山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【利尻山 登山】利尻山 日帰り登山 鴛泊ルート 前泊から詳細まとめ2023.9 

今年の夏休みを利用して利尻山登山&利尻島一周(ブロンプトン)&礼文島巡り&宗谷岬の地を踏むという、人生観が変わりそうな5泊6日の旅をしてきました。今回は利尻山登山に関する記事です。先に言っておきます、利尻山山頂からは何の眺望も得られませんでした!!!

alu.jp

ということで山行記録というよりも利尻山登山を計画している人に役立ちそうな情報をメインにまとめたいと思います。長いので目次から良い感じに飛んでください。

利尻島へのアクセスについて

利尻島へは飛行機かフェリーのいずれかで上陸することができます。立地的にアクセスが大変そうなイメージがありますが、今回は最短かつ最もラクで安上がりな飛行機乗り継ぎでアクセスしました。羽田から新千歳、新千歳から利尻空港と飛行機2本乗り継ぐだけです。詳しくは過去記事にまとめましたのでご査収ください。

www.mount-road.com

利尻山登山について

登山ルートは2つ

利尻山の登山ルートは鴛泊(おしどまり)ルートと沓形(くつがた)ルートの2つがありますが、9割方の登山者が鴛泊ルートから登っているそうです。、先の記事でも書きましたが島の西側の沓形港は礼文島と利尻島を結ぶフェリーのみ運行しているため、稚内からフェリーで上陸する場合は鴛泊港になります。鴛泊港から鴛泊ルートの登山口までは距離にして4,5kmほど、沓形港までは10km以上離れているので基本的には鴛泊ルートで登るプランになります。

ちなみに登山道の難易度は沓形ルート>鴛泊ルートで、沓形ルートには鎖場などテクニカルなゾーンがあるそうです。

鴛泊登山口までのアクセス

鴛泊港から登山口までは4,5kmほどですが、そのうち3km以上は斜度5~7%程度の登りです。なので歩きや自転車でのアクセスも十分可能ですが、例えば「一度テントを張ってから麓のセイコーマートに行って買い出しをして戻る」というのは結構しんどいです。レンタカーを使わない場合は下山後まで海辺には戻らないつもりで買い出し等を済ませた方が良いです絶対に。今回私は友人が借りていたレンタカーで事なきを得ましたが、あの重装備で北麓キャンプ場とセイコーマートを往復するのは現実的ではありません。ちなみに民宿の多くは早朝の送迎サービスを行っているようなので、キャンプをしない場合はもう少しイージーモードです。

前泊地について(キャンプ場)

鴛泊ルートの登山口近くには2つのキャンプ場があります。登山口とほぼ同じ位置にある北麓野営場と、そこから2kmほど下ったところにある利尻島ファミリーキャンプ場ゆ〜にです。どちらも非常に綺麗でトイレも洋式、自販機やゴミ捨て場まであって至れり尽くせりながら1張500円程度という超良心的なキャンプ場です。首都圏の1人数千円とか平気で取ろうとしてるキャンプ場は本当に見習って欲しい。私は今回登山前日は北麓野営場のバンガロー、下山後はゆ〜にに泊まりましたが、ゆ〜にとの間の距離は結構ありますし何より坂道なので、徒歩もしくは自転車ならば前泊は北麓野営場にするべきです

利尻富士温泉

ゆ〜にのほぼ向かいにある利尻富士温泉はなんとサウナ&水風呂に外界のととのいスペースまで付いて500円、さらに風呂を出た後の十分な広さの休憩スペースもある非常にクオリティの高い施設です。おまけに露天風呂からは利尻山山頂付近が見えます。そしてコインランドリーが4機ほどあるのでミニマル装備の登山者や自転車乗りにも優しいです。先の記事では利尻島唯一の(と思っていた)コインランドリーの「アシリコインランドリー」を利用する予定でしたが、ゆ〜にから割と距離があること、利尻富士温泉にコインランドリーがあったことから利用しませんでした。

登山前日 利尻島上陸

私の今回の旅は登山と自転車のハイブリッド旅なのでパンパンの登山ザックとブロンプトンを持って自宅→羽田空港→新千歳空港→利尻空港の道のりを渡りました

IKEAのブロンプトン専用輪行バッグことDIMPAに入れたブロンプトンを手荷物預け入れカウンターへ。重量は15kg。免責同意書にサインをする以外はスーツケースを預けるのと何ら変わりません。登山ザックはパンパンとはいえ一応30Lザックなのでぎりぎり機内持ち込みができるサイズでした。

新千歳空港で利尻島行きの飛行機を待っていると不穏なアナウンス。ちょうど上陸する翌日から天候が回復する予報だったのでこの日は曇り&小雨でした。視界不良のため引き返す可能性がありますと表示されていました。ちょっと心配しましたが隣に居たスポーティなおばあさんがスマホで利尻島のライブカメラ映像を見て「利尻の方は晴れとる、これはイケるわ!」と言っていたので安心しました。

