山と自転車

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【東北遠征②】東北の名峰、鳥海山日帰り登山2020.7 【日本百名山】

俺たちは晴れる山に登りに行くんだ

7月の連休を利用して大キレットに挑む計画を立てるも台風により遂行不可能となった我々一行。しかし台風くらいで我々の登山が「中止」になることはありません。見るのは日本全国の天気予報です。狭い日本、晴れる山に登りに行くのが我々のスタンスであります。

↓先月も晴れる山を探した結果東北の磐梯山に辿り着きました。

www.mount-road.com

関東までが壊滅的な予報の中、先月の磐梯山よろしく、東北だけは晴れる予報でした。東北なんなの?結界でも張ってんの??しかし天気が悪い範囲が次第に北に広がっていくという嫌な予報で、初日は秋田以北が天気良好、2日目は青森がギリギリ降らないかな…という感じでした。

ということで雨雲から逃げるように秋田→青森と北上して日本百名山の2座を落とす計画が発足しました。初日に選ばれたのは秋田の名峰、鳥海山です。2日目は直前の予報を見て動く作戦になりました。

行程

今回のパーティは私、師匠、KW氏にHG氏の4名です。後にまた東北を回ることになる我々登山チームの中でも精鋭部隊です。天気次第で登る山が変わるのはいつものことですが、最終的には以下のような行程になりました。

day0 仕事終わりに埼玉の「道の駅ごか」を拠点に、山梨組の師匠&KW氏と東京神奈川組の私とHG氏が合流→新潟まで北上。

day1 新潟→秋田へ移動 鳥海山登山→秋田市内にて宿泊

day2 秋田→青森へ移動 八甲田山登山→十和田湖にて宿泊

day3 青森から一気に南下し帰宅。途中仙台で牛タンを食べる

 

結論から言うとこの鳥海山、めっちゃくちゃ良い山でした間違いなくこれまで登った山ベスト3には入る山です。正直よくある地方のいち名山ね、くらいの認識でしたが明らかに別格でした。

山行データ

鳥海山登山

日本海側の海岸線に沿ってひたすら北上してやってきました鳥海山登山口。思ったより海近くに位置している鳥海山です。これは山頂から海が見えたりしちゃうのか?期待が高まります。

さすがに快晴とはいきませんが、悲惨な関東と比べれば非常に心躍る空模様です。はるばる雨雲から逃げてきた甲斐もあるというもの。登山道はかなり整備されていて歩きやすくて、写真のような小川も多数あって水源豊かな土壌です。

樹林帯がなく序盤からこの開放的な登山道です。

なんと序盤から雪渓が残っています。よく考えればここは東北。関東に比べ夏はかなり涼しいだろうから不思議ではありませんが、夏の北アルプス以外で雪を見たのは初めての経験です。

序盤から日本海こんにちは

海と空の境界線。

霧が晴れて見えました日本海の水平線です。まさか山頂に行く前に見えるとは思いませんでした。信じられるか?まだ登り始めて1時間も経っていないんだぜ?ちなみに霧と雲の違いは地面に接するかどうかです。このブログを読むとこういうちょっとした雑学が身に付きます。

私が名を知る数少ない高山植物、ニッコウキスゲ。

再び霧に包まれながらも進むべき先が見えています。あれ、もしかしてこの山めちゃくちゃ広い?

