山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【SRAM FORCE etap AXS HRD 2X バラ完】tada車、組む④〜リアディレイラー、チェーン取り付け、ディレイラー調整〜

第4弾はリアディレイラーを取り付けてサクッと終わるつもりが、作業の流れ的に一気にやった方が良さそうだったのでチェーン取り付け、ディレイラー調整まで行いました。

長編です。

www.mount-road.com

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リアディレイラーの取り付け

リアディレイラーの位置合わせ

まずは準備段階としてリアディレイラーを2番目に大きなギア(軽い方のギア)の位置に合わせます。ディレイラーのAXSボタンを2回クリックすると1段階分インナー側に動くのでこれで合わせるか、左シフターを操作して動かします。

リアディレイラーをフレームに取り付ける

ディレイラーハンガーへの取り付け用ボルトは最初からリアディレイラーに付いています。写真の付属のボルトはブレーキ取り付け用のボルトです。

指定トルクは5Nmで、体感的にはこんな軽めでいいの?という感じです。

B調整ワッシャーを調整する

B調整ワッシャーはディレイラー裏側の「aのような形をしたワッシャー」のことです。ボルトを締めて、B調整ワッシャーとディレイラーハンガーの間に隙間がなくなるようにします。

SRAM Manual eTap AXS 12sより抜粋。

リアディレイラーの微調整

リアディレイラーの位置は2番目に大きい(軽い)ギアに合わせたままにして、アッパープーリーと2番目のギアが一直線上になるようにします。この段階の微調整はディレイラー側のネジは使わずシフターを使って行います。

シフター内側のAXSボタンを押したままシフトをクリックするとディレイラーが0.25mm動くのでこれで微調整を行います。このときの動きは通常の変速と同様なので、左シフターで行えばリアディレイラーは左方向、右シフターなら右方向に動きます。マニュアルにも書いてあるように、この動作をしてもディレイラーが動かないことがありますが、調整しているとディレイラーのLEDが点滅するのでこれで調整ができているかどうか確認します。

AXSボタンを押したままシフトをクリックする動作を連続で行うと通常のシフトチェンジの動きをしてしまうことが何度かあったので、1回1回、一瞬間を空けて押すのが良いと思います。

調整後。私の目ではこれが限界です。

リミットネジの調整

リミットネジはロー側、ハイ側それぞれのディレイラーの物理的な可動域を調整するものです。ワイヤー式コンポでも電動式コンポでも初期調整をした後は基本的にはいじりません。その名の通り可動のリミットを決めるためのものなので、変速具合の微調整はワイヤー式ならばシフトワイヤーのテンションで、etapならば④で行ったAXSボタンとシフターの同時押しで調整します。ただしリミットネジの最終的な調整はチェーンの取り付け後にもう一度行うので、ここでの作業は調整のための準備という感じです。

リミットネジはハイ、ローの2つが付いていて、上にあるのがハイ、下にあるのがローなので分かりやすいです。まずはリアディレイラーを一番内側に動かして、ローリミットネジを回してネジの先端がディレイラーに軽く当たるようにします(マニュアルでは「ディレイラーのインナー・リンクに軽く触れるようにします」と記載されています)。

次にリアディレイラーをトップ(一番小さい=重いギア)に動かして、ハイリミットネジで同様のことをします。

ローリミットネジ。

ハイリミットネジ。

ここまで来るとディレイラーの操作は一旦終了となります。

チェーンの取り付け

チェーンは12s Flattop Power Lock D1 114links FORCEグレード。

夏前にBikeinnで4000円ほど。

当然最初はつながっていない状態で、片方はインナーリンク、片方はアウターリンクの状態になっていて、両者を接続するためのパワーロック(チェーンコネクター)が付属しています。SRAM 12sチェーンの特徴は片方が完全に平らになるフラットトップチェーンであることで、これは12速に対応すべく薄くなったチェーンの強度を確保するためのテクノロジーらしいです。そのため11速時代と異なりSHIMANOとの互換性は失われています。

ただし、SRAM12sとSHIMANOの組み合わせは当然公式で対応してないものの一応動作しないこともないらしいです。

↓参考文献

ameblo.jp

チェーンの長さを決める

まずはチェーンの長さを決めていきます。このときにはフロントチェーンリング、スプロケットともに一番大きい組み合わせであるアウター・ローの状態にして、リアディレイラーにはチェーンを通さずに行います(フロントディレイラーには通します。というか通さざるを得ません)。