燃料たっぷり利尻島行き飛行機

「本日視界不良のため滑走路が確認できなかった場合は着陸をやり直すことがございます

複数回やり直す場合もございますが通常運行ですのでご安心ください」

「そのため本日は燃料をたっぷり積んで運行しております

燃料たっぷり周知は笑いました。周りもクスッとしている人が多かったです。実際には陸地が見えないほどの視界不良ではなく一回で着陸に成功しました。

離島行きとはいえ座席数は100以上あるジャンボ機。稚内-新千歳はプロペラ機だったのに。座席は前日時点で残り10席ほどになっていました。実際のところ充足率は8割程度でしょうか。1ヶ月前に予約しようとした時には既に残り3席ほどになっていたので、日が近づくとそれなりにキャンセルが出るのだと思われます。

利尻空港

こじんまりした空港なので手荷物受取所は大混雑でした。空港内には小さな売店、コーヒーショップはありますが食事ができるところはありません。

今回の旅の装備です。ブロンプトンに登山ザックを直接積載する万能旅スタイル。いつもの山仲間、師匠とHG氏がオートバイで北海道ツーリングをしたクライマックスに利尻山登山するというので今回はそこに合わせての上陸です。フェリーにバイク2台乗せると往復で2万円ほどかかるため、彼らは稚内にバイクを置き利尻島でレンタカーを借りています。空港で拾ってもらって北麓野営場を目指します。

普通にスーパーなホーマック利尻店

利尻島は鴛泊周辺に限っても食料の調達ができる場所が複数あるので、仮に車がないとしても全く困ることはありません。まず空港から鴛泊に向かう途中にあるホーマックに立ち寄ります。

ここは一見ホームセンターですが、この通り普通のスーパーが合わさっているので野菜や生鮮食品も難なく手に入ります。OD缶も売っていましたが250gサイズのみです。110gはセイコーマートに売っています。

何でもあるセイコーマート利尻店

今まで北海道といえば普通の旅行でしか来たことがなかったので何気に初めて入るセイコーマートです。僻地に強い、安い、旨い、北海道旅では必ず世話になる等々。聞いてはいましたがその通りで、今回の旅の食事の半分くらいはセイコーマート頼りでした。

僻地なにそれおいしいの?と言わんばかりの酒の品揃えに

冷凍ホタテや

ほっけやマグロまで。何でも揃います。

利尻島最初の食事は店内調理のHOT CHEFの豚丼と北海道限定乳酸菌飲料のソフトカツゲン。この2者は旅の途中何回食べたか分からないレベルで食べました。そこらで下手なもの食べるよりうんまいです本当に。

北麓野営場

登山前泊の地は登山口に最も近い北麓野営場です。駐車場は20台分ほどでしょうか。

管理棟です。トイレもこの建物のものを利用します。奥に見えている屋根は炊事場です。雨が降っているのは予報で分かっていたのでバンガローを借りました。

幕営地はこの炊事場のやや上で、下が芝生で平地な普通のキャンプ場という感じでした。

北麓野営場 バンガロー

こちらが今回借りた4人用のバンガローです。料金は5200円ほど、安い。町営なので事前に予約しないと使えない&管理棟の営業は17時までなので注意です。

内部は畳張りのベッドに布団一式。そして電気ケトルとゴミ箱があります。

うわーめっちゃ綺麗じゃん

広!快適!

贅沢だなぁ

この写真を見てまあ山だからしょうがないか、なんて思った人は文明人で贅沢者です。我々はテント泊が基本スタイル、山小屋なんて滅多に泊まらない上に東北遠征ではスーパー銭湯の雑魚寝で夜を凌ぐのも辞さいないのでこんな立派な建物を占領できるなんて奇跡です。

 

今日はジンギスカンするよ

ホントこの人いつどこでも料理してるな

利尻山 山行記録

コースタイムについて

さてようやく登山の記録です。まずこの利尻山は数字的にはかなりがっつりした登山です。標準コースタイムは往復で9-10時間ほど、獲得標高は1500mオーバーなので北アルプスや南アルプスにも全く引けを取りません。難所や危険箇所はなくとも8合目より上が軽い岩場になっていて斜度が増してくるのでなかなかの体力勝負です。

勾配は指数関数的に増えていき、山頂近くはエライことになっています。

我々は多くの山で標準コースタイムの1.5~2倍のペースで登頂下山できる脚ですが、ちょっと急ぎ目で登り3時間45分、下り2時間15分ほどかかりました。歩いた感覚からすると相当な健脚でも往復6時間近くはかかると考えておいた方が無難です。今回は私意外の2人は12時のフェリーに乗って帰るというのでAM4時半に出発、9時に下山開始する計画でした。

