山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【久比岐自転車道】ブロンプトンで久比岐自転車道サイクリング 直江津スタートで糸魚川へ2023.7

 

久比岐自転車道って?

新潟県の糸魚川から直江津間にある、日本海沿いを走れる全長32kmの絶景サイクリングロード久比岐(くびき)自転車道。ろんぐらいだぁす!でその存在を知ってから、機会があれば行こうと思い始めて約1年、ついにそのチャンスが訪れました。仕事で新潟出張→三連休突入という久比岐自転車道を走れという神の啓示がありました。

アクセス

久比岐自転車道は先述の通り糸魚川と直江津の間に位置しています。いずれの駅も東京駅から北陸新幹線1本で所要時間は2時間ほどでアクセスできます。そしてサイクリングロード自体の距離も短いので、遠そうなイメージながら意外と日帰りでも無理なくアクセスできる場所です。

海側を走るためには西から東に向かう糸魚川スタートが良いかと思っていましたが、実際には区間の殆どが車道とは独立した道なのでどちら側スタートでもあまり差はありません。強いて言えば糸魚川側の方が飲食店やコンビニが多く、直江津側は駅周辺に近づくまでほとんど何もないので、直江津スタートの場合は補給を気にする必要があるくらいです。

走行データ

直江津駅

仕事を終えた翌朝、新潟駅から特急に揺られること約2時間、朝9時半頃に直江津駅に到着しました。

フロントバッグにはスーツに革靴にお土産が詰まっていてぱんちくりんです。重すぎて輪行が全然快適じゃありませんでした。真夏くらいスーツ禁止してスラックスと半袖ワイシャツにする法律でも制定してくれ。

直江津といえば「直江津集合」。毎年8月末の土曜日に直江津の船見公園に集まって夕日を見るという、ロングライダーのイベントの地。もちろんろんぐらいだぁす!で知りました。

この日は前日まで日本海側や西日本で大雨が降っていて、当日も雨マークが消えることはありませんでした。その関係で川はどこも濁流になっていて、河口では海と川の色の境目が見える不思議な光景がありました。

直江津駅から久比岐自転車道の始点までは5,6kmほど離れていますが、とりあえず北上して海沿いを西に進めば良いだけなので迷うことはありません。

久比岐自転車道スタート

しばらくすると海沿いの大通りに合流し、久比岐自転車道の看板が現れました。隣の国道は意外なほどに交通量が多いしみんな割とかっ飛ばしているので、基本は車道ではなくこちらを走った方が良さそうです。

この子は公式キャラクターの久比岐凛ちゃん。

最初のスポットはこのフィッシングセンター。チラッとしか見ませんでしたが竿レンタル200円とかだったので釣り糸を垂れてのんびりしてみるのも良いかもしれません。

明け方以降は雨は降らない曇の1日という予報でしたが、序盤から青空に恵まれました。私は東京生まれ関東育ちなので海沿いといえば瀬戸内海や太平洋で、日本海沿いを走るのは今回が初めてです。心なしか潮風の匂いが違う気がしました。

味わい深いバス停留所。

海沿いを離れて線路と並走する区間もあります。

また凛ちゃん。

ふと見ると森の中に怪しげな神社があったりして、夏の田舎の風情を感じます。

久比岐自転車道はかつてSLが走っていた廃線跡を利用していて、海沿いを走れるだけでなく、複数のレンガ造りのトンネルが特徴的なコースです。最初のトンネルは直江津スタートから5kmほど走ると出現します。

トンネル内は真夏と思えないほどキンキンに冷えていて、まさに心霊番組に出てくるそれの雰囲気です。普通のトンネルよりも細く、自転車2台がすれ違える程度なのでなかなか閉塞感があります。

この日最初で最後に見たローカル線「トキてつ」

晴れた三連休初日にして、サイクリストとすれ違ったのは数えられる程度だったので任意の場所ですぐ立ち止まって写真が撮れます。さすがにしまなみ海道やビワイチなんかと比べれば知名度が低いので、独り占め状態です。

本日2つ目のトンネル。

トンネルを抜けるとすぐにまた次のトンネル。

距離は大したことないのに、トンネルを出るとずいぶんと晴れ間が広がっていました。ロードバイクで走っているとある数km区間だけ猛烈に雨に降られてすぐに止む、天気の境目を通ることがしばしばありますが、思ったより天気は短い距離感で変わっているのかもしれません。

S字カーブと海。大好きな組み合わせです。

スタートから10数km走ったところで「道の駅うみてらす名立」の看板。直江津スタートでは最初の飲食施設になります。今日は朝のメロンパン1つで行動しているためここで昼食にすると決めていました。

トンネルを抜けた先の海。大好きな構図。

道の駅うみてらす名立

巨大な1基の風車が目印の「道の駅うみてらす名立」。

道の駅と言いながら一歩足を踏み入れるとまるで市場。採れたての海産物が並んでいます。

奥に進むと築地の路地を思わせる海鮮丼コーナーがあります。

しかし今日の目当ては2階のレストランです。レストランと言うと洋食のイメージがありますがレストランという言葉の意味は「個別の席でメニューを選べる飲食店」なので料理の内容は関係ありません。

さすがに海のすぐ近くということで出し惜しみない感じの海鮮丼が現れました!身の瑞々しさと発色がぜんぜん違います。1800円くらいで結構ボリュームがあったので、自転車乗ってるし2回くらい海鮮丼を食べようと意気込んでいたものの結局この1回で終わってしまいました。

