山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【レビュー】固定力と歩きやすさの両立 wahoo SPEEDPLAY ZERO導入&レビュー【新生SPEEDPLAY】

SPDからSPEEDPLAYへ

ロードバイクのビンディングには高校生の頃からずっとSPDを使用してきました。旅先で歩くときにはもはや普通のスニーカーと同じ感覚で歩けるSPDシューズは便利なのですが、逆に歩く場面が少ないとペダリングの効率(点で接しているため引き足が使えてないような気がする)が気になることも多いです。

ということで最近の自転車熱の勢いに任せ、新たなビンディングペダルを導入しました!

wahoo SPEEDPLAY ZERO

f:id:kamiyashiro-i:20220129192826j:plain

購入したのはwahooブランドでリニューアルしたSPEED PLAY ZEROです。なぜ素直にSPD-SLにしなかったかというと、昔から大好きなブロガー、神楽坂つむりさんが愛用するペダルと知ってからずっと気になっていたからです。特徴的な見た目で人と違う機材であることがひと目で分かるのも形から入る私としては大事な点です。そして角度調節が細かく可能であり、SPD-SLと同程度の固定力がありながらクリートカバーが常に装着されるため歩きやすいという評価が決め手となりました。

スピードプレイの特徴

①シューズのクリートがペダルをキャッチするという構造をしている(シマノはペダルがシューズのクリートをキャッチする構造)
②キャンディのような特徴的な見た目のペダル
③両面キャッチができる
④接地面が大きく力のロスが少ない
⑤歩行用のクリートカバーが常に装着できる

などがあります。ネットの声を見ると両面キャッチを重視してスピードプレイを導入する人が多いようですが、私はレースに出ない上、SPD時代の片面キャッチにそれほど困ったことがないので、期待するのは主に④と⑤の効果です。

さらにこのSPEEDPLAYは2021年にwahooに買収され、wahooブランドとして生まれ変わりました。以前の製品では半年に一度ほどペダルにグリス注入が必要なためメンテナンスの手間が大きな難点とされていましたが、今回のリニューアルでニードルベアリングが採用されたためメンテナンスが不要になるという大改良が起きました。

開封の儀

f:id:kamiyashiro-i:20220129192823j:plain

まずはSPEEDPLAY ZERO本体、メタル飴ちゃんです。新生SPEEDPLAYペダルはシャフトの種類によってCOMP(クロモリ), ZERO(ステンレススチール), NANO(チタン)とグレードが分かれていて、私はスタンダードなZEROを購入しました。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192821j:plain

内容一式です。真ん中の列が歩行用のカバーとクリートで、左下の青いのはシューズの底面とクリートを隙間なく装着するためのスペーサーです。ちなみにSPEEDPLAYに付属するこのクリートがスタンダートな固定力のクリートで、下位グレードのCOMPにはイージーテンションクリートという固定力が少し弱いタイプが付属します。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192808j:plain

ビンディングシューズなしではペダリングができなさそうな、非常に小さいペダルです。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192806j:plain

横から見ると黒い部分と表裏の金属プレートの間に溝があって、ここにクリートがはまり込むような構造です。いや、クリートがペダルをキャッチする構造ならばこの溝がクリートにはまり込む、と言う方が正しいでしょうか。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192818j:plain

続いてクリート分解編。右が全て装着した状態で、バラバラにすると左のような3層構造になっています。ゴルフボールのようになっているパーツが歩行力に寄与するラバー製のクリートカバーです。4箇所窓がある通りで基本は4穴で固定する仕組みです。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192816j:plain

クリートのコアの部分。星マークがついているCの字型の金属パーツがCリングと呼ばれる、ペダルの溝にはまる部分です。f:id:kamiyashiro-i:20220129192813j:plain

この向きにペダルを押し込むと、Cリングが開いて溝にはまる、というシンプルな構造。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192811j:plain

そしてSPEEDPLAYの特徴である、遊びの調整です。シマノは振り幅によってクリートの色が異なっていますが、SPEEDPLAYはこのCリングの可動範囲を任意の幅に調整できます(0〜15度)。写真は一番遊びが大きい状態で、両側のネジを締め込むほど固定され遊びがなくなるようになっています。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192803j:plain

そしてこれらがクリート取り付け台座です。さっきのクリートはこの台座を挟んでシューズに装着します。先程基本は4箇所固定と言いましたが、この3穴→4穴の変換アダプターが付属しているのでSPD-SL用の3穴シューズでも問題なく装着可能です。私は見たことがありませんが、SPEEDPLAY専用シューズは4穴なのでこのアダプターは不要になります。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192758j:plain

この青いのがシューズ底面とのフィッティングを高めるスペーサーです。3種類付いていてあらゆるシューズに対応できるようになっています。

f:id:kamiyashiro-i:20220129192801j:plain

シューズに装着

f:id:kamiyashiro-i:20220131101734j:plain

実際の装着例。SPEEDPLAY導入に合わせて購入したシマノRC7です。当初は初のSPD-SLシューズということでエントリーのRC3を考えていたのですが店員に聞くと

「RC3はソールが柔らかく力が逃げる」
「ビンディングが完全に初めてでないならレースに出ないにしてももう少しソールは硬いものを選んだ方が良い」
「RC3では走行性能を求めてSPDから乗り換えたのにあれ?ってなるかも」

