アルパインクルーザー800レザー
本当に本当に発売を待ちわびていた登山靴を遂にゲットしたので紹介します。2022年10月に発売したモンベルの新商品!
ヌバックレザーのこの見た目でピンとくる人も居るかもしれませんが、登山家からバイク乗り、キャンパーなど幅広いアウトドア人達に愛された、旧アルパインクルーザー2000の後継機に当たる登山靴です。
下記の点でめちゃくちゃオススメです。
・見た目がかっこいい
・日本人に合わせた足型で作られている
・手入れをすれば長く使えるレザータイプ
・側面に縫い目がない=壊れる箇所が少ない
・コバがない=軽量性に優れる
・対応できるシチュエーションが多い
革の色合いに同系の暖色オレンジの靴紐、見た目も質感も最高。本当に待って良かった…。
ことの始まりは2022年夏、初めて買ってから4年間ありとあらゆる山行で履きまくった登山靴、ツオロミーブーツが限界を迎えてしまったのがきっかけ。
一般的に登山靴はソールが加水分解で剥がれてしまう5年が寿命と言われており(だいたいは張替え可能)、これは不思議なことに全然履いてなくても同じらしく、一度登山靴を買ったならたくさん履かないと損をします。
今年4年目になるので来年夏にはいよいよ買い替えかと思っていましたがそれよりも早く寿命が来てしまいました。というのも厳冬期靴を買うまではこのツオロミーブーツ+10本爪で雪山に行っていた上に多い時は月に2,3回登山に行っていたので単純に酷使しすぎたのだと思います。
今年7月の黒戸尾根チャレンジで靴の側面の縫い目がほつれ始め、8月のジャンダルムアタックで崩壊したツオロミーブーツ。ソールも剥がれ始めています。ソールはまだまだ生きているように見えるものの、山行中に完全に壊れてしまったら考えただけで恐ろしいので買い換えることにしました。
思ったよりソールはすり減っていないように見えて驚き。そういえばグリップ力の低下を感じたことはなかった。
アルパインクルーザー800レザーを選んだ理由
①見た目がかっこいい
敷居は高い感じがしますが、玄人感溢れる革の登山靴。無骨で登山「道具」という風格。
モンベル独特の色使いやデザインがないのでモンベラー贔屓抜きでもかっこよくないですか。
②日本人に合わせた足型で作られている
私は「モンベルでいいや」ではなく「モンベルがいい」ので登山道具はモンベルにお世話になりっぱなし。特に登山靴に関しては日本人に合わせて作られているモンベルの足型が、幅広足の自分にこの上なくフィットするので他メーカーの登山靴はあまり考えたことがありません。特にヨーロッパメーカーの靴が足に合わなくて悩んでいる人はモンベルの登山靴をお試しあれ。
③手入れをすれば長く使えるレザータイプ
往年の使い込まれた登山靴といえばレザー。ということはレザー=長く使えそう。
傷つきやすいとか水に弱いとか、化学繊維よりも繊細なイメージはありますが、一口に革と言っても色々あるので物によっては傷付きづらくて耐久性も高いです。
あとはいざという時に煮れば食えるらしい。←現代の革靴は食べられないみたいです。
④側面に縫い目がない=壊れる箇所が少ない
ザックにせよ登山靴にせよ、材質によらずどうしても縫い目は傷みやすいポイントになってしまい、さらに靴の側面というのは無自覚に擦ったりぶつけたりしやすい場所でもあります。実際冒頭で述べたようにツオロミーブーツは側面の縫い目がほつれて壊れてしまったので、なるべく縫い目の少ない靴にしたいところ。
⑤コバがない=軽量性に優れる
個人的には3シーズン靴にはコバは不要と考えています。コバある靴は体感で分かるくらいには一気に重くなりますし、夏山の雪渓くらいなら10本爪の軽アイゼンが付けられれば十分です。そしてコバがないと付けられないアイゼンを使う厳冬期登山をするなら安全のため厳冬期靴を買うべきだと思います。
⑥対応できるシチュエーションが多い
特筆すべき、モンベル独自のソール「トレールグリッパー」。
登山靴のソールといえばビブラムソールがやはり有名でユーザーも多く、独自開発のグリップというのはコストを抑えるための妥協案のような位置付けになりがちですが、4年間履きつぶしてきた結果、私はビブラムよりもトレールグリッパーに絶大な信頼を置いています。
濡れた岩場という一番緊張感が走る足場で信じられないくらい滑りません。足場が悪くピンポイントで着地せざるを得ないような局面でもトレールグリッパーなら信じて着地できるくらいです。これはツオロミーブーツで好天から荒天まで、あらゆる状況下の山行を経た上で得た命を預けられる信頼度です。
モンベル登山靴のモデルチェンジ
名器アルパインクルーザーがディスコンに
当初は以上の条件をすべて満たしたアルパインクルーザー2000を買うつもりでした。アルパインクルーザーは2000、2300、2500、2800、3000と数字が大きくなるほど上位モデルというラインナップで、2300以上は後ろコバが付き冬季対応モデル、さらに2800以降は前後コバ付きの完全な厳冬期靴です。2000は冬季を除く3シーズン用としては最上位のモデルで、唯一ヌバックレザーのモデルで登山家のみならずバイク乗りやキャンパーからも愛されたモデルでした。しかしツオロミーブーツの買い替えを考えた2022年春頃の時点では、アルパインクルーザー2000は既に廃盤になっていて、後継機に相当するアルパインクルーザー800レザーというモデルが10月に発売予定ということでした。
