山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

奥多摩の川苔山は秘境感がたっぷり味わえて公共交通機関のみでアクセスできる最高の山でした。川乗橋〜鳩ノ巣駅2023.7

奥多摩・川苔山とは

川苔山は奥多摩に位置する標高1362mの山で、アクセスが良いことに加え、登山道は歩きやすく滝や渓流の景観が楽しめるために奥多摩エリアの中でも人気が高い山の1つです。タイトルの通り電車とバスを乗り継いで容易にアクセスができて、難所や危険箇所はないが秘境感が味わえるとても良い山でした。

「川苔山」名前が面白いので気になっていました。

川苔山を選んだ経緯

今年度から職場が変わって休みが増えて幸せになりました。ホワイト企業最高です。しかし最近は仲間と登ることばかりだった弊害で、ソロで遠征するのが非常に億劫になり精神的に山離れしかけていました。運転が嫌いなので2時間以上かかる場所に1人で行く気がしません。遠征の時はいつも仲間たちが運転してくれているのに慣れきってしまいました。

そこで公共交通機関のみでアクセス可能全行程6時間くらいで終わる景色はそれなりに楽しめる、という条件で山探しをした結果川苔山が浮上しました。公共交通機関のみで行けるということは往復の移動時間を寝るなり本を読むなり好きに使える上に下山直後に酒が飲めるというメリットがあります。

川苔山へのアクセス

自宅→奥多摩駅(徒歩&電車)

奥多摩駅→川乗橋(バス)

川乗橋〜百尋ノ滝〜川苔山〜鳩ノ巣駅

鳩ノ巣駅→自宅(徒歩&電車)

川苔山へのアクセスは奥多摩駅からバス1本です。川乗橋=川苔山登山口で下車します。公共交通機関ゆえ元の駅に戻る必要がないので周回ルートで鳩ノ巣駅に下山する計画にしました。

山行データ

奥多摩駅に到着

時刻は7:17。最寄りの立川駅からは青梅線に乗って青梅駅で一度乗り換えて、後は終点まで乗っているだけです。ここからバス1本なのでアクセスはかなり良いです。公共交通機関でアクセス可能な山は良く調べると「物理的に公共交通機関でアクセス可能なだけで現実的じゃない山」が多く存在するので注意が必要です。奥多摩は都内ハイカーから人気ということもあり、どの山も公共交通機関でのアクセスが良いみたいです。

 

駅を出てすぐのバス停で東日原行きのバスに乗ります。行列はできていましたが乗れないほどではありません。ここから川乗橋は約4km、所要時間は13分です。バスの本数は1時間に1本ほどなので、バスを逃した場合は待っても歩いて向かっても時間は変わりません。

川苔山 登山開始

車両が通行止めになっているこちらが川苔山登山口です。時刻は7:45。目標は5時間に設定しました。

スタート直後、右手の眼下には渓流になっています。真夏の低山とはいえ標高も高く気温は21度。そこらのオフィスよりよほど涼しいです。

久々(1ヶ月ぶり)の山だ!とバイブス上げていたのに最初は車道歩きです。これが40分間続きます。

緩めの坂道(車道)をただ歩きます。歩くには退屈なので貧脚の私がロードバイクで登るのにちょうど良さそうなんて思っていたら、クロモリロードに乗ったトレラン風の装備のおっちゃんが抜けて行きました。

登山道スタート地点、細倉橋

スタートから40分ほど、ようやく登山道のスタート地点の細倉橋です。ここから百尋ノ滝(ひゃくひろのたき)までは渓流沿いを歩きますが、斜度はかなり緩いので非常に気持ちよく歩けます。

雨の翌日であるが道は整地されていて歩きやすいです。。アップにちょうど良いくらいの優しい斜度。

右手には渓流と早速滝が。

雨に濡れた木の橋はびっくりするほど滑りますが、それでもすれ違うのは問題ないくらいの幅があります。

初夏の渓流

夏の渓流。もうずっとここにいても良いくらい気持ちが良いです。立ち止まっていたら肌寒いくらい涼しいし、釣り人があまり入っていないのか、普通に岩魚の魚影が見えて驚きました。久しぶりに空気が美味しいって思いますね。

とにかく歩いていて気持ちが良い道です。真夏の低山は地獄というのが定説だと思っていたので覚悟していましたが全然苦になりません。虫も少ないし涼しいです。

登山道に流れていた水は氷のように冷たかったです。

もう山頂がなくても満足してしまいそうな秘境感です。むしろテンカラ竿を持ってきて岩魚山女魚と戯れたいです。

相棒のアルパインクルーザー800レザーちゃんはこういう濡れた岩場の足元注意な状況でその真価を発揮します。モンベルの開発したトレールグリッパーは最高です。

歩きやすいし道幅も特別狭くはないものの、高度はあるので万一落ちるとそれなりの滑落事故になります。

川苔山方面と百尋ノ滝の分岐点。滝までは目と鼻の距離なので寄り道。一見の価値あり。

百尋ノ滝

真夏の渓流、滝壺で水しぶきを浴びました。正直山頂より感動したし気持ちが良かったです。高さもあって水量も多くて迫力がすごい。ここまではホントにきつい登りもないし日光も遮られて歩きやすいので滝だけ見に来るのも全然ありです。

