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【ブロンプトン】続・ブロンプトンには無改造で登山ザックが積載できる【自転車旅】

北海道離島旅でサイクリングと登山を両立すべくブロンプトンに登山ザックを積載する方法を考えました。この記事で紹介したブロンプトンに登山ザックを無改造で積載する方法で実際に旅をしてきたのでその結果&やり方のおさらい&改善点などのまとめです。

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100kmほど走ってみた結論としては、ブロンプトンに付属するポンプを利用して登山ザックを積載する方法は多少注意点と工夫の余地が残るものの十分実用的でした。ブロンプトンには無改造で登山ザックを積載することが可能です。

 

ブロンプトンに登山ザックを積載する方法

必要な条件

紹介する方法には下記の条件が必要です。

①ザック底部にピッケル装着用のループが付いていること

基本的には登山用ザックであればピッケルループはほとんどの場合付いていると思います。

②ブロンプトンにリアキャリアが付いていること

この方法はリアキャリアのホイール部を利用するので必須です。

③ピッケルループがリアキャリアのホイールに通ること

ピッケルループを一番長くした状態でリアキャリア後方のホイール部を通すことができればOKです。ただし小さいザックだとしてもピッケルのサイズが変わるわけではないため、ピッケルループが極端に短いということはないと思いますのでこれはあまり気にしなくて良いと思います。

④ブロンプトンに付属している純正ポンプ

無改造かつなるべく追加で用意するものがなくて済むようブロンプトンに搭載されている純正ポンプを利用していますが、後述のような注意点もあるので同じくらいの太さ&ザックを背負わせても折れない程度の強度がある塩ビパイプなどを使っても良いです。

⑤リアキャリアに固定したのちザックのショルダーベルトを一番短くしてテンションがかかること

詳しくは後述しますが、ザックのピッケルループとショルダーベルトが対角線上に引っ張り合うことで固定力を生み出す方法なので目一杯短くしてもテンションがかからない場合は固定ができません。私は身長173cm、ザックの背面長も一般的な範囲なのでほとんどの人にとって再現性の高い方法だとは思いますが、背面長が極端に長かったり日本人体型に合わないザックを使う場合にはできないかもしれません。

完成図

まずこれがブロンプトンにザックを積載した状態です。ザックはどのアウトドア用品店でも手に入りユーザーも多いカリマーのリッジ30という30Lザックです。現在は仕様変更でリッジ30+(プラス)というモデル名ですが、いずれでも可能だと思います。

要となるのは写真赤丸のキャリアのホイール部とポンプに背負わせたショルダーベルトです。両者がちょうど対角線上で引っ張り合う形になるので極めて強固な固定になります。ザックを後ろから見ると4隅で固定する形になるので左右の揺れも少なく、キャリアの上から滑り落ちることもありません。

先述した条件⑤に関してですが、ショルダーを一番短くした状態でも引っ張り合うだけのテンションがかからない場合、つまり赤丸同士の距離が遠すぎる場合には固定ができません。ショルダーの付け根の位置は背面長によって決まっているので、大きいザックだとしても標準的な身長に対応したザックであれば問題はないと思いますが、前述したように極端に背面長が長い場合には固定できない可能性があります。

写真の状態のザックはほぼパンパンに荷物を入れていて、重量は12,3kgのテント泊装備ですが、下り坂も含めほぼトラブルなく100km走ってくれました。オレンジの丸の部分はチェストベルトをシートポストに巻き付けて固定していますが、これはどちらかというとショルダーベルトが暴れて足に当たるのを防ぐ役割が大きいです。

手順

ピッケルループをリアキャリアの後輪に引っ掛ける

リアキャリア後方のイージーホイールのところに最大の長さにしたピッケルループを引っ掛けます。ザックがパンパンになっていると一見引っ掛けるのは無理な気がすると思いますが、ピッケルループが物理的にイージーホイールを超えられる長さであれば(ちゃんとしたピッケル用のループなら普通は超えられる長さになるはずです)可能です。はじめはザックを後ろに寝かせるようにして、ピッケルループにテンションがかからない状態で片方ずつ引っ掛けるのがコツです。ザックの底面が左右で固定されることで、キャリアからザックがずり落ちるという一番嫌なことが起こらなくなります。

サドルレールに空気入れを通しザックを背負わせる

ブロンプトンに付属している空気入れをサドルレールの後方に通します。通すだけで固定はしていません。私のサドルはBROOKSのB17SPECIALというモデルで純正サドルよりもレールが広めなのですんなり通りますが、純正サドルの場合は一度ポンプを伸ばして、通してから縮めるようにすれば同じように通せます。

