こんにちは!上社アイです。先日友人にこのHNの由来を聞かれたのですが、ほぼ単なる記号の組み合わせなので意味などありません。
ところでニュースのインタビューで「GWは11連休です」と答えている人は何者なんでしょうか。自分の場合、職場復帰不可能なくらいには遊び尽くしてしまいそうなので真ん中の平日に強制的に現実に引き戻されるくらいの方がちょうど良いんですけど。負け惜しみとかでは決して、決してなく。
さて、先日アルプスあづみのセンチュリーライド(AACR)に参加し、約160km約1500mアップの道のりを想定よりは早く走破でき、自分の走力に少し自信を持ちました。今回はそんな矢先に起きた悲劇の記録です。
ヤビツ峠って?
ヤビツ峠は神奈川県西部に位置する広大な丹沢山塊のうち、知名度の高い塔ノ岳と大山の間に位置する峠の名前です。所在地としては秦野市になります。登山家にとっては丹沢主脈の縦走路の起点あるいは大山登山のショートコース、自転車乗りにとってはヒルクライムのメッカとして知られています。
ヤビツ峠ヒルクライムってどんなよ?
ヤビツ峠のヒルクライムはヒルクライム入門的な位置づけ(と少なくとも私は認識している)で、南側の名古木交差点を起点に登る表ヤビツと、北側の宮ヶ瀬ダムの方から登る裏ヤビツがあります。両者を比較すると、表ヤビツの方が斜度がキツめですが途中で小田原〜湘南の街を一望する眺望が得られ、裏ヤビツは斜度が穏やかで登りやすい反面あまり眺望がないという特徴があります。
ヤビツ峠のタイムアタックとは表ヤビツの方を指しており、麓の名古木交差点がスタート地点となるようです。諸説ありますが初心者の目標は60分切り、ヒルクライムレースなどを考える人は40分を目標に、30分を切ると異次元のクライマー、くらいの感じです。
ヤビツ峠ヒルクライム
走行データ
今回はGWの交通事情を考慮し、立川の自宅を起点とする完全自走ルートを引きました。AACRと同じくHT氏とのライドです。彼と地元町田で合流したのち、海老名を経由して相模川に沿って南下、国道246号線に合流したら西に進むと名古木にたどり着きます。
246号の洗礼
名古木まではウォームアップの平坦道。そう思っていました。
あれ、始まった?
聞いてないんだが
ちょっと登るくらい仕方ねえか…なんて思えるレベルではありません。ガッツリ登ります。
登れど登れど終わりが見えない。2-3kmくらいは登ったと思います。斜度5-8%ほど。ただでさえ脚がないんだから勘弁してくれ!
246の洗礼はトンネルまで登ればおしまいです。トンネルを抜けて下りきったところが名古木交差点です。
名古木交差点
ここがローディの中でもヒルクライムという地獄を愛する変態たちが日本で最も集まるとされているセブンイレブン秦野落合北店です。この写真で奥に向かっている道が国道70号、秦野清川線で、ヤビツ峠アタックのスタート地点になります。
店舗には当然のごとくサイクルラック。246にやられたのでガッツリ休んでおきます。やはり集まってくるローディ達は研ぎ澄まされた身体に無駄を省いた軽量そうなバイクに乗っている人が多かったです。写真はありませんがLunHYPERのホイール、実物を見たのは初めてでした。
ここから約12km, 700m弱の登りらしいわ
え、さすがに1時間もかからんでしょ
確かに…まあ乗鞍に比べれば余裕やな
一応時間計測してみるか
ヒルクライムスタート
まずは住宅街を縫うように登り山に近づいていきます。
そういえば背中に何か背負わないと怖くて走れない病のHT氏、ついに背中を開放しました。
その甲斐あってか、ぐんぐん引き離されていきます。彼と私は25kgほど体重差があるのでどう考えても登りでついて行けるわけはないのですが、それにしても背中の荷物を解き放った彼はヒル嫌イマーの私からすると信じられない軽快さで登っていってしまいます。
帰っていいかな??
あかん、序盤の洗礼が全然キツくて無理
「ヤビツ峠は最初の住宅街が一番キツいからびっくりするけどとにかく軽いギアで脚を残して凌げ」とよく言われていますが、ギアを落とし切っても脚が残せない場合はどうしたらいいんですの???
まじで終わんねえんですこの住宅街。斜度2桁がチラつく地獄の激坂(for me)です。仲間にはすでに千切られたので1人黙々とこの地獄に耐え続きます。
住宅街を抜けやっと山に入って来たときには既に脚が半額セール残り数点状態。イキって時間測ろうとか言ってすみませんでした!!!!!しかしどんなに悔やんでも失った脚はもう戻っては来ません。
とはいえ山道に入ると斜度が少し緩んできます。といっても6-8%くらいはあるんですけど、住宅街エリアから比べるとまだシッティングでクル…クル…クル…くらいのペースでは回せる範囲です。住宅街でケイデンス40だったのが80台にはなるくらいです。ええそうです、類稀なる貧脚であることは他ならぬ自分自身が重々承知していますのでざぁこざぁこ言うのはやめてくださいぃぃぃぃ!
