山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【初心者でも完走】しまなみ海道ブロンプトンツーリング② 大三島〜今治2022.9

ブロンプトンで行くしまなみ海道ツーリング2日目

中間地点の大三島で朝を迎えて、ゴールの今治まで残り半分地点です。

↓初日編はこちら。

www.mount-road.com

大三島スタートではブルーラインの距離は40kmくらいですぐに走り終えてしまいます。せっかく島を楽しむ時間の余裕があるので、寄り道しまくりながら進むことにしました。

大三島 大山祇神社へ

寄り道第一弾は、行きの向島渡し船で聞いた、大三島の「大山祗神社(おおやまずみじんじゃ)」に行くことにしました。

大山祗神社は大海原の神様、渡航の神様で各地の船乗りたちが安全祈願に訪れる場所で、海上自衛隊も参拝に来る、由緒正しき神社です。大三島の東岸を走るブルーラインに対して、大山祗神社は島のほぼ西端に位置しているので、サイクリストの聖地碑から往復して15kmくらいプラスして走る必要があります。登坂がありますが島の真ん中、山を通り抜けるのが最短になります。

登りとはいえ斜度は6%くらいで半分は下りになるのでそれほど大変ではありません…が、それは乗りなれている人の話で、後で両親からは恨み言を言われる羽目になりました。

由緒正しい荘厳な大山祗神社

樹齢2600年の御神木。初日の大山神社とはかなり雰囲気が異なっていて厳かな空気が漂います。しまなみ海道にちなんだアイテムが売っているようなこともなく、純粋にお参りに来る場所でした。

行きは車道をそのまま進みましたが、帰りは自転車用?の脇道を発見しました。大山祗神社から島の東に向かう道の途中、右手に細い道があります。道路に看板が出ているのでそれに従って進んでみます。

木陰が多く斜度が3%くらいと緩めで、橋のスロープと同じような感覚で進めるので大山祗神社の帰りはぜひこちらの道を進むと良いと思います。

レモン雑貨 大三島リモーネ

大三島を出る直前、レモン雑貨のお店「大三島リモーネ」に寄り道します。このお店は星井さえこさんの著書「おりたたみ自転車はじめました」に登場したことで知りました。ブルーライン沿い、この青看板のところで右の細い道に入っていきます。

本著書はしまなみ海道をはじめブロンプトンで巡るべき様々な場所が紹介されていて、絵柄も非常に可愛らしくて必携の書です。

するとどことなく沖縄の雰囲気を感じるような、可愛らしいお店が出現しました。店内は撮影禁止だったので外観のみ撮影します。レモネードやレモンアイスを頂くこともできます。私が頼んだはっさくジュースの酸味が強烈で身体に染み渡りました。登山もそうですが疲労時の酸味って回復効果が高いですね。

伯方島に渡るスロープを少し超えたところで展望台の文字を見かけます。いつも素通りしてきたので試しに行ってみました。短い激坂を超えると東屋があります。

…うん、たまにはこういうこともあります。木々が生い茂っていなければよかったのかもしれませんが、次からはまた素通りでいいかな…。

は!か!た!の!しお!の伯方島

伯方島はしまなみ海道で最も走行距離が短い島で「伯方の塩」で有名ではあるものの気づいたら通り過ぎているという島です。自転車雑誌で見た博多の塩ラーメン「さんわ伯方島本店」にずっと行ってみたいマークを付けていたので、この機会に行ってみることにしました。

大島に渡る橋を通り過ぎて島の反対側に行くので、大三島の大山祗神社と同様、ブルーラインから外れた完全な寄り道になります。この道は補給箇所が少ない上にアップダウンが繰り返され、行きも帰りも楽はできないため心身に余裕がない場合は止めておいた方が良いです。今回個人的にはさんわに行けたのは良かったですが、初心者2人にとっては完全に悪手でした。体力が怪しい場合はブルーライン沿いの「マリンオアシスはかた」の伯方の塩ラーメンにしておきましょう。

