山と自転車

登山や自転車をはじめとした多趣味ブログ

【釣り&登山】伊豆で釣りと天城山登山を一度にやってきた話2025.08.28

釣り回にして登山回。いや、ちょっとさすがにあたおか回かも。目次から適当に飛ばしていただければ幸い。

プロローグ

親友で悪友の後藤という男に誘われて気づけばあれよあれよと磯釣りの世界に脚を踏み入れていた私。先日西伊豆で20時から翌5時までひたすら仕掛けを投げ続ける修行をしてきたのですが、闇夜に浮かぶ赤いウキをただ見つめ続ける7時間、この世にいるのかどうかも定かではなくなってきた頃に大イサキがヒットしたんです。こいつのせいで釣りにまた一段ハマってしまいました。

西伊豆、20時頃から釣り開始

意識朦朧深夜2時。世界は闇夜に浮かぶウキの放つ妖艶な光だけ

アタリないこと7時間。起死回生の大イサキ

ということでまた釣りに行こうかしらと思っていたんですが、元々釣り人ではないのでなんかそれだけだと勿体ないな〜みたいな気持ちがあるんですよね。友達と行くなら友達と会うのも兼ねてるから良いんですが、ソロだとねぇ。こんなブログを運営していることもあって、釣りする暇があったら山登るか自転車で走るべき。そんな内なる声が聴こえます。

天城山ってすぐ近くやんけ

伊豆といえば釣りや旅行のたび目にする天城山、天城峠という文字。師匠から百名山だけど微妙だと聞いていたのでこのためだけに伊豆に行くのもなあと思っていて未登頂でした。

もうおわかりですね、じゃあ釣りと天城山登山いっぺんにやればいいじゃないか!個人的わだかまりはすべて解決!効率が良い!これが今回の企画の発端です。

東伊豆磯釣り編

金曜日に平日休みを取っていたので木曜日に定時ダッシュして出発です。渋滞さえなければ私の住む藤沢市から釣り場の伊東市八幡野までは2時間ちょっと。さらに釣り場から天城山の登山口までは20km、40分という好条件です。冷凍エサは前日に買っておき、出勤時にクーラーボックスに入れて職場で保管していました。

「これから夜釣りと登山をしに行くんです」誰もが聞いてぽかんとしていましたが、時間を作るとはこういうことです。このブログで伝えたいテーマの一つである「時間を作る方法」です。

カゴ釣り

釣りはカゴ釣りという手法で、遠投して着水するとカゴに詰めたエサ(オキアミ)と、オキアミをエサに付けた針糸が放出されるという釣り方です。堤防で初心者向けによくやられるサビキ釣りと仕組みは似ています。後藤曰くライントラブルさえなければエサを詰めて投げ続けるだけのシンプルな釣りで色々な魚が釣れるので初心者にも向いているそうです。

「小さなことからコツコツと・・・ドゥ イット ユア セルフ!! 大物狙いのカゴ釣り!磯・堤防での攻略法完全ガイド」https://anything-site.com/7388/より引用

21:00 釣り開始

別荘地にある有料駐車場に車を停め、釣り場まで20分ほど歩いて磯入りしました。大荷物のイメージの海釣りですが、仕掛け自体は軽量で普通のリュックに入ります。サイドに竿とタモの柄などを差してクーラーボックスを片手に持つ…くらい。やろうと思えば電車、自転車での釣行も可能です。

釣り座はいつも後藤と行くところよりは足場が低くスリリングな感じだったので、岸から十分距離をとり岩肌が乾いているところを拠点にしました。

ピトンという金属の棒と竿受けを岩の隙間にぶっさしていざ実釣開始です。今回は登山を控えているのでAM1時頃を目安に終了する予定です。

素人なので海が平時より荒れているのかこんなもんなのか、潮目がどうだとか全然分かりませんが本能的になんかヤバそうな感じ。タイドグラフを調べると一応満潮時刻は過ぎているようでこれ以上にはならないだろうと信じつつ、十分に後退して投げ続けます。5m以上の長い竿なので海ギリギリに立たなくても十分釣りになります。

と言いつつ開始30分で全身に波を被ってしまいました。油断して海面をあまり見ていませんでした。夏なので寒くはないけれど体中がベタベタして最悪です。よりによって今回は少なくとも下山するまでシャワーは浴びられないというのに。常にしょっぱいし磯の濃厚な香りが一生分鼻腔に貯留したかのごとくむせ返るほどの海釣りの臭気。テント泊縦走で不自由にも不衛生にも不愉快にも耐性をつけてきた我が人生が試される刻!

