日光、雲竜渓谷
舞台は栃木県日光、雲竜渓谷。年にほんの限られた期間のみ出現するという「氷の神殿」とも呼ばれる氷瀑の渓谷を訪れました。この氷瀑は毎年必ず見られるわけではなく、どの程度”育つ”かは年によって変わるらしいので情報収集が必須となります。今年はよく育っているなのではるばる日光まで訪れました。
この雲竜渓谷、私は初耳の場所でしたが一度行ってみたかったという師匠の提案で実現しました。パーティは師匠率いる山梨組と、私率いる東京神奈川組とで、いつも通り各地から現地集合しました。
神奈川から栃木日帰り、本来それなりの遠征のはずですが、昨年の最長青森県にまで及ぶ東北遠征シリーズを経て高度に訓練され感覚が常人のそれではなくなった我々にとって「栃木くらいならすぐ」「東北まで行かないならすぐそこ」でした。
登山口 日光瀧尾神社
日光東照宮を過ぎ、日光滝尾神社から山道に入り、ゲート近くの駐車場に停めます。この道は比較的広いので満車の場合は路肩に停められます。コースタイムは短いのの、祝日でかなりの混雑が予想されるので7時現地集合を目指しました。ほぼ時間通りの到着時点でもやはり駐車場は満車です。しかしそれほど下ることなく路肩に停めることができたのでロスは少ないです。雪が積もっているところはありませんでしたが、かなり凍結していたためスノータイヤは必須です。
登山道は特に分岐や迷いやすいポイントはないので淡々と進みます。道は終始緩やかで、ハイキングという感じです。
ある程度進むと人工滝。足場がしっかりしていても眼下の景色に足がすくみます。
基本は平坦な道のり
次第に雪道に変わっていきますが積雪量は多くなく、まだアイゼンは装着せず進みます。この川沿いに進む辺りから渓谷にかけて登りが加わってようやく登山道っぽくなってきます。
両脇が岩に囲まれた渓谷に来た辺りから、巨大な氷柱が出現し始めていよいよ核心部です。
見事な氷瀑の絶景
するとにわかに出現する氷瀑。氷の神殿と呼ばれるにふさわしい堂々たる出で立ちです!
ウワァ
渓谷の壁が氷そのものになっています。赤岳のアイスキャンディーを思い出しましたがこちらは100%天然です。道には川が流れているので適宜プチ渡渉しながら進んでいきます。
こちらは巨大な氷柱ゾーン。ゲームにありがちな下を通ると氷柱が落ちてくるステージそのものです。
氷瀑の裏側
この氷瀑と氷柱達。実は
裏側に侵入することが出来ます。もし氷が落ちてくると大怪我請け合いなのでヘルメット推奨の自己責任エリアです。というか普通にヘルメット着用すべきでした。見上げた刹那氷が落ちてきそうで怖かったです。
人と一緒に撮るとスケール感がよく分かります。こんな大きな氷柱は本当に見たことがありません。登山を始めてからこういう現実離れした景色を見るのが私の現実になりつつあります。
最深部を目指して 最後は急登
これまでで既に十分SFでしたが終着点にはさらに大きな氷瀑が待っているというので期待を胸に先に進みます。いよいよアイゼン無しでは難しい登山道になってきました。凍っている場所もあるので6本爪の軽アイゼンでは心もとないですが、少なくとも10本爪以上の前爪があるアイゼンがあれば問題はないと思います。
と思っていたら仲間の1人が初老の登山者に軽アイゼン(前爪はあります)を付けていることで説教されていました。まあ山を舐めるなというのは非常によく分かるものの、初対面の赤の他人相手なのだから言い方は配慮するべきではと思います。怒鳴り散らしたところでアイゼンが生えてくるわけでもないし、他人から見て注意の対象になるんだ、と自覚させるくらいで十分ではないでしょうか。まあ老人ってそういうところあるよね。
渓谷の最深部。いよいよラスボスじみた氷瀑が見えてきました。
雲竜渓谷最深部 大迫力の氷爆
氷瀑ド−−−−ン!
しかしこれでは山の写真でありがちな、「人が映らない状態で撮りたいけど人がいないとスケール感が伝わらず凄さが分からない写真」になってしまうので
人間が居るバージョンです。氷瀑は遥か上の世界です。ここで昼食を摂っていると1組のガチ勢パーティがアイスクライミングを始めていてはぇー。
みんなの視線を集めながら、通常なら足を踏み入れられない領域にあのタフネスなギアを駆使して登っていくのは気持ちが良さそうですが、さすがに怖くてやってみたいとまでは思えません。
道としては短めで、休憩含めても往復5時間ちょっとの行程だったので昼過ぎには車に戻ることができ、帰りは温泉に浸かって帰路に着きました。
帰りは宇都宮の来らっせへ
帰りはせっかくの栃木なので宇都宮餃子、ということで「来らっせ」に寄って帰宅しました。ここは宇都宮の餃子の有名店が集まっているフードコートのような場所で、複数店の餃子を食べ比べられます。我々は群馬・栃木方面の遠征の帰りに寄る頻度が高いです。宇都宮に来て餃子を食べたくなったらぜひこちらへ。
ちなみに来らっせに行く場合は近くの相生駐車場に停めると金額に応じて割引が効きます。
さて、誰が名付けたか氷の神殿。その名に恥じない感動的な圧倒的氷瀑の世界でした。世界は広いけれど日本も十分広い。27年生きてきてもこんな全く知らない世界があるのだから。
関東から無理なく日帰り可能、1泊すれば日光観光や温泉旅館も楽しめる旅行にできるのでいつかまた再訪したい、雲竜渓谷でした。