マウンテンクルーザーとアルパインクルーザー
モンベルの登山靴は今年2022年、大幅にモデルチェンジしてミドルカットはマウンテンクルーザー、ハイカットはアルパインクルーザーと名称が統一されました。そして後ろに付く数字が大きくなるほどより高山対応の上位モデルになるというのは以前のラインナップからの継続で非常に分かりやすくなり、新アルパインクルーザーのラインナップは下記のようになりました。
・アルパインクルーザー800(旧ツオロミーブーツ)
・アルパインクルーザー800レザー(旧アルパインクルーザー2000)
・アルパインクルーザー1000(旧アルパインクルーザー2300)
・アルパインクルーザー1000レザー(旧アルパインクルーザー2500)
・アルパインクルーザー2800(従来どおり)
・アルパインクルーザー3000(従来どおり)
無雪期メインはアルパインクルーザー800〜1000
積雪期メインはアルパインクルーザー1000レザー〜3000
というイメージ。
アルパインクルーザー800レザーの外観
という長い長い経緯を経て遂にモンベル公式HPで在庫ありに変わったタイミングで取り置き依頼の電話をかけ、やっと会えたアルパインクルーザー800レザーです。履いた瞬間に待ちわびた時間が報われた思いで即買いです。そちて側面に縫い目がない!ヌバックレザー!諦めていたアルパインクルーザー2000のエッセンスをここに見ました。死んだ恋人と再会したくらいの気分です。
命を預けられる安心と絶対的信頼のトレールグリッパー。やだっ、新品は見るからに頼もしい..///
足型が新設計に(追記)
旧作に当たるアルパインクルーザー2000と今回のアルパインクルーザー800レザーは設計に使用している足型が変わっているようです。というのも私は元々ツオロミーブーツの26.5のワイドモデルを履いていたのですが、アルパインクルーザー800レザーは26.5の通常モデルを購入しました。また、同じくモンベルの厳冬期靴のアルパインクルーザー3000もワイドではない通常モデルを履いています。
アルパインクルーザー800レザーの26.5を履いた時に普通にぴったりだったので購入に至ったのですが、上記のことを店員に尋ねてみるとアルパインクルーザー2000から800レザーにリニューアルするにあたり、使用している足型が変更になり、新しい足型ではより日本人に多い幅広の足に対応している、ということでした。さらに確認するとアルパインクルーザー3000もアルパインクルーザー800レザーと同じ足型を採用しているそうです。
これ以上の詳細は聞いていませんが、今回のモデルチェンジに伴い全て足型が変更された可能性があり、私のように旧モデルでワイドモデルを履いていた方はもしかすると通常モデルの方で良くなるかもしれないのでサイズ選びには注意してください。
ワックスがけ
ヌバックレザーは防水性を高め耐久性をアップさせるべくワックスを塗る派閥と塗らない派閥がいるようです。私はまあこだわりはありませんが少しでも耐久性が増すというならやる派です。使用するワックスはアルパインクルーザー2000のワックスがけ用で定番のコロニルアウトドアアクティブです。
欠点としては一度ワックスを塗るとこの色合と毛羽立った質感が完全に変化して無くなってしまうことです。とりあえず気が済むまでスリスリして新品のヌバックレザーの肌触りを堪能しておきます。
ワックスを塗るとまるで闇落ちしたような風合いになります。
本来は1ヶ月くらいかけてワックスがけ、乾かす、磨く、という行程を行いさらにレザーローションなどを使ってツルツルテカテカに仕上げるそうですが、私はせっかちな人間なのでそんな悠長なことはしません。
もともとしなくてもいいワックスがけなので、1週間後の山行まで乾かして塗るのを3セット、くらいやれば十分だと思います。
購入から9ヶ月使って
購入から9ヶ月、八ヶ岳や北アルプスのテント泊縦走、尾瀬のテント泊登山などなど。
早くも往年の登山靴の佇まいになった800レザーちゃんです。
こんなところや @権現岳山頂
こんな酷道も @尾瀬 見晴新道
@尾瀬 見晴新道
こんな雪渓の上(アイゼン・ストックなし)も @燕山荘〜大天井岳縦走路
こんな岩場混じりの急登も @大天井岳直下
とりあえずめちゃくちゃに歩きまくってみて、やはり性能は極上でした。
やっぱりトレールグリッパーの滑りにくさは特筆すべきレベルで、岩場で靴をぶつけまくっても革に傷が付きこそしますがダメージを負っている様子はありません。さらに汚れを落としやすいということも相まって、縫い目が少ない利点は思ったより大きいと感じました。
以前のツオロミーブーツと比べれば多少重いですが、足運びに重さを感じた場面はなく、堅牢さからすると軽量な部類なんじゃないかとすら思います。
あとワックスがけは塗って放置して乾いたらまた塗って、というのを3セット行っただけですが明らかに水を弾いている様子があるので一定の効果は得られていると思います。
だめになった時用にもう一足買って保管しておきたいと本気で思っていますが、ソール5年の法則があるので、5年後も同じ佇まいの登山靴が売られていることを切に願います。モンベルさんお願いします。