山と自転車

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【エクストリーム登山】 鳳凰三山日帰り登山 青木鉱泉、ドンドコ沢ルート2021.5

 

南アルプスのとんがりを目指せ

きっかけは甲府盆地から南アルプス方面にいつも見えているとんがりでした。

南アルプスのとんがり

甲府盆地内に住んでいると常に甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、北岳、間ノ岳、農鳥岳が前衛の櫛形山越しに視界に入ってきます。その中でも一番目立つのが鳳凰三山のとんがりです。正確には地蔵岳のオベリスクと呼ばれる奇岩らしいのですが、近くで見てみたくなったので登ってみることにしました。結論から言うとつらい、勿体ないという意味で日帰りするべきではない山でした。

山行データ

ドンドコ沢ルート

青木鉱泉からドンドコ沢に沿って登るベーシックなルートで、標高差は1800mほどあります。鳳凰三山というのはオベリスクの地蔵岳、観音岳、薬師岳の三山の総称で、日本百名山に選出されています。ドンドコ沢ルートではまず地蔵岳に到達するので、そこから三山を環状縦走して下山する計画にしました。知人のクリアタイムの12時間を目標にしました。

南アルプスお約束、殆ど樹林の中を登るシリーズです。眺望は最後の最後まで現れないのがつらいところ。

ルート自体は分岐もほとんどなく迷うことはありません。必要なのは体力と折れない心だけです。

近くになればなるほど巨大なオベリスク。相当登ったし歩いたはずなのにたどり着く気がしなくなってきます。5月では遠目にも雪が残っているので軽アイゼンは最低でも必要です。

地蔵岳が見えてきた辺りで雪が多くなってきます。沢が雪で隠れているので踏み抜かないよう集中して歩きました。雪質的にはアイゼンはまだ不要な感じです。

鳳凰小屋

スタートから3時間半、1300mほど登ったところで鳳凰小屋に到着しました。山小屋の人が洗濯物を干したり建物の補修をしたりしていました。泊まりかと聞かれたので日帰りですと答えたら「なんてもったいない」と言われてしまいました。確かにコースタイム的には景色を堪能してのんびりする時間はありませんが仕方ないのです。社畜なもんで2連休なんて滅多にもらえないんですもの。

頂上直下の蟻地獄

頂上直下、振り返れば甲府盆地が見え始めたところで非常に苦しい登りが始まります。地蔵岳山頂直下はまるで砂浜のような白い砂の斜面になっていて、雪がない時期にはかなり遠目からでも白く見えます。斜度もまあまああってすぐ脚が取られるのでここは通称「蟻地獄」と呼ばれています。体感的には3歩進んで2歩下がるような感じで息が上がる割にちっとも進みません。

耐えかねて岩肌に近寄ってひいひい登ります。

おお、ついにあのとんがりが間近に現れた。イルカの頭もしくは咲ききる前のチューリップのような形。

地蔵岳

甲府盆地ドーン。高いところから見ると本当に360度山に囲まれた土地だというのがよく分かります。

雲に隠れる八ヶ岳と北杜市方面です。

当然近くで見るのでは飽き足らず、とんがりことオベリスクに登ってみました。本来なら正面に甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳がドーンと見えるハズが急に雲が増えてきて雪がちらつく始末、そしてグローブを忘れるという大罪を犯し、立ち止まると死ぬマグロ状態で死ぬ思いをしました。

地蔵岳から薬師岳に至る稜線はアップダウンは少なくほぼ水平移動です。憎たらしかった蟻地獄も稜線になると天空の砂浜みたいで美しいです。

観音岳山頂

中間の観音岳山頂。

山頂の砂浜歩き。写真を見返すと美しいですが当時は感動するエネルギーは残っておらず淡々と歩いていました。

右手には甲斐駒ヶ岳が見えそうで見えない状態です。本来ならばここは甲斐駒ヶ岳や北岳をドドーンと捉えながら歩くことができる絶景の稜線らしいです。

薬師岳山頂

三座目、薬師岳山頂。三座の中では一番広々とした山頂でした。

ふと見ると地蔵岳オベリスクに匹敵するくらいの大きさの岩を発見しました。とんがっているしこちらの方がむしろ大きいような気がしますが盆地から見えるとんがりは一つだけのはず。おそらくは角度の問題で見えないのだろうと思われます。

薬師岳まで来たことで鳳凰三山縦走を達成しました。天候の問題で眺望がイマイチだったこともあり正直消化不良の思いを抱えながらも帰れることがもはや嬉しいです。

 

下りは薬師岳が起点なので当然登りと異なるルートですが、今回に関して言うと地蔵岳まで戻るロスをしてでも来た道で下るべきだったと思います。というのも日当たりの問題で、ドンドコ沢ルートとは比べ物にならないほどカチカチになった雪が残っていて、もはやアイスバーン状態になっている斜面ばかりだったからです。かと思うと雪自体は薄いので岩肌が露出していて、アイゼンがないと滑るけれどアイゼンがあるとふいに岩に脚を取られて危険、という最悪の路面状況でした。雪がなくなったかと思っても日当たりが悪くなるとまた同様の路面が現れたりと、振り回されっぱなしでした。

下りは技術、とは本当によく言ったもので、アイゼンを履くか的確なルートファインディングで乗り切るかの判断も必要で、残HP不足により何度も転倒することになってしまいました。気に入っていたナルゲンも失くしたし、億劫がらずに頻繁にアイゼンを脱ぎ履きするべきだったと反省が残りました。

結果としては10時間ちょっと、目標の12時間以内にクリアできたのでまあ満足行く登山ではあったものの、鳳凰小屋で言われた勿体ないという言葉を痛感しました。雲の切れ間から一瞬見える景色ですらびっくりするくらいのスケール感で、これ晴れていたら相当景色が良いだろうな…と。盆地を見下ろして街と山がつながっている感じも味わえるし、反対を見れば南アルプスを象徴する山々が連なるどこまでも山の景色も堪能できるし、山頂も広いからのんびりできそうだし、確かに忙しなく日帰りする山ではありませんでした。

とはいえ非常に辛い山行だったので当面はリピートしたくありません。辛い記憶が薄れ楽しかった思い出だけになった頃、1泊2日でリベンジしたいと思います。

追記 テント泊でリベンジしました

1年半後に泊まりで再アタックしリベンジを果たしました。

www.mount-road.com

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