ポンプにザックを背負わせたら目一杯短くします。この時点でキャリアに通したピッケルループと引っ張り合う形になります。背負わせた後はバルブと接続する側のレバーを倒しベルトを挟むことでズレ防止になります。

ポンプのレバーでショルダーベルトを挟んで滑り止めにする

ポンプは伸ばさない

前回の記事内ではポンプを伸ばした状態で背負わせていましたが、重装備のザックでそれをやったら一瞬で曲がってしまったので可能な限りポンプは伸ばさない状態で背負わせます。

前回の記事にて ポンプを伸ばして背負わせた図

ポンプを伸ばすと細くなった部分とサドルの間にショルダーベルトを挟み込むと良い感じに固定されたのですが、それができなくなる上にポンプが短くなりショルダーベルトが外れやすくなるので注意が必要です。実際今回のトータル100kmほどの走行中2回ほど、ポンプのレバーで挟んでいない側のショルダーベルトが外れていたことがありました。

それを踏まえると無改造ではなくなりますがラチェットベルトや伸縮ベルト等を用いて上記の赤矢印の方向にショルダーベルトを引っ張り合うような一工夫をしてショルダーベルトが滑り落ちないようにすると完璧だと思います。

チェストベルトをシートポストに固定する

ここは補助に近い部分ですが、ショルダーベルト同士を寄せる方向に働くことでポンプからズレ落ちにくくする、走行時の揺れを減らす意味合いがあります。チェストベルトを普通に締めるだけではおそらくテンションがかからないので、シートポストに何回か巻き付けてテンションが掛かったところでバックルを止めたり工夫する必要があります。あるいはバックルを利用せずチェストベルトを直接シートポストに縛っても良いかもしれません。

ウエストベルトは正直邪魔

前回の記事ではウエストベルトも上記のチェストベルトと同様、シートポストに抱きつくようにして止めたのですが、これは足に当たるので全然だめでした。

前回記事にて ウエストベルトをシートポストに抱きつかせた図

前回記事にて ウエストベルトがペダリングに干渉する

特に実際の装備ではウエストベルトのポケットも活用していると思うので(私は片方に行動食、もう片方にはGoPro shortyとLeofotoのミニ三脚MT-03を入れているのでパンパンです)、上記のようにしてしまうとよりペダリングに干渉します。

ちょっと分かりにくいですが、ウエストベルトは適当に内側に折りたたんでペダリングに干渉しないように止めました。ここは走行中何度か調整をしたりある程度は妥協したりと追求できなかった部分でまだ定型的なやり方が思いついていない部分です。今考えるならばウエストベルトを伸ばしてチェストベルトの上を通すなどして、サドルの方向に引っ張るような形で固定するのが良い気がします。

ブロンプトンに登山ザックを積載する方法の問題点

上記の方法で基本的には重量があっても驚くほどちゃんと積載できます。が、実際にやってみて感じた問題点は下記の2点です。上記で既に触れていますがまとめです。

①付属のポンプではショルダーベルトの固定が弱い

ポンプを伸ばした状態であればショルダーベルトを背負わせる肩に当たる部分の長さが十分に取れていたのですが、伸ばしたポンプの細い部分はザックの重量には耐えられませんでした。ホントに利尻空港で積載して数百m走っただけで笑っちゃうほど曲がってしまいました。

付属のポンプで頑張る場合にはショルダーベルトのずれ落ち防止で、ショルダーベルト同士を内側に寄せるようなもう一工夫が必要です。チェストベルトだけでは弱いのでラチェットベルトやバックルベルトで直接ショルダーベルト同士を締め付けて寄せてあげるのが良さそうです。

②ウエストベルトが邪魔

ウエストベルトはどう頑張ってもザックの固定には寄与しませんでしたし、キャリアとサドル下で固定力は十分なのでそもそも必要ありませんでした。よってブロンプトンに積載するという点に限ればウエストベルトは邪魔なだけの存在です。目一杯引っ張ってザックのサイドのコンプレッションベルトに挟むか、前述したようにチェストベルト上を通して固定して上の方に避けるか。

今回は何度調整しても微妙に足に当たったので最後はブロンプトンのリアキャリアに付いているバンドを使って適当にまとめました。完全に当たらなくなったわけではありませんがある程度で妥協しました。問題点①に比べるとこちらの方が無改造で何とかなりそうなので上手い定型的なやり方が思いついたらまた書きます。

