2日目 権現岳アタック
ゆるふわ飲兵衛登山day2はメインディッシュの権現岳アタックです。
山行データ
初日編はこちらです。www.mount-road.com
青年小屋から権現岳へ
2日目朝。バターで焼いたイングリッシュマフィンにスライスチーズとハムを挟み、TK氏の淹れてくれたコーヒーで優雅なモーニングをきめました。日の出は6:00の予想で権現岳山頂までは1時間半。4時に起きて4時半出発目標にしよう。そう決めて眠りに付いた我々でしたが出発したのは5時12分。山頂で日の出を見るのは不可能確定です。まあ良いんです別に。計画通りいかなくたって。
遠くの空はうっすら白んでいて、早く稜線に出なければと焦…りませんでした。なぜなら昨日の夕焼けが絶景過ぎた上に寝起き直後が霧に包まれていたので、夜明けは別に良いかって感じでした。なのでぶっちゃけヘッドライトを付けて登山するのは冒険感あってイイな〜くらいしか考えていませんでした。
多少荷物を残してるとはいえテントが飛ばされないかドキドキするくらいには強風です。霧も雲もものすごい速さで進んでいて景色が晴れたりガスったり目まぐるしく変わります。
とりあえず稜線に出れば日の出は見えるっしょ、は甘かったことを知ります。東の方向には太陽を守る憲兵のごとく山が聳えています。何かしらのピークまで行かないと太陽は見ることができなさそうです。
青年小屋から権現岳山頂までは約300mほどの登りです。ザレ場はあれど勾配は緩めで鎖はあれど足場は多いので難易度は高くありません。
一瞬の晴れ間に富士山を観測しました。
晴れたりガスったり(2:8)、何の山か確認する間もなく隠れていってしまいます。
すっかり晴れたような写真ですがこれもせいぜい10秒間くらいの刹那的な景色です。南アルプスと編笠山と青年小屋。
これも1分も経たずに雲に隠れてしまった貴重な写真です。
茅野方面の町には低い雲が発生していました。雲海アンダーザ雲海。
御来光と富士山
TKとあらやだわ綺麗な太陽だわなんて話していたら完全に夜が明けてしまいました。権現岳の山頂で御来光とか言ってたのだあれ?
日の出に夢中で気が付きませんでしたがよく見ると富士山に笠雲がかかっています。これはあまりにも有名な天候が崩れるサインです。前線が近づいてきて我々が忌むべき言葉「湿った暖かい空気」が流れ込んでくると発生するらしいです。
見た目の割に歩きやすい登山道
一見アルパインな登山道に見えますが浮き石も少ないし道がしっかりしているので楽勝です。
権現岳山頂
登頂開始から1時間20分、権現岳山頂2715mです。実は権現岳という山名は日本各地にありまして、権現とは神様の仮の姿を表す言葉で権現岳とは権現が祀られている山、ということらしいです(Wikipedia)。
さかな〜ちんあなご〜
私とTK、たまたまですがそれぞれ赤と青のウェアを着ていました。最近盛り上がったあるアニメを思い出すカラーリングです。爆風で下手に体表面積を大きくすると飛ばされそうになる中命懸けでさかな〜(TK)
ちんあなご〜(TK)
ちんあなご〜(私)
さかな〜(私、どうしても晴れてくれない)
首から下げているのはアランチルドレンのあれです。嘘です気温計です。
GoProでタイムラプス撮影をしました。風に煽られないベスポジを見つけたのに虚しくも晴れません。雲が延々と流れ最後は絶景が来ると思いきやそのまま終わっていく地獄のような動画ができあがりました。さかなちんあなご遊びして30分ほど留まるも、風上から常に雲が供給され続け完全に晴れる気配がなかったので下山することにしました。
