山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【テント泊デビュー】奥穂高岳・北穂高岳 2泊3日テント泊縦走 〜涸沢カールに憧れて〜2019.9

涸沢カールでテント泊デビュー

登山を始めて1年、テント泊をしてみたいと思っていたところ登山雑誌で見た涸沢カールの写真に感銘を受けたので夏休みを利用し初のテント泊縦走を計画しました。奥穂高岳→北穂高岳の縦走はハードでしたが、振り返ってみてもテント泊デビューとしては最適な山行だったと思います。

行程

day1 上高地→涸沢カール(5:58)

day2 涸沢カール→ザイテングラート→穂高岳山荘(2:00)

         穂高岳山荘→奥穂高岳(1:10)

    奥穂高岳→北穂高岳(2:47)

         北穂高岳→涸沢カール(2:57)

day3 涸沢カール→上高地(4:53)

テント泊装備

初めてのテント泊で初めての穂高で初めての縦走です。分からないことだらけで訳分かりませんが体力には無限大の自信があるので不安は天気のことくらいです。

基本装備

ザック:OSPREY イーサー70

テント:モンベル クロノスドーム1

シュラフ:モンベル バロウバッグ#3

マット:サーマレスト Zライトソル

基本装備は下界でのキャンプ用に持っていたものとテント泊用の大型ザックを買い足した上記です。ここに衣類と食料が加わります。これらは学生時代にソロキャンプ用に買った装備なのでテントとシュラフで3kg近く、登山に使うには超ヘビー級です。そのため水なども含めた最終的なパックウェイトは20kgを超えていました。(さらに一眼レフNIKON D750(840g)+24-120mm(710g)+タムロン15-30mm(1100g)の2610gが加わります)

スタート地点 上高地

3時に湘南の自宅を出て、さわんど駐車場に車を停めバスに乗ります。そしてやってきた上高地。

初めて使う70Lザック。トップリッドが頭の高さを超えるので後ろ向きに転倒すればほぼ無傷でいられるな。

上高地 河童橋

「1000ピースパズルで見たところだ!」

上高地から涸沢カールまでは16kmくらいの道のりですが、横尾まではほぼアップダウンがなく、大体1時間ごとに休憩スポットがあります。ここは最初の小梨平野営場です。

あの奥に見えているのが穂高な気がするぞ。

続いて徳沢ロッジ。

全く人間を恐れない野生のニホンザルが登山道を普通に歩いていました。親にしがみつく小猿。

平坦歩き終点 横尾

いよいよ最後のポイント、横尾。11kmも歩いてきたことに驚愕ですが本当にほぼ登っていません。ここで涸沢方面と、槍ヶ岳方面に分かれます。

横尾の橋を渡ると一気に登山道の様相を呈してきます。これまで登りが殆どなかったので一気に登らされます。

屏風岩

横尾-涸沢の真ん中くらいに位置する本谷橋(ほんたにばし)です。ここの河原で多くの人が休憩を取っていました。私は川の水でカップラーメンを作って昼食にしました。氷のように冷たくてそのまま飲んでも美味しい…と思いきやヘンな味です。あとから知りましたが北アの水は硬水のためそのまま飲んでもあまり美味しくない&山の水はキレイに見えても寄生虫の類がいるから生で飲んではいけないそうな。もう遅いですが。

本谷橋を渡り暫く進むとガレ場。落石注意の看板と、途中で足を止めるなという注意書き。

涸沢ヒュッテに到着

スタートから6時間、遂に涸沢ヒュッテに到着。

遂に涸沢カールにやってきた

圧倒的なスケール感に感覚が狂ってきます。ヒャッハーって感じです。この時は右の方に槍ヶ岳が見えていると思っていましたが、これは涸沢岳という山で、涸沢槍と呼ばれているらしいです。

ヒュッテで受付を済ませ、テントを張ります。希望すればコンパネを借りることもできるので大事なのは傾斜がないところに張ることです。。

この時のビールとおでんを忘れることはないだろう。ということでこのブログのアイコンの写真です。

ヒュッテは宿泊客でなくても自由に利用することができます。持参した大量の酒で酒盛りをする集団が居たり、子供が走り回っていたり、憩いの場になっています。

初日ということでディナーは豪華に焼き肉。肉をラップに包んで凍らせておくと保冷剤代わりになるし食べる頃にはほどよく解凍されるのでお試しあれ。

2日目 奥穂高岳〜北穂高岳縦走

今回の本番は2日目、涸沢カールの外周を回る縦走です。まずはカール真ん中のザイテングラートというルートでカールを超えていきます。2日目も涸沢に戻ってくるのでテント等はそのまま。背中が劇的に軽くなりました。