などと言われたため、予算は超えましたがよりソール剛性の高いRC7をチョイスしました。

f:id:kamiyashiro-i:20220131101732j:plain

横から。SPDシューズしか履いてこなかった身からするとクリート部の出っ張りが目立って仕方なく感じます。ただし先のゴルフボールのような加工が施されたラバーのクリートカバーがついているのでこのままライドも歩行もこなせます。

f:id:kamiyashiro-i:20220131101737j:plain

装着時の注意点ですが、Cの字が内側を向くように装着します。私は最初Cの字を外向きに付けてしまい全くハマりませんでした。SPEEDPLAY最初は激硬という評判があったので装着ミスの可能性に気づくのが遅れ、Cリングを少し広げて無意味に固定力を弱くしてしまいました。激硬とはいえ壁に手をついて脚の力で踏み込めばちゃんとハマります。

まだ導入して間もないですが、SPDに比べ足裏全体でペダルを引けているのが実感できました。いつも25km/hのペースになるところが28~30km/hになるくらいの変化は感じられました。そして歩行性能は、思っていたほど歩きやすくはありませんでした。SPD-SLのようにペンギン歩きをする必要がないのは良いですが、シューズのソールの素材が滑りやすく、クリートによる段差もあるのでやはりSPDに比べるとかなり歩きづらいです。コンビニに寄るくらいなら良いですが、観光地に行って歩くような場合には替えシューズは持っていかないとな…という感じです。今後のロングライドに期待。

追記 導入から1年半ほど使ってみて

SPEEDPLAYを導入して2年近く経過した今、愛車にtada車が加わりましたがもう一つ買い足してバイク2台ともSPEEDPLAY ZEROを装着しているくらい気に入りました。

走行性能

ヒルクライムや高速巡航を意識したライド、様々な場面で走行性能は優れていると感じます。SPD-SLは履いたことがないので比較はできませんが、足裏全体がペダルと固定されていると実感できます。かなり激しくダンシングしたりスプリントもどきのことをしても固定性に不安を感じることはありません。正直履き替えた直後は劇的な変化を感じたわけではありませんが、たまーーにSPDペダルを使うと点でしか固定されていない感覚がもの凄いです。

歩行性能

まず、どう頑張ってもSPDシューズには敵いません。そして「歩きやすい」とも言えません。ただしSPD-SLの方々のようなペンギン歩きをせずともクリートが削れることはなく、クリートカバーがある程度クッション性、滑り止めになるので景勝地まで走って現地を軽く散策する程度であれば「歩きやすいとは思わなくとも問題なく可能」です。あくまで歩きやすいのではなく歩ける程度です。

ただし走りがメインで歩くのは食事や景勝地の軽い散策、夜の飲み屋に行くくらいの輪行旅では換えの靴は持って行かずに遂行できます。過去のしまなみ海道旅やビワイチなどは、全てビンディングシューズのみでした。

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

www.mount-road.com

角度調整

ビンディング装着時の足の角度の正解が分からず迷走しているのですが、ガニ股ないし内股にならないような角度に固定した&DIYカント角調整によって、一時期とても悩まされた腸脛靱帯炎が改善しました。酷い時は20kmほどで膝の外側に生じていた痛みがいまは150kmくらいは無症状で走れるようになりました。

www.mount-road.com

欠点

欠点としては屋内での歩きづらさクリートカバーが傷みやすい、純正品が高いことがが挙げられます。これはクリートカバーだけの問題というよりは基本的にレース使用を想定=歩行性能が不要という前提で設計されているシューズのソールの問題もありますが、ツルツルしている駅構内などは滑りやすく、輪行旅での輪行時はストレスを感じます。

クリートカバーは歩行頻度でもちろん変わってきますが、輪行を伴うライドを年10回以上は行う私は1年間経たずにダメになってしまいました。削れてクリートの一部がむき出しになり、直接地面と触れるようになりました。純正品は2個セットで3000円くらいはするので耐用期間を考えると割高だと思います。Amazonやメルカリで非純正の怪しいクリートカバーが1000円ほどで多数出品されているのでいくつか試しましたが、純正品ほどぴったりハマらない=歩行中にしょっちゅう取れて紛失したり、純正品の倍以上のスピードでダメになったりしたので割り切って純正品を買うべきかなと思った次第です。

まとめ

基本的に走行性能には不満はありません。また歩行性能に関しては走行性能とのトレードオフになりますが個人的には「SPDによる走行性能の犠牲<SPEEDPLAYの歩行性能の犠牲」だと思っているので、総合点ではSPEEDPLAYに軍配があがります。

金銭面での欠点はあるもののやはり全体的に性能面では非常に満足度の高いペダルです。歩行性能に関してはSPD-SL対応で歩行性能に寄ったシューズを選ぶことである程度改善できるかと思います。ほとんどの人がフラットペダルないしSPDペダルないしSPD-SLペダルを使っている中差別化がはかれるという副産物もあります。

私はあくまで自転車は移動手段と捉えて輪行を含めた自転車旅をすることが多いのでいっそSPDが一番良いのではと思うこともありますが、SPEEDPLAYに慣れてしまうと中々SPDに戻そうという気にはなれません。