博多の塩ラーメン さんわ

整理券を配っているくらいには普段混んでいるようですが、平日旅のメリットで一瞬で入ることが出来ました。横浜家系ラーメン至上主義の我々からすると普段は食べない類の繊細な味わいでした。「海の味」を目指したという優しい塩ラーメンです。

ブルーラインに復帰し最後の島、大島に渡ります。以前訪れた時にブルーラインの海沿い最後にあった綺麗な砂浜昼寝をした覚えがあって、おそらくここだと思うのですが記憶の中の砂浜と一致しません。

ということで5月撮影の同じ場所の写真です。よく見ると脇の河口の水位が明らかに増しています。違和感の正体はこれでした。時期なのか時間のせいなのかは分かりませんが、潮の満ち加減の問題だったようです。

最後の島 大島

しばらく海沿いを走った後は島の中央を抜け、しまなみ海道最大の難所、宮窪峠を登ります。

難所 宮窪峠

しまなみ海道最大の峠「宮窪峠」です。しまなみ海道の中では最も辛いところです。斜度は7%ほどでロードを乗り込んだ今の私的には普通の坂ですが、ロクにロードに乗っていなかった初回の時にはだいぶ苦しみました。両親には押してきなさいと先手を打っておきます。

とはいえ峠、と聞いて想像するような激しい山道ではないので安心してください。家の近所にある坂がきついところが長く続くと思うとちょうど良いと思います。

しまなみ屈指の展望スポット亀老山展望台

そして大島といえば亀老山です。両親が自転車で登るのは天地がひっくり返っても不可能だし、かといって全て押して登ると1時間近くかかるのでどうするべきか悩みました。しかし、しまなみ海道を象徴する雑誌によく出てくる橋バーンの写真は亀老山展望台から見た来島海峡大橋なので、できることなら見せてあげたいところです。

ということで調べてみると、やはりタクシーがありました。ブルーライン沿い、大島最後にある道の駅「よしうみいきいき館」のホームページに亀老山が紹介されており「大島タクシー」で展望台まで行けることが判明しました。

片道2500円。ブロンプトン2台はもちろん積めるということなので手配しました。

激坂ヒルクライム

私はというとブロンプトンに乗って亀老山ヒルクライムを始めようとしていました。別にヒルクライムが好きなわけじゃありません。むしろヒルクライムは嫌いなのですがロングライドを趣味にしていると峠は避けられません。なので時々登りメインのコースを走るようにしていたら多少は抵抗が薄れました。その結果、初回はロードバイクで足を付いてしまった因縁の地をブロンプトンで登ったらどうなるのか。そんな好奇心の方が勝ってしまいました。

結論としては20分ほどで足も着かず登頂することができました。あれこんなもんだったけ、なんて思う始末。フロントチェーンリングを純正の44tに交換してなければ難しかったかもしれませんが、トレーニングの成果が出ているのは嬉しい限りです。

亀老山から来島海峡大橋を望む

※まるでブロンプトン乗り3人が必死に登った写真ですが、うち2台と2人はタクシーで運搬されています。帰路にて父「登ってくる奴らが俺を感嘆の目で見てくる」

激坂ダウンヒルを楽しんでもらい、いよいよ来島海峡大橋です。

全長4kmというのが未だに信じられませんが確かに明らかに走っても走ってもまだ橋の上にいるという感覚に陥ります。ちなみに先程の亀老山展望台は山の景観と調和すべく設計された、遠目に見ても分からない「ステルス展望台」です。

ズームすると展望スペースと人らしきモノがうっすら見える程度。見事な設計。

来島海峡大橋の前後はループ橋になっていてまるでミニ四駆のコースです。私より若い人には通じない例えなのでわからない人はZ世代です。いよいよ四国上陸です。

愛媛県上陸 今治を目指す

四国上陸後は市街地を走り、ゴールを目指します。四国上陸後は普通の道です。

サイクリストフレンドリーの代表、喜助の湯

個人的にはここに入るのまでがしまなみ海道サイクリングです。しかし両親は体力を使い果たしたようで「風呂なんか入ったらもう二度と動けなくなる」「そんなヒヨコはいいから宿に連れていけ」とやかましいので諦めて宿に向かいます。

