山と自転車

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【つくばりんりんロード】霞ヶ浦一周は景色が変わらず3本ローラーみたいだった話

 

今回の走行データ

土浦駅をスタートして反時計回りに霞ヶ浦を走って波崎ウインドファームに寄り道をして残り半周しました。北側はショートカットコースを選んだので厳密な一周ではありません。

ナショナルサイクルルート

路面の整備状況やサイクリストフレンドリーな施設など一定の基準を満たし、国内外に観光としてのサイクルツーリズムを推し進めるべく制定されたのがナショナルサイクルルートです。

ナショナルサイクルルート一覧

中でもしまなみ海道ビワイチつくば霞ヶ浦りんりんロードの3コースは最初に制定されたナショナルサイクルルートであり、自転車雑誌でも何度も特集される特別な場所です。何度も走ったしまなみ海道、今年3月に平坦道の過酷さを学んだビワイチ、そして最後に残っていたのがつくばりんりんロードでした。ようやく走ることができたのでそのまとめです。結論を先に書いておくとタイトルの通りで景色が変わらなすぎて走りやすいけど辛い、五億年ボタンのような時間でした。

つくば霞ヶ浦りんりんロード

つくば霞ヶ浦りんりんロードは茨城県の土浦駅を起点として、日本百名山の一つでもある筑波山方面と霞ヶ浦方面に伸びるサイクリングルートです。前者は旧筑波鉄道コース約40kmと筑波山のヒルクライムコース、後者は約130kmの霞ヶ浦一周コースで、どちらか片方を走ることや両者を組み合わせたり部分的に走ったりと走力や時間によって様々なパターンが作れます。

プラン

今回は銚子の方にある波崎ウインドファームという場所(霞ヶ浦から往復60km)にもついでに行きたかったので、つくばりんりんロードは霞ヶ浦一周のみにしました。詳しくは後述しますがこの波崎ウインドファームは世界の最果てのようなディストピア感が味わえて最高でした。

土浦駅をスタートに反時計回りで霞ヶ浦を走り、最下点で一時離脱し片道30km先の波崎ウインドファームに行き、再び霞ヶ浦に戻って残りのルートを走って一周し土浦駅に戻るプランです。スタート&ゴールが同じ場所だと風呂セットや帰りの着替え等を置いていけるのがありがたい。ちなみに走った後は土浦駅から1.5kmほどの場所にスーパー銭湯湯楽の里があるのでサウナで締めくくることができます。

アクセス

つくばりんりんロードは土浦駅がスタート地点となっており、ほぼ駅からコースが始まっているのでアクセスが容易です。土浦駅までは東京駅から特急が出ており45分ほどで移動可能で、東京神奈川あたりに住んでいる人ならば2時間ほどでアプローチできると思います。

サイクリング推しが強いJR土浦駅

最寄り駅の立川駅からは特急を使い1時間45分程で土浦駅に到着しました。駅のホームからすでに自転車大国へようこそ!という感じが溢れていて、ナショナルサイクルルートのオリジナルスリーの中では一番サイクリング推しを感じました。

駅の改札を出てすぐに霞ヶ浦方面と筑波山方面への案内表示があり非常に親切。

駅構内に輪行スペース

ウワサに聞いていた輪行スペース。炎天下の中で作業せずに済むのでこれは良いアイデアだと思います。このすぐ近くにコインロッカーがあるのでお風呂セットなどが入ったカバンごと預けてしまいます。駅舎から出たところにはコインロッカーはなかったので、同じようなプランを考える人はここで預けるのが吉。

外に出るとすぐ隣にローソンが隣接していて、ボトルや行動食を補給してスタートします。ちなみにこの日の天気は晴れで気温は37℃を上回るという命の危険があるレベルなのでボトルは2本体制です。こんな日に好き好んで外を走るのは常人には理解されないことが多いですが、生きてるって感じがするからです。

駅前の大通りにも案内板が出ています。

霞ヶ浦へ

駅から10分も走ると霞ヶ浦に出ます。りんりんロードなんてファニーな名前が付いているので、観光しながらのわくわくライドになりそうだと、ビワイチよりは楽しめるだろうと思っていました。ここに着くまでは。

はい、どう見てもビワイチと同じですありがとうございました。霞ヶ浦は日本第二位の大きさを誇る湖なので湖の概念をぶっ壊してくれます。琵琶湖と異なるのは多少入り組んだ形をしていることで、スタート直後は幅が狭い場所なので対岸が見えています。向こうに陸地が見えている感じは瀬戸内海の雰囲気。