ところどころ雪渓が残っています。北アの雪渓はたいてい岩場で見かけるので木々の緑と雪渓の組み合わせは新鮮に感じます。それにしても立派な美しい稜線です。

昔の火口だったという、鳥海湖。

鳥海山は1200mで森林限界を超えるので終始見晴らしの良い登山道が続きます。先の道が見えるし振り返れば歩いてきた道が見えます。これは樹林帯がある山では叶わないことなので意外と貴重です。

大雪渓

私の初めての夏の雪渓歩きはまさかの白馬岳よりも先に鳥海山になりました。距離はそれほど長くありませんがなかなかの斜度です。これを登り切ると山小屋があって、山頂前の最後の休憩所になっています。

雪渓を登り切ったあとは山小屋に荷物をデポして山頂を目指します。これまでの緑あふれる登山道とは打って変わって北アルプスを思わせる岩稜帯になっています。

スリリングな岩くぐり。岩に挟まれるように道を下ると山頂に向けての登り返しです。。

抜けきって振り返りの一枚。山頂側から見るとまるで洞窟の入り口のようで、とても登山道とは思えません。頂上直下でこんな楽しいところがあるなんて、最後までやってくれるぜ鳥海山!

日本海ドーーン。

鳥海山山頂

そして辿り着いた鳥海山山頂2236mです!豊かな緑の登山道と思いきや雪渓登りがあって北アよろしくな岩場もあってずっと景色が良くてとても楽しい山です。

そして山頂から歩いてきた軌跡を振り返ります。最初に抱いた印象は「まるで室堂」。まさかこんなにスケールの大きい山だとは思いませんでした。大地と海と空、何もかもがここにはありました。独立峰とは全く思えない、圧倒的な自然を感じます。

ここまで来ると畏怖の念を抱かずには居られません。登山を始めるきっかけになった紅葉の仙丈ヶ岳をはじめ、山に登るようになって沢山の感動に出会ってきましたが、もしかすると一番衝撃を受けたかもしれない景色でした。

感動に浸りながら帰路につきます。完全なピストンでは面白くないので、山小屋の向こうを周回して下山することにしました。

海岸線を追っていくと左の方に飛び出した陸地が見えますね。そう、これは地理の問題でよく出てくる男鹿半島です。日本の輪郭を実際に見ているこの感覚。海沿いはこれがいい。

少し海から内地の方へ目線を移すとまたも広大な緑が広がっていました。例えば丹沢の大山だと神奈川の街並みが見えて街とのつながりを感じたりするのですが、鳥海山ではとにかく圧倒的な大地を感じられました。本当に日本の輪郭を追っている感じが半端ないです。

下山路では下界の方が晴れていて、歩いた稜線と海岸線、圧倒的大地が一望できました。本当に山に登る人間が欲しい物の全てがここにあるんじゃないかってくらいドリーム景色です。

西日と男鹿半島。ああああああ(語彙)

本の西側の縁の部分だから、日が沈むのが眼の前で感じられます。

「所詮は地方のいち名山でしょ?」そんな認識をしていたことを本当に恥じたいと思います。そしてこの山との出会いに心から感謝しました。

大キレットを計画するくらい休みを合わせられる仲間が居ることはもちろん、台風に動じず全国レベルで行き先を探してくれた師匠がいること、そして全員が天気しか見ず、躊躇わず東北まで行く山バカであること。

普通は誰かしらが遠くてしんどいとかお金がかかるとかさすがに云々カンヌン言うじゃないですか、結局実現しなかったりするじゃないですか。それが物理的に可能だからGO!となるのはやはり当たり前のことではありません。あ、よく考えたら遠いしんどいはめちゃくちゃ言いましたテヘペロ

台風に感謝…はしたくありませんが、大キレットに行けるだけのメンバー、時間、気概、体力が揃った状況下でなければここまでは来られなかったと思います。私は運転が嫌いなのでソロではここまでの遠征は無理でした。

そして私は実は100名山ハンターではないので、下手したら一度も来ることなく人生を終えていた可能性があります。そう考えると悔しいことに今回ばかりは鳥海山との縁をもたらしてくれたこの台風に感謝してもいい。そう思えるくらい良い山でした。

やはり山岳地帯ではないとしても、地域を象徴するような名山、100名山と呼ばれるような山は圧倒的な魅力があります。日本という単位で山を登っていこう。そんな気持ちを抱いた山行でした。

day2はこちら

mountain-road.hatenablog.jp