
白い道を走り終え、いよいよ後は稚内空港から帰路につくのみとなりました。ここは日本最北端のコンビニのセイコーマートとみいそです。稚内-宗谷岬の道中にあります。特に最北端のコンビニアピールをせず超然とそこにあるのが尊い。またまたカツゲンで補給をします。
宗谷岬周辺観光ののちにバスに乗るつもりでいたのですが早朝に起きて行動開始した関係でまだ10時台でした。稚内空港は新千歳のようにラウンジで延々と寛ぐことはできませんし(ラウンジがそもそもない)17:05の便まで半日近く待つというのも勿体ないので迷った挙げ句、食べそびれたチャーメンなるものを食べるべく稚内に戻ることにしました。
目指すのは前日夜のリサーチで気になったてっぺん食堂です。
元々同じ道を往復するのが好きでないので宗谷岬からの帰路は白い道を終えたあとは消化試合です。ただし稚内-宗谷岬の道はサイコンが反応しないもののわずかに斜度があるので、帰路の方が走りやすくなっているのが幸いでした。
稚内副港市場 てっぺん食堂
バスで空港に行くどころか自走で稚内と宗谷岬を往復するはめになったので瀕死状態で辿り着きました。そして…
これが稚内名物チャーメンだ!!!!!
濃厚なあんかけに焼き目のついた食べごたえのある麺。気に入りました、稚内のチャーメン。
副港市場は採れたての海鮮の他にもお土産やソフトクリームが買えて見ごたえがあります。
稚内空港
稚内で昼食を摂った後は稚内空港に向かいます。疲れていたのでバスで自動車学校まで行く考えも頭をチラつきましたが、稚内から空港までは9kmほどなので自走しました。
利尻島に始まり礼文島、宗谷岬と続く4泊5日の旅が遂に終わりを迎えました。あとはおまけで札幌に1泊して帰るだけです。ちなみに稚内空港にはレストランがありますが先述の通りラウンジはないので長時間を過ごすには向かないので、あまり早くに行っても良いことはあまりありません。2階にはそれなりに大きなおみやげショップが入っています。