霞ヶ浦は一周しても獲得標高が150mくらいしかないので、1mの高低差を1km以上かけて登るようなものでつまりは完全な平坦道です。そしてネタバレになりますが95%はこの景色です。視界の景色は流れているのに変わらないという不思議体験ができます。

すぐ右手に国道が並走していたビワイチと異なり、一面に広がる田んぼが現世と国道とサイクリングロードを隔てています。その代わりサイクリングロードはビワイチのように歩行者と自転車専用の道ではないのでたまに車が走っています。

時々湖畔から離脱させられ田んぼの中を貫くように走ります。道中は道路上に表示があるので見失うことはありません。

つくばりんりんロードはところどころ時空が歪んでいるので、時々北海道に転送されます。堆肥のあの匂いを感じたら時空を超える合図です。

各方面から川や用水路が霞ヶ浦に流入しているので、川の流れに沿って大回りする場面がしばしば現れます。

空と田んぼがちょうど半分ずつ視界を埋めています。とにかく意味不明なほど視界が広いので関東平野は伊達じゃないと思い知りました。

さすがオリジナルスリーのナショナルサイクルルートだけあり、太陽が高く昇り気温が体温と平衡している危険な環境にも関わらずロード乗りがたくさん居ました。夏にクーラーを付けないどころか炎天下で喜々としてペダルを回し体温を上げているのでロード乗りは頭がおかしいと言われても返す言葉もありません。

田んぼの中に立派な日本家屋が佇むのはノスタルジーを感じます。サマーウォーズみたいです。

浜辺にはパラソルの下でくつろぐ人の姿も。

これは夏休みに北海道ツーリングした時の写真なんだけどねと言われても全く疑いません。

見渡す限りの青空と田んぼ。さっき見た。というか最初からずっと見てる。

いよいよ気温が体温を超えてきましたがまだまだ今日の行程の1/5程度です。

スタートから30km走ったところで久しぶりの飲食店が現れました。ビワイチは何も無い45km区間があったのでもはや驚きませんが、うなぎ屋にサイクルラックがあるのはシュールでした。

ほぼ唯一だった道中のコンビニ

反時計回りの場合、スタートから30km地点でりんりんロードと国道125号線が一瞬交わるポイントがあります。

道中にたまーーーーに自販機がひっそり立っていることがありますが、スタートから30kmのここまでコンビニはありません。この先も同じでコースからある程度離れないとコンビニには出会わないので立ち寄っておくことをおすすめします。

コンビニを過ぎると再び元の世界に連れ戻されます。サイゼリヤの間違い探しくらい違いが分からないのでGPS無しには進んでいるかどうかすら分かりません

右手の田んぼが蓮田に変わっただけでも霞ヶ浦においては大きな変化です。

tada車とつくばの空。壮大な自転車旅をしている気分になります。

いよいよ気温がとんでもないことになってきました。世界が発熱している。

北利根橋を目印に霞ヶ浦を離脱

前述の通り、今日は霞ヶ浦一周に加えて波崎ウインドファームに脚を運ぶので、霞ヶ浦北上への切り替わり地点の北利根橋から一旦離脱し、南東方向に進みます。

北利根橋

ここから波崎ウインドファームに向かう道のりはこれまでと同じく平坦で、何も無い国道をひたすら進みます。地方の街の中心部からから離れた国道沿いの、朽ち果てた中古車販売点が点在するだけの感じを思い浮かべてください。北利根橋から15kmほど離れると波崎ウインドファームがある神栖市の中心部を通るのでファミレスがたくさん現れます。ガストで昼食を摂りつつドリンクバーでボトルの補給をしました(許可得ました)。

波崎ウインドファーム

この波崎ウインドファームはヤマノススメのしろ先生による「カメラ、はじめてもいいですか?」に登場するスポットで、同作にてその存在を知ってからずっと行ってみたいと思っていた場所でした。霞ヶ浦一周の趣旨とズレる&SFのようなディストピア感溢れる場所で感動したので別記事にしています。良ければ読んでみてください。

波崎ウインドファームにて。そこにあるのは荒廃した浜と巨大な風車、聴こえるのは波の音だけ。完全にディストピア。

www.mount-road.com

霞ヶ浦東岸

波崎ウインドファームから30kmの道のりを経て再び霞ヶ浦に戻ってきました。

東岸になっても予想通り全く景色が変わっていないのでここまでくるともはや安心してきます。変わらないもの - YouTube

波崎ウインドファームとの往復でガストで補給したボトルを完全に使い切ってしまい、さすがに残機0のサドンデス状態はやばいので本日3度目の補給を探します。前述の通りもう道すがらにコンビニが現れることはないのですが、視界の端に見慣れた看板が映った気がしました。りんりんロードに戻ってきて割とすぐのことでした。