表ヤビツは山の斜面が南側、つまり太平洋側に向いているためある程度登ると視界が開けてきて、ヒルクライムの唯一の良いところ「高いところからの景色」を拝むことができます。例によってあたかも登り始めたらすぐ視界が開けるような写真のテンポ感ですが全くそんなことはありません。
HT氏を切り離してダウンヒルに切り替えて帰っちまおうか、そもそもAACRが完走できたくらいでなぜイキってこんな有名な峠に来てしまったのか。そして仮にも時間を測ってしまっているゆえノンストップで今の自分のベストを尽くさねばならぬ。他ならぬ自分が言い出したんだろう。
ケイデンスの数百倍目まぐるしく回転する思考、逃げ出したい自分と戦いながら発狂しそうになりながらペダルを回し、45分くらい経ってようやくたどり着いたのがこの景色です。
これが血反吐吐いて掴んだ眺望だ!
ちなみに進行方向左側の視界が開け始めると左手に展望台的な休憩スポットが出現しますが、ここはゴールではないので希望などかすかにも持ってはいけません。私は39分でそこに到達してなんだ、何だかんだ言ってそれなりに登れる脚じゃないかと一瞬思いましたが、またまた他ならぬ自分が一番良くわかっていました。俺がヒルクライマーの第一目標の40分切りなんてできるわけないじゃないか。逆説的ですが私が39分で到達したからこそここはゴールではないと確信したのです。ああ、なんだかPCの画面が滲んできたな…
ヒルクライム開始57分、ついにゴール
HT氏に6分ほど遅れ、スタートから57分でヤビツ峠ヒルクライムゴール地点の看板にたどり着きました。ここは前述のように三ノ塔を経由する塔ノ岳への登山口かつ大山への最短距離の登山口でもあります。バスを待つ登山者と休憩するローディが4:6くらいでした。
あ、ここは文字通りの峠なので眺望は一切ありません。達成感はこの看板との写真でしか味わえません。
なんとか60分は切れた…
俺もつい5,6分前に着いたばっか…
ブログ用の写真を撮るために立ち止まってたからさ、まあそれがなきゃもっと速かったんだけどね。そんな言い訳を用意していたのですが正真正銘ノンストップでしかも時間を意識して普段より真面目に登りました。そしてこのザマです。
石を投げられる前に全ヒルクライマーへ全力土下座で謝罪します。60分もかからんやろwとかイキってすみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!!
意外と下りだけじゃない帰路
前述の通りタイムアタック(笑)をしていたため途中の眺望ポイントでヒルクライムの醍醐味の景色を堪能することなく登りきった我々。景色を回収しがてら名古木にピストンするか予定通り宮ケ瀬に抜けて周回するか。
迷いましたが246の洗礼を受けた我々は「またあれを登るのか」と目先の苦労に囚われて宮ケ瀬ダウンヒルを選択しました。結果から言うと名古木に下って246をちょっと登り返して来た道を帰る方がトータルではラクだったと思います。というのも、宮ケ瀬から相模原に抜けるまでまあまあの登りが続いたからです。
宮ケ瀬ダムまでのダウンヒルですが、全体的な斜度は明らかに表ヤビツより緩い上、結構な頻度で平坦道が混じっていたりして意外と楽ちんじゃなかったです。登りの労力の割に下りで漕がなきゃいけなくてキレそうでした。
そして宮ケ瀬ダム湖畔までの距離も表ヤビツの登坂距離に比べ長かったと思います。宮ケ瀬までくればしばらくは平坦道です。
ヘロヘロでたどり着いた公園で一枚。
宮ケ瀬を抜けた後は我々のそれぞれの帰り先である立川と町田の中間点に当たる橋本を目指しました。国道16号に出たら私は八王子方面、ヤツは横浜方面へと分かれ解散です。この宮ケ瀬〜橋本間が結構キツくて、普通に斜度2桁の坂が連発する上にアップダウンがあっていつまで経っても山間エリアを抜けねえ!って感じでした。
ハンガーノック寸前になってふと現れた栗の里というハンバーグステーキレストランで補給をしました。一番肉が多いセットでも1200円くらいで、200円のご飯&スープセットはご飯おかわりし放題という疲弊したローディ向けのレストランでした。
ヤビツ峠ヒルクライムまとめ
・ヒルクライム登竜門=初心者向けでしょ?と舐めてかかると死ぬ。
・246を通るとアップにしては攻撃力高過ぎな登りが付いてくる。
・序盤の住宅街は想像以上に削ってくる。斜度2桁あり。
・残りの距離などを示す看板が一切ないので心が折れる。
・眺望が良くなり始めてもまだ先は長い。
・ヤビツ峠自体は眺望なし。山小屋やトイレがある。
・宮ケ瀬側の裏ヤビツの方が全体的な斜度は緩く距離は長め。
言わずと知れたローディのメッカ、一度は登っておこうと挑んだヒルクライムでしたが、正直数字だけ見て舐めてました。柄にもなくタイムアタックをしたりしてロングライドの時と走り方が違ったのが大きな要因ですが、完全に脚を使い切った感じでした。慣れないことはするもんじゃないですね。
距離が長く眺望がないため主に精神的な辛さはありそうですが、ヒルクライム強度としては確実に裏ヤビツの方がラクだと思います。ゆえに単純に景色を含めたライドとして楽しむのであれば裏ヤビツから登って小田原〜湘南方面の景色を眺めながら表ヤビツを下るのが良さそうだなと思いました。
上級ヒルクライマーは30分を切るなんて噂も耳にしますが、正直同じ人間ではないと思いますね。再訪はきっとなさそうな雰囲気が既にプンプンしているヤビツ峠ヒルクライムでした!