そういえば早朝組としては最後尾くらいの時間に出発したのに誰とも会いませんでした。青年小屋に泊まる人はみんな飲兵衛だから潰れているんだきっと。コーヒーで一服するべく既に閉鎖している権現小屋まで高度を落としたところで、ようやく他の登山者と遭遇しました。彼らからすると我々が最初にすれ違う下山者なので「どこから来たんですか」「青年小屋から権現岳ピストンしてます」「山頂は晴れてますか」「晴れたりガスったりですね〜」なんて会話。赤岳から来ましたとか言って蹴散らせしておけば良かったなと思います。
権現小屋で一服しながら登山道を眺めます。遠目に切り取ってみるとそこはイッテQも顔負けなゴリゴリのアルパインです。が、実際は子供でもそれほど危険なく登れます。
ところで「行けたら行く」と言って実際に現れた人間を私は知りません。みなさんはいかがでしょうか。私の記憶では初日集合した時点では赤岳まで行くのを当たり前のように話していたTKは、そういえば赤岳という単語自体発しなくなっていました。
権現岳から赤岳までのコースタイムは3時間ほどかかります。遠目にも分かるキレット地形でアップダウンが激しい=つまり復路も同じくらい時間がかかるとすると往復6時間の道のりです。さらに権現岳から青年小屋までの往復に加えテントの撤収作業、巻いても1時間以上はかかる下山を考慮するとゆるふわ飲兵衛登山ではなくなってしまいます。
やらない理由、諦める理由を作るほど簡単なことはない。
時に命の危険が伴う登山で登らない理由を作るのは簡単です。今回は全ての責任を天候に背負っていただくことにして、その分浮いた時間はお土産とか温泉の時間にしよう。あたかも「登るはずだったのに天候に阻まれてやむを得ず観光に切り替えた」ということにして早々に2日目の行程を終了しました。
強風の中の撤収作業とパッキングは予想より手間取って1時間ほど要しました。温泉と下山後の山岡家のラーメンを目標に無言で淡々と下山しました。山岡家って時折食べたくてどうしようもなくなりますよね。青年小屋から観音平までの下山は少し早めのペースで1時間20分でした。
まとめ:山に泊まって山で酒を飲んで登山も満喫しきった
今回の
・山行は山に泊まりたい
・山で酒が飲みたい
・山でしか見られない絶景を見たい
・そんなにしんどい登りは嫌だ
・危ない場所もない方がいい
という希望をすべて叶えた登山でした。キャンプしたいけど手が汚れたり匂いがついたり虫がいたりお風呂に入れないのは無理〜とか言うぶっ飛ばしたくなる系女子とも対等に渡り合えそうな勢いのゆる登山です。
ビール1缶で満足できてしまう善良な人間でなければ山で酒を飲もうと思うとすべからく瓶を担ぎ上げる発想になると思います。重たい瓶が残るのなんて誤差。体力次第ですが山を舐めてると叱られない範疇で安全性を担保しようとなると…
・危険箇所がない
・行動時間4時間前後で標高差1000m以内くらいのルート
が私の中の一つの基準になります。え、瓶を担ぎ上げる発想がすでに山を舐めているって?うるせえな。
さらに山で日没&夜明けを見ようと思うと暗い山道での行動が必須になるので、拠点から山頂へのアクセスが重要になります。私の経験的にはパーティ登山で現実的に出発できる時間は4時半前後なので、ルートの長さ、標高差、足場の危険さなどを考慮すると条件を満たす山はあまり思いつきません。
そんな中、上記の要素を全て満たす場所がありました。それが今回の青年小屋を拠点とした登山です。テン場がベースキャンプになるのでテン泊でも装備の重量がネガにならないという莫大な利点があります。
二日間トータルでは1600m近く登っているし、八ヶ岳のうち3座を踏んでいるので、ゆるふわと言いつつも立派な登山です。もしこれで物足りないというならば赤岳まで縦走したら良いです。普通に過酷な登山になりますが。
というわけでテント泊初心者、八ヶ岳デビュー、久々の登山・テント泊、日没や夜明けなどの撮影に特化した登山、オートキャンプに飽きたミニマル系キャンパーなどなど、様々な趣味嗜好の人々に勧められるコースでした。大満足でしたがいつかは泊まりたい青年小屋。