③無改造にこだわること

この方法の上記の問題点特に①は無改造にこだわることが原因で生じているという前提条件に問題があるパターンです。よって無改造にこだわることが一番の問題とも言えます。ほむほむがこの世界はおかしいと原因を突き止めていったら自分が魔女になっていたの原因だったと分かった時くらいのやるせなさです。

追加アイテムを使うを旅先で紛失した場合に詰むというのと無限にやり方がありそうで頭を使うのがしんどいという理由で、無改造という条件に縛ることで行き着いたのが今回の方法です。ピッケルループをリアキャリアに固定する方法は本当に自分の頭だけで思いついた超ナイスイケメンアイデアですが、ショルダーベルトをサドル下に固定する方法は既に先人たちが様々な方法を考案しています。付属のポンプだけでは限界があるので、無改造を破るのであれば左右にショルダーベルトのずり落ち止めが付いたパイプを作ると良さそうです。

ショルダーベルトを背負わせるアイテム案

拙い絵ですがこんなイメージです。今回ポンプを用いた方法で得た重要な知見が、左右にストッパーさえあればショルダーベルト用のパイプ自体の固定はしなくても良いということでした。

何故かと言うと、ショルダーベルトは目一杯短くしてテンションがかかるので、ストッパーがなくてもある程度は固定力が生まれるということが一つ。もう一つはストッパーでショルダーベルトがずり落ちさえしなければ、このパイプ自体が多少左右に動いても固定には影響しないことです。繰り返しますがこのやり方はリアキャリアのピッケルループ、ショルダーベルトの計4点固定で、ザック底面の左右がピッケルループでガチッと固定されているため多少左右に揺れてもループが千切れない限りザックがキャリアからずり落ちることがありません。そのためショルダーベルトがパイプごと揺れたところでなんら問題はありません。

実は無改造にこだわったのはパイプを用意したところでそれをサドルレールに固定するのが億劫だったのも大きな理由だったので、それが不要となると話は大きく変わります。

上図のイメージでいくと左右のストッパーはサドルレールに通すためポンプのレバーのような折りたたみ式、もしくは取り外し式である必要がありますが、極論ホームセンターの資材売り場に売っているねじの棒を良い長さにして、左右に大きなボルト等を付けるだけで自作できそうです(その場合重量や輪行時の携行方法に難がありますが)。

まとめ ブロンプトンにザックが積載できると輪行が超ラクに

私は旅先で登山とサイクリングを両立させるべくブロンプトンのフロントバッグではなく登山ザックを使いましたが、登山をせずとも登山ザック✕ブロンプトンという旅スタイルは輪行を伴う場合に非常に生きてきます。

ブロンプトンにはワンタッチで着脱できてかつフレームに固定されるためハンドル操作に影響しない豊富なフロントバッグ類があり、最近ではリアキャリアに固定できる純正のバッグもありますし、さらに長いシートポストによりどんな大きさのサドルバッグも装着できるといった非常に優れた積載システムがあります。

これらを活用すれば何の苦労も工夫もなく40~50L程度の積載量は簡単に確保できるので、輪行を伴わないキャンプツーリングや自転車旅ならばそれが一番良いです。しかし輪行を伴う場合はどのように荷物を持つかという問題があります。フロントバッグだけであれば大きくても片手は空きますが、巨大なサドルバッグがあったりリアキャリアに荷物を固定している場合は両手が塞がります。場合によっては持ちきれないことも。

私の今回の旅は飛行機輪行✕4にフェリー✕2、バス✕3と複数の交通機関を利用したため畳んだブロンプトンと荷物を持つ場面が多かったです。輪行で細々した荷物が多いしんどさは一度経験するとトラウマものですが、今回は小物などをとりあえずザックに全て突っ込んでブロンプトンとザック一つ、という状態で移動できて超快適でした。

登山ザックは重量物を安定してある程度快適に背負うことに特化していますし、容量も30L以上あり余裕があるので自転車旅程度の荷物であればキャンプ装備があってもカバーできます。

巨大なサドルバッグがついているようなものなので坂はもう守備力ゼロになりますが、ブロンプトンならロードの時みたいに押し歩きは絶対にしない、なんてちっぽけなプライドが芽生えることもないので押して歩けば良いのです。平坦な道だけのんびり漕げば良いのです。

ということで登山ザックを無改造でブロンプトンに積載する方法でした。