難所 ザイテングラート

はじめはガレ場を登り、穂高岳山荘直下になるとザイテングラートに取り付きます。道が狭いところが多く、すれ違いに難渋することもしばしば。危険箇所ということでしたが、滑落しそうなところは特に感じませんでした。

カールの上の穂高岳山荘

出発から2時間、400mアップで穂高岳山荘へ。ここから奥穂高岳山頂までは1時間くらいです。

奥穂高岳に向かうルート。完全に岩の山。

振り返ると一番奥に尖った山が見えています。周りの人の会話からあれが槍ヶ岳と判明。右端の少し平らな部分が北穂高岳山頂。この時点ではまだ分かっていませんでした。

日本第三位 奥穂高岳山頂

穂高岳山荘から70分ほど、奥穂高岳山頂3190mに到達。間ノ岳と同立で日本第3位。

曇っては居たものの景色は堪能でました。すぐ近くに変な形の岩があり、よく見ると上に人がいるようです。この岩は「ジャンダルム」という名前の難易度の高い頂だそうです。

槍ヶ岳。確かに天を突く槍の形をしています。

奥穂高岳〜北穂高岳の岩場

穂高岳山荘に下り、今後は奥穂高岳と反対方向、北穂高岳に向かって進みます。最初のピークは涸沢槍、涸沢岳。

今まで岩場の経験はさほどなかったのでこの道は困惑しました。足場はしっかりしていたので危ないと思うことは少なかったもののかなり険しい道です。

北穂高岳は序盤から見えているのにあまりに遠く感じました。

岩場は集中しているせいか、普段の疲れ方とは違う、重い疲労を感じました。この看板で奥穂高岳から距離的にはわずか2.5kmしかないことを知り驚愕しました。

絶景の北穂高岳山頂

奥穂高岳から3時間、ようやっと北穂高岳にたどり着きます。槍ヶ岳がすぐそこに見えたのに驚きました。穂高エリアの近くとは知っていましたが詳しい位置関係は知らず、もっと果てしないところにあるようなイメージだったからです。本当に一瞬だけ向こうまで行ってみるかという考えが浮かび、消えました。

北穂高岳山頂はめちゃくちゃ景色が良いところでした。特に槍ヶ岳方面、稜線の形が独特で、人が歩いているのが信じられないような険しい地形が遠目でも分かります。

こちらは涸沢方面。

時刻は14時過ぎ。次第に雲が出てきましたが槍ヶ岳だけは最後まで姿を見せていました。

登山道なのかよくわかりませんが槍ヶ岳に通じる道(?)のようです。後にここがかの有名な大キレットであることを知りました。とんでもねえ。

あとは涸沢に下るだけ、と半ば終わったつもりでいましたがこれまでの登山で最も苦しかったのがここ、北穂高岳から涸沢に下るルートでした。

斜度が全体的にきついのと、落差の大きめの階段が出てきて無駄に脚力を奪われるのと、一部藪こぎみたいになるのと、あと一番はめちゃくちゃ長かったことです。猿も道を塞いでやがるし完全に心が折れた地獄の下山でした。辛くも下山しとりあえずヒュッテでビールを買ってテントで1杯、までは覚えているのですが、気絶するように寝落ちてしまったらしく目が覚めると20時過ぎ、すっかり夜になっていました。

午後にかけて雲が出てきていましたが、夜はこの通り晴れ渡っていました。寝落ちて体力も回復していたので、登山雑誌で見たテントの写真を取ろうとヒュッテに繰り出しました。

こういうのを取るためにフルサイズ一眼を担いで来たんだ。

最終日はこれまでで一番良い快晴の予報だったので、モルゲンロートが見られるかもしれないと早起き。読みどおり、朝焼けが始まっていました。

キタキタキタ

世界で一番美しい瞬間

涸沢カールのモルゲンロート

雑誌で見た完璧なモルゲンロートがそこにありました。

うひょー

山に限らずここまでしっかりした朝焼けを見るのは初めてでした。何も分からないながら準備してテント泊デビューして過酷な穂高縦走をしてきた、全てが報われた瞬間でした。

涸沢図解。

あまりの快晴に名残惜しさも感じつつ、涸沢を後にしますこれはガンダム大地に立つのイメージの自撮りです。涸沢から上高地まではただ下ってただ水平に歩くだけ。初日より天気が良かったのでまた新鮮に感じられました。

これこそまさに1000ピースパズルにあるやつ。梓川は完全に透明で、飛び上がるほど冷たかったです。上高地から見えるあの山の向こうに、この身一つで行ってきた。その事実に心の奥底から震えました。テント泊デビューとしてはあまりに恵まれた3日間でした。