山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【自転車旅】飛行機輪行で阿蘇・黒川温泉旅② 黒川温泉新明館〜大分・別府ライド編

阿蘇・黒川温泉旅②です。初日編はこちら↓

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day2 阿蘇から黒川温泉へ

阿蘇・黒川温泉旅2日目は天気予報通り朝から雨でした。しかも豪雨と言っても良いほどで、雷鳴を聴きながらモーニングと洒落込みました。さて、阿蘇から黒川温泉までは自転車で約24km, 500m upの道のりで長めに見て2時間半くらいでしょうか。

当初は雨に打たれながら黒川温泉まで自走するつもりでしたが、前日のサイドカットパンクがあったので自走は断念しました。決して実際の雨量を見て屈したわけではありません。

day2 予定通り、雨

黒川温泉にバスで行けるのか!?

そこで問題となるのがその手段。黒川温泉は山深いところにあるので鉄道は通っておらず、車か自転車で訪れるほかありません。黒川温泉HPのアクセス方法によると、どうやら熊本空港から黒川温泉までのバスはあるものの、阿蘇駅からは路線バスを使って「南小国町役場前」までしか行けないようでした。

黒川温泉HPより。熊本空港から直通便しかない?

そこから黒川温泉は9kmの道のりなのでどうしたものか…と頭をかかえていましたが、実は初日に阿蘇駅に寄った時、阿蘇駅→黒川温泉にバスが通っていることが判明したのです。正確には上記の熊本空港→黒川温泉行きの九州横断バスは、その間阿蘇駅を含む複数の停留所に停まってくれます。

阿蘇駅のバス路線図

これにてめでたく黒川温泉まで辿り着けそうです。なんと自転車旅なのに自走ゼロ。サイドカットだもん、仕方ないよね。

黒川温泉

黒川温泉 バス停

今や日本のみならず世界的にも有名な黒川温泉(実は今回の計画まで知りませんでしたけど)。茅葺き屋根のバス停は初めて見ました。幼馴染と雨宿りしているうちに色々始まりそうな出で立ちです。

本日の宿まではバス停から250mほど。

本当に進んでよいのかわからない道を進むと…

旅館が立ち並ぶ黒川温泉に出ました。川に沿って旅館が立ち並んでいる、比較的コンパクトな温泉街で徒歩で十分に散策することができます。まず本日の宿に自転車を預け、バイクツーリング組の師匠とHG氏の到着を待ちつつ散策します。以下のスナップ的に撮った写真達で雰囲気が伝われば幸いです。

宿に預けたTyrell君

黒川温泉発祥の逸話となった地蔵堂

入湯手形 1枚で3箇所の温泉に入れます

道すがら1個100円で売られていた温泉たまご

黒川温泉で長い歴史を持つという「わろく屋」にて昼食

こんなところにもくまモン

バス停から下りてきた道

ここでしか買えないという地酒

 

温泉街を探索し東屋で地酒に舌鼓を打ちながら過ごすこと4時間ほど、バイクツーリング組の二人が車でやって来ました。聞けばあまりに雨が強かったため大分市街にバイクを置きレンタカーで来たそうでした。

山の宿 新明館

師匠が取ってくれた良い宿、は黒川温泉を世界に知らしめるほど有名にしたきっかけとなった「山の宿 新明館」です。古い建物ながらどこを見てもホコリ1つないほど清掃が行き届いており、従業員の接遇も大変心地良く、いつか家族で再訪したい非常に素晴らしい宿でした。

一時は廃れていた黒川温泉ですが、新明館のご主人が洞窟風呂を作り、入湯手形という制度を確立したことで様々な旅館の風呂が楽しめるようになり、国内外から年間100万人が訪れる人気の温泉街にまで成長したそうです。

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玄関

談話室

キンキンに冷えた黒川温泉の天然水とコーヒーがいただける

冬の火が灯る時期も良さそう

客室

 

多種多様の温泉

男女別の内湯に洞窟風呂や時間交代性/混浴の露天風呂など新明館だけでもたくさんの風呂がありました。内湯以外はほぼ外界に晒された脱衣所があるのみで洗髪などはできないので、山の中の天然温泉という感じでした。