釣果

まず一発目がキンメダイと金魚のハーフみたいな魚。アカマツカサというらしいです。すぐさま後藤にラインするも、小さくて食べるところがあまりないとのことでリリース。

続いてハタンポ。不思議なことに小さいながらしっかりウキが沈んで引きも感じられました。外道、エサ取りとして知られブッコミ釣りなんかをするなら生き餌として使ってもヨシ。サイズ&見た目的にリリースしましたが後から調べると味は結構良いそうで…次は唐揚げ行きですね。

続いてはメジナ!磯釣りのメジャーなターゲットで、子供の頃下田で釣りをした時に人生で初めて釣った思い出深い魚です。こいつだけでもうすべての労力はチャラになるというものうおおおおお!!!!!

最後はカサゴ。こちらも磯の王道にして高級魚。何気に初めて釣りました。深夜テンションもあってマジで叫びました。小学校低学年以来くらいにうれしー!!!!!って言いました。姿揚げにします。

今回は「魚に近い方にこそ注意を払え」というのを意識して普段よりこまめに針を替えたりタナを変えたりしました。竿やリールも入門器ですが、確かに魚からすれば針と針糸が怪しければいくら高級な機材を使っていても関係なく食わないわけなのでとても納得。針一つで変わるのかと思いつつ、今回はケイムラ塗料というもので塗装された針に変えたらその他は同じ条件だったのに↑の魚たちが立て続けにヒットしました。

AM1時 納竿

持ち帰るに値する魚も釣れたので予定通り1時に納竿し、駐車場で一瞬全裸になりボディシートで全身を拭き登山用の服に着替えます。ボディシートさえあれば3日は風呂に入らなくても大丈夫です。テント泊の経験がここに生きた。しかしベタベタ感はどうにかなっても臭いはどうにもなりませんでした。オキアミと潮がミックスされた臭いは強烈。

天城山登山編

翌日なるべく早く登って早く帰れるように(釣りが終わってからは臭いので早く帰りたくて仕方ありませんでした)登山口まで移動します。

山行データ・ルート

天城高原ハイカー専用を起点として万三郎岳、万二郎岳を周回するルートにしました。当初は反時計回りに万三郎岳から万二郎岳へ周回するつもりでしたが、直前になってより楽な方にしようと時計回りに変更しました。

厳密に比較してませんが、おそらく登りがよりきついのは反時計回りだと思います。万三郎岳の手前と万三郎岳-万二郎岳間は登るとなるとキツそうです。

天城高原ハイカー専用駐車場

ここから最高峰の万三郎岳と万二郎岳を周回するのが最短コースです。

バスも通っているので本当は秋口とかに天城峠に抜ける17kmの縦走路を歩くのが気持ち良いんでしょうが、今回は正直スタンプラリー的登山でしかも釣り後なので最短で最高峰を踏むルートにしました。この駐車場はキャパはおそらく50台くらい、トイレと登山靴を洗える水道がありすぐ近くがゴルフ場です。

磯とオキアミの香りに包まれながら2時間ほど仮眠をとりました。伊豆高原というだけあり標高が高く光害がないので、車内の様子とコントラストを描くように、星空がめちゃくちゃ綺麗でした。

AM5時半 登山開始

夏も終盤に入ってきていますが5時にはもう明るくなります。ジムニーは席を倒しても厳密にはフルフラットにならないので車中泊では段差を埋める工夫をしていますが、今回はさすがに釣りの疲労があるからかそういった小細工をせずともすぐに眠れました。

このときほど帰りたくて仕方がない登山口は私史上例がありませんでした。早起きが辛いとか睡眠不足とかじゃないんすよね。むしろこれまでの活動の割には頭スッキリ身体も軽かったんですけどとにかくこの狂ったアクティビティに終止符を打ちたかった。そのためには登るしかない。悲しいけどこれ自分で決めた企画なのよね。

トイレと外水道。このおかげで下山後にここで竿などを洗うことができました。

駐車場から道路に出る方向で向かって右側の山の方に登山道入口があります。道路に沿って歩いていくとゴルフ場に入ってしまうので注意。

天城縦走路の全体図。獲得標高は約1300m、17kmとのことなので高尾〜陣馬山の縦走路くらいでしょうか。伊豆は案外電車のアクセスが良い上に登山口までバスが通っているので運転不要ハイクとしても良さそう。

