ロードバイクにおけるカメラたすき掛けスタイル
ここで言うカメラとは一眼レフやミラーレス一眼カメラのことですが、ロードバイクにおけるカメラ携行スタイルは個人的には①フロントバッグを活用する②たすき掛けする③コンデジにしてしまう(チート枠)のいずれかかな、と思います。
自分はずっと②の「たすき掛け絶対落車しないマン」スタイルを貫いています。あっ、嘘吐きました。ロードバイク用にSONY RX100M3を買ったので③もですね…。
たすき掛けスタイルは落車時にはカメラがオシャカになる可能性が極めて高い代わりに、思い立ったらすぐに撮影ができて自分には合っていると思っていますが、この方法の問題点は走行中にカメラが腹の方に回ってきてしまうこと。頻繁に位置直しすることになる手間がロングライドでは結構効いてきます。一時期は長さ調整が容易ないわゆる速射ストラップの類を使っていたのですが、目一杯短くしてもカメラの固定性はあまり変わらない上、ストラップの長さ調節機構がごちゃごちゃして煩わしくなってきたので使わなくなっていました。一周回ってカメラメーカーロゴのシンプルなストラップにして、カメラがズレなくなるほど広背筋を鍛えて隆起させるしかないかと脳筋思想になっていた時にワールドサイクルさんのTwitterでサイクリングストラップなるものを知りました。
PORISE サイクリングストラップ レビュー
PORISE(ポライズ)というメーカーは初めて聞きましたが、どうやらクラウドファンディングスタートの新進気鋭の会社の製品のようです。
外観・仕様について
発想としてはメッセンジャーバッグのクロスストラップと同じで、左肩掛けの場合はカメラから左の脇腹を通して腹側のストラップを固定することでカメラの固定性を高めるストラップです。
カラーは現時点ではグレーメタリックのみ。シートベルトと同等の素材で、表側にはデイジーチェーンが巡らされています。極めてシンプルな構造です。カメラに取り付ける部分がえらく細くて頼りない感じがしますが、耐荷重は88kgとピークデザインのアンカーの90kgに迫る耐久性なので全く問題はありません。
クロスストラップとデイジーチェーン側はマジックテープのループを使います。まあ問題ないんでしょうけどここはマイナスポイント。気持ちの問題ですけども。
そして3点固定の要となるもう一つのストラップです。ストラップの先の黒いパーツを三脚穴に固定し、そこにカラビナで固定する構造です。私はピークデザインのアルカスイス互換のプレートを常に付けていて三脚穴は使えないので、別の方法で取り付けました。これについては後述します。
クロスストラップの着脱機構は秀逸
撮影時にはクロスストラップを外してカメラを身体の前に持ってくる動作が必要なので、クロスストラップの着脱は最も重要なファクターですがこれが良く出来ています。
バックル部分にマグネットが仕込まれていて、近づけるだけで凹凸がスチャッとハマるようになっています。外す時にはストラップの長軸方向と垂直方向にズラすだけ。片手で瞬時に外すことが出来ます。ここをメッセンジャーバッグのような一般的なバックルにされてしまうと片手での着脱がスムースにできず撮影が億劫になってしまうので、個人的にはこの機構が購入の決め手でした。
装着図
早速装着した図です。ピークデザインのアンカーリンクスにニコン巻きで取り付けて運用しています。
右後ろから見た図。ここまでは普通のカメラストラップですが
後ろから見ると左脇腹を通るクロスストラップ。強力な3点固定です。
前から見た図。左右でテンションを掛け合うので背中のカメラは全くズレません。また、クロスストラップの端はストラップのデイジーチェーンにて固定するので、固定する位置はかなり細かく調整できます。
メッセンジャーバッグをクロスストラップありで使ったことがある方は分かると思いますが、このシンプルなクロスストラップは効果が絶大です。びっくりするくらいズレなくなります。写真はブロンプトンでかなりアップライドな乗車姿勢ですが、前傾姿勢はもちろんダンシングの動きでもカメラが揺れることがなくなるのでかなり快適になります。
ピークデザインとの併用
前述の通り私はピークデザインのcaptureの三脚プレートを常時カメラに付けていて、同社のアンカーリンクス、およびクラッチというハンドストラップを併用しています。
ちなみに話が少し逸れますが、カメラをたすき掛けすると通常は下の画像のようにカメラのモニター側が背中と接してレンズが上を向くと思いますが、ピークデザインの三脚プレートを用いた運用ではカメラの右肩と三脚プレートの2点で装着することができるので、たすき掛けした際にカメラが地面の方を向きます。
プレートがあり三脚穴は使えないので、PORISEのクロスストラップはこのようにアンカーリンクスの紐に通して止めています。
多少アンカーリンクスに負担がかかる形になりますが、耐荷重90kgを誇るので問題ないでしょう。自転車に乗らない時にクロスストラップを外しておくのも容易です。
短くしておくと邪魔にならない
例えばフォトポタなんかで自転車を降りた後に散策するシーンではクロスストラップは不要です。その度にいちいち外す手間はまあ仕方ないかと思っていましたが…
クロスストラップのバックルを付けた状態で一番短くすると意外と邪魔になりませんでした。それでも多少は煩わしいですが、よくある速射ストラップと同じ程度。自転車を降りた時には長さ調整さえすれば取り外さずに運用できそうです。
感想
発想としてはシンプルながら期待していた通りの効果を発揮してくれて、衝動買いでしたが良い買い物だったと思います。見た目や質感に高級感や所有欲を満たしてくれるような要素はありませんが、軽量コンパクトながら耐荷重も十分で、実用性重視という製品で個人的にはむしろ好印象です。自転車関連の小物はとにかくコンパクトにできることが大事だと思っています。カメラたすき掛けスタイルでカメラが暴れることに頭を悩ませたことがある人にはぜひ試して欲しいと思います。
クロスストラップ自体は自作できると思いますが…実はかつて似たようなものを作ってみたことがありますが、既存のストラップに固定する方法やクロスストラップの着脱機構に悩みました。ただ固定するだけならいいんですけどライド中に頻繁に撮影をする場合に満足がいくものが作れませんでした。カメラストラップとしてはまあ普通の価格帯だとは思うので、創意工夫あふれるDIY好きでもなければ大人しく本製品を買っておけば良いと思います。
あとストラップとは別にピークデザイン製品もおすすめです。特にクラッチは撮影時の安定感がめちゃくちゃ良くなります。