※チェックイン後に一人で出直しました。

サービス良くサイクリストに優しいホテル今治菊水

2日目の宿は「ホテル今治菊水」です。

初回の時にも利用したサイクリストに優しい宿で、自転車と一緒にチェックインしてそのまま部屋の中まで持ち込むことができます。部屋は敷布団の和室になっていて館内には家族風呂があります。

ここは食事が豪華だったのがとにかく印象に残っていました。今回も名物来島鯛の煮付けをいただきます。設備も申し分なく、食事も豪華でサービスも良い。それなのに8300円/人、前回の連休時でも12000円くらいとコスパに優れた宿です。私が調べた範囲では今治駅周辺にここより良さそうな宿が見つけられなかったのでおすすめがあれば教えて下さい。

最終日はしまなみライナーでワープ

最終日は元々の予定では今治港からフェリーに乗って、5月に走って感動したとびしま海道を走って広島から帰るつもりでした。しかし、これまでのペースや初心者2人の体力を考慮して予定変更し、尾道観光で締めくくることにしました。「せっかくだから」とはいえ無理をするのは悪手です。ちょっと足りないくらい、また来たいと思うくらいのの旅がちょうど良いです。

さて今治から尾道に戻る方法は①自走するか②高速バス「しまなみライナー」を利用する方法があります。しまなみライナーは各島に停留所があるので、その気になればほぼ自走なしで尾道まで戻ることも可能です。

今回は今治駅からしまなみライナーで因島大橋まで戻り、向島のみ自走して尾道に戻ることにしました。本数はそれなりに出ていて2022年9月現在予約不要で乗れるので急な予定変更でも安心です。ブロンプトンはバスの下に横倒しで入れてもらいました。

因島までワープ 最後のしまなみツーリングを楽しむ

来島海峡大橋や多々羅大橋など今回の旅のハイライトを眺めつつ、本当にあっという間に因島に戻ってきました。車やバイクで走る楽しさを否定するつもりは全くありませんが、しまなみ海道に関しては最も適しているのは自転車だと思います。

見慣れない尾道に至るブルーライン。今治行きしか経験がないので新鮮です。次は今治スタートで走ってみようかな、なんて思います。

最終日も思わず笑顔になる天気の良さで、速度を落として瀬戸内海を味わいながら進みます。名残惜しいですが今後も何度も来るつもりなのでさみしくはありません。

向島 後藤鉱泉所

向島、最後の立ち寄りスポット「後藤鉱泉所」です。いつも行きたいと思いつつスタートして間もない位置にあるのでなんとなく寄る機会を見つけられずにいました。

代表的なマルゴーサイダーほか、10種類近くの様々なサイダーたち。グッズも豊富でお店として見どころがありすぎました。

これが締めくくりの味!

今治から連れてきたバリィさん。

渡し船で尾道に帰ります。いつもと違ってゴールが尾道というのも味がありますね。やはり次は今治スタートで走ろう。

3日間で130km

3日間、たくさん寄り道をして総走行距離なんと130kmです。繰り返し繰り返しですが両親は初心者サイクリストな上に、運動習慣はゼロでした。加えてなるべく身体を動かさず、しかしカロリーはなるべく摂って過ごしている一般的な中高年です。そんな2人でも3日間、ブロンプトンでしまなみ海道を全身で満喫して無事に走破することができました。

新幹線にさえ乗ればすぐにしまなみに来られる

日本人に生まれて本当に良かったと思います。日本に生まれたからには憧れで終わるにはあまりにも勿体ないです。何度訪れても同じように感動できますし、乗り物を変えればまた違う見え方があります。1日で往復してみたり、ブルーラインを無視して島をディープに味わったり、楽しみ方は無限です。日本アルプスのように初心者や高齢者では来られないような難易度の高い場所ではないので、個人的には一生に一度ではなく何度も、しかも気軽に訪れるべき場所だと思っています。身体の一部にしたいと思っています。

最後にひとこと。しまなみはいいぞ。