個人的にはここの作業は人の手を借りるか、横着せずにチェーン同士を仮固定するようなデバイスを用いた方が良いと思います。チェーンを離すとすぐに重さでリア、フロントのどちらかに回ってしまう上、左右のチェーンを引っ張りながらようやく切る位置に印をつけようにも手が足りなかったり、気付いたらスプロケット側が内側のギアに落ちていたりして、非常に難渋します。加えてチェーンは新品状態でもベタベタしているので余計にやりづらかったです。

苦肉の策としてチェーンリング側をガムテープで固定して位置合わせをしました。

フロントダブル=2Xならチェーンの重なり始めからインナー、アウターリンクそれぞれ1つずつ分長くして切ります。ここは短くしすぎると最悪チェーンの買い直しになるので要注意ポイントです。

チェーンの長さについてより正確に言語化すると「インナーリンク同士が重なり始めるところを起点として」長さを決める必要があります。これが非常に重要です。パワーロックはインナーリンクの穴に突起を通してチェーンを繋ぐ構造(アウターリンクに近い形状)をしているので、最終的にはチェーンの両端がインナーリンクになる必要があります。マニュアルの図をよく見るとチェーンの重なりはじめは両方ともインナーリンクになっていますが、このことは言葉では書かれてはいないので要注意です。

もし間違えて片方がインナーリンク、もう片方がアウターリンクになっているとチェーンを繋ぐことができず、両端をインナーリンクにするためさらにチェーンを切る場合は長さが足りなければ買い直しになってしまいます。

チェーンの位置を合わせた状態です。ガムテープで止めてあるチェーンリング側の先端はインナーリンクになっています。マニュアルの図に従うとチェーンにテンションがかかった状態でインナーリンク同士がぴったり重なるようになっていますが、実際にはチェーンのテンションをかけた状態で何度合わせてみても、写真のように微妙な位置で重なりました。

ややこしいので写真で解説します。

写真で手前側に来ているチェーンは右側が切れ端になっているので、重なりはじめから2リンク分を右側に足して切る必要があります。そして「チェーン同士の重なりはじめ」にもっとも近いのは水色の矢印のところになります。しかしここを起点にすると、チェーンを切るのは右に2リンク分足した写真右端の赤丸で囲った位置になるのですが、ここで切ると切れ端がアウターリンクになってしまうので繋ぐことができません。

切れ端をインナーリンクにするためには水色の矢印の1つ左、もしくは1つ右の赤い下矢印の位置をチェーンの重なり始めと考えて2リンク先を切れば良いです。ただし水色の矢印の左側のリンクでは見ての通りギリギリ長さが足りず重ならず、右側の赤い矢印のリンクでは逆に長過ぎます。

悩んだ挙げ句、短すぎるよりは長くしとけば調整できるだろうと考えて「赤い下矢印の位置」で切断しましたが、結果としてこれで後のディレイラー調整も全て上手く行きました。

チェーンカット

チェーンカッターはノグチのミニチェーンカッターYC285を使用しました。

これが果たしてSRAMフラットトップチェーンに使用できるのかは不明でしたが、結論としてはこれで通常のチェーンと同様に切ることはできました。ただし以下のような問題点があります。

先述のようにフラットトップチェーンは通常のチェーンより薄かったり形状的に少し特殊なため、ピンを抜こうとすると写真のように傾いてしまい、切った後にアウターリンク側が少し曲がってしまいます。これはアウターリンクが薄いために写真右側のピンが抜けてくる側が均一に押さえられていないのが原因なので、ピンが抜ける側がよりしっかり押さえられるようなチェーンカッターを使うか、写真右側のアウターリンクとチェーンカッターの隙間を何かで埋めるかすればアウターリンクを曲げることなくカットできると思います。アウターリンクは少し曲がってしまいますが、チェーンとして使用する側のインナーリンクには特に損傷なくカットできるので私はこのまま行くことにしました。

あとは最後にパワーロックでチェーンを接続します。この時チェーンをリアディレイラーに通すのを忘れないよう気をつけてください。手の力で接続すると仮止めの状態になるので、タイヤが地面に接地した状態でペダルを踏み込むとバチンという音でロックがはまり込みます。本来このタイプのチェーンコネクターは専用工具を使わずにチェーンの脱着ができたり、再利用できることがウリだったような気がしますが、今ではSRAMもSHIMANOも再利用を禁止しています。多段化が進む=チェーンが薄くなることにより、再利用した時の強度の維持が難しいのがその理由です。同様にチェーンを切った後の再接続も不可となっています(物理的には可能ですが)。

