山と自転車

登山や自転車をはじめとした多趣味ブログ

【周防大島】しまなみスオイチ② 1泊2日で周防大島一周スオイチ 2025.05.03-05.04

島を見ると一周せずにはいられないのが自転車乗りのサガ。ということで周防大島一周”スオイチ”はいつか走りたいと思っていて、Googleマップを眺めていたらしまなみ海道ツーリングから接続できるんじゃないかと思い付いたのが今回の旅の発端でした。しまなみ海道編はこちら↓

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What's 周防大島?

瀬戸内海の3番手の島

周防大島とは山口県に属する、正式名称を屋代島(やしろじま)という瀬戸内海で3番目に大きな島です。かつて7世紀に周防国(すおうのくに)として定められた現在の山口県の中で屋代島は大島と呼ばれていました。そこで周防国の大島、ということで周防大島と呼ばれるようになったのだとか。現在の地名としては屋代島の中に周防大島町という名称が残っています。

日本のハワイ

周防大島といえば日本のハワイとして親しまれています。行ったことはありませんが確かにハワイを思わせる南国の景色が楽しめる…という理由だけではありません。

かつて明治政府がハワイ王国と移民協約を交わし島民の多くがハワイに移住。その縁でのちのハワイ州と姉妹関係を結び、周防大島ではクールビズならぬアロハビズを取り入れ、積極的に交流を深めているのだとか。(日本離島センター発刊「島々の日本」より

きんぎょの島、みかんの島

周防大島はその形からきんぎょの島、そして島全体がみかんの名産地であることからみかんの島、などの相性で親しまれています。私の訪ねた5月はちょっとまだ早いそうですが、もう少しすると島全体がみかんの花の良い香りがするようになるんだそうです。

周防大島一周スオイチについて

走行データは一周約100km、獲得標高約1000m。私のようなゆるふわ自転車乗りも含め、一般的な自転車乗りにとって辛いと楽しいの天秤が楽しいに傾く、極めて標準的なバランス感が100km/1000m↑であります。

今回は島の西側、ちょうど半周の地点で1泊したので上記を2日かけて走る超贅沢サイクリングでした。当初は1日で一周して道後温泉に泊まりに行く、とかも考えていたのですが滞在時間を長く取って正解でした。

独断と偏見に基づく周防大島の概要

アップダウンのがゆるい順に青→緑→オレンジ→赤で囲ってみました。アップダウンは多いものの、外周をなぞる限りは嫌になるほどの激坂や長い坂はありませんでした。

山口県本土と接続しているからか道の駅や飲食店は島の北側、国道437号線沿いに集中しており、南側は車通りも少なく独り占め気分で走れるエリアです。

そして赤丸のところは後に出てくるオレンジロードを主に指すゾーンで、途中で別れてここを走った同行者による感想です。

どこを走っても景色は抜群に良いですが、コンビニやスーパーが主に地図で言う左上、周防大島町の周辺にしかないので、補給食や宿で飲み食いするものを買い出しておく場合には事前に調べておくのを推奨します。

スオイチday1

松山、三津浜港を発つ

所要時間は約1時間、片道大人2570円とそこそこの金額ですが代替手段がないのとインフラ維持のため投資しましょう。自転車持ち込みは1100円くらいですが、輪行モードにすることで手荷物扱い=無料で持ち込むことができます。

あと注意点は三津浜港→伊保田港へのチケットは現金でしか購入できません。窓口も一つしかなく結構並ぶことになったのでギリギリを攻めないよう注意してください。

しかしフェリーってなんでこんなに気持ちが昂ぶるんでしょうか。どんな交通手段よりも旅という感じがします。

至近距離にANAの飛行機。そう、帰路で使う松山空港は三津浜港から5km弱くらいしか離れていないのでこんな間近に見えるのです。

周防大島 伊保田港

そうして周防大島に上陸しました。びっくりするくらいの快晴スタート。モッてます。一周するルートとしては港を出て右折するのが正解です。左折すると島の東端の方に進んで行き止まって戻ることになります。

が、急ぐ理由もないので順当に海を左に見ながら直感で左折して進みました。

早くも脚を止めたくなる素敵すぎる景色が待ち受けていました。

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特に魚を探すつもりがなくても目に付くくらい圧倒的な透明度です。

周防大島東端①

しばらく進み続けると民家を終点として行き止まります。

地図でいうとここ

東端②

一周するルートは伊保田港近くの上記青丸の道を通って南に下るのが正解ですが、我々は間違えて赤丸の道を進みました。こちらもよく見るとここも行き止まっているので引き返すことになりますが、景色はなかなか良かったです。

一瞬斜度18%の激坂を登ることになりますが…

海に向かっていくダウンヒルを経て

ガードレールも何もないほぼ磯みたいな道を走れます!

この写真の先端のあたりで行き止まりです。

今度はしっかり伊保田港まで戻って青丸の道を通って南に向かいます。

オレンジロードってまさかこれのことか…?