トイレ等について

利尻山の登山道には登山口の北麓野営場以外にトイレおよび売店はないので、携帯トイレを持参するよう推奨されています。しかし道中に携帯トイレ用の小屋が数カ所あるので、携帯トイレさえあればむしろトイレが多い登山道とも言えます。我々は今回利用しませんでしたが、この小屋は鍵付きだったので女性でも安心して使えると思います。携帯トイレは北麓野営場のほかセイコーマートでも500円で売っています。

天候について

今回はAM9時頃から晴れるという予報でしたが、結果的には山頂付近が晴れたのは14-15時頃になってからでした。下界は午前中から割と天気が良かったようですが、山頂付近は長らく雲の中で、何なら軽く雨に降られる始末でした。のちに島の人に聞いて知ったことですが、利尻富士の全容が見られるのはそれほど多くはないらしく、特に今年は気温が高い関係か晴れていても山頂付近にだけ雲が発生する日が多く、月に7回ほどしか姿を見せなかったと言います。

登山開始

4時半、登山開始します。4時頃からすでに空は明るくなり始めていたのでライトの類は不要でした。

最初にして唯一の水場 甘露泉水

最初にして唯一の水場、甘露泉水です。その名の通り甘い水だと言いますが果たして…

ゴクリ

…味は

どう…?

美味いが甘くはない

しばらくは道にせり出す木々を躱しながらぬかるんだ登山道を進むことになります。この感じは南アルプスを彷彿とさせます。

序盤は全然景色が変わらないので標識で位置を知ります。ちなみに最初に出てくるのは3合目の標識で、スタートの北麓野営場は2合目くらいの位置に相当します。つまり全然進んでねえな。

まだ我々が希望を持っていた頃です。青空が見えていた、あの頃。

ポン山との分岐近くになって下界の様子が見えてきました。鴛泊港すぐ近くの景勝地のペシ岬です。

晴れてきた

いいねぇ!

遂にリベンジや

※師匠は7年前くらいに一度利尻山に登りホワイトアウトにて散っています。

ネタバレですがこの日我々が見た景色と呼べるものはこれが最後でした。この空で天候悪化するなんて思ってるやついるぅ?いねえよなぁ?

すっとんで胸突き八丁、7合目です。空と同じく我々の心にも暗雲が立ち込め始めた頃です。

嗚呼

9合目 ここからが正念場

正念場を迎える頃には遭難中のような視界に。

登山道補修に力を貸す

頂上直下には登山道の補修・整備に使う4kgの資材を運ぶボランティアを募っていました。黒い復路の中身はこの地面の赤い砂?で山頂付近の荒れた道の補強に使うのだそうです。

スッ(資材を担ぐ音)

スッ(資材を担ぐ音)

ゑ、みんな持っていくの

良いことをしたら晴れるかもしれぬ

晴れねば貴様のせいだ

・・・

スッ(資材を担ぐ音)

利尻山、ほど良くユーモアが効いています。

利尻山山頂

おそらく10m/hは超える爆風に吹かれ雨に晒され粘ること30分。麓のライブカメラを適宜見ながら(なぜか登山道全域でバリバリに電波が入る)、あまりにも厚い雲の中にいることを知ってもう我々は眺望が得られないことを確信しました。多少の善行をしようが相手は自然です。無理なもんは無理でした。

下山 まさかのあの人とすれ違う

ここからの下山は地獄そのものです。登山者が非常に多く何度も立ち止まってすれ違い時間をロスし雨に濡れた岩場でスピードアップもできず、何の眺望もない雲の中を無心で降りていきます。きっと晴れると信じているであろう、辛そうにしながらも目を輝かせた哀れな登山者達が山頂の様子を聞いてきたのでその目が曇るくらいには現実を伝えてあげます。そんな中、非常に大人数のグループをやり過ごしているときのことでした。

今の人、田中陽希に似てなかった?

まさか笑

そのまさかでした。グレートトラバース、日本百名山ひと筆書きの田中陽希さん本人でした…。衝撃。

下山後、ホースの先端にブラシが接続されたナイスアイデアな靴の汚れ落としがありました。

まとめと感想

・利尻島へのアクセスは意外と簡単(お金はかかるけど)。

・利尻行きの飛行機は燃料たっぷり。

・利尻空港には食事ができる場所はない。

・鴛泊ルートなら港から徒歩or自転車でも行けはする。

・北麓野営場と港周辺を何度も往復するなら車じゃないと厳しい。

・食材、食料やガス缶の調達は全く問題なし。何でも揃うぞ。

・利尻山登山の前泊は北麓野営場が◎ ゆ〜には登山口まで距離がある。

・利尻富士温泉は神。サウナーも満足。水風呂は殺しに来てる冷たさ。

・利尻山の登山自体はあまり楽しくない。南アルプスみたい。

・利尻山登山道にはトイレや売店はなし。携帯トイレ必携。

・どんなに健脚でも往復6時間は想定しておくべし。

・利尻山が完全に晴れることは少ない。

・眺望がなくても踏破したことには違いないッ!!

 

おしまいです。利尻島に行く人は参考にしていただけたら幸いです。