山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【東北遠征①】磐梯山、日帰り登山2020.6

俺たちは晴れるところに登りに行くんだ

社会人になっても続く学生時代の仲間との登山。休みを合わせるのはそれなりに大変なので基本的には中止にすることはない我々。登りたい山はあれど基本的には全国の天気予報を見て、天気の良いエリアの山に登りに行くスタイルを採用しています。今回は関東・中部の天気が不良だったため、天気が良さそうかつ(遠征としては)比較的近めな磐梯山が選ばれました。

パーティは私、師匠、HG氏の3名の少数精鋭部隊。私は土曜なのに仕事がある職場なので夕方に都内のHG氏と合流したのち山梨から向かう師匠と合流しました。そして当日中に磐梯山近くまで北上し郡山の比較的近くの「郡山湯処まねきの湯」で一泊し、翌日曜日に登山してそのまま神奈川まで帰ってきました。

磐梯山登山

磐梯山は南側を表磐梯、北側を裏磐梯と呼びます。表磐梯は緑も多いなだらかな山容ですが、磐梯山は過去に二度の噴火(水蒸気爆発)によるパワーワード山体崩壊を経験しており、今回登った裏磐梯ルートでは山体崩壊により形成された荒々しいダイナミックな山容を目の当たりにしました。ちなみに山体崩壊の際の岩なだれが川をせき止めて猪苗代湖を始めとした周辺の湖沼を形成したらしいです。

山行データ

駐車場からは山に向かって草原を歩きます。湘南からはるばる来た甲斐があるこの好天です。

振り返ると松原湖。

本格的に登山道に入るまでは湿地帯や豊かな植生帯を歩きます。写真はきれいですが6月末、夏に向かう時期としては虫が多いわ蒸し暑いわで最悪に近い環境です。

裏磐梯の絶景

実は山頂の景色よりも感動したのがこの写真の景色でした。山体崩壊の跡が荒々しく残る裏磐梯と湿地、彩度上げすぎと間違われそうな鮮やかなカラーリングを見てください。

仲間の感想は「プレステじゃん」。PS3が出たばかりの頃くらい、店頭機にアンチャーテッドなど、大自然の冒険系のゲームがセットされていてグラフィックの進化に感動したのを思い出しました。そう言われるともうゲーム画面のキャプチャーにしか見えませんが写真です。

虫だらけの鬱蒼とした樹林帯、もといジャングルみたいな登山道を抜けるとスタートで見た松原湖があんなに遠くに見えます。この高さから見渡すとその他にも小さい湖沼が点在しているのが分かります。噴火した火山の周辺は溶岩で覆われ荒々しく植生に乏しい地形になりがちですが、磐梯山は水蒸気爆発だったので溶岩が流れ込むことはなく植生の回復が早かったらしいです。普通の噴火との違いはよく分かりませんがそういうことです。

登山道を少し外れると今にも崩れそうな山の肌がむき出しになっています。これが山体崩壊…

磐梯山山頂

先の写真の場所から山頂までの道は結構狭い上に人が多いのでなかなか進めません。人々の会話を聞いていると地元で何度も来ている人が少なくないようで、全国の登山家のみならず地元の人々に愛される山ということが分かります。狭い道を超えた山頂は岩場ですがこの通りスペースは非常に広くなっています。

美しい福島の大地。人はなぜ果てが見えない景色に惹かれるんだろう。

地面の土の色と草木の色が混在していてめちゃくちゃに自然(語彙力)。北アルプスのどこまでも延々と山が続いている景色とはまた違った壮大さがあります。山に来れば自分の悩みなんてちっぽけに思えてくるという悩み解消法がありますが、私は山はもはや人間なんぞと比べるものではないと思っています。圧倒的な自然、人智の及ばないエネルギーを感じられればそれでいいのだ。

ボロボロに崩れかけている、というか崩れた名残です。

最初のうちは標高何メートルとか登山道何キロだとかに注目しがちでしたが、色んな山に登れば登るほどつくづく山は数字じゃないと思うようになりました。特に地方の名峰と呼ばれる山は信仰の対象であることが多くて、谷川岳のようにその土地に特徴的な気候を作ることもあったりして、地元に様々な影響をもたらしています。登山というアクティビティの対象ではなくてその地域の文化の根幹になっていたりして興味深いです。

まだまだ山といえば北アルプスに惹かれ憧れてしまうお年頃な私ですが、歴史や文化的な背景なども含めて地方の名峰を味わうような登山もしていきたいと思った今日このごろです。