ブレーキとは違って、走ってる途中にチェーンが切れても走れなくなるだけで命に関わることはないからいいだろう、と思っていましたが調べているうちに↓のような記事を発見しました。この記事によると走行中のチェーン切れによって車体に不可逆的なダメージが加わることがあるらしいので、基本的には再利用はしないようにしましょう。

izaya.hatenablog.jp

チェーンギャップの調整

チェーンを取り付けた後はリアディレイラーの位置調整です。リアディレイラーを一番内側の位置にシフトさせ、付属のツールを用いてアッパープーリーと最大ギアの歯の間隔を図に従って調整します。リアディレイラーに最大対応歯数が印字されていて、私は33Tmaxなので間が5mmになるように調整します。この調整には最初に出てきた「B調整ワッシャー」を用います。

最初の状態で歯と歯の間は6mmだったので、1mmの微調整を行いました。

ディレイラー調整

①フロントディレイラーのリミット調整

②リアディレイラーのファインチューニング

③リアディレイラーのリミット調整

④フロントディレイラーのファインチューニング

いよいよディレイラー調整です。この中でも特に②、④は変速のキマリ具合にかなり影響するらしいのでしっかり行っていきます。この辺りの作業はマニュアルが非常に分かりやすいので意外にも特に苦労はありませんでした。写真も取り忘れましたが備忘録的にまとめておきます。

①フロントディレイラーのリミット調整

前提としてハイリミットネジを動かす時はフロントがアウターの時のみです。まずはアウター・トップの状態にしてハイリミットネジを調整します。アウター側のディレイラープレートとチェーンの隙間が0.5~1mmになるように調整します。

次にインナー・ローの状態にして今度はインナー側のディレイラープレートとチェーンの隙間が0.5~1mmになるようにローリミットネジを調整します。

②リアディレイラーのファインチューニング

またまた序盤に使った、シフターのAXSボタンを押しながらシフトをクリックしてディレイラーを微妙に動かす機能を使います。ディレイラーは①の作業の続きのままローにしておき、アッパープーリーとロー側のスプロケットが一直線上になるように微調整をします。調整幅は0.25mmなので完全に視力勝負の領域です。

③リアディレイラーのリミット調整

「リアディレイラーがローの状態で、ローリミットネジの先端がディレイラーに触れていること」と「アウター・トップの状態でハイリミットネジの先端がディレイラーに触れていること」再度確認します。これはディレイラー取り付け直後に行った作業と同様です。私の場合はこの時点で両方とも触れていたので特に調整はしませんでした。

④フロントディレイラーのファインチューニング

最後はフロントディレイラーのシフトチェンジのキマリ具合を微調整します。ここまでをマニュアル通りに行うと特に大きな支障なくシフトチェンジできるようになっていると思いますが、再度リミットネジを用いて仕上げを行います。

・インナーからアウターの変速で、アウター側にチェーン落ちする場合

・インナーからアウターの変速に支障がある場合

・アウターからインナーの変速で、インナー側にチェーン落ちする場合

・アウターからインナーの変速に支障がある場合

の4つに場合分けされていて、マニュアルに従いリミットネジを調整します。調整は1/8回転=45°ずつと細かく行うように記載されています。レンチを差し込んだらレンチと直交するように左手を当てて90°を作り、その真ん中まで回すようにすると手動でもある程度正確に回せます。

私の場合はチェーン落ちはありませんでしたが、インナーからアウターの変速がスパッと決まらなかったのでマニュアルに従いハイリミットネジを調整しました。要はアウターないしインナー側に動きすぎればチェーン落ちするし、チェーン落ちしないまでも正常よりどちらかに寄っていればスムースに変速できないよねという話です。私の場合では最初アウター側に寄っていたため、変速のタイミングに寄ってはチェーンが挟まれてしまいアウター側に上手く乗らなかったりしたので、インナー側に動かす形になりました。

この調整は自分でクランクを回しながらフロントディレイラーのボタンを押して変速させるか、誰かにシフターを握ってもらって協力プレイで調整することが必要です。ただし実際にはフロントの変速のときに微妙に荷重を抜いたりすると思うので、組み上がってから支障があるようならローラー台で調整しようと思います。

作業すること2時間ほどで、ようやっとドライブトレインが完成しました。これで走ることはできるピストバイク状態になりました。ディレイラーの調整は見様見真似でやったことはありましたが今回が一番スムースに決まったと思います。やはりワイヤーのテンションという要素がなくなったことでよりカチッと調節しやすいのかなという印象でした。

そして次回はいよいよ最後、油圧ブレーキの取り付けとブリーディングです。マニュアルに従うと本来はブレーキの取り付けを先に行ってからディレイラーの作業、そして最後にブリーディングが残る形になるのですが、ブレーキ回りは敢えてまとめて最後に残しました。

ちなみにSRAMはデフォルトが左前ブレーキになっているので、オイルホースの付け替えから行う必要があります。ちょっと憂鬱ではありますが、ようやく完成が見えてきました。

 

to be continued...

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