山は標高だけで語ってはいけない
私にこれを教えてくれた人は師匠、そしてこれを教えてくれた山は丹沢でした。丹沢は最高峰でも1600m程度、アクセスの良さもあり多くの登山客に愛されている山域ですが、その一方で玄人も満足させる(というか苦しめる)山深い巨大山塊でもあり、山岳部のトレーニング地としても使われたりしています。
丹沢でも特に人気の塔ノ岳は何度か登頂経験がありますが、丹沢の名を持つピークであり日本百名山としての丹沢である丹沢山(諸説あり)の山頂を踏むべく、そして悪名高き「バカ尾根」こと大倉尾根がどんなものか確かめるべく再び丹沢の地に足を踏み入れました。
山行データ
塔ノ岳→丹沢山(0:48)
丹沢山→塔ノ岳(1:26)
塔ノ岳→鍋割山(0:55)
鍋割山→大倉登山口(1:47)
大倉尾根
大倉尾根は自家用車、バスのいずれでもアクセス良好で非常に多くの登山者が居ました。まずは舗装路をしばらく歩いて登山道に入ります。
初めて丹沢に来たのは5年くらい前、ヤビツ峠から塔ノ岳に登るルートでした。当時は登山の知識がないので塔ノ岳の標高だけ見て大したことないなと舐めてかかって体力が限界近くまで削られた苦い思い出があります。アップダウンが多いので行きも帰りも辛い、そしてうんざりするほど長い、というのが私の丹沢に対するイメージです。
さてこの大倉尾根、標高差1200mほどを一気に上がるので実は北アルプス並の運動強度を誇ります。そして基本的にこんな景色がずっと続きます。単調でつまらない道がバカみたいに続く、辛くてバカヤローと叫びたくなる、などからバカ尾根と呼ばれるようになったと言います(諸説あり)。でも正直南アルプスに比べれば変化に富むし短いので個人的には思ったより楽しめました。
木々の間からは湘南、相模湾方面がよく見えます。
海岸線がよく見えてきました。海に浮かんでいるのが江ノ島で、奥の方の陸地は三浦半島です。
森林限界を超えることはありませんが、稜線に出ると視界が開けます。
塔ノ岳山頂
スタートから2時間21分、丹沢で二番目の人気を誇る塔ノ岳1491mです。大倉尾根の標準タイムは3時間半。健脚には自信があるので時間を意識して登ってみましたが我ながら満足のタイムでした。登山道がきれいで足場に困らないためか、体感としては拍子抜けするくらいあっさり終えてしまった、という印象です。
丹沢山へ続く稜線①
さて今回のゴールは塔ノ岳からさらに深部に進んだ丹沢山です。予想外に塔ノ岳から丹沢山までの稜線が良かったので見てください。写真で見ると右手は湘南方面で大山や相模湾、町並みが一望できて左手は奥に富士山ドーンの丹沢の深い山々が見えるというなかなか極上の稜線です。
この塔ノ岳、丹沢山あたりは丹沢山塊の中では東端の方に位置しているので、その反対はこの通り深い深い山々が連なっている様子が見られます。
大山と湘南、江ノ島、相模湾。
丹沢山山頂
塔ノ岳から1時間足らずで丹沢山に到達しました。人で溢れる大倉尾根でしたが、塔ノ岳以降に進む人はかなり少なく、登山道は一気に静かになりました。
丹沢は日本百名山の一つですが、冒頭の通りどこをもって百名山とするかは意見が分かれるようで、最高峰の蛭ヶ岳という人もいれば、塔ノ岳でええやんという人もいます。私は山頂標識に百名山って書いてあるし多数決的に丹沢山で良いんじゃないかと思う派です。
丹沢山へ続く稜線②
深い、山が深いぞ丹沢…!
日本人大好き富士山ドーン。宝永山の出っ張りが見えています。
さて海岸線に沿って街を眺めていると見慣れた感じのビル群。横浜ランドマークタワーは形が特徴的なのでどこから見ても同定できます。
いや、少しも期待してませんでしたがこんな気持ちの良い稜線があるとは。丹沢が好きになってきました。
鍋割山へ
あとは帰るだけ、ですがバカ尾根を下ってもつまらないので鍋焼きうどんで有名な鍋割山に寄ってみることにしました。塔ノ岳を経由し、大倉尾根に繋がる道の途中で分岐しています。
あわよくば鍋焼きうどんを喰らおうと思っていましたがとっくに売り切れていました。売店もそれほど長く開けているわけではなさそうです。
まとめ
今回は大倉尾根から塔ノ岳を経て丹沢山に登り、ついでに鍋割山に寄って下山しました。あと2時間余裕があればさらに奥の最高峰蛭ヶ岳も目指せたかな、というところですが、今回のルートで既に走行距離22km、獲得標高2000m超えと北アルプスもびっくりな結果でした。ややだいぶハードではありますが、自分としては辛いだけという丹沢のイメージが払拭されるほど魅力に満ちたルートでした。狙ったわけではありませんが紅葉の時期というのも良かったです。
何度も言いますが特に塔ノ岳から丹沢山までの登山道が良かったです。塔ノ岳登山で体力が余っていたらぜひ、丹沢山までの稜線歩きもしてみてください。