このセブンイレブンはりんりんロードからほんのわずかに逸れるだけで寄れるまさにオアシスでした。実は北利根橋からここまでの間に自販機やお茶屋さんがいくつかあったのですが、できれば飲み物だけでなく氷も補給したかったのでコンビニに拘りました。

そしてガリガリ君をかじりながら考えました。頑張って一周する価値はあるのだろうかと。どういうことかというと

霞ヶ浦一周は2パターンあって、完全に一周する当初のルートともう一つ、北側をパスしてショートカットするルートがあります。両者の差は約45kmほどもあり、時間的にも結構変わってきます。スタート時には当然完全一周一択や!波崎ウインドファームの60kmともう少し寄り道して200km目指したる!と意気込んでいたわけですが、波崎ウインドファームの景色以外ずっと景色が変わらない3本ローラー状態ですでに115km走って私の心は完全に折れていました。

これまでの道のりから判断する限り北側の45kmだけは別格!りんりんロードの真髄はここにあり!なんてことは考えられません。ローラー台30分を45分に延長するようなものです。つらいだけです。

ということで、ショートカットして浮いた時間でゆっくりサウナに入り、早く帰って酒を飲むプランに変更しました。

かくして45km、時間にして2時間弱短縮されることが確定したのでペダルは軽くなりました。ものすっごい久しぶりに現れた公園の写真を撮るくらいの心の余裕が生まれました。春は花が綺麗らしい天王崎公園という場所です。

気づくとまたまた青空と田んぼが視界をはんぶんこしています。もしかして、タイムリープしてねえ?

と思ったら区画ごとに色が違う田んぼが出てきました。こんな田んぼは見てないはずだから、ということはタイムリープして戻ってきてしまったわけではなさそうです。景色の間違い探しが地味過ぎる。

ショートカットサウナ酒プランが可決されたセブンイレブンから17km、例のショートカット橋が現れました。

ライブセレクション

この道を直進(右の橋下を通って直進)するか左折してショートカットするか、運命の分かれ道です。

バイオ3のこの演出好きでした

結果は迷わずショートカット。トレーニングではないので楽しくない道を無理に走る必要はありません。

橋を渡って間もなくりんりんロードに似つかわしくない勾配の表示が。実際には斜度を感じるほどの下りも登りもなかったので何だったのか分からない。

終盤戦の景色。今回のライドで最後に取った写真です。決して最初の写真の使い回しではありません。

土浦駅に戻ってからは預けた荷物を回収して湯楽の里土浦店に向かいます。私は現地ならではの温泉よりも広くて綺麗でサウナが付いたスーパー銭湯を好むので、その点全国展開しているスーパー銭湯は安心感があります。

駅構内に自転車で入れる

土浦駅は3階が改札口になっていて、1階にはカフェや自転車ショップが入っています。特徴的だったのは屋内にブルーラインが敷かれていて自転車と一緒に入れること。

屋内のタリーズ前にママチャリ。シュールさがすごい。

同じく1階には広々したル・サイクが。じっくり見たかったけれど特急の時間が迫ってたので(あるか分からないけど)次回のお楽しみに。最後は自転車と一緒にエレベーターに乗って改札口まで行けるようになっています。駐輪場や盗難の心配をせずに駅構内を散策できる上、2階にはビアバーのような場所もあったので駅自体を見る時間を設けておくべきだっと思います。

つくばりんりんロードまとめ ビワイチと比較して

一言でいうと景色が流れる3本ローラーですただし流れるだけで変わりはしません。

ビワイチの時も同じ理由で辛かったのですが、まだあれでもビワイチの方が景色の変化があったんだなと思うレベルです。こちらはさらにびっくりするくらい景色が変わらない上、補給ヶ所はビワイチよりシビアかもしれません。ビワイチも45kmくらい何もないヤバい場所がありましたが、西岸には飲食店が点在してますし、未整備の南西部は国道を走るので補給には困りません。寄るべき場所の下調べと位置確認くらいはしておくべきだったかなと思います。

ただし電車を下りた瞬間から始まる自転車乗りウェルカム!って感じは一見の価値があるので、サイクリストは体験すべき場所だと思いました。

おしまい。