究極の2択過ぎる

さすがにこれで右に進むやつぁ狂ってるぜ

一瞬騙されそうになりましたが、この激坂は名もなき農道なのでトンネルを進みます。

トンネルを超えると島外周の道と島の真ん中を通るオレンジロードとの分岐点があります。

オレンジロードは名前の通り島で作ったみかんを運ぶための農道で、サイクリスト的には島の内陸の高いところを通るヒルクライムルートということになります。当初はオレンジロードを走る説もあったのですが、まずは素直に島一周をしようということになりました。

結果的には前述の通り眺望のない亀老山、つまり景色を楽しむために走る我々にとっては想像しうる最悪のルートということだったようなので自分の素直さに救われました。

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RIDE&FISH再び

多くの釣り人がそうであるように無意識に魚の姿を求めながら走っていると

なんかいるなァ

でかい!何だあれ!?

!!

タイじゃね!?タイだろあれ!

そう、船着き場のすぐ目下のところに私でも分かるくらいあからさまにタイの形をした魚が泳いでいました。つまりそれはタイがすぐ目の前に泳いでいるということ!!

ということで見事釣り上げました!

\クサフグ/

やはり見える魚は釣れないと言いますので、見えるタイなんてもってのほか。しかし見えるクサフグは釣れるのです。とはいえこの竿そして瀬戸内海ツーリング×釣り企画初の記念すべき釣果です!

ジグヘッドにワームないしオキアミをつけるだけという非常に簡素な仕掛けなので、釣りしよう!から1分ほどで投入できる軽快さ、初実践としては十分楽しめました。自転車旅向けのシンプルで簡単で釣れやすい仕掛けを研究していきたい所存です。

アップダウンしながらも極端に眺望が悪くなることのない快走路。

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瀬戸内海を走ると当たり前になる、この背の低い堤防を走る体験。中毒性があります。

星のビーチ

アップダウンが一段落した、金魚の尾の根本あたりにある景勝地。

なんだかとってもエモいです(語彙)。瀬戸内海の青と星、ありそうでなかったコラボです。

ガーデンカフェ・リバージュ

絶景続きながらアップダウン続きでもあり、ちょっとカロリーが足りなくなってきた、そんな頃合いに現れたこちらのお店で昼食にしました。

移住者の御夫婦が営んでいて、5年間かけて毎週末島に通って建物から庭まですべてDIYで作られたという驚くべきお店です。

抜群の景色のテラス席で酸味の効いた甘口のカレーセットをいただきました。美味しいし景色もキレイなんですけど自転車乗り的にはもう少しボリュームが欲しいところでした。ここまで補給箇所がないので何かしら持って走ったほうが良いです。

↑のカフェを過ぎるとゲストハウスや民宿、他のカフェがちらほらと出てきます。ヤシの木が生えてハワイみたいになっているところです。

宿泊施設ゾーンを過ぎるといくつかトンネルが現れます。島の方いわくこのトンネルも比較的新しく、開通したおかげでずいぶんと移動が楽になったそうです。

しまねこ。

ニキとの別れのとき

前日のしまなみからともに走ってきた相方はGWに3連休も取れない激務な職場にいるのでこの日でお別れです。そう、淡路島半周アワハンに引き続き、スオイチならぬスオハンです。

かわいそーなおとこのこ

さすがに転職考えるレベル

せっかくだからオレンジロードとやら走ってみるわ

達者でな・・・

そして私はというと宿まで残り10kmほど、適当に釣りでもしながら優雅に進むことにします。

途中でA-COOPを発見したので夜のお供を買っておきます。山口県といえば獺祭が代名詞ですが五橋をチョイス。

ゆるポタ気分で走りつつ、こういうところで気の向くままにコーラを飲んだりします。

そしてこのような自転車とともに行ける堤防が無限にあるので釣りをしながら進みました。やはりタイがそこら中にいるのですが決して食ってきません。途中で会った地元の釣り人に聞くとタイはタイでもチヌ(クロダイ)だそうで、そのへんに見えるやつは釣れないよ、とのことでした。

本日のお宿 ゲストハウス奈々々萌

ちょうど50kmほど走って急に田園風景になってきたところで本日のお宿に向かいます。

この地図を見た時点で覚悟はしていたんですけどね…

宿の直前は激坂です!ピィ!

そうして激坂を登ったこちらの古民家がゲストハウス奈々々萌さんです。

初めてなのになんか来たことあるようなこの感じ。日本人の心の故郷…いや、tadaフレームをオーダーしにいった自転車工房エコーだ!

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ゲストハウスなので基本相部屋ですが、今回はキャンセルが出たということで和室の個室利用で予約しました。コミュ障は脱しつつあると甘めの自己評価をしている最近ですが、ここで知らない人2人と過ごすのはなかなかハードルが高く思います。

名物の釜飯とタイの刺し身の夕食。宿のオーナーもやはり元は移住者だそうで、島のアレコレを聞きながら夜を更かしました。

その後は五橋をラッパ飲みして22時くらいに寝落ちしたんですけど、たまに来るジジイムーブで3時に目が覚めて眠れなくなってしまいました。

宿泊客のノートに星空にびっくりしましたという記載があったことを思い出し外に出てみること八ヶ岳くらいの星空が広がっていました。しかしびっくりしたのは星空以上にこの写真。いつものミラーレス一眼ではなくInsta360X4のマニュアルモードで撮影しました(ISO1000, SS25秒設定)。

スオイチday2

そのまま明け方近所を散歩。蛙の鳴き声が響き渡ってほのかな潮風がそよぐ気持ちの良い時間でした。↓環境音。

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翌朝。古民家ってこういう小窓がついていがちなんですけど、

見てくださいこの景色。これでしか得られない栄養ってやつですが、あまりに摂取機会がなさすぎる!

