乗鞍-ヒルクライムの聖地-
乗鞍はスタート地点の標高1450mからゴールの畳平2702mまで、標高差1400m近くを20kmかけて上っていく言わずと知れたヒルクライムの聖地です。10月上旬といえば外界では残暑が続くこともあるけれど、山では紅葉が終わりに向かい始める頃。ふた足くらい早く紅葉を満喫してきました。
乗鞍エコーラインへのアクセス
乗鞍畳平までは長野側からの「乗鞍エコーライン」と岐阜側からの「乗鞍スカイライン」があり、いずれもマイカー規制のためバスか自転車か歩いて登る必要があります。今回は乗鞍観光センターまで車でアクセスして、ロードバイクで乗鞍エコーラインを登りました。
中央道を松本ICで下りてさらに国道158号線を1時間ほどひたすら進むとベースキャンプとなる乗鞍観光センターに到着します。今日の予定は畳平までヒルクライムしてから眺望が良さそうなら剣ヶ峰まで登山するハイブリッドヒルクライムです。
乗鞍観光センター
ひつじ雲が飾る秋らしい空。綺麗だけど天候が悪化するサインです。気合い入れて早めに登履帯と思います。
ちなみにうろこ雲とひつじ雲の違いは空に人差し指をかざして、雲が指の幅を超えるかどうかで見分けます。ひつじ雲の方が低いところにある分近いうちに天気が崩れるサインです。こういう昔からある生活の知恵みたいなのが好き。
序盤からゴール方面が望める
山頂方面を望むと遠目でも木々が色付いているのがわかります。ここらの山は山肌がかっこいい。
右側の尖った山が主峰、剣ヶ峰です。ゴールの畳平はさらに右側の方に位置します。
元々重たいDOMANE SL5に上着や鍵やら積載して総重量は現代ロードバイクとは思えない恐怖の12キロ超えです。それでも楽しく登れる程度には全対的に斜度が緩めで挑戦しやすいのが乗鞍の良いところ。
三本滝レストハウス
上り初めて20分くらいすると三本滝レストハウスに到着します。ここより先がマイカー規制となっているためここまで車でアクセスすることも可能ですが、乗鞍観光センターから登り始める方がメジャーです。
ここからしばらくは森の中へ…。
リフトを過ぎるくらいで一旦森を抜けて、最初の眺望が味わえます。斜度も緩くなるところなので写真を撮りがてら小休止。
次第に視界を遮る木々がなくなっていき、乗鞍エコーラインの全貌を見ながら上れるようになります。まだ山頂方面が晴れていて安心です。
紅葉に挟まれ山頂も見え、ヒルクライム嫌いでも思わず笑みが溢れてしまいます。
位ヶ原山荘
休憩スポット「位ヶ原山荘」。ろんぐらいだあす!に出てくる場所らしく、漫画のワンシーンが飾られていたりします。登山客も多いですが彼らはどこから歩いてきているのか気になります。
色付きは良いですが枯れ木も目立つので9月末くらいがベストなのかもしません。
森林限界を超えて 絶景ヒルクライム
位ヶ原山荘以降は登山でいうと森林限界を超えた稜線上のような道のりで、上を見れば乗鞍岳、下を見ればこれまでの道のりを眺められるようになります。斜度も5−6%くらいで上りやすくなってきますが酸素も薄くなりかなりキツいです。
色付きが見事。
ゴール目前 肩ノ小屋口
ゴール手前、肩ノ小屋口。バス停でもあり、剣ヶ峰登山口でもあり。左の方の斜面には夏場は雪渓が残っていて、季節外れのスキー・スノボをする人達がいます。
振り返って1枚。バスは遠目に見るとミニチュアのようでかわいい。
上り切ったところで岐阜県に突入。
長野-岐阜県境
登りきった頂点は長野県松本市と岐阜県高山市のちょうど県境になっています。あとは200mくらい道なりに進むと畳平です。なんか雲が出始めてきたな…。
県境から畳平の途中に乗鞍スカイライン(岐阜側からのヒルクライムルート)が分かれています。正面やや右に飛び出して見えているのは槍ヶ岳です。ほんの一瞬だけ見ることができました。
ゴール 乗鞍岳畳平
そして畳平到着!よくローディーがやっている自転車を持ち上げる写真撮りたかったのですが人が多かったのでパス。
この日は天気が良く自転車乗りや登山客が大勢いました。意外とMTB乗りやミニベロ乗りも多いです。登山客は普段着に近い服装の人が多い印象。「ハイヒールで登れる3000m級」なんて呼ばれるくらいには道が整地されているのが乗鞍岳登山道。
さて、雲が厚くなってきましたが山ヤとしてとりあえず登ってみます。前回はスニーカーを持参して履き替えましたが、今回はSPDシューズだからいけるっしょ!というメンタルに。ついでにサコッシュ的なものも忘れたため人生初、手ぶら登山です。
剣ヶ峰方面への分岐点。右に見えているのが剣ヶ峰ですが、雲が厚くなり眺望は期待できなさそう。畳平から剣ヶ峰はだいたい1時間だから行くだけ行くか…うーん…
山頂がガスっているのが分かっている以上やはり気乗りせず登頂は中止しました。代わりに手前の富士見岳を経由して畳平に戻ることに。一度行ったことがあるとこういう撤退がしやすくて良いですね。
エコーライン方面。こうみるとまだまだ緑が茂っているな。
左端が乗鞍スカイライン、正面は大黒岳。晴れてたら槍・穂高が見えるであろう方角です。槍ヶ岳が一瞬見えてしまっただけに悔しいです。
畳平方面。
長野方面。所々見えている道が今日登ってきた乗鞍エコーライン。
富士見岳からの眺望を満喫したところで帰路へ。帰りはほぼ漕ぐ必要なしの最高のダウンヒル。
車重があるからなのか、ちょっと進み始めるとあっという間に時速40kmを超えます。直線になるとすぐ60kmまで加速するのでロック現象に十分注意する必要があります。
天空のDOMANE
下っているとクライマー達が心なしか恨めしいような目線を向けてくる気がします。行きはスピードが出ていないからそこまで意識しませんが、この道はかなりカーブが連続するのでコーナリングに十分注意する必要があります。ちょっと外に膨らむとバスが来てたりクライマーがいたりするので本当に怖いです。リムブレーキ車時代にダウンヒルで曲がり切れなかったことがあるので、この点は多少重くてもディスクブレーキは本当に安心感があります。
山頂方面はすっかりガスの中に。ただし紅葉とか緑に関しては曇り空の時の方が色が映えて美しく写ります(カメラ雑誌で学んだ)。
乗鞍エコーラインは上りではあまり意識しない点として、カーブが多いことの他に地面の凹凸があります。ダウンヒルすると分かるのですが結構道がデコボコしていて、時速40km以上出ていると結構跳ねます。特に序盤の森の中の道は本当に跳ねまくります。
DOMANEは上りには弱いけどこういう道で安定性を感じます。以前のアルミバイクと比べると下から突き上げられるような感じがほとんどないのが素晴らしいバイクです。
今回初運用となる自転車の車載キャリア。見た目は不安になりますが高速に乗っても山道でクネクネしても全く影響ありませんでした。
下界は出発時と変わらない、秋らしく気持ちの良い空でした。ヒルクライム嫌いを自称している私でもつい来てしまう魅力を持っています。斜度も優しめで初心者、ヒルクライム嫌いでも楽しめる乗鞍ヒルクライム。いかがでしょうか。
上り:ライドタイム2時間05分、獲得標高1243m、走行距離21.99km、平均速度10.5km/hr
下り:ライドタイム37分、平均速度31.8km/hr