施設の横には広大な芝生スペース、海沿いの散歩道があり一時休憩します。正面には全く何もない水平線を眺めながら、今後の人生に思いを馳せるなどしました。はぁ、働きたくないな…

再び走り出す。時折進む先が登りに見える時がありますが、このように坂の手前で自転車道と分かれるので結局登りは全くありませんでした。ブロンプトンに乗っている時くらい登らずまったりしたいのでフラット万歳。

4つ目のトンネル。

糸魚川市突入

これを抜けるといよいよ翡翠の街(?)糸魚川市に突入。

糸魚川突入記念で1枚。

今日のバッグ類は今は廃盤のブロンプトンCバッグのみです。ここにスーツ上下と革靴、飲み会用のジーンズとTシャツ、温泉セットにお土産まで入っている。23Lながら登山ザックもびっくりな収納力です。

糸魚川市に入ってしばらくは自転車道が高台に位置して、眼下には家がひしめき合うように建っていました。伊香保の温泉街を思い出すこの情緒豊かな景観は、西洋建築の住宅では感じられない日本人のノスタルジー。

海を見下ろせる場所に一度住んでみたい。車では一瞬で通り過ぎるしかない何気ない景色、すぐにその場に止まってじっくり眺められるのは自転車だけの特権で、自転車の一番良いところだと思います。

5つ目のトンネル。

カニ尽くしの道の駅 能生(のう)

トンネルを抜けると次の大型施設「道の駅能生」

地元の海洋高校の実習で用いられたという漁船が展示されているのが目印。

この施設は兎にも角にもカニ推しで

屋外でもむせ返るようなカニの香りが立ち込めていて、人々がカニと殻入れの洗面器のような器を持って一心不乱にカニを食べていました。店の前はもちろんのこと、施設裏手の芝生エリアや堤防に座ってカニを食べている人もいて、違う世界に来たような感じです。

カニ尽くしの中1軒のハンバーガーショップ。もしかしてと思ったらやはりフィッシュバーガーでした。夏はチョウザメバーガーらしい。

道の駅能生を後に6つ目のトンネルと

最後となる7つ目のトンネルを抜けると

弁天岩

江ノ島のミニチュア版のような「弁天岩」。ここは久比岐自転車道から外れ海側に逸れないといけないので、看板に注意を向けておく必要があります。

弁天岩には灯台が建っています。これは登れませんが、

弁天岩から見える景色はなかなかのものです。肉眼でも水平線がわずかに湾曲しているのが見えて、地球が球体であることを実感できました。

久比岐自転車道の個人的面白ポイント。内陸側(進行方向左手)を見ると山と川そして田んぼと、ぼくのなつやすみ的な、山梨や長野にありそうな田舎の風景なのに

海側の進行方向右手を見るとすぐそこが海、果てのない水平線が広がっています。海と山と川と田んぼが同地点でいっぺんに見られるというなかなか不思議な場所です。

糸魚川駅まで残り5kmを切ったあたりから、堤防に沿った海沿いの道を進みます。

途中、雪渓がわずかに残る山々。向かって右側の三角錐の山は数年前に苦しみながら登った妙高山です。その形から別名越後富士とも呼ばれているそうな。

ヒスイ海岸

そして本日最後の観光スポット。糸魚川といえば翡翠が拾えるというヒスイ海岸。ここはたまにテレビで取り上げられたりします。ヤマノススメであおいがお父さんに付き合って訪れるという形で登場するのでファン的には聖地巡礼の一環です。

決して観光客向けのスポットというわけでもないので、朝からヒスイ探しをする地元住民も多いと聞いていましたが、この日も長い柄の着いたお玉のような道具を持って、立ったまま採集する明らかにガチ勢っぽい人が数人いました。

翡翠っぽい色の石はよく落ちていましたが丸1日探してようやく出会えるかどうかくらいのエンカウント率らしいです。

ゴール 糸魚川駅

一瞬の翡翠探しを終えて、終着点の糸魚川駅へ。同じ新幹線が止まる駅なのに、直江津よりも随分と大きく立派な駅でした。

駅のすぐ横の売店にて、翡翠の展示がありました。やはり純粋な翡翠の塊ではなく、翡翠を含む石、という形で落ちているみたいです。

大きな原石の展示もあって、このクラスになると6,7桁の値段が付いているものも多く見られました。一攫千金の夢を描くのも頷けます。

途中の道の駅やコンビニでさり気なく探してサイクルジャージ以外で見つけられなかった久比岐凛ちゃんグッズは、ここでついに発見しました。しかし木製のボールチェーンストラップって…GOサインを出した責任者に物申したいところ。そもそもボールチェーン自体自然に取れやすいし木製ストラップは割れたり削れたりしてすぐいなくなる…ので見送りました。

日本列島のラベル…と見せかけてよく見ると新潟県、新潟限定のビール「風味爽快ニシテ」で旅は締めくくり。後はもう輪行して帰るだけです。

駅構内にて最後の凛ちゃん。

新幹線待ちのホームからすぐそこに海が見えました。

ひょんなことから訪れることができた久比岐自転車道。殆どの区間は海沿いを走れて景色は最高だし、コンパクトな距離の中に見どころが詰まっていてアクセスも悪くない。そして自転車人口が多くないのでのんびり走ることができます。今回はかなり寄り道してのんびり走って全所要時間は5時間くらいでした。

東京から3時間ほどで来られるので週末1泊2日くらいでコンパクトな自転車旅をしたい、そんな気分にぴったりだと思います。