人か獣か自然か、看板が無惨にも割れていました。これで血でも付いていたら引き返すところです。

百尋ノ滝を過ぎると全体的に斜度が増してきて、登山らしくなってきました。道の広さは変わらず、危険な場所もなかったので体力勝負です。

初めて川苔山までの距離が表示された地点はスタートから5km地点。

川苔山の良いなと思ったところは登りがきつくなっても、登り一辺倒でやられることがないところです。キツいと感じた登りの後には一旦緩い道を挟んでくれる優しい道です。

登山道は基本登り基調で、1ヶ所大きく下がる場所があって、下がりきった鞍部は渓流を超えるプチ渡渉です。

渡渉と言ってもこの程度です。

渡渉(?)を超えると分岐点。川苔山へのルートは2つあるようです。左は1.5km、右は1.8kmと書いてあるので迷わず短い方にしました。

いよいよ木の密度が減ってきて、山頂の予感がしてきます。

先程の分岐から間もなく、木々の中ですがようやく尾根に到達しました。

尾根を抜けると頂上直下の広場。鳩ノ巣駅方面と山頂方面に道が分かれています。

ここから山頂まではもう10分ほど。

最後まで木々に守られながら

川苔山 山頂

9:59 登頂開始から2時間15分、川苔山山頂に到達しました!!

山頂はベンチが3ヶ所、視界は前方面パノラマとはいかないものの開けていて気持ちの良い空間です。

山頂標識正面の一番眺望の良いポイント。夏山らしく雲が増えてきました。

先客はすぐに発ってしまったのですぐに山頂独り占め状態になりました。

昼食には早いですが予定通り食事の準備をします。今日は調理があまり要らない簡単山飯です。フリーズドライは面白がって買う割には使っていなかったので丁度よい機会でした。

「山と食欲と私」より、カレー炊き込みご飯。仕込みは自宅でフリーズドライ白米にカレー粉を入れるのとウインナーを切っておくだけ。お湯を沸かしがてらウインナーと枝豆を茹で、あとは袋に入れて放置して完成です。手軽な割にはちゃんと自炊した感じが味わえる良メニューです。

山頂ひなた。

50分ほどのんびり滞在して下山開始。山頂でゆっくりできるのも低山の良いところです。アルプスとかだと夏でも寒いのであまり長時間留まれないのがネック。

先程の広場から、鳩ノ巣駅方面へ下ります。

道の雰囲気としては前半戦と似ていますが渓流がありません。ゆえに登る場合は川乗橋側から登った方が楽しいと思います。

夏の風物詩。大きさと形的に、消去法でヒグラシっぽいです。

山中の木々には人の手が入っていて、自然の中ながら秩序が美しいと思います。八ヶ岳みたいな手つかずの原生林ももちろん魅力がありますが整然とした自然も悪くありません。

鳩ノ巣駅まで残り1/3~1/4くらいのところで、

車道にエンカウント。

と思ったらすぐにまた登山道に入ります。登山装備では山道のほうが歩きやすい(限度はある)と思っているので一安心。

ただしこの車道を過ぎると植物が鬱蒼と茂っていて虫も増え、少し歩きづらくなってきます。

再び鳩ノ巣駅へ2ルート分岐。マップを見る限り距離の違いもそうなさそうだったので、神社を経由して下る方にしました。

夏の蝉しぐれの中に佇む神社。参拝して無事に帰ってこられたことを感謝しました。余談ですが私は「夢をかなえるゾウ」を読んで以来、お参りの時には願い事ではなく感謝を伝えるようにしています。(「皆が願い事をしてくる中で神様への感謝を伝える奴が居たらおっ!ってなるやろ?」とガネーシャが言っていたことに納得したからです)

下山後 情緒豊かな夏の奥多摩

神社を過ぎると下山終了。山中よりは一気に暑くなりましたがそれでも27度でした。

民家の路地、どこからか聴こえる風鈴の音色、照り付けるような日光に絶え間ない蝉しぐれ。田舎の夏の空気感がもうたまらなくてたまらない。ずっと夏でいいのに。

あああああ最高

ぼくのなつやすみ!!!!!

トンネルの向こうには何があるんだろう、夜中の線路をどこまでも歩いていきたい。

JR鳩ノ巣駅

12:07 極上の夏の空気感に包まれて、鳩ノ巣駅到着です。帰る電車は概ね1時間に2本ほど。山行は4時間かからずで、想定よりだいぶ早く降りたので1本見逃してのんびりすることにしました。

味のある駅舎。奥多摩には細君の親友が以前住んでいて、ここから都心まで通勤していました。

その細君友人が勧めてくれた山鳩カフェ。残念ながら今日に限って貸し切り営業だったので、

駅目の前のお店に入りました。

これですこれ。下山直後にビール。水でもコーラでもなくBEER。

ソロでも仲間とでも登山は基本車でアプローチしているのでこれができるのはテント泊の時くらいで、なかなかできない贅沢です。公共交通機関バンザーイ。

駅のホームがこれまた、自分の故郷とはぜんぜん違うのに何故か懐かしく泣きそうになるような雰囲気。

たまらないけど何が具体的にどうたまらないのかは言語化不可能。

向かいのホームの感じもたまらない。セーラー服の幼馴染と線路越しに会話したりしてぇよ…。

「奥多摩って低山がたくさんあるけどよく分からないんだよねー」と敬遠していましたが、足を踏み入れて良かったです。山頂の景色だけを見ればちょっとパッとしない感じもありますが、百尋ノ滝をはじめとした渓流歩きがとても気持ち良かったし、下山後にビール飲めた帰りの車内で眠れたし、夏の田舎の最高な感じ(語彙)を体感できたしめちゃくちゃに満足度の高い登山でした。環境の割に公共交通機関が充実しているのでアクセスもストレスフリーです。

ぜひ夏の奥多摩へ。