風呂自体は撮影禁止だったのでここまで…。雰囲気は公式サイトを参照ください。

眼下を流れる川は今回は雨の影響で濁流になっていましたが、普段は山女魚の魚影が見えるほどの清流だそうです。

夕食会場

夕食会場は川を渡った先。

囲炉裏を囲むお座敷です。

こちらはまた別の会場の朝食です。さすが品数が多くてボリューミーでした。食事も温泉も館内の雰囲気も本当に素晴らしく、素敵な時間を過ごさせてもらいました。細君の言う通り、自転車に乗れなくてもここに来られるだけでもはるばるやって来た甲斐がありました。

day3 大分〜別府

さて、つかの間の旅行ブログから本来の趣旨に戻ります。そういえば自転車で来ているんでした。最終日はしっかり晴れる予報であり、元々はやまなみハイウェイを走りくじゅう連山を眺めながら由布院→別府を抜けて大分空港まで約105kmの道のりを自走する予定でした。

day3 見事に晴れ

ただしサイドカットにより105km走れるか非常に怪しく、万一の際には山中から脱出困難になる恐れがある状況でした。

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黒川温泉から由布院、由布院から別府、さらに別府から帰りの大分空港まではバス移動ができるのですが、せっかく晴れたのに全く走れないのも…と。そこで師匠とHG氏が大分からレンタカーで来ていたのが生きてきました。

かくかくしかじかこしたんたん

そんなことあるんだね。乗っけてってあげるよ

大分からは動けなくなってもタクシー拾えると思うよ

ということで、day3は大分市街(駅から数km離れたガソリンスタンド)から行けるところまで自走する計画になりました。

ちなみにもしもこれがロードバイクであればどこかしらの自転車屋でタイヤを買って復活させていたと思います。もし阿蘇のホームセンターで700cのタイヤが売っていれば、やまなみハイウェイが走れました。この点は旅先でチューブ類が入手しづらいミニベロの大きなデメリットです(大分市内にミニベロ専門店があったが休業日らしく電話繋がらず撃沈)。

国道442号から阿蘇を眺める

バイク組は大分で愛車を回収した後、やまなみハイウェイを抜けて阿蘇に向かうそうなので朝食を終え足早に宿を後にします。

国道442号線。

THE 阿蘇

車窓からとはいえ、阿蘇のこの眺めが一瞬でも見られたので今回の旅は良しとしましょう。次の機会にはぜひ大観峰から全体像を見てみたいものです。

この国道442号は序盤は上記の通り眺望が良いものの、すぐに眺望のない地味な道になってしまうので、自転車旅においては黒川温泉から大分に行く理由がなければおすすめはしません。

友人2人の愛車とTyrell君。

2人はキャンプツーリングを予定しており、ザックをそのまま積載していました。当たり前にザックが乗る積載量は羨ましい限り…。

さて、大分中心地から大分空港まではほぼ平坦60kmほど海沿いの国道10号線を進みます。交通量も多く途中にはべっぷ地獄めぐりを始めとした観光地も多いため、また途中でパンクしてもタクシーなりバスで逃げられます。

海沿いの国道10号線

国道10号線は別府湾に沿った非常に気持ちの良い道で、内陸側には鉄道が走っている感じから栄えた新潟の久比岐自動車道でした。

私のTyrell FSXは海と空に溶け込むような、ビアンキのチェレステブルーを参考に選んだカラーオーダーですが、我ながら卓越したセンスだなぁと思います。RAL6027は良いぞ!

Tyrell、別府にて散る

そしてせっかくだから観光地に寄るかとべっぷ地獄めぐりに向かって5kmほどの穏やかなヒルクライムをしている最中のことでした。後輪から再びパァン…と……

day1に予期せぬサイドカットパンクをして応急処置をしたのちここまで来ましたが、遂に限界が来てしまったようです。本日の走行距離32km地点でのことでした。

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べっぷ地獄めぐりは思ったより入場料が高かったのと行ってみたら案外惹かれなかったのとで眼の前に行ってすぐに引き返すことにしました。別府駅→大分空港までは概ね1時間半に1本くらいの頻度でバスが出ているので、潔くこれで空港に行ってしまうことにしました。

せめてりゅうきゅうを食べたい

バイクツーリング組から勧められたグルメの「りゅうきゅう」。魚の切り身を漬けにした名物料理で、今回の旅の最後のグルメとなりました。Googleマップでりゅうきゅうと調べて出てきたこちらのお店「とよ常」に行きました。

ビールが主役になってしまいましたがこれがりゅうきゅうです。こちらのお店ではごまを使ったオリジナルの味付けだとか。

こちらはとよ常イチオシメニューの特上天丼。1300円でこのボリュームはありがたい。

大分空港にて、旅の終わり

海に面した大分空港にて。直前まで雨予報に精神面を削られて始まり、行きのバスで帽子を失くしたりサイドカットして行動不能になったり、現地で旅の修正案をめちゃくちゃ調べなきゃいけなかったり、楽しかったと疲れたが同レベルに並ぶ旅でした。

しかし何事も考え方。結果的にはやまなみハイウェイ以外の予定はほぼ全て楽しめて、本当にどうしようもない場所で立ち往生せずに済んで、黒川温泉では非常に上質な体験ができました。よって運が良かったほうでしょう。glass-half-fullです。

色々なことが起こった旅でしたが、また1つ好きな場所が増えました。折りたたみミニベロロード×飛行機輪行は莫大な可能性を秘めています。

阿蘇・黒川温泉旅でした。