登山道は難所はなく登りも万三郎岳-万二郎岳間を除けばかなり穏やか。森林浴という感じ。

ただし低山あるあるで木々がせり出していたり虫が多かったりするので夏山としては辛いところ。今回は早朝のうちに登りをほぼ終えられたので良かったですが、下山中かなり暑かったので夏は控えたほうが良いと思います。

道は土砂崩れがあったのか、木の階段の鉄骨がむき出しになっていたり木の根が露出していたりかなり傷んでいる印象でした。

万二郎岳の手前、木々の間からの眺望スポットがあります。ゴルフ場が見えるのが興ざめな感じですが、駿河湾と富士山が見えて結構気持ちが良いです。360度視界が開けるところはありませんが、時々見られる景色自体は結構良い感じです。

下田方面

風車って良いですよね。同じ人工物でも風車ならむしろ良い。ソーラーパネル、お前はだめだ。

視界は開けないものの稜線に出ると山の輪郭をダイレクトになぞっているのが感じられて楽しいです。

万三郎岳に向かう途中の木のトンネル。素晴らしい。

伊豆半島は元々島として生まれプレートの動きで日本列島に衝突して誕生したという地理的な特異性があり、よくよく考えると不思議な地形です。現在もなお伊豆半島は本州に押し込まれ続けているそうです。

https://geopark.jp/geopark/pamphlet/pdf/201303izugeomap.pdf

石楠立

万三郎岳と万二郎岳の間のポイント。縦走路は途中途中で開けていて休憩ができるスペースがあって、森林浴するにはかなり良いと思います。

万三郎岳

伊豆最高峰の万三郎岳です。見ての通り山頂自体は非常に地味で、景色も視界全体に開けないのがネガディブな評価を受ける要因なんでしょう。低山でよくあるパターンはですが、百名山であっても大菩薩嶺やここ天城山など時々見られます。

万三郎岳から時計回りに下山します。

道迷いポイント 涸沢分岐手前

反時計回りで完全に間違えたのがここ、涸沢分岐というチェックポイントのすぐ手前です。

水が枯れた沢の地形で、斜面を下る方向に明らかに道がありますが、ここは右側の登る方向に進むのが正解です。

斜面の上の方向を見ると天城縦走路を示す黄色テープが見えます。先の下る方向の道があまりに自然に登山道してるので見向きもしませんでしたが、下る方向の誤ルートはある程度進むと明らかに獣道のようになるのでそこで気づけました。反時計回りで登る分には間違えようがないので、下りで通るときには注意。

下山そして西伊豆スカイライン

身体のどこかからうっすら香るオキアミと磯の臭いを感じながら下山。それはつまりもう帰って良いということ。終わった。ようやくこの狂った企画が終わった。

帰りは小田原まで有料道路の西伊豆スカイラインを通ります。平日なので渋滞どころか車が数えるほどしか走っておらずサイコーでした。料金所は現金のみなので要注意。アウトドアやってると逆に現金の重要性が年々高まるように思います。

この車に乗るようになって5年目になりますこういう写真あまり撮ってないなと気づいた今日このごろ。CMに出てきそうな爽やかな写真ですが車内には磯とオキアミの臭気が充満しています。

実食

DaiwaのライトソルトGU1000というちょっとだけ良いクーラーボックスを買ったので、家に帰った時点で氷がまだ生きていました。さすが釣りメーカー、12時間保ちました。

釣った魚は普段は刺し身にすることが多いですが今回はなるべく楽できるようシンプルな塩焼きにしました。立て塩という手法です。やべぇっす、メジナめちゃくちゃ美味いっす。

tsurihack.com

そしてカサゴは丸ごと唐揚げに。初めて食べましたがプリプリの白身で信じられないくらい美味かったです。高級魚なだけある。次は根魚狙いの釣りにしよう。

釣り&登山の感想

伊豆という土地ならではの非常に効率の良い遊びでしたが、良かったのは効率だけというのが感想。①釣り後にシャワーも浴びられず②その状況で車中泊③車中泊&睡眠不足からの登山、という不快要素のオンパレード。さすがに全くオススメはできないし二度目はなさそうです。

おしまい