山と自転車

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【サーモスFJP-600紹介&レビュー】ロードバイク用真空断熱ボトルで夏のライドに革命が起きた話 

 

真夏のライド 諦めていた冷えた飲み物

夏は身に纏うものが少なくロードバイクに乗れて、直射日光が辛い時もありますがロードバイクの開放感がたまらなく気持ち良い時期なので私は圧倒的にライドの頻度が増えます。そんな夏のライドで困ることは「ボトルの飲み物が一瞬でお湯になってしまう」ことです。

氷をできるだけ詰め込んでも、スタートから1時間もすると全て溶けて人肌くらいの温度になっています。「まあお湯でも水分に変わりはないし、諦めるしかないな…」と諦めていた時、Twitterであのサーモスのロードバイク専用の保冷ボトルの存在を知りました。

サーモス自転車用保冷ボトル FJP-600

「For cyclists」「自転車専用設計」「Designed for Various Cages」

普通の保冷ボトルでは見かけないフレーズが並んでいて、パッケージがボトルケージに収まっている写真であっ、本当に自転車乗りのためのプロダクトなんだと嬉しくなります。

FJP-600の外観、仕様

付属品はボトル本体と取扱説明書。よくある樹脂製のボトルではなく、一見すると自転車で持ち運ぶイメージがあまりない、普通の(?)真空断熱ボトルです。容量は600ml、重量は280g。これは500mlペットボトル+氷が入る容量なのでライド中の補給にも使いやすいサイズ。普通のサイクルボトルに比べれば重いですが真空断熱ボトルとしては十分軽量です。カラーはブラックとターコイズブルーの2色が展開されています。

良いところ

普通の自転車用ボトルと同じスリムさ

左のボトルは私が夏のライドで使っているCAMELBAKのポディウムチルです。径は一般的な自転車用ボトルのそれ。パッと見はごく普通の保冷ボトルなFJP-600ですが、比べてみると自転車ボトルと同じくスリムなことが分かります。

ちなみにポディウムチルは通常のボトルの2倍の保冷力を誇るというボトルですが、真夏だとせいぜい+1時間延命できるかどうかくらいなので普通のボトルよりはマシ、という程度です。春とか秋の暑い日くらいであれば十分に使えます。

最近は軽さ至上主義でELITEのFLYを使っています。550mlで54gという目を疑うほど軽量で、カラーも豊富なのでこれは非常にオススメなボトルですが、その分保冷性なんてものは全く無いので、真夏のライドではもはや湯沸かし器です。

ワンタッチオープンでゴクゴク飲める

飲み口と蓋の形状はスポーツ用のボトルでよくあるタイプ。ロックが付いているワンタッチオープン式で、ロック解除→蓋を開ける、の動作が片手でサッとできるようになっています。飲み口はペットボトルよりやや細いくらいの細径でライド中に飲みやすい形状です。

空気孔があることで一気に飲める

FJP-600の飲み口をよく見てみると、蓋の付け根のところに小さな孔があります。これは飲み物の流れを良くするための空気孔で、ここから空気を取り込むことでボトルの中身が出てきやすくなります。

画像:THERMOS 公式HP FJP-600商品ページより

https://www.thermos.jp/product/detail/fjp-600.html

失礼ながら使うまでは半信半疑だったこの空気孔、今ではFJP-600を選ぶ最大の理由と勧めたいくらい恩恵を感じられています。

一気に飲むべくボトルに吸い付くと、この空気孔から空気を吸い込む音が聞こえ、空気を吸うと同時に中身が押し出されるようにして出てくるのが実感できて、よくある「頑張って吸っているのに中身が一定のペースでしか出てこない」というストレスがありません。樹脂製のボトルのようにボトル自体を押して中身を絞り出すことができないのはデメリットかと思いきや、この空気孔の存在により見事にカバーされています。

ボトルケージにジャストフィット

私のtada車に採用しているボトルケージはどことなくレトロな雰囲気でオシャレなELITEのチウッシ。恐る恐るFJP-600をマウントしてみるとピッタリで、ガタつくことなく収まります。

DOMANEの方には入手性、価格、軽量性に優れた超定番ミノウラのボトルケージを使っていますが、当然こちらにもジャストフィットしています。

保冷性はさすがのサーモス

日中の気温が35度を超える猛暑日を含め何度かライドで使ってみましたが、保冷性に関してはもう言うことありません。さすがのサーモス様。氷はギチギチに詰めず、ボトルの1/4くらいにしていましたが、5,6時間のライドではぎりぎり終了時も氷が固形のまま残っていました。これまでは最低限の水分補給はボトル(お湯)で、冷たいものが飲みたい時には自販機もしくはコンビニで飲みきれるサイズの飲み物を買っていましたが、何度も買うのは勿体ないしSDGs的な意味でも良くありません。

ライド中にキンキンに冷えた飲み物が飲めるのは一度味わってしまうともう戻れません。同じ水分でもぬるいと乾きは癒えないのです。

普段使いから登山でも活躍

「自転車専用設計」はボトルケージに収まるスリムボトルということなので、当然普段使いや他のアウトドアでも使えます。むしろ通常のボトルよりもスリムなので取り回しが良く、使い勝手が良いと思います。

先日の奥多摩川苔山登山でも活躍。ザックのサイドポケットにも収まりが良いです。

悪いところ

まだ使用期間が短いけれど、現時点では致命的な欠点はなし。強いていうと

滑り止めバンドが弱そう

ボトル中部のグレーの部分は若干くびれていて、グレーの樹脂製の滑り止めのバンドが付いていますが、これがなんとも頼りない感じです。おそらく1年くらいで切れてしまう予感がします。

ライド中に音鳴りがする(?)

このボトルを使っている時のライド中に、今までなかった金属が当たるようなカツンカツンという音がする時がありました。ただし前述の通りボトルケージの収まりはぴったりなのでガタ付きの音かというと微妙なところです。少なくとも樹脂製ボトルに比べれば金属ボトルなのでボトルケージとの間で音鳴りは起きやすいと考えられます。

保冷専用である

人によっては欠点。私個人としては厳冬期ライドでも冷えた飲み物を飲みたい派で、温かい飲料は厳冬期登山時にたまに持っていくかどうかなので、私にとっては欠点ではないのですが、そういった需要がある人にとっては冬のライドに流用できないという点で欠点になります。このFJP-600が出る前のモデル、同じく自転車用真空断熱ボトルのFJF-580は保冷と保温どちらにも対応しているので、保温ボトルとしても使いたい人はそちらを選びましょう。おそらくはメーカー側もその点でFJP-600と差別化を図っているんじゃないかと思います。

夏のライドの水分補給の最適解

「信頼のサーモスの真空断熱ボトルが自転車に使える」ことに価値を感じる人は間違いなく買いです。これまでも同じようなことを考えたことはありましたが、普段使い用の真空断熱ボトルはマグタイプで直飲みできなかったり、スポーツ用のモデルは大容量で太くてケージに収まらないので上手くいきませんでした。苦肉の策でハンドルにドリンクホルダーとなるポーチを取り付けて使っていた時期もありましたが、グラベルバイクならともかくロードバイクのハンドルに余計なモノを付けるのは個人的には好きでなくやめてしまいました。そんな経緯もあったので公式がロードバイクに特化したボトルを作ってくれているというのが本当にありがたい限りです。

現状は

保冷専用で良ければFJP-600

保冷と保温も欲しければFJF-580

と自分の使い方に合わせて選べるようになっています。保温性能が要らない人であれば空気孔の存在が非常に素晴らしいのでFJP-600の方がオススメ。

保冷専用、空気孔が秀逸なFJP-600

保冷&保温、マルチなFJF-580