田園風景もあれば海辺の景色もある。こんな贅沢はそうそうありませんね。

宿を8時に旅立って、地元の方以外はまだ活動が始まらない静かな時間です。

ただのコンビニごはんもこの景色とセットです。ああ

大島大橋

そして島のほぼ西端、山口県本土と周防大島を結ぶ大島大橋です!

SUO OSHIMAのモニュメント。愛車とともにこの画角で撮るにはモニュメントが設置されている側の歩道では距離が足りず、反対側の歩道までこなければなりませんが…

Insta360 X4があればこの通り!MONOみたいな画角にはなりますが余裕で収めることが可能です!

島の大動脈、国道437号線は南側に比べて高台から海を見下ろせる道が多くなります。

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しゅてき!

ああしゅてき!!

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久賀港大崎鼻灯台

たまたま通りがかった灯台

アップダウンの頻度はそれなりですが、day1に比べると強度はだいぶマイルドになります。記憶の限りこれが最大くらいです。

道の駅サザンセトとうわ

待ってました道の駅。10時台と昼食には早いですが前倒し前倒し。

入口にはみかんの品種とその解説。さすがにほとんど知りません!

海鮮丼やら切り身やら普通のお弁当やら、お土産の他にたいてい何でも揃います。

そしてみかんソフト!

トンボロ現象の真宮島

この道の駅の直ぐ目の前、歩いていけるところにある真宮島。

ここは潮が引くと道が生まれて島まで渡れるようになるという、トンボロ現象が見られる島です。小豆島のエンジェルロードといい、瀬戸内海は地理的にも面白いところが多いです。

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これはその真宮島に渡って撮った1枚。沖縄みたいな雰囲気ですね。

この素晴らしい景色はいくら見ていても飽きることはありません。

なぎさ水族館

伊保田港のすぐ近く、日本一小さな水族館として知られるなぎさ水族館です!

この通り可愛らしいこじんまりした水族館です。たった2人の従業員で運営されており、手書きの紹介文が面白い、と宿の人に聞きました。

本当に令和かと二度見する入場料。モンベルフレンドポイントなのでモンベル会員だと周防大島缶バッジかマグネットがもらえます。

私もです。

機材の力でうまく撮りました!

見えづらいですがこの従業員♂の方の切り抜き写真、ちゃんと爪がピンクに塗られていました。

カブトガニ、初めて見ました。古代生物って感じでかっこいいです。

やたらと可愛いこのイラスト。左の娘にやられました。

私は幸い言われたことのないセリフですが…言われたら…立ち直れませんね。

ニホンアワサンゴ

awasango.web.fc2.com

よくある体験コーナー…にしてはとても大規模です!ヒトデやナマコだけと思いきや奥の水槽には真鯛などの魚が普通に泳いでいます。うーん、本格的!

なぎさ水族館からほんのちょっと進めば伊保田港、つまりスオイチ完走です。フェリーの出発時刻まで1時間強あったので港すぐ近くの堤防で釣り糸を垂らしながら時間を過ごしました。すぐ横のファミリーは手前のチョイ投げでちっこいマダイを釣っていてぶったまげました。

スオイチ完走!

大変素晴らしい、あまりに素晴らしい◯◯イチシリーズでした。遠いから一生に一度モノかなと思っていましたがここも再訪したいですね。うん、利尻島のときも最初同じこと言っていた気がします。少しでも素晴らしさが伝わったら幸いです。

いざ帰路へ 三津浜港〜松山空港

そして再び伊保田港から三津浜港へ、そして三津浜港から5kmほど自走して松山空港に移動し旅の終焉です。

松山空港は高松空港と非常に似た構造・規模感でしたが空港内のお土産ショップが非常に充実していました。みかんの名産地だけあってお店全体がオレンジなんですよね、暖色の暴力って感じのみかん空間でした。

自転車旅の密かな楽しみ、地方空港のラウンジシリーズ@松山空港。ビールだけでなく日本酒も飲めて、さらにお酒を買うと付いてくるおつまみが地味にしっかりしていました。小さいラウンジでしたが非常に気に入りました。

しまなみスオイチまとめ

しまなみもスオイチも、たくさん写真を撮ったのでもはや私の稚拙な文章で語る必要はないでしょう。

しまなみ海道と山口県の周防大島。全然違う場所かと思いきや鉄道とフェリーを使うことでいとも簡単に接続することができました。めちゃくちゃ遠く帰って来るのが大変問題も飛行機の力でクリア。

こういう旅はオートバイにも車にもできない、自転車だけの特権です。必要なのはたった3日の休みだけ。さあみんな